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影響分析・提言等 [2024年1月~]

【4月】

 

  • ポストコロナ社会のサードプレイスを考える  2024年4月15日 産開研論集第36号 令和6年3月 大阪府

    • 「サードプレイス」とは、ファーストプレイス(生活を営む場所)の「家庭」でも、セカンドプレイス(自宅以外で長い時間を過ごす場所)の「職場・学校」でもない、「憩いと交流の場」としての「第三の居場所」を表す言葉である。

    • 交流の志向性とコミュニティの特性による類型化を通じて、時代とともに多様化する実態が垣間見えたと同時に、コロナ禍を契機に台頭する「仕事場としてのサードプレイス」が、地域活性化の萌芽となりうることも分かった。

  • 危機時における民主主義的手続きのあり方について:コロナ禍対応からの示唆 April 3, 2024 東京財団政策研究所

    • コロナ禍は世界をほぼ同時に襲ったため、権威主義国家と民主主義国家の対応の内容の違いやスピード差が顕れた。危機対応における民主主義的手続きのプラス面とマイナス面も浮かび上がった。本稿では、コロナ禍対応の経験が示唆することを基に、危機時における民主主義的手続きのあり方について、今後、「財政危機時の緊急対応プラン」で検討すべき点を挙げていく。

    • その後の政治学者らによる致死率・超過死亡率などの指標をベースとした検証の多くでは、コロナ禍対応における権威主義国家の民主主義国家に対する優位性は明らかになっていない。

    • 「旗の下の招集」効果(rally round the flag effect) (Mueller 1970)は、最もよく知られた民主主義下の危機時の現象だ。国難的な危機時が生じた際、国民の間に連帯して危機を乗り越えようという一体感が生じ、政権への支持率や政府への信頼度が高まることを指す。この効果はコロナ禍の下で脚光を浴び、コロナ禍初期に政権支持率や政府への信頼が大きく上昇したことの要因と目された。

    • 今回の財政危機対応プランでは、単に必要な対策を順番に列記するのではなく、それぞれの対策にどのような民主主義的手続きが必要かをあらかじめ精査する。その上で、民主主義的手続きに必要な時間も考慮した順番と内容をパッケージ化した対応策とするよう作業を進めている。平時(事前)に先行して整備しておくことができる法改正事項についても検討している。

    • 「旗の下の招集」効果は観察されなかった。程度の差こそあれ、日本以外でコロナ禍初期に政権支持率が落ちた国は、図のG7諸国以外に広げても、極端な対応を採ったブラジルなどごく少数に留まる。

    • 一方で、90年代末の日本の金融危機の際には、「旗の下の招集」効果に類する現象も見られている。それは、バブル崩壊後の金融機関などに対する公的資金投入問題である。

    • 危機発生時の対応を迅速かつ効果的に進めていくには、対応策の事前の準備に「時間」の要素を入れることに加え、危機発生時の国民や野党との対話も有益となる。意思決定メカニズムの整備や、適切な情報発信の内容とタイミングについてもあらかじめ想定していくべきであろう。

 

[3月]
  • 人が集まる意味を問いなおす​ 2023年3月調査報告書​【データ集】 2024年3月29日 リクルートワークス研究所

    • コロナ禍収束後の集まり方の変化

      • コロナ流行時と収束後における集まり方について質問した。流行時においても、一般職・管理職ともに、「主にオフィス出社」が半数以上を占めており、主にリモートワークで働く人の数は、一般職で24.8%、管理職で20.2%であった。

      • コロナ禍収束後(2023.3)の働き方では、「リモートワークは(ほとんど)実施していない」という回答が、一般職では49.0%、管理職では43.5%である。

    • リモートワークと孤独感の関係

      • 週の半分以上をリモートワークで働く人と、週の半分以上を対面で働く人の抱く孤独感について分析した。

      • 週の半分以上をリモートワークで働く人は、自分には人とのつきあいがないと感じるという項目に対して、「あった」と44.2%が回答した。これは週の半分以上を対面で働く人と比べて7.9%ポイント多いが、それ以外の項目に
        ついては、0.6~2.2%ポイントの差異であった。

      • 週の半分以上を対面で働く人は、自分が休んでも誰も困らないと感じることがあったに対して、41.0%が「あっ
        た」と回答している。これは週の半分以上をリモートワークで働く人と比べて2.2%ポイントのみ少なく、自分は他
        の人たちから孤立していると感じるという項目も、1.3%ポイントしか差異がなかったことから、リモートワークや対面といった働き方に限らず、孤独感を抱く場合があるといえる。
         

  • 「孤独感がある」4割、コロナ禍去っても2年前からほとんど変わらず…専門家「恒久的な問題になりつつある」2024/03/29 08:30 読売新聞オンライン

    • 政府の孤独・孤立に関する全国実態調査で、何らかの形で「孤独感がある」と回答した人の割合が4割に上ったことが分かった。2022年春と23年春に発表された過去2回の調査結果とほぼ同率で、社会活動が新型コロナウイルス禍前の状態に戻っても、孤独感を抱く人の割合が変わらない実態が示された。

    • 年代別にみると、30歳代の合計が46・1%。次いで20歳代(45・3%)、50歳代(44・5%)の順で、現役世代で孤独感を抱く人の割合が高かった。

    • 早稲田大学の石田光規教授(社会学)は「現役世代の孤独は、恒久的な問題になりつつある。政府は地方自治体と協力して支援に注力すべきだ」と語る。

 

  • 原発事故とコロナ禍からの教訓:レジリエントなヘルスシステムとは March 28, 2024 東京財団政策研究所

    • 放射線と新型コロナから見えること、レジリエントなシステムとは?  坪倉正治 研究主幹(福島県立医科大学医学部放射線健康管理学講座 主任教授)

      • 福島原発事故と新型コロナウイルス感染症の健康問題には「二次的な健康影響の大きさ」「病院や介護施設での医療・介護の継続の重要性」「偏見や誤解、差別の問題が生じやすい構造」など類似点が存在する。

      • 被災者は災害発生直後だけで無く、生活環境の変化による「ゆさぶり」を経験する。何度も生じた新型コロナウイルス感染症の流行の波も「ゆさぶり」だが、二次的な健康への影響についての評価はまだ十分に為されていない。

      • 平時から行われていたケアや医療の連続性が途絶えたことが、二次的な健康影響の原因となる。災害時、新たに発生する患者への対応が注目されがちであるが、災害前に提供されていた医療や介護サービスの維持、復旧にも焦点を当てる必要がある。

      • 原発事故後の放射線被ばくに関連する健康影響について、長期にわたる誤解や偏見が存在する。新型コロナウイルス感染症においても、同様である。これらの誤解に対しては、迅速かつ正確な情報提供と、誤解を解くための積極的なコミュニケーションが必要である。

    • あるべきCDC機能と次のパンデミックへの備え:レジリエントなシステム構築に向けて  谷口清州 研究主幹(国立病院機構三重病院 院長)

      • 新たな感染症危機に備えるため「国立健康危機管理研究機構」が設置予定だが、感染症対策を行う組織の機能や役割はまだ不明瞭である。

      • COVID-19パンデミックにおける我が国の課題は、健康危機管理のサイクルが回っていなかったことと、各プロセスの担当と役割が明確では無かったことである。健康危機管理を行う組織は、平常時からのサーベイランスとエビデンスに基づいた対応の蓄積が必要である。

      • 専門家と連携し、即座に対策を実行するため、G7各国同様、行政官も高い専門性とキャリアの連続性を持つべきである。

      • 平常時からの継続性の担保の元、米国CDC(疾病予防管理センター)、EUのECDC(欧州疾病予防管理センター)のように、個々の予防・対策に関する部署と、各感染症に特化した部署、そしてコミュニケーションの部門を系統的に整理するべきである。

    • 健康危機に対するヘルス・レジリエンスとは、平常時からレジリエントな体制を維持しておくことに他ならない。今般のパンデミックは以前から存在していた日本における課題を浮き彫りにしたものと考えられる。今般の一連の研究において医療体制、サーベイランス体制、ワクチン接種とそのフォローアップ体制における現状の評価と次のパンデミックに向けての提言を行った。また、あらたな科学的手法として数理モデル、ウイルスダイナミクスモデルを用いた解析方法は、感染症対策をより戦略的、効率的に行うための貴重なエビデンスとなることも示されている。

 

  • コロナ禍を踏まえた人口動向 出生動向と若年女性人口の移動から見た地方圏人口の今後 2024年3月28日 大和総研

    • 2020 年初頭に始まったコロナ禍中に出生率の傾向に大きな変化は見られず、出生率の地域間格差もほとんど変化していない。

    • コロナ禍中は、大都市圏と地方圏の間の人口移動の傾向が大きく変化した。若い世代である 15~29 歳における大都市圏への人口流入が大きく緩和され、30~49 歳では大都市圏からの人口流出が見られた。但し、コロナ禍からの回復とともに、15~29 歳では従来の大都市圏への人口流入状態に戻り、30~49 歳においても人口流出が解消しつつある。

    • 若い世代における地方圏から大都市圏への人口流出は女性の方が男性より多い。

    • 女性の社会進出は出生率や若い世代の人口移動と関係している可能性がある。

    • 雇用環境や社会環境の地域差が大きいまま、女性の社会進出が進展すれば、地方圏と大地都市圏の人口格差を更に拡大する可能性がある。
       

  • 地方創生に関連した研究(その2) 東京圏の転入超過とコロナ禍 清水昌人 2024-03-27     国立社会保障・人口問題研究所

    • 本研究では2020年以降における転入超過数急減の諸要因を捉えるため,東京圏の移動と人口学的,社会経済的要因との関連を検討した.

    • 分析によれば,転入と転出には時間差関係があり,2020年の転出数の水準は2010年代後半の転入数でよく説明できた.
      また,2019~2021年間の転入数の減少はその約2割が人口減少に起因していた.ここには少子化による減少も含まれる.

    • 一方,有効求人倍率等の地域差は2010年代後半に東京圏の転入超過を抑える方向に変化していた.この時期の転入超過はオリンピック・パラリンピックの開催準備等で例外的に多かった可能性がある.

    • 以上によれば,転入超過数をある程度減少させる条件は元々揃っていたが,コロナ禍により減少の動きが大幅に強化された,との解釈も成り立ちうる.

 

  • 生活様式の変化に関するアンケート調査 2023.03.27 SOMPOインスティチュート・プラス

    • ​テレワークは、現在取り入れている企業は限定的であり、定着に至らなかったといえる。テレワークに期待された生産性向上もさほど大きくなく、会社方針で職場回帰する人も多かった。

    • コロナ禍中に進んだとされる「オンライン化」の例として、Eコマースや動画配信等の利用状況を尋ねたところ、比較的若い世代(20代・30代)でコロナ後も生活への浸透・普及が進んでいた。

    • キャッシュレス決済は、「利便性の高さ」から、コロナ前よりも利用が広がっている。また、とくに若い女性では「ポイント還元」もキャッシュレス決済の大きなメリットと認識されている。

    • 様々な食習慣について尋ねたところ、外食・飲み会はまだ回復プロセスの途上にあった。一方、食事のテイクアウトやデリバリーは、生活への定着・浸透が一層進んでいる様子がうかがえた。

    • 旅行や日帰りレジャーも、コロナ前の状況にはまだ復していない。ただ、年代別の違いが大きく、若い世代では回復が進み、高齢世代は回復に遅れがみられる。

    • 上記のようなコロナ禍で拡大した新たな手段・サービスを、コロナ後の現在もライフスタイルに取り込んでいる人ほど、生活や仕事の満足度がより向上していることがわかった。

 

 

  • コロナ禍で変化した「通勤」を読み解く 「通勤時間」に加えて「通勤回数」が通勤ストレスに影響する 2024.03.21 ザイマックス不動産総合研究所

    • 2023 年の通勤時間の平均値は 53.4 分と、2019 年の 49.4 分より長くなった。
      2023 年の週あたりの通勤回数の平均値は 4.1 回と、2019 年の 4.8 回より減少した。
      2023 年では通勤時間が長い人ほど通勤回数が減っている傾向がみられた。

    • 全体の傾向としては、2019 年・2023 年ともに通勤時間が長い人ほど通勤ストレスが高くなる傾向がみられた。

    • 通勤時間が長い場合は、コロナ禍前と変わらず通勤ストレスが高くなることが確認できた。また、ザイマックス総研の「大都市圏オフィスワーカー調査 2023」(*7)で示されたとおり、ワーカーが現在の働き方で感じている不満の最上位は「通勤が苦痛に感じる」であることからも、長時間通勤のデメリットの緩衝材があるのが望ましいだろう。通勤回数の調整のほか、自宅付近のサテライトオフィスの導入などの働く場所の選択肢を整備、提供することは、通勤ストレス軽減に寄与すると考えられる。

    • 通勤時間が短い場合でも、コロナ禍前より通勤ストレスが上昇していたことも見逃せない。通勤回数が長時間通勤者より多いことが背景に考えられるが、2023 年のオフィスワーカー調査の結果(*7)でワーカーが感じている不満には「テレワークでできる仕事でも出社を要求される」ことも上位にあげられていることから、通勤時間の長短にかかわらず等しくテレワークができる環境の整備が望ましいだろう。具体的には、テレワークできる人とできない人の不平等感の解消や、「周りの雰囲気や上司の意向でテレワークしづらい」にならないような企業文化の醸成も重要だと考えられる。

    • 働く時間や場所の選択肢を増やすだけではなく、ワーカーが自律的に働く場を選べる裁量を与えることで、満足度やワーク・エンゲイジメントの向上が期待できることもザイマックス総研の研究(*8)で明らかになっており、それらの選択肢を有効活用できるよう促進・支援する施策も必要になるであろう。

    • オフィスそのもののアップデートも重要である。無理やり通勤、出社させるのではなく、ワーカーが自発的に出社したくなるようなオフィスづくり、価値の提供を意識していくべきだろう。

  • 新型コロナがなければ「1590万人」生きていた、平均寿命が30年ぶりに短く 2024.03.17 Forbes JAPAN

    • The Lancetに掲載された研究は、Global Burden of Diseaseによる研究の最新報告であり、2019年から2021年の間に世界の平均寿命が1.6年縮小したことを示している。同研究が1990年代に開始されて以来、安定して伸びてきた平均寿命が今回初めて縮小した。

      • 「84%の国と地域でパンデミック期間中に寿命が短くなっており、新型コロナウイルスの破壊的な影響力を示している」とシューマッハー博士はいう。

    • 小児の死亡率はパンデミック期間中も減少を続け、2021年の5歳未満児の死亡数は、2019年と比べて50万人少なかった。

 

  • 〜デジタル×地域医療の進むべき道〜「ポストコロナを見据えたヘルスシステム・イノベーションに関する研究」提言 March 11, 2024 東京財団政策研究所

    • (1)「地域」という境界を超えたヘルスシステムの構築
      「地域」という境界内でのフリーアクセスのために、デジタル技術や遠隔医療が制限されるのではなく、どこに居住していても公平に医療へアクセスできる社会を構築する必要があり、それには「地域」を超えたヘルスシステムの構築が必要である。

    • (2)「医療」という領域を超えたヘルスシステムの構築
      いま求められている医療とは、医療機関が提供する医療サービスだけでなく、日々の健康や介護を含めた日常生活や生命を守る社会システムである。

    • (3)「公衆衛生」を変革させる理念・哲学に基づいたヘルスシステムの構築
      デジタル基盤の社会実装には、技術的な実装のみならず、法的・社会的・倫理的実装が重要である。理念哲学なき、パッチワーク的なシステムの継ぎ足しは、持続可能性の観点からも避けるべきだ。

    • (4)「分散型データ管理」と「同意依存からの脱却」の重要性
      本人の権利保護を主に担保するのは同意ではなく、データ活用の設計であるべきである。公益性を重視しつつ、個人のメリットにも繋がるような、出口規制、データ活用時のリスクをコントロールする仕組みを作るべきである。

    • (5) 我が国主導で「信頼のおける自律・分散型のデータガバナンス」「国際標準」の確立
      ヘルスケアデータの利活用に舵を切り、日本発の国際的データ流通コンセプトであるDFFT(Data Free Flow with Trust:信頼性のある自由なデータ流通)に基づき「信頼のおける自律・分散型のデータガバナンス」「国際標準」の確立を我が国が主導すべきである。個別の同意がなくともデータ活用が可能な仕組みは国際的に実装されつつある。

    • (6)「医療のデジタル化」を超えたヘルスケアの価値変革
      ヘルスケアDXの本質は、医療のデジタル化ではなく、デジタルを使ってヘルスケアにおける価値実現を行うことである。

 

  • 新型コロナ影響による「特例貸付」46%が返済開始できず 2024年3月9日 10時34分 NHK 

    • 厚生労働省は新型コロナの影響で失業したり収入が減ったりした世帯に対して、生活費として4年前からおととしまで無利子で最大200万円を貸し付け、その規模は全体でおよそ382万件、総額1兆4431億円にのぼっています。

    • この「特例貸付」は最も早い世帯で去年1月から返済が始まりましたが、その対象となったおよそ144万件のうち66万件、率にして46%が去年12月末までに返済を始められていないことが社会福祉協議会のまとめでわかりました。

    • 一方で貸し付け全体の29%にあたるおよそ111万件が住民税の非課税世帯などで返済が免除されたほか、3%にあたるおよそ11万件が病気や失業などを理由に返済を猶予されています。

[2月]

 

  • コロナ禍以前の生活に戻せない日本人 ~戻らない日本人の余暇消費と新需要開拓の必要性~ 2024年2月 野村総合研究所

    • 野村総合研究所(NRI)では、消費者の価値観・行動変化を定期的に捕捉するため、毎年12月に日本人約3,000人を対象にしたインターネット調査「生活者年末ネット調査」を実施している。

    • 「コロナ禍以前の生活状態に戻った」と考える人は34%で、2022年12月調査よりは増えているものの、依然として3分の2程度の人はコロナ禍以前には戻っていないと考えている。支出においては国内旅行や海外旅行について、コロナ禍の制限時より支出を増やした割合が2022年12月調査時の想定よりも低く、コロナ禍中の期待より、実態としては消費が戻っていないことが伺える。

    • コロナ禍前の生活や消費に戻っていない理由として、コロナ禍の生活様式に慣れてしまったことが挙げられる。また「収束してもマスクや感染予防は欠かせないから」が理由として2022年12月調査時より大きく上がっており、インフルエンザ等の感染症流行が人々の予防意識の高まりに影響していると想定される。

    • コロナ禍前の生活に戻っていない人は「趣味・レクリエーション関連」「旅行費用」「人とのつきあい・交際費」等の支出意向が低く、過ごしたい生活時間として「1人で過ごす時間」「リラックスする時間」の割合が大きいことから、消費や生活においてアクティブではなく、様子見傾向が強い。また、属性として女性40代以上が多いことから、すぐにアクティブな生活に戻るとは考えにくく、海外旅行等のアクティブな消費への回復にはつながりにくいと想定される。

 

 

 

 

  • 人はなぜワクチン反対派になるのか  ―コロナ禍におけるワクチンツイートの分析― 2024.02.05 東京大学工学部プレスリリース

    • 東京大学大学院工学系研究科の鳥海不二夫教授と、同大学未来ビジョン研究センターの榊剛史客員研究員、早稲田大学小林哲郎教授、筑波大学吉田光男准教授らによる研究グループは、コロナ禍におけるワクチンに関する大量のツイートを機械学習を用いて分析し、新たにワクチン反対派になる人の特徴を明らかにした。

    • コロナ禍以前からワクチン反対派であった人々は政治への関心が高くリベラル政党とのつながりが強いのに対して、コロナ禍で初めてワクチン反対派になった人々は政治への関心は薄い一方で、陰謀論やスピリチュアリティ、自然派食品や代替医療への関心が強く、これらのトピックへの関心がワクチン反対派になるきっかけとなっていることを示した。

    • さらに、新規にワクチン反対派になった人々は既存政党との結びつきが弱い一方、反ワクチンを掲げた参政党との結びつきを急速に強め、このことが2022年参院選における参政党の議席獲得につながった可能性についても明らかにした。

    • 既存研究はワクチン反対派の特徴を記述する研究が主流であったが、本研究はワクチン反対派になるきっかけを明らかにした点に新規性がある。

    • さらに、将来のパンデミック再来に備えて、陰謀論やスピリチュアリティに対して警戒をすることが反ワクチン的態度の拡散防止に有効であるという示唆を得た点で大きな社会的意義がある。

 

  • 1月の新型コロナ破たん 初めて前年同月を下回る これまでの累計は8,659件 2024/02/01 東京商工リサーチ

    • 1月は「新型コロナ」関連の経営破たん(負債1,000万円以上)が209件判明した。前年同月(245件)から14.6%減少(36件減)し、前年同月を下回った。これまでの累計は8,253件(倒産8,037件、弁護士一任・準備中216件)となった。

    • 倒産集計の対象外となる負債1,000万円未満の小規模倒産は累計406件判明した。この結果、負債1,000万円未満を含めた新型コロナウイルス関連破たんは累計で8,659件に達した。

    • 国内の企業数(358万9,333社、2016年総務省「経済センサス」)を基にした比率では、コロナ破たん率は0.241%で500社に1社が破たんした計算となる。都道府県別で最も比率が高いのは東京都の0.425%、次いで福岡県の0.352%、宮城県の0.336%、大阪府の0.301%、群馬県の0.292%。一方、最低は高知県の0.103%で、地域によってばらつきもある。

    • コロナ関連破たんは依然として月間200件超えの高水準が続くが、月次件数では2020年2月の第1号発生以来、初めて前年同月を下回り、増減数でみるとピークアウトの気配もうかがえる。

    • ただ、業績回復が見出せずにコロナの後遺症に苦しむ企業は多い。また、コロナ関連融資の返済や、猶予措置を受けていた公租公課の支払いが再開し、資金繰りを維持できないケースも頻発している。このため、コロナ関連破たんは当面、一進一退が続くとみられる。

 

​[1月]
  • 「ゾンビ企業」の現状分析(2023 年 11 ⽉末時点の最新動向) ゾンビ企業 25 万 1000 社に急増、2011 年度に次ぐ 2 番目の多さ 2024/1/19 帝国データバンク

    • コロナ禍以降、ゾンビ企業が増加している。企業倒産(2023 年=8497 件)の約 30 倍まで膨れ上がった企業の“ゾンビ化”が進んだ要因のひとつに、実質無利子・無担保のゼロゼロ融資が挙げられる。2022 年 9 月末時点で約 245 万件、実行額約 43 兆円にのぼる資金がコロナ禍で中小企業の資金繰りを支えた半面、足元ではコロナ支援策の反動が顕在化しつつある。なかには、業績改善できないまま事業継続を断念する企業も目立つ。 

      • 国際決済銀行(BIS)が定める「ゾンビ企業」の基準:「3 年連続でインタレスト・カバレッジ・レシオ(ICR)が 1 未満、かつ設立 10 年以上」

    • 1. ゾンビ企業率 17.1%に急上昇、過去最⼤の上昇率
      2. 業種別では「⼩売」、地域別では「東北」がゾンビ企業率トップ
      3. 収益⼒、借り⼊れ負担は依然厳しく、⾃⼰資本⽐率がさらに悪化
      4. ゾンビ企業数は 25 万 1000 社、2011 年度(27 万 4000 社)に次ぐ 2 番目の社数
      5. 「経常⾚字」かつ「過剰債務」かつ「債務超過」企業、4 万 1000 社
       

  • 日本のコロナ「専門家」はなぜ表舞台から消されたのか…有事での「専門家」と「政治家」の駆け引きから見えた日本の政治システムの限界 2024.01.18 集英社オンライン

    • 少しでもリスクがあれば語らない、判断しない政治家 ―それは、なぜでしょうか。
      ひとつには、未知のウイルスのリスクがあまりに不透明で、下手をすると政治家は批判を受け、支持率下落に直結することを恐れていたこと。もうひとつは、首相のリーダーシップを履き違えていたことです。

    • 誰かに代わってもらうことはできない役目なのに、3人の首相はそれぞれ大事なところで、平時と同じように、失言リスクがあれば語らない、判断しないという行動パターンをとりました。

    • 専門家コミュニティーのまとめ役の尾身氏は、会見すれば2時間に及ぶこともしばしば、記者たちからも「もっと端的に」と言われたり、ウイルス学の専門家から「ちょっと理解が違う」と言われて言い直したりなど、大丈夫かなと思わせるところもあるんですよね。ただ、雄弁ではなくとも、対策を決める前後で、必ず説明者として登壇しました。批判から逃げず立っている人がいる、ということが大事だったと思うんです。

    • それだけでなく、公的な会議の合間に専門家同士が率直に意見をぶつけあう場では、何度も議論を蒸し返して「この表現は?」「こう変えたらどうか」と修正や修文を重ね、対立した人と人の間で合意できるポイントを探り続けた。前出の提言ペーパーはじつに80回もの改稿を重ねたそうです。少数意見との違いを埋めるためにあそこまでエネルギーを注ぐ姿に、私は生き方を学んだ」と述懐する専門家もいたほどです。政治が後衛に退く中でも専門家組織が中心を失わず、空中分解しなかったのは、そうした尾身氏の個性が果たした役割が大きい。

    • 厚労省の首脳部の一部に信じがたい保身の行動を取る者がいたのは事実です。

    • 現状の分析をしたり、プランを立てるのが官僚で、プランを決定する責任を持つのがその省庁のトップである大臣や、大臣を任命する首相。つまり政治家です。

    • 官僚の本分は、政治家に「実現可能な複数の選択肢」を示すこと。今回は専門家がかなり積極的な触媒の役割を果たすことでやり遂げましたが、政治家が官僚の創造力を引き出すような新しい政と官のダイナミズムを作り出さなければ、5年後、10年後の危機にすばやく対応することは難しいでしょう。

 

  • 【独自】政権に切り捨てられた「コロナ専門家」たちの悲惨な末路…なぜ尾身も西浦も感謝されなかったのか《コロナ専門家はなぜ消されたのか》 広野 真嗣ノンフィクション作家 2024.01.16 現代ビジネス

    • 22年2月に世界に先駆けてコロナの規制を全廃した英国は「その後」が優れていたという。「緩和の後、英国は1年以上にわたってオックスフォード大学やケンブリッジ大学が国家統計局に協力をして、何万人という登録ボランティアに4週間に1度、PCR検査を実施しています。〈現時点で人口のどれだけが感染しているか〉〈新たな変異株がどれだけ感染させやすいか〉といったリスク評価をモニタリングするんです。何十億というお金が必要ですが、データ分析を通じリスクを直視しつづける、という姿勢を国として見事に継続しています。日本では僕も調査研究プロジェクトの申請を出しましたが、数億の助成も獲得できません」

    • 「英国は研究人材の層が分厚くあって、国がそれをバックアップしているのです」「SPI‒MOには6十人の助教クラスが入っていますが、助教といってもそれぞれが自分の研究チームを持っている実力者で、野球に例えればメジャーリーグの1軍に登録されるような人たちです。彼らの危機時の分担が決まっていて、流行がくれば普段の手を止めて分担できていて実に優れたレベルの分析を出してくる。それに対して日本は僕の教室1つだけ。必死に研究していますけど、追いつけないですね。恥ずかしいかぎりです」

    • 国のために無私の精神であたった者がまっとうに褒章されず、キックアウトされる。「セキュリティというものを他者に任せていて、依存していれば大丈夫と考えてしまうような、自主性が欠けているような国民性がありはしないか」
      危機の局面では短期的な内閣支持率に汲々とするばかりに専門家をリスクや痛みを語る前面に押し立て、その一方、政治家が前面に復帰するフェーズになれば、官邸肝いりの検証報告書に専門家の問題だけを書き、政治家自らの検証には頬被りする。これが日本の政治であった。

 

  • 「ゼロゼロ融資」利用後の倒産 2023年は631件で前年の約1.4倍 2020年7月からの累計は1,216件 2024/01/15 東京商工リサーチ

    • 2023年の「ゼロゼロ融資(実質無利子・無担保融資)」利用後の倒産は631件(前年比39.2%増)で、前年の約1.4倍に増加した。2023年は毎月40件超のペースで推移し、3月には集計を開始以来、最多の63件発生した。返済開始を迎え、借換支援も打ち出されたが、業種の幅を広げながら増勢を持続している。

    • 初めて倒産が発生した2020年7月から3年半の累計は1,216件に達した。

    • 足元ではコスト上昇で採算が悪化し、過剰債務から脱することが出来ない企業も少なくない。こうした企業は追加の資金調達が難しく、返済猶予(リスケ)を繰り返し資金繰りを維持しているのが実状だ。

    • 2024年4月には民間金融機関で扱ったゼロゼロ融資の返済が再びピークを迎える。元本返済と利払いで資金繰りが一段と厳しくなる企業の増加が懸念されている。同時に、コストアップへの打開策が見つからないなか、業績回復が進まず賃上げ余力の乏しい中小・零細企業に実効性ある支援が重要になっている。

 

  • 地域保健法から30年で考える保健所の役割-新型コロナ対応を踏まえ、関係機関との連携などが必要に 2024年01月09日 ニッセイ基礎研究所

    • 今年は保健所の根拠となっている地域保健法が制定されて30年になります(その以前の法律は保健所法)。

    • 保健所業務の在り方を定めた「地域保健対策の推進に関する基本的な指針」が2023年3月に改正されました。ここでも、平時から危機に備えた準備を計画的に進めたり、予防計画の実行性を担保したりする必要性が強調されており、それぞれの保健所が「健康危機対処計画」を策定することが盛り込まれました。

    • 今後の方向性
      1|関係機関との連携強化
      第1に、有事と平時の両立に向けて、関係機関との連携を強化する方向性です。今後の高齢化の進展など踏まえると、地域保健法制定時の役割分担は間違っていないと思いますが、新興感染症のリスクを踏まえると、「喉元過ぎれば熱さを忘れる」という状況は避ける必要があります。
      2|DX化など業務の見直し、人材育成
      次に、DX(デジタルトランスフォーメーション)の推進を含めた業務の見直しや人材育成の必要性です。

    • 関係機関との連携や人材育成を含め、平時と有事の両立に向けた機能強化がどう取られていくのかが問われます。

 

  • 世帯年収の違いによるコロナ禍の影響とその背景にあるデジタル化の恩恵の濃淡 ~「新型コロナウイルス感染症に関する世論調査(第3回)」の結果から③~ 放送研究と調査 2024年1月号 2024年1月1日 NHK放送文化研究所

    • コロナ禍による生活変化については、いずれの世帯年収層でも『プラス』だったと思う人より『マイナス』だったと思う人が多いが、年収が高いほど『プラス』が多く、その理由で目立つのが「在宅勤務などができるようになったから」だった。実際に年収が高いほどテレワークをしている人が多かった。また、年収が高いほど日常生活の感染対策にもデジタルを活用している人が多く、社会全体のデジタル化の進展についても肯定的に捉えている人が多かった。

    • 一方、年収が低いほどコロナ禍によって収入が『減った』という人が多かった。これは、「販売・サービス業」などの年収が比較的低い職業に携わる人ほどコロナ禍による仕事への影響が大きかったことが要因のひとつだと思われる。さらに、年収が低いほど「気持ちが落ち込む」などといった精神的なダメージが大きかったことも明らかになった。

    • 3年の時系列でみると、年収が高い人ほど生活満足度の増加率が大きく、低年収層との差が年々広がった。これは、高収入層でテレワークが広がったことや、コロナ禍初期に減少した収入の回復が、ほかの層に比べて早かったことなどが影響していると推察される。

    • これらのデータは、新たなパンデミックの際に、低収入層への初期の段階での迅速な経済的支援などが必要なことを示すものといえよう。

 

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