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影響分析・提言等 [2022年1月~6月末

 

  • 各国の債務はコロナ禍でどう変化したか 国際比較の視点から見えてくるもの 翁百合 日本総合研究所 理事長/NIRA 総合研究開発機構理事NIRAオピニオン No.63 2022.06.28

    • ファクトファインディングを改めて整理すれば以下のとおりである。

      • ① コロナ禍によって、世界各国で非金融部門の債務残高の対 GDP 比率が大きく上昇している。政府部門、企業部門とも比率は上昇しているが、債務が大きく上昇した国では政府部門の債務拡大が過半を占めている。
        ② 日本の非金融部門の債務残高の対 GDP 比率は世界で最も高い水準にある。その内訳をみると、政府部門の債務残高がここ 10 年で一貫して伸び、コロナ禍でさらに債務が上乗せされたのが原因である。
        ③ 国際的にみて、過去 20 年間で非金融部門の対 GDP 比率の伸びが目立つのは、中国である。特に直近 10 年の民間企業と家計の伸びが著しいが、ここ 1~2 年はデレバレッジ政策の効果もあり、伸び率は鈍化している。
        ④ 日本の企業債務の対 GDP 比率は、世界の中で高いわけではないが、2018 年頃を起点としてコロナ禍にかけてデットサービスレシオが上昇に転じている。
        ⑤ 日本企業の債務残高の業種別・規模別内訳をみると、非製造業および中小企業での増加が目立つ。また、飲食観光関係のキャッシュフローが低下しており、返済負担の増大が懸念される。資金繰りのための借入が多いことから、特に非製造業・中小企業では現金・預金などの金融資産がさらに積み上がっている。

    • 以上のファクトファインディングから政策的に示唆されることは、次のとおりである。

      • ①~⑤ (海外国に関する記述略)

      • ⑥日本の政府部門の債務残高対 GDP 比率は世界の中でも突出している。こうした事態を放置すれば、金利上昇により将来の財政支出の余力を低下させる。一方で、成長のための投資も必要であるため、一層の成長に資する歳出の在り方を追求することが重要だ。
        ⑦ 日本の企業部門は現金・預金の残高が高いが、債務残高が非製造業で高いことに留意する必要がある。今後の過剰債務問題の顕在化が懸念される企業に対しては、早期事業再生に向けた環境整備(私的整理を容易にし、経営者保証がネックにならないようにする、
        労働市場における積極的労働政策等)を急ぐことが望まれる。一方、中期的にはいずれの規模の企業も、無形固定資産の投資を行う必要性が示唆される。
        ⑧ 日本の地方銀行や協同組織金融機関等が保有する外国債券等の評価損の拡大が金融機関経営に与える影響も、今後注視していく必要がある。 

 

 

  • アフターコロナ時代に向けたシニア世代の意識・行動と今後の就労拡大に向けた提言
    知的資産創造 2022年6月号 野村総合研究所

    • 2020年、新型コロナウイルス感染拡大防止を目的に、大企業を中心に多くの企業で在宅勤務が導入されるなど、世代を問わず働き方が大きく変わった。そして21年4月には高年齢者雇用安定法(高齢法)の改正により、企業に対する「70歳までの就業機会確保」の努力義務化が適用された。このため60歳代後半の働き方は、今後、大きく変わることが予想される。

    • NRI社会情報システムでは、毎年シニア世代(50〜79歳の男女個人)を対象に、就業意識・行動に関する調査を実施している。2021年はコロナ禍がもたらした影響を把握するとともに、「70歳までの就業機会確保」についての認知度や賛否、さらに兼業・副業への関心や夫婦間における配偶者の就労への意識などの調査を行った。

    • シニア世代でテレワーク・在宅勤務が増加した人の半数以上が「足腰が弱くなった」「体力が低下した」と回答するなど、テレワーク実施による健康への影響を強く感じていることが分かった。

    • 70歳雇用延長制度への賛否については、シニア世代の6割強がプラスの評価をしており、兼業など多様な働き方を組み合わせることで、70歳を超えても活躍の場を求めるシニア世代が増えていることも明らかになってきている。

 

  • コロナ禍で懸念される少子化の加速わたしの構想 No.60 2022.06.10 NIRA 

    • コロナ禍で懸念される少子化の加速若者を重視する政策へのコミットメントを 翁百合 NIRA総合研究開発機構理事/日本総合研究所理事長

      • 社会学の視点から白波瀬佐和子氏(東京大学教授)は、少子化対策に決め手はなく、出生数という即時的な回答を求めるというよりは、数としては減少している若者への投資を行っていくことが最優先政策とする。失業や雇用不安におびえる若者や女性のために投資して彼らが自らの力を発揮できる環境を整え、効率的で新しい人材活用のモデルを作るとともに、子育てと両立できるよう男女ともに制度として支援する必要性を説く。少子化対策のみを目標にするのではなく、潜在的な能力を発揮できなかった若者や女性が活躍できる社会に変革されて初めて、結果として出生数の持続的な回復につながることを示唆している。

    • コロナ禍による産み控えは、少子化の加速につながるのでは 津谷典子 慶應義塾大学教授/同大学グローバルリサーチインスティテュート上席研究員

      • たとえコロナ禍がなかったとしても、出生数の減少が続くことはほぼ確実であるが、コロナ禍による出生率のさらなる落ち込みを防ぐためにも、今後の生活への不安感を軽減するようなサポートが急務である。晩産化が進む中で、不妊治療が保険適用されたことは評価されるが、子どもを持ちたい女性やカップルの仕事と家庭の両立を助ける包括的政策支援や、子どもを持つ労働者に対する職場や市場の配慮の重要性が高まっている。

    • 今こそ、若者重視のメッセージを打ち出せ 大竹文雄 大阪大学感染症総合教育研究拠点特任教授

      • コロナ禍の2年間で、結婚件数は過去の傾向を踏まえた想定件数から約1割減少した。「結婚の先延ばし」と捉えることもできるが、出産可能年齢には上限があり、結婚の「遅れ」は出生数の減少につながりかねない。今回のコロナ禍では「高齢者偏重」の社会であることが露呈した。行動制限は年齢にかかわらず一律に強化された。日本は高齢者の健康を守るために、子どもや働く人の行動制限を軽々に強制したことになる。日本政府は「社会にとって子どもや若者が大事である」とメッセージを打ち出し、あらゆる政策をその方針の下で考え直していくことに強くコミットメントすべきだ。こうした政府の政策展開、そしてメッセージで若者に働きかけることで、若者が「安心して子どもを産んで、子育てができる」と認識する社会につながる。

    • 働き方改革で、ジェンダーギャップの解消を 山口慎太郎 東京大学大学院経済学研究科教授
      今後も経済的な不確実性が増せば、結婚件数が伸び悩み、長期的に出生率に負の影響を与えるかもしれない。コロナ禍が与える長期的な影響は、まだ見極めが難しい。
      私のチームが行った研究では、在宅勤務が週1日増えると、男性の家事・育児にかける時間が6.2%増加し、また、家族と過ごす時間が5.6%増加することが分かった。コロナ禍を機に、今後、社会全体で働き方を変化させていけば、長期的には出生率にも良い影響が出るだろう。
      現在は、子どもを育てる費用の負担が大きく、ベネフィットとのバランスが取れていない。少子化対策は必須だ。待機児童など、子どもを産んですぐに直面する問題からまず解消すべきだ。日本の子ども・子育て支援に対する財政支出の規模はOECD平均の3分の2、ヨーロッパのトップクラスの国と比べれば半分に過ぎない。まだまだ政策で改善できる余地がある。

    • 育児支援は雇用政策だけでなく、子ども・家族政策として社会全体で担うべき 山崎史郎 内閣官房参与兼内閣官房全世代型社会保障構築本部事務局総括事務局長

      • せめて急激な減少を緩和させねばならない。鍵になるのが、スウェーデンの経済学者のミュルダール(注)が言う「予防的社会政策」、すなわち、人口減少による困難な事態が社会に顕在化する前に、予防のための政策を講じる考え方である。
        多くの若年者が支援策からこぼれ落ちている。例えば、非正規雇用者に対する育児支援である。育児休業給付は、非正規がそれほど多くなかった1995年に雇用保険を財源として始まった。その後、労働環境は大きく変わり、今は女性の半数以上が非正規として働いているため、雇用保険制度による育休給付を利用できていないケースが多い。雇用政策だけで対応することに限界がきている。コロナ禍でも、経済的リスクは、非正規の若者・子育て世代に如実に表れた。
        親がどのような就業状況であろうが、子どもの育つ環境に差があってはならない。社会全体を安定させるためだから、負担は全世代が担うことが望ましい。

    • 出生数だけを見るのではなく、包括的な人への投資を 白波瀬佐和子 東京大学大学院人文社会系研究科教授

      • 今の日本に問われているのは、「出生数の増加」を即時的な結果として求めるのではなく、いかに人に投資していけるかだと思う。さまざまな若い人たちの芽を摘まず、むしろ、彼らがリスクを取れるようにする。小さな芽が大きな木になるように育てる社会、数としては減少している若い人たちのそれぞれの強みやアイデアを生かせる社会にすることが大切だ。仕事と家庭の両立は、たまたま上司に恵まれるという「運」ではなく、制度として支えていくべきだ。子育ては、産む性の女性だけでなく、共に育てる性として男性も制度に組み込むことが望ましい。      即時的な利益を求めずに投資することが肝要だ。中長期的にリスクを捉えることが、結果として効率的でかつ潜在的可能性を多く秘める人材育成モデル構築の是非を決める。日本の未来をも左右する最大のテーマである。

 

 

  • COVID-19 からの教訓を生かす より健康で、より安全で、より公平な世界を実現するために 2022 年 5 月 国際製薬団体連合会(IFPMA)

    • COVID-19 に対する世界の対応が始まって以来、私たちは皆、これまでのところ私たちのスピードより速いことが証明されているウイルスを追い越すために努力してきた。 産業界、政府、病院、医療提供者、供給者、研究者、そして国全体が、2020 年の大半は踵を返した状態であることがわかった。医療システムが日々新たな課題に対応するために即興で動く中、包括的でエンドツーエンドの、ラボからラストマイルまでの戦略が必要であることは明らかであった。これこそが、現在のパンデミックから回復する唯一の方法であり、新しいグローバルな健康安全保障体制が次のパンデミックに効
      果的に備える唯一の方法なのである。

    • “次のパンデミックを 100 日以内に阻止することは、一国や一組織が単独でできることではない。成功するには、グローバルな準備システムの組織、ガバナンス、資金調達の進歩と、相互に関連し科学的に導かれた複数の集合的な努力を展開することが必要である。”

    • COVID-19 のパンデミックで学んだ10 の教訓 ラボからラストマイルまで
      1.健康安全保障は病原体のサーベイランスと共有から始まる
      2.研究開発と製造を加速するパートナーシップ
      3.世界的なパンデミック対策に向けた製造のスケールアップを支援する事前買取制度
      4.パンデミックへの備えと対応に不可欠なイノベーション
      5. 世界の上流サプライチェーンの混乱により、生産と流通がリスクにさらされる
      6. 低所得国向けの確立された調達メカニズムが重要である
      7.規制の敏捷性と収束による安全性の保護とアクセスの速さ
      8. ワクチン・ナショナリズムは世界を危険にさらす
      9.デリバリー・インフラの強化
      10.ワクチンへの信頼が成功に不可欠

 

  • コロナ禍でどんな人が孤独・孤立を感じているのか~「第8回 新型コロナによる暮らしの変化に関する調査」より 2022年05月31日 ニッセイ基礎研究所

    • 新型コロナウイルスの感染拡大以降、人々が対面でコミュニケーションする機会が減り、人間関係への不安や、孤独・孤立への不安が若い人を中心に広がっていることを、前回の基礎研レポートで報告した。

    • 本稿では、ニッセイ基礎研究所の最新のコロナ調査結果を用いて、どんな人が孤独・孤立を感じているのかを詳しく分析した。

    • その結果、コロナ禍の行動変化の影響では、対面コミュニケーションや移動時間、運動時間、仕事時間、睡眠時間が減った人などが、孤独・孤立を感じている割合が大きかった。

    • また、非対面コミュニケーションやSNS、自宅での飲酒量が増えた人も、孤独・孤立を感じている割合が大きかった。

    • 暮らしや社会の変化に対しては、人間関係不安、健康不安、経済不安を抱えている人が、孤独や孤立も感じている割合が大きかった。そのうち人間関係については、単なる希薄化ということだけではなく、自粛生活の延長上に生じる他人に対する監視や非寛容、偏見・中傷といった、眼に見えないネガティブな風潮への不安が、関係していることが分かった。こういった風潮に対する漠然とした緊張感や圧迫感、委縮が、孤独・孤立感につながっているのではないだろうか。

  • 資料1-1 経済社会の変化、デジタル化による働き方の変化、コロナ禍等における労働者の意識変化等について これからの労働時間制度に関する検討会 第14回資料 令和4年5月31日 厚生労働省

    • テレワークの実施率の推移をみると、2020年2月の5.1%から5月には55.9%にまで上昇した後、最初の緊急事態宣言の解除とともに低下傾向にあったが、2度目の緊急事態宣言が発出された2021年1月には再び42.0%まで上昇した。その後、3度目の緊急事態宣言が発出されたが40%台で推移している。

    • 多くの職種で大きく上昇した一方で、職種によってテレワークの実施状況の増加幅は大きく異なり、「生産現場職」「運輸・保安職」の増加幅は限定的。

    • 「コロナ禍収束後、変化は起こり得るか」という質問に対し、「起こり得る」「どちらかと言えば起こり得る」とした回答の合計は、「時間管理の柔軟化」については51.3%であり、「テレワークの普及」については42.5%である。

    • 新型コロナウイルス感染症の影響等によりテレワークを実施した者の大半が継続してテレワークを実施することを希望。また、テレワークを実施していない者の中にも、テレワークをしてみたいと思っている者が存在。

    • 副業を希望する雇用者は、増加傾向。本業も副業も雇用者である者は、増加傾向。

 

  • コロナ後、大手企業の若手社員が大量に辞職する 入山章栄教授が語る「企業変革はなぜ必要か」 2022.5.23 日経ビジネス

    • コロナ禍後、大手企業で若手社員が大量に辞職する。自動翻訳の普及で日本のサービス業は海外からの激しい競争にさらされる。日本は東南アジアに抜かれる――。

    • 何よりコロナ禍で大きく変わったのは、オンラインのコミュニケーションでしょう。「Zoom(ズーム)」や米マイクロソフトの「Teams(チームズ)」などのツールは、新型コロナの影響で、予定より10年早く入ってきました。

    • 数年以内に、間違いなくここに自動翻訳が入ります。もうその技術はありますからね。自動翻訳が入るとどうなるか。
      日本のサービス業が崩壊するのではないでしょうか。サービス業は人が付随しているため、言語に囲まれています。自動翻訳が入ると、サービス産業も国際競争にさらされるようになります。最初に大きな影響を受ける業界は、大学だと思っています。

    • 日本は新興国に抜かれるくらいに思ってください。特に今、勢いを増しているのが東南アジアです。あとはインドですね。日本より、新興国の方でイノベーションが起きるようになってきているんです。スタートアップ企業がどんどん出てきていて、グローバル化が進んでいます。ユニコーン企業(企業価値10億ドル以上の未上場企業)の数は、インドネシアは少なくとも6~7社はあるはずです。

    • 人生100年時代なので、大学を卒業した20代前半の人が働き続ける年数は、約60年です。それに対して、会社の平均寿命は20年程度といわれています。競争が激化するから、これはもっともっと短くなっていきます。ということは、最低でも、人生で2回は転職しなければなりません。

    • 他方でリスクを取らず、1カ所で働き続けたいと思っている人もいます。そういう人たちはみんな地方公務員を目指します。だから今地方公務員は人気です。二極化しています。

    • 若手が辞めてどこに行くかというと、ベンチャー企業です。2022年はエポックメイキングな年になるでしょう。大手企業の30代の平均給与と、ベンチャー企業に勤める30代の平均給与が逆転する可能性が高いからです。今、ベンチャー企業の資金調達額が上がっており、21年は過去最高でした。

    • 今年からは夢があって、お金もあるんですよ。であれば、夢がない大企業にいるよりはベンチャー企業に行きますよね。
      コロナ禍が収まったら、日本は大転職時代になるのではないか、と私は考えています。

    • 全体感を持って経営をすることです。一番重要で、日本の人材に一番足りていないと思っているのは、意思決定力です。最後は腹をくくって決めなければならない。そして、決めたらやり抜く。意思決定して遂行する能力が必要です。これができる人材が今の大手・中堅企業には極めて少ない。

  • “専門家と政府の関係などに課題” コロナ対策検証有識者会議 2022年5月20日 18時02分 “専門家と政府の関係などに課題” コロナ対策検証有識者会議 2022年5月20日 18時02分

    • 課題の1つとして政府と専門家の関係を挙げ、▽分科会など専門家の助言組織から合わせて68本の提言を示したのに対して、政府からは政策に取り入れるか否かや、その理由、実行状況の説明が十分ではなく、対策が意思決定される過程がわかりにくかったほか、▽政府に助言を行う際に必要な調査や研究を支援する仕組みがぜい弱で、専門家に過度な負担がかかったなどとしています。

    • 2009年に拡大した当時の新型インフルエンザの教訓を受けて出された検査体制の強化や医療提供体制の検討を求める提言が実行されず、検査については▽当初、急速に増強できず、限られた体制の中で効率的に行う必要があったほか▽検査の目的や活用の方針について議論が行われず、体制の大きな戦略が定まらなかったと指摘しています。

    • 医療について、
      ▽世界一の超高齢社会に最適化するよう、介護や生活支援に力点を置いてきたため、パンデミックに対応する体制が十分構築されてこなかったことや
      ▽病床当たりの医師や看護師の数が少なく短期間に急増する重症患者に対応しにくいこと、
      ▽コロナ診療に対応する医療機関が限られ、一部の医療機関に過度な負担が生じていたこと、
      ▽コロナ以外の救急の患者の搬送が困難になるケースが増加したことなどを課題としています。
      今後求められる方向性も示し「パンデミックなどの大型のリスクに対応できる科学的助言システムを構築すべきだ」としたうえで、▼国や自治体が持つデータを専門家と迅速に共有できるシステムや▼高度な調査研究の支援ができる事務局機能の強化などが求められるとしています。

    • また、検査や医療体制については▼パンデミックに備え、検査の体制を強化し維持することや▼感染拡大が予想される時に一定の医療機関が専用の病院に転換できるようにすること、それに一般の医療機関が診療に加わる体制の強化などといった課題の解決が必要だとしています。

    • さらに、緊急時の市民とのコミュニケーションは政府の役割だとして、▼専門家を活用したコミュニケーションの体制を強化することや▼対策の実行状況をわかりやすくモニターできる仕組みが不可欠だと指摘しました。

  • ヘルスケア業界ミニブック -コロナ禍で加速する医療分野の変革- 2022年5月20日 日本政策投資銀行

    • 第1章の「医療政策の動向」では、主要な医療政策の全体像や政策決定の流れを整理するとともに、各政策の足元の動向を確認しました。

    • 続く第2章の「医療現場のデジタル化」では、我が国の医療関連のデジタル化に関する政策動向や医療現場へのデジタル導入状況を取り上げるとともに、米国の政策や民間動向も整理しています。また、医療機関等の地域連携促進を担うデジタル化に関しては、ヒアリングを通じて得られた課題解決の糸口について見解をまとめました。

    • 第3章の「ペプチド・核酸医薬品」では、グローバルに開発競争が加速している中分子医薬品について、その特徴と現状について整理しております。

 

 

 

  • 「緊急事態宣言は必要なかった」ウイルス学者が語る日本に最適な感染症対策ができなかった本当の理由 「欧米でやっていること以外はダメだ」日本よりも欧米のデータを重視する病 2022/05/14 13:00 PRESIDENT Online

    • 政府や自治体はなぜ、全員一律の強い自粛要請を繰り返したのか。ウイルス学者の宮沢孝幸さんは「日本は、欧米の対策をそのまま取り入れようとしました。背景にあるのは欧米追従主義です」という――。

    • 今回のウイルスの感染状況を見ていますと、感染しやすい場所で感染し、感染しにくい場所ではあまり感染しないことがわかってきました。感染する行為で感染しますが、感染する行為をしなければ、ほとんど感染は起こっていません。
      平均すれば、一般生活をしている人は、実効再生産数は、1以下だったのだと思います。緊急事態宣言によって、全員一律の強い自粛要請を行なう必要はなかったのです。

    • 感染症モデルによる「人と人の接触機会」の削減は、数字に基づく計算であって、ウイルス学を無視したものでした。「人と人の接触機会」を減らすことは、あらゆる手を尽くした後の最後の最後の手段です。

    • 感染率はイギリスの26分の1、死亡率はイギリスの131分の1でしたが、イギリスと同じような対策をとろうとしました。イギリスの場合は、ロックダウンをしなければ感染者数は急激に下がらなかったのですが、イギリスでロックダウンをして下がってきたくらいの自然減(自然に感染が収まる)状態であった日本が、緊急事態宣言を出しました。

  • コロナの社会的後遺症と「誤算」 キャノングローバル戦略研究所 2022.05.09

    • 「事実」をどう解釈するかは、歴史的、文化的、宗教的背景も強く影響を与える。
      コロナ以前においては、インテリジェンスに直接、間接に関わる人々が、研究者、ビジネス、政府関係者など様々な資格で、face-to-faceの幅広い接触を継続的に行うことにより、定点観測と転換期の集中監視が行われ、対応と働き掛けを続けてきた。

    • ところが、コロナ下では、目的が明示されかつ緊急の所用でなければ、相互訪問がしにくくなった時期が続いた。このような状況が、各国の首都に於ける分析・判断能力、また能動的に働きかける能力、オンラインのやり取りだけでは新たに創り出しにくいリーダー間の信頼の醸成を妨げたのではなかろうか?

    • 群盲象を評すというインドの寓話のように、優れた専門家を以てしても一面だけを理解して全体を捉えられないということが起こりうる。

    • 社会全てにおいて、人と人のコミュニケーションの全面的再開をするときである。

  • 「世界最高レベルの国産コロナワクチン、5年以内に」政府の開発司令塔初代トップ 浜口道成・元名古屋大総長に聞く 2022年5月8日 06時00分 東京新聞WEB

    • SCARDA(先進的研究開発戦略センター) 新たな感染症のパンデミックに備え、国産ワクチン開発の司令塔機関として日本医療研究開発機構(AMED)内に国が新設した。科学技術振興では異例の5年で1504億円の予算で、企業や大学の先進的なワクチンの開発に投資する。関連して政府は、世界トップレベル研究拠点づくり、ベンチャー企業支援に約500億円ずつを投じる。

    • 「米国の場合、備えがあった。2003年の重症急性呼吸器症候群(SARS)などの反省から、生物医学先端研究開発局(BARDA)をつくり、新たなパンデミック(世界的大流行)に備えて企業のワクチン開発を大規模に支援してきた。日本はSARSなどの感染が広がらず反省が生まれなかった。1990年代に新3種混合ワクチンで健康被害が起き、最近は子宮頸がんワクチンの問題もあり、ワクチンに対する国民の否定的な感情も非常に強くなった」

    • 「ダメージは深い。ワクチン研究者や技術者がいなくなった。開発に必要な装置も老朽化している。米国は政府が多額の投資で製薬会社を支えたが、日本はそうした支えがなく、製薬会社はワクチンには投資効果がないと判断してきた」
      「第一は次のパンデミックへの備え。今世紀になってSARS、エボラ出血熱などが発生した。今後も10年に1回は起こるだろう。教訓が忘れられ、また大騒ぎとならないように、恒常的な研究体制を作りたい」

    •  「メッセンジャーRNA(mRNA)ワクチンが、今後の主流になるだろう。従来の不活化ワクチンなどは病原体に合わせて一から準備しないといけないが、mRNAワクチンは包み込む油膜など周辺の部品は同じものを使える。新しいパンデミックでも、mRNAだけを書き換えて短期間で新しいワクチンを作れる」

    • 「課題もある。免疫の期間が短く、結構な副反応もある。変異があっても効き、免疫が長く続いて副反応の少ないワクチンを作れないか。やってみないと分からない研究にも資金は出さないといけない。一方で発展途上国でも使いやすい、室温で保存できる安いワクチンも必要だ。mRNA以外の研究にも取り組む」

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  • COVID–19の感染拡大による社会の変化 木下 冨雄 京都大学名誉教授 日本心理学会 機関誌「心理学ワールド」2022年4月号 

    • ​COVID–19は特に珍しい疫病でなく,上述したように同種の疫病はしばしば繰り返されてきた。そしてこのような繰り返し型の疫病のことを医学では「再帰性(recurrent)」の疾病という。ではこの再帰性疾病の背後にはどのようなメカニズムがあるのだろう。この問題を探るために視野を少し広げると,機能的には同型性 (functional equivalent) の現象が,医学以外の学問分野でも見られることに気がつく。

    • 一定の時間を経て英気を養った病原菌は症状として表面にはでないが,内部的には活性が保たれていて,チャンスと見れば再発現することになる。これが再帰性の発病メカニズムなのである。そしてこのメカニズムは病原菌の場合でも噂の場合でも,機能的にはほぼ同型の法則として働いていると考える。

    • 「輪廻(りんね)」という言葉がある。元は仏教用語であるが,これも機能的には再帰性と同型の概念と言えるのではないか。というのは,人間を含めすべての生命体は生と死のサイクルで成り立っているからで,生があるために死をカバーしている一方,死があるから生をカバーしてくれている。言葉を換えると,生だけで死がない世界はすぐに飽和・満杯となり共倒れの道に向かうのを,死があるのでそれを防いでいるからだ。まさに輪廻の世界ではないか。ただ結果としてコロナの終息後,人びとの生活形態にはかなりの変化が生じるのではないか。一言でいえば非対面化したのである。

    • 職場や学校はこれまでの存在意義が薄れて,対面でないとできない込み入った駆け引きや相談ごと,それに場の雰囲気が分からないと判断できないできごとのみを扱う場所に変質するかも知れない。でもそれで,情緒的な側面を多く含む人間関係はうまく回るのだろうか。また組織としての規範やモラールは適切に維持できるのだろうか。驚いたことに,労働組合の運動も最近は次第にリモート化しつつあるという報告がある(労働政策研究・研修機構,2022)。

    • コロナは伝染力が強く危険な病気ではあるが,死亡率はそれほど高くないという意味では,人類に決定的な打撃を与え,世界を滅亡に導くというほど恐ろしい病気ではない。それにウイルスはコロナ以外にも山ほどある。その機能は,これも善玉・悪玉という類いの単純なものではない。

    • だとすればわれわれがなすべきことはただ一つ,冷静に事態を受け止め,合理的な対応をすることであろう。そして合理的という言葉の中には医学面からという意味だけではなく,社会的,経済的,心理的な面からもという意味を含んでいる。これを一言でいえば,マクロ的・システム的な視点から事態を把握し,バランスの良い「コロナと共存する解」を求めよということであろうか。夏目漱石の一番弟子であり,かつ物理学者であった寺田寅彦(1935)の名言,「正しく怖がれ」という言葉をここで改めて思い出す。その具体的な思想と技術として,関係者の間で知識や価値観を共有する適切なリスク・コミュニケーション(木下,2016,2021)の必要性を改めて指摘しておこう。

 

  • 新型コロナウイルス感染症に関する意識調査 中央調査報(No.774) 中央調査社 2022年4月

    • 1年前の調査から大きな 変化は見られなかった。

    • 感染状況に劇的な改善が見られることがなく1年が経過した。ワクチン接種もこの1年で進んできてはいるが、ウイ ルスが変異を繰り返し、生活の状況は変わって いないと言えるだろう。

    • そのような中でもワク チン接種、緊急事態宣言には効果があったと感じており、そのことが政府や地方自治体への評 価にもつながっている様子がうかがえる。

    • また、収束後に旅行や外食をしたいという要望を半数以上の人が挙げている半面、コロナ禍が収束し ても簡単には元に戻らないという意識を持って いることが明らかになった。

 

  • テレワーク、感染症対策から得た教訓とは コロナ禍で見えた効果、課題、近未来 研究報告書 2022.04.28 NIRA

    • ​NIRA総研と慶應義塾大学経済学部大久保敏弘研究室は、「テレワークに関する就業者実態調査」を過去6回にわたって共同で実施し、データ分析を行った。

    • その結果、テレワークで仕事効率を上げるためには、職場とICTでつながるだけでは不十分であることがわかった。評価基準や業務分担を明確にし、仕事に集中できる空間を確保しなければならない。

    • またテレワークの利用機会は、職業はタスクを調整しても、企業規模や地域の差が残る。

    • これらの均等を図るには、労働者のICTスキルを高めるとともに、企業組織や地方のデジタル環境、テレワークを可能とする就業制度の整備が必要である。

    • さらに、テレワークは感染症対策として機能する可能性が高く、テレワークの活用で人流がある程度は緩和されたことも推察された。

 

  • 新型コロナ「第6波」で感染し自宅で死亡 先月末までに555人 2022年4月28日 10時06分 NHK

    • ​新型コロナウイルスの第6波で感染し、自宅で亡くなった人は、先月末までに全国で少なくとも555人に上ることが厚生労働省のまとめで分かりました。

    • 年代別に見ると、最も多かったのが80代以上で55%、次いで70代が24%、60代が10%でした。
      基礎疾患があった人は64%。

    • ワクチンの接種歴は2回接種した人が39%、不明が38%、接種していなかった人が16%などとなっています。

    • 自宅で療養中に急速に重症化したり、入院調整の対象になった直後に亡くなったりした人のほか、新型コロナの症状を持病と思い、医療機関を受診しなかった人もいたということです。

    • 死亡する直前に診断を受けた人のうち、およそ43%は軽症か無症状だったということで、厚生労働省は新型コロナ以外の要因で死亡したケースも多いことが示唆されるとしています。

 

  • コロナショックによるレジリエンス格差拡大の兆候 山本勲(慶應義塾大学商学部教授) 2022年04月27日 リクルートワークス研究所

    • ​緊急事態宣言が解除されて以降、多くの労働者でコロナ前の働き方に戻る動きがみられるとはいえ、コロナ前よりもテレワーク実施率は高く、労働時間も短い。ということは、コロナショックは、従来の硬直的な働き方をする労働者と柔軟で効率的な「新しい働き方」をする労働者の間に「働き方の格差」をもたらしたといえるのではないか。

    • コロナ禍前の2018年から高所得層ほど長時間労働者の割合は低下傾向にあり、2020年のコロナ禍でより顕著に低下したことわかる。

    • 仕事の柔軟性を高めたり、長時間労働を是正したりする動きは、コロナ禍前から働き方改革や高度プロフェッショナル制度の導入などで進んでおり、日本の労働市場のメガトレンドとなっていたが、コロナ禍でその動きがより一層加速したといえる。

    • ポストコロナの労働市場を展望する際には、レジリエンス格差といった多様な側面での格差の動向が重要であり、労働者や企業を定点観測で追跡するJPSEDのようなパネルデータの整備を進めながら、格差の計測・把握と評価を継続して進めていくことが求められよう。

 

 

  • 新型コロナウイルス感染症が宿泊業に与えた影響に関する研究 -2020 年コロナ禍初期における宿泊需要の落ち込みと回復に着目して- New ESRI Working Paper No.64  April 2022 内閣府経済社会総合研究所

    • ​2020 年 5 月の宿泊需要の落ち込みに影響したのは、各宿泊施設のコロナ禍以前における「観光客割合」「外客割合」「県外客割合」の多い宿泊施設であった。また、宿泊施設の規模を表す従業者数と宿泊施設が立地する地域の人口密度もマイナスに有意な影響を与えていた。一方、宿泊施設タイプ別にみると、ビジネスホテルは他の宿泊施設タイプと比べると影響は軽微である傾向が示された。

    • 2020 年 11 月の宿泊需要の回復に寄与したのは、その大きさの順に「観光客割合」「泊数伸び」「Go To トラベル」「客室あたり従業者数」「県外客割合」であった。観光客や県外客の受け入れが多い宿泊施設は、2020 年 5 月に多大な影響を受けた一方で、2020 年 11 月では宿泊需要が回復していることが分かった。また、客室ひとつに多くの従業員を投入している宿泊施設の方が、そうでない宿泊施設と比べて回復できていたことが示唆された。一方、回復を阻害した要因は、「外客割合」「人口密度」「感染者数」であり、コロナ禍以前に急増していた外国人観光客を取り込むために整備された、あるいは外国人観光客への対応に力を入れていた宿泊施設は、回復期においても影響が続いているとともに、旅行者は人口が密集する地域や感染者の多い地域への旅行を控える傾向にあることが分かった。

    • Go To トラベルの効果としては、累積感染者数による影響を相殺する以上のものであったことが示唆されたほか、泊数の伸び、すなわち宿泊施設のコロナ禍の前後で泊数を伸ばすような取り組みが効果的であることが示唆された。他方、Go To トラベルは全ての宿泊施設タイプに対して有効なのではなく、ビジネスホテルとシティホテルに対しては効果が低いことが分かった。 

 

 

 

  • 変革が進む欧米小売業の最前線 ~最新事例に見るポストコロナのトレンドは~2022年04月13日 wisdom NEC

    • 米国では2009年から10年間で小売売上に占めるEコマースシェアが約10%伸び16%になったが、2020年初頭にはじまったコロナ禍の2カ月間で同シェアは27%に一気に拡大した。つまり10年分の変化がわずか2カ月で起こったわけだ。コロナ禍の長期化と消費のデジタルシフトにより、リアル店舗もDXを加速させた。

    • ポストコロナ時代はリアル店舗への回帰も進むと見られている。 その際に重要なのは、デジタルでもリアルでも顧客体験をより高めていくこと。キーワードは「フリクションレス・コマース」である(図1)。「購買プロセスの“邪魔”(フリクション)をなくし、顧客の好みに合わせて簡単に購買できるコマース形態のことです」

    • こうした小売DXを支えているのが、クラウドをはじめとするデジタルテクノロジーである。実際、米国では多くの小売企業がクラウドインフラへシフトした。狙いは分散したシステムの統合だ。

    • デジタルテクノロジーの活用で小売DXはさらに進化していくだろう。その先にある近未来の店舗はどうあるべきか。注目されているのが、体験型店舗スペースとマイクロフルフィルメントを併設した「ハイブリッド店舗」である(図3)。

 

  • コロナ禍と医療イノベーションの国際比較⑮(デジタルヘルスの基盤を確立し次なる変革に挑むカナダと英国) 2022.04.05 キャノングローバル戦略研究所

    • ​1. 日本はコロナ医療提供体制の欠陥を正すことなく「まん延防止等重点措置」を解除した
         日本でコロナ感染死亡者が少ない理由「ファクターX」を探す必要がなくなった
         Integration(統合)した中核事業体なくして連携は実現しない
         出身大学グループ間で医師対立がある組織はセーフティネット医療事業体になりえない

    • 2. コロナ禍で深刻化した精神科・依存症医療の課題解決に取り組むカナダ
         行動規制を2月に解除したカナダでは今のところ感染リバウンドは見られないが
         保健省2022年度計画の最大テーマは精神科・依存症医療の拡充

    • 3. 医療&社会的ケアの統合とAI基盤医療ツールの社会実装に挑む英国

       感染者と入院患者のリバウンドが始まったが行動規制再発動の可能性は低い
       医療と社会的ケアの統合を加速させる改革
       Integrated health & social careのケーススタディ
       AI基盤医療ツールの全体像

 

  • 第3回 ワクチン対策における課題・産業振興の方向性 ワクチンの多面的価値の国民的理解の深化に向けて 知的資産創造/2022年2月号 野村総合研究所

    • ​未知の感染症の感染拡大が認められる場合、国はその対応として、新型インフルエンザ等対策特別措置法に基づいた各種施策を展開することとなっている。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)においても例外なく、同法に基づく各種の協力要請を講じてきた。

    • COVID-19の効果的な感染制御策が見つからない中、mRNAワクチンなどの新たなモダリティを使ったワクチン開発が進み、わが国をはじめ世界各国がワクチン接種による感染予防に向けた施策を講じた。

    • 医薬品・手技・各種検査において、わが国の医療提供体制は先進諸外国と比べても世界でも例を見ないほどに安価に、かついかなるときでもその恩恵を享受できるフリーアクセスが保障されている。こうした医療インフラもあり、多少の混乱はあったが、結果的に短期間で多くの国民のワクチン接種を実現した。

    • 制度的・運用的な振り返りと将来への備えをぬかりなく進める必要性が浮き彫りになった。わが国は戦後型行政システムの中で前提とされた事務作業をベースとした業務設計を担ってきた。しかしこれは、現代においては極めて費用便益の低い、非効率なものである。

    • 硬直した現行制度を見直し、未知の感染症への対応に向けた施策の簡素化と効率化を進め、行政の総合性、戦略性、機動性を確保していく必要がある。コロナ禍はその好機とも受け取れるのではないか。

 

  • がん検診、コロナ前に戻らず 21年調査、受診控え続く―協会 2022年04月04日18時57分 JIJI.COM

    • ​2021年に胃や肺など五つのがん検診を受けた人は、新型コロナウイルス感染拡大前の19年より約10.3%少ないことが4日、日本対がん協会(東京都中央区)の調査で分かった。20年よりは増加したが、受診控えなどにより依然低い水準が続いている。

    • 21年の各検診の減少幅(19年比)は、胃がんが最も大きい約13.2%で、肺がん約11.0%、乳がん約9.9%が続いた。

  • 「日本」に2年ぶりに帰国したら驚いた「空港」「学校」「スーパー」のヤバい現実 この国は、遅れまくっている… 2022.04.03 現代ビジネス

    • ​久しぶりに戻ったことで感じたのは、デジタル化において完全に立ち遅れていること。そして、若者や子供ばかりにコロナ対策の負担がいっていることです。私は最近、英国やスペイン、シンガポールを訪れ、家族と滞在していました。この3か国と比較して、日本の課題をクリアに感じてしまったのです。
      日本入国の際には重複した情報を何度も家族全員で50枚以上に及ぶ書類に手書きで入力する必要がありました。

    • ただでさえ厳しい少子高齢化が進む日本において、こうして子供や子育て世代ばかりに負担を押し付けていると問題が深刻化するばかり。

    • こうした小さな子供だけではなく、学生たちにも日本のコロナ対策は様々な影響を及ぼしています。経済的な要因やリモート授業ばかりでコミュニティに帰属できない心理的な負担などから、大学生の中退の数はコロナ前から1.5倍のペースになっています。

    • 日本の子供や若者にばかりしわ寄せがいくコロナ対策とデジタル化の遅れは先進主要国の中で際立ってきています。

    • 先進主要国の中で異常にコストが安い若者のリソースを酷使することで、アナログモデルをかろうじて維持しているのが現状でしょう。しかし、ウクライナ情勢での資源やコモディティ価格の高騰や、円安の加速で、日本でも生活必需品のインフレが加速していくことでしょう。

 

 

 

  • 日本における緊急事態対処の課題 ~ COVID-19対応の法制面の検証~ 2022年3月 ササガワ平和財団 安全保障研究グループ

    • ​日本のCOVID-19感染拡大への対応を検証した結果、初動の遅れや強制措置の欠如など、過去の災害においても指摘された課題が再び露呈したことから、「同じような課題が繰り返し指摘されるのは、それらが戦後日本の緊急事態法制整備の歴史に由来しているのではないか」との仮説を設定し、元内閣危機管理監をはじめ実務経験者、法律の専門家ら計6人の有識者へのインタビューを実施しました。そのうえで、日本における緊急事態対処の実効性を上げるための提言を試みました。

 

  • コラム【起動篇】日本が失った「沈思黙考」の時間 2022年04月01日 大阪ガス エネルギー・文化研究所 〔note日経COMEMO 3月30日掲載分〕

    • 昔の人は歩いていた。江戸時代の薩摩・長州・土佐の武士たちは時間をかけて足で歩いて、薩摩・長州と大坂・京都・江戸を行き来して、明治維新を成し遂げた。その歩いている時間はたんに移動のためだけではなく、思索するための時間であった。

    • コロナ禍を契機としたテレワークへの転換で、通勤時間がなくなり、会社帰りの一杯飲みがなくなり、自分時間が倍増している。それは突然始まり、当初は混乱したが、慣れた。それは現在進行形で、定着しはじめている。「その変化のなかでその新たな時間で、あなたはなにをしているか」 「これをしています」「あれをしようと思っています」と明確に話せる人は多くない。なぜか。それは「コロナ禍が収束したら元に戻る」と思っているから、なんとなく過ごしている。しかしコロナ禍は収束しても、元には戻らない。

    • なぜプロセスがブラックボックス化していくのか。社会がブラックボックス化していくのか。とりわけ日本でそれが進んでいるのはなぜか。「こういう生活・仕事にしていくために、どういう技術が必要か?」を考えてきた世界に対して、「この技術でなにができるか?」を考えてきた日本。効率性・利便性・生産性・ハードを追いかけてきた日本。お客さまのことを置いてけぼりにしてきた日本。これらが社会のブラックボックス化を広げていった。これからどうなっていくのか?

    • 少しでも速くという技術の進歩、効率性の追求が「プロセスのブラックボックス」を増やした。「ブラックボックス」によって、深く考えることをしなくなった。それがコロナ禍で変わろうとしている。コロナ禍で、自分時間が増えた。技術の進歩で、置き忘れた「場と時間」が戻ってきた。家族と一緒にいるとほっとする。家族で食卓をかこむと楽しい。しかし1人で黙ってじっとすごすという場と時間も大切。穏やかに、静かに、思索を深める場と時間が。コロナ禍で失った沈思黙考の時間を取り戻し、自分を再起動する機会を、私たちは逃してはいけない。

 

  • 新型コロナウイルス感染症が経済社会に与える影響とその課題 -人・都市と地域・経済の観点から- 2022/03/31 経済社会研究会 中曽根平和研究所

    • (1)科学的根拠に基づいた政策形成に努力すべきである。
       新型コロナウイルスへの感染が、飲食店以外にも、職場や通勤など多様な経路で生じている可能性があることが、本研究会が行った実態調査で明らかになった。他方で、実際の社会的な関心や政策対応は飲食店に関するものが多い。新型コロナウイルス感染症に関する正確な情報、データや客観的な分析が、リスクコミュニケーションを通じて社会的に共有され、あるいは政策に生かされる枠組みを考えていく必要がある。

    • (2)身体的健康と併せてウェルビーイング(Well-being、身体、精神、社会的関係性が良好で調和した状態)も重視すべきである。
       コロナウイルス感染症の対策は、対人接触を制限するという身体的な面に目が向きがちである。しかし、そうした対策自体が、社会的孤独・孤立を増大させることを通じ、ウェルビーイングの低下、それに伴う身体的健康の低下、それに伴うさらなるウェルビーイングの低下、というような悪循環を引き起こしている可能性がある。身体面・精神面双方で人々の負担を緩和する方策を考えることが重要である。

    • (3)経済社会活動のレジリエンス(頑健性)を確保すべきである。
       新型コロナウイルス感染症のパンデミックのような外的リスクに対しては、リスクとコストを踏まえた上で、危機管理の観点から、平時からの準備を含めた医療、インフラ等の基本的な都市、地域の機能を維持、継続するための方策を、国、都市・地域のそれぞれのレベルで考えておく必要がある。

    • (4)都市・郊外・地方の都市機能が互いに連携して課題解決への道を探るべきである。
       人口動態、気候変動やグローバリゼーションなどマクロ的な変化が背景にある課題を、一つの都市・地域が単独で解決することは多くの場合難しい。デジタル・トランスフォーメーションにより時間、距離の制約が小さくなることを利用して、都市・郊外・地方がそれぞれ域内の産業基盤、データ・情報、コミュニティ等の社会的共通資本を共用し、全体として経済的な活力を高めていく必要がある。

    • (5)ポストコロナを見据え、政策転換のタイミングを計ることが重要である。
       コロナショックに対しては、短期的には、一時的な雇用調整や経営危機が、長期的失業や企業の廃業・倒産等の永続的な傷として残らないようにすることが重要である。我が国は、こうした政策目標の達成にある程度成功したといえるが、反面、本来あるべき雇用の移動を抑制したり、市場から退出すべき企業を温存したりすることで、長期的には経済成長に悪影響を与える可能性も否定できない。今後は、コロナ危機の出口を見据えて、政策転換のタイミングを計ることが重要である。

    • (6)コロナショックによる所得分配への影響を評価し、必要な政策対応を行うべきである。
       今回のコロナショックでは、リーマンショック期と同様、非正規雇用者が危機の影響をより大きく受ける状況となっている。しかも、今回の危機では、非製造業の非正規雇用者、中でも対個人サービス業で多く働いている女性の非正規雇用者が最も影響を受けており、所得分配面での課題が懸念される。こうした影響を早期に把握し、短期的、中長期的な政策対応を行う必要がある。

    • (7)中長期的な課題を抽出し、政策対応を図るべきである。
       我が国の中長期的な課題である人口減少、財政再建、社会保障並びに低温経済(家計は所得が増えても積極的に消費せず、企業は利益が増えても積極的に投資しないため、経済の好循環が作用しにくい経済)への対応は、コロナ危機により困難の度合いを増している。特に、人口減少の負のインパクトは、これまでの想定よりも早く顕在化する可能性がある。将来の混乱を招かないためにも、中長期的な課題へのコロナ危機の影響を評価し、その結果を社会的に共有して、マクロ経済政策や都市・地域政策に生かしていく必要がある。

 

  • コロナ禍からの「移動」の再生について考える~不特定多数の大量輸送から、特定少数の移動サービスへ~ 2022年03月31日 ニッセイ基礎研究所

    • ​新型コロナウイルス感染拡大後、「移動」は変化している。人々の移動回数が減り、移動手段は公共交通からパーソナルな手段へとシフトが進んだ。旅客運送事業者の生産活動は低迷し、反対に、自動車小売業は回復基調にある。移動の減少によって、地域では対面サービスや旅行消費額が落ち込み、地域経済にも影響を与えている。また、高齢者にとっては、身体機能低下のリスクが増している。若い世代を中心に、新しい人と出会い、交流する機会も減り、孤独や孤立への不安も増している。

    • 移動の変化をより深堀りすると、人々が移動に求める要素は、公共交通の代名詞である「不特定多数」から「特定少数」にシフトしていると言える。それがコロナ禍における人々の「安心感」を高めると考えられる。

    • 今後、移動を回復していくために、筆者は次の三つが必要だと考える。第一に、移動が身体機能や精神面の健康を維持する上で重要だという事実を発信することである。第二に、交通事業者が、サービスをより「特定少数」に近づけて、安心感を高める工夫をすることである。第三は、人々に敢えて外出したいと思ってもらえるように、移動に付加価値をつけ、外出の動機付けをすることである。

    • 移動の減少や交通事業者の経営悪化を「仕方ない物」として放置せず、移動の再生、基本的な人間関係や社会活動の復活を目指した取組が必要だろう。

 

  • コロナ禍における消費行動の変化 購買チャネルの変化から見る消費行動の変化 2022年03月31日 大和総研

    • ​新型コロナウイルスの感染拡大は、外出制限等の様々な行動の制約を通じて、消費行動に大きな影響を与えている。また、家計収入の頭打ちや消費支出の減少に繋がっている。特に30歳代までの若い世代への影響が大きい。

    • 行動制約は、消費対象により影響が異なる。外出抑制により、被服・履物、交通・通信、教養娯楽等への消費支出は大きく減少する一方で、在宅時間の増加が、家具・家事用品などの消費拡大に繋がっている。教育への消費支出は世代により影響が異なる。

    • 行動制約は、商品・サービスを購入するチャネルの変化も引き起こしている。食料においては、消費総額は大きく変わらないものの、ウェブを通じた消費(ネットショッピング)は急増している。また、食料の内枠である外食、被服・履物などは外出抑制により消費総額は大幅に減少しているものの、ウェブを通じた消費(外食ではウェブ経由の出前)は急増している。加えて、出前のウェブを通じた消費には地域差も見られる。

    • 新型コロナウイルスの感染拡大に伴う行動変化は、社会のDX化が本格化するタイミングで生じているため、大きな社会変化を伴う可能性がある。将来のビジネスを展望する上で、制度や人々の行動を含む社会変化、DX化の技術進歩、DX化の消費者の受容度、地域特性等を踏まえ、多様なケースを想定する必要がある。足元の様々な変化を見逃さずに将来を検討することが求められる。

 

  • コロナ禍で進む消費のデジタル化 ~拡大余地が大きいシニア世帯のネットショッピング~ 内外経済・金融動向 No.2021ー9  2022.3.31 信金中央金庫 地域・中小企業研究所

    • ​コロナ禍の外出自粛や自宅待機の影響を受けて、個人消費は一時、過去に例を見ないほどの大きな落込みを記録した。もっとも、その後は上向きへと転じ、直近 21 年 10~12 月期の実質個人消費はコロナ前の水準にかなり近づいている。

    • 一方で、個人消費の構造はコロナ禍で大きく変化している。なかでも顕著なのが消費のデジタル化であり、ネットショッピング利用世帯の割合及び支出額は、緊急事態宣言が初めて発令された 20 年4月を境に大きく伸びている。

    • 商品別にみると「出前」がコロナ後に最も伸びており、外食の代わりとして利用する人が増えたことが数値に表れている。支出額では「食料品」が大きく増えており、これまで近隣のスーパーで購入したものをネット経由での購入に切り替える動きが進んだとみられる。

    • 年齢階級別にみると、シニア世帯で消費のデジタル化が急速に進んでいることが分かる。水準こそ低いものの、コロナ前と比べると利用世帯の割合・支出額ともに急拡大しており、特に「食料品」や「飲料」、「贈答品」での利用拡大が目立つ。

    • シニア世帯はその世帯数の多さゆえに、ネットショッピングの支出総額に占める割合が高く、なかでも「保健・医療」や「贈答品」で存在感を示している。また、支出額では「食料品」が主要商品の中で最も多く、ネットショッピングの中で最大の市場を形成している。

    • ネットショッピング利用世帯の割合が 100%となった場合の市場規模を試算すると、21 年の支出額から2倍近くに拡大する余地があることが分かった。特に、シニア世帯はすべての主要商品で市場規模と拡大余地が他の年代を上回っており、潜在需要は大きいと言える。

    • 今後はこれら需要をどのように取り込んでいくのかが重要になる。シニア世帯は消費のデジタル化と親和性が高く、またコロナ禍で貯蓄を大きく増やしている可能性がある。売り手側である企業は、競争激化に備えて商品・サービスの質向上や価格競争力を高めるとともに、シニア世帯の潜在需要を引き出すようなサポート体制を充実することが求められよう。

 

 

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  • データで見るコロナ禍の行動変容(4)-移動手段の変容~公共交通機関からパーソナル手段へのシフト 2022年03月15日 ニッセイ基礎研究所

    • ​コロナ禍で電車やバスなどの公共交通機関の利用が控えられ、自家用車や自転車などの利用が増え、公共交通機関からパーソナルな移動手段の利用へとシフトしている。パーソナル手段としてカーシェアやシェアサイクルもあるが、日本シェアリングエコノミー協会によれば、旅行による利用は減る一方、公共交通機関の代替や食事の宅配等の利用が増えることで、コロナ禍前と比べて市場は拡大している。

    • 性年代別に見ると、感染不安の強い女性や感染による重篤化リスクの高い高年齢層ほど公共交通機関の利用控え傾向が強い。ただし、高年齢層ではパーソナル手段の利用が他年代と比べて増えているわけではないため、外出そのものを控えているようだ。職業別にはパーソナル手段に違いがあり、専業主婦・主夫は自家用車、公務員は自家用車やカーシェア、学生は徒歩が多いという特徴がある。

    • 総務省「家計調査」によると、コロナ禍で公共交通機関の交通費は軒並み大幅に減少しており、減少幅は航空運賃、鉄道運賃、バス代、タクシー代の順に大きく、移動距離が長いほど減少幅が大きな傾向がある。ただし、コロナ禍2年目の2020年ではいずれも回復傾向を示している。なお、需要の増す自動車の販売台数はコロナ禍前を上回る時期もあったが、足元では半導体不足の影響等から供給不足の状況にある。

    • 今後、季節性のインフルエンザ並みに新型コロナウイルスを制御可能となった際は、非接触志向が緩和されることで、公共交通機関の利用は自ずと回復基調に向かうだろう。しかし、テレワークの浸透による通勤や出張による利用減少は避けられない。現在、鉄道会社では業態転換も含めた、新たな需要の取り込みを模索する姿が見られるが、今後とも新領域の開拓を視野に入れた事業展開が求められる。

    • コロナ禍で自動車需要が増す状況は「モノからコトへ」という消費行動の変化と逆行するようだが、消費者が求めているのはパーソナルな移動空間である。郊外居住などが増え、クルマ離れの若い世代の需要が一部で増す期待もあるが、中長期的にはCASEの進展による移動サービス(コト)としての見方が強いだろう。企業はモノから移動サービスとしての価値という発想へ、いかに切り替え、広げていけるかが肝要だ。

 

 

  • コロナ禍が雇用に与える影響─地域差に着目して─ 2022年3月10日 労働政策研究・研修機構

    • ​本稿は、個人の就業形態の月次変化が把握できるパネル調査の個票データと都道府県ごとの緊急事態宣言の実施状況と感染状況の月次データを結合し、緊急事態宣言の実施と感染拡大が雇用の悪化に直接つながるかを検証した。分析では、コロナの影響の地域差に着目し、大都市のある都道府県とない県の間でコロナによる雇用への影響に違いがあるかを検証した。雇用形態によりコロナの影響に違いが生じる可能性があるかを確認するため、2020年4月1日時点に正規雇用者で且つ前々月末にも正規雇用の個人と2020年4月1日時点に非正規雇用者で且つ前々月末にも非正規雇用の個人に分けて、グループごとに推計を行った。正規雇用者であった個人のサンプルを用いた推計では「正規雇用が維持されなかった」、非正規雇用者であった個人のサンプルを用いた推計では「無業」を、雇用の悪化を示す指標として用いた。

    • プロビット分析で推計した結果、緊急事態宣言の実施は、大都市のない県では、正規雇用者と非正規雇用者の双方の雇用の悪化につながることや、緊急事態宣言の実施による大都市のない県の正規雇用者の雇用への影響は長期的なものであることが確認された(図表1、図表2)。

    • 時間の経過に伴い、緊急事態宣言が雇用に与える影響に違いがあるかを確認するため、2020年6月~2020年12月と2021年1月~2021年6月の期間別にも推計を行った。その結果、第1回緊急事態宣言の実施による雇用の悪化が観察されたが、2021年5月までの第2回と第3回緊急事態宣言と雇用悪化の間には一貫した関係性が観察されなかった。

    • 感染拡大の影響に関して、前月の人口10万人当たりの県内新規感染者数と前々月末までの人口10万人当たりの県内累積感染者数を指標として用いて推計した結果、感染拡大が雇用の悪化に直接つながることは確認されなかった。

 

  • 全国で進む公立病院の独法化…いち早く進めた大阪では医療崩壊 記事投稿日:2022/03/10 06:00 最終更新日:2022/03/10 06:00 女性自身

    • ​現在、都議会で都立病院の“民営化”が審議されているのはご存じだろうか。「東京都のコロナ患者の約30%を受け入れてきた都立・公社病院が7月に廃止され、地方独立行政法人化(以下、独法化)されようとしています。いわば、民営化されるのです。」

    • あしき前例が、公立・公的病院の独法化を全国に先駆けて進めてきた大阪だという。’07年には府立の5病院が、’14年には市立の4病院が独法化されたが……。「その結果、徐々にベテラン看護師が減っていき、コロナ対応できる経験を持った看護師が少なくなりました。だからコロナ専門病院を作っても患者を受け入れられなかった。これが医療崩壊を招いた一因だと思われます」

    • 「厚労省は今後、人口が減っていくという前提で、’25年までに全国の病床を16万〜20万床削減する目標を立てています。公立病院の独法化や、統廃合もその流れのひとつ。しかし、もともと日本はG7でいちばん医師数が少ないうえに、公立病院が全体の2割とイギリスの8割やドイツの5割と比べ極端に少ない。これ以上減らしたら、国民の命は守れません」

  • 新型コロナウイルス感染症がサプライチェーンにもたらす影響  ―「中小企業景況調査」付帯調査結果より― 調査月報2022 No.162 日本政策金融公庫 総合研究所

    • ​コロナ禍初期には、行動制限により世界各国で工場が操業を停止し、サプライチェーンは一時的に停滞した。その後行動制限が解除され、先進国を中心にワクチン接種が進むにつれて、生産活動は正常化しつつある。しかし足元では、コロナ禍初期とは別の問題が生じている。木材や銅などの資源価格が急激に上昇したほか、コンテナ不足などを理由に物流の混乱が起きている。本稿では、当研究所が実施した「中小企業景況調査」の付帯調査結果を用いて、中小企業における調達環境の変化を調査し、分析を加える。

      • 高騰する資源価格

      • 進まない価格転嫁

      • マイナスの影響は過半の企業に

        • 全体では、「販売価格への転嫁」が最も多く(42.9%)、「在庫・原材料の積み増し」(23.2%)、「調達先の分散」(22.0%)と続く(表-2)。「販売価格への転嫁」は乗用車関連(50.0%)などの外需関連や建設関連(50.6%)で多い。しかし、前掲表-1で「価格が上昇している」と回答した割合に比べるとかなり低い。やはり価格転嫁ができる企業は限られているようである。

      • 7割の企業が今後の調達先確保に不安あり

 

  • 「コロナ融資後倒産」動向調査 2022/3/8 帝国データバンク

    • ​「コロナ融資後倒産」、1年半で200件に到達 返済期限が迫り、あきらめ倒産相次ぐ ~ 飲食店など小売業、食品関係の業種で多く発生 ~

    • 1 2021年度の倒産件数は56年ぶり5000件台の大幅減少も、足元では底打ちの兆し
      2 コロナ融資後倒産、1年半で200件 発生ペース加速、21年後半は月間20件台が続く
      3 飲食店などの小売業が最多、製造・卸売では食品関係の倒産が目立つ

  • データで見るコロナ禍の行動変容(3)-食生活の変容~外食需要の中食シフト、さらに強まる手軽さ志向 ニッセイ基礎研究所 2022年03月08日

    • ​コロナ禍で外食が控えられ、テイクアウトやデリバリーなどの中食利用が増え、外食需要の一部が中食シフトしている。コロナ前から共働きや単身世帯の増加で中食需要は拡大傾向にあったが、コロナ禍で中食に対応する飲食店が増え、消費者にとって一層、魅力が増している。ただし、特にデリバリーは若者の利用が多く、配達網に地域差があることなどから、2020年半ば頃から利用増加層は横ばいで推移している。

    • 年代別に見ると、外食控え傾向は高齢層ほど強いが、中食利用は若いほど積極的である。よって、外食需要の中食シフト傾向は若いほど強く、高齢層では他年代と比べて内食(自炊)へシフトしている。また、中食は小学生以下の子育てに手のかかる世帯のほか、フルタイム勤務の多い在宅勤務利用者を中心に需要が増している。

    • 総務省「家計調査」等にて食料の支出額を見ると、外食費は大幅に減る一方、パスタや冷凍調理食品、出前、生鮮肉、チーズ、出前などが増えており、家での食事機会が増えることで手軽に食事をしたい志向と質を高めたい志向が存在しているようだ。また、2021年は2020年より各種食材の支出額が減る一方、冷凍調理食品や出前などは増えており、手軽さを求める志向はより高まっている。

    • コロナ禍で食事を介したコミュニケーションの場が大幅に減っている。日本人の国民性なのか、感染状況が改善していても慎重な態度が根強い。各種会合が減った現状は、飲みニケーションを好まない若者や、夜開催の飲み会には参加しにくい子育て中の社員などからすれば、ほっとする部分もあるだろう。しかし、積極的に会いたい相手とすら制約が課される状況には、強い寂しさも感じるのではないか。

    • コロナ禍で食事のデリバリーもさることながら、ネットショッピングやオンライン会議など多くの場面で効率化が進展している。利便性は向上しているが、人間関係の潤滑油ともなる「余白時間」が失われている。Googleなどの取り組みで見られるように余白時間はイノベーションを生む原動力となる。先行き不透明な中で、余白時間を意識的に設けることは、事業経営の観点でも、一人の生活者としても希望を生む未来につながるのではないか。

  • ポストコロナの社会的課題解決に向けたICT活用の可能性 財界観測 2022年3月4日 野村證券

    • ​2020年以降、新型コロナウイルス感染症(以下、コロナ)の感染拡大は、人々の生活にさまざまな影響を与えた。なかでも大きな影響を受けたものとして、人々の働き方が挙げられよう。コロナ禍においては、テレワークに代表されるような、ICT(Information and Communication Technology、情報通信技術)を駆使した働き方が広く浸透した。本稿では、雇用・所得を中心とした社会的課題に対して、ICT活用の有効性を計量的に検証すると共に、国連の持続可能な開発目標(SDGs)達成に向けたICT活用の可能性を考察した。

    • コロナ禍においてはパートタイム労働者の雇用が大きく減少した。高齢者やひとり親世帯(特に母子世帯の母親)の就業者はパートタイム雇用の割合が高く、コロナ禍の雇用減少の影響を大きく受けており、これはコロナ禍における新たな社会的課題と言える。高齢者や母子世帯の就業の困難さやそれに伴う貧困は、コロナ前から日本の社会的課題であり、コロナ禍で顕在化した。一方でテレワーク等の、コロナ禍への対応として急激に普及してきたICT活用によって、加齢に伴って心身の機能が低下するという心身機能的制約や日中のフルタイム勤務が難しいといった時間的制約、通勤の負担が大きいという距離的制約を克服できる可能性があると考え、以下の分析を行った。

    • 本稿では、これらICT活用の可能性を検討すべく、就業状態・所得水準の改善とICT活用の関連性について、約3万人の調査結果を集計したJACSIS(=The Japan COVID-19 and Society Internet Survey)データベースを用いて、個票ベースの分析を行った。多重ロジスティック回帰による推計を行った結果、1. ICT機器を使う仕事に就いている就業者はコロナ禍で休職を回避している傾向にある、2. ICTを活用している高齢者は就業している傾向にある、3. ICT機器を使う仕事に就いている母子世帯の母親は世帯年収水準が高い傾向にある、という3点の関連性とその統計的な有意性が示唆された。さらに追加的な分析から、ICT活用と就業状態については高齢者が特に強い関連性を持ち、ICT活用と世帯年収水準については母子世帯の母親が特に強い関連性を持つことが示され、格差是正の観点からもICT活用が有益である可能性が示された。

    • これらの分析を踏まえると、ICTを活用した支援を通して心身の機能・時間・距離といった制約を克服することで、就業や収入面の格差を是正する機能を持つことが期待される。そのような事例を探索したところ、実際に、政府・地方自治体・民間企業といったあらゆるレベル・フィールドで、ICTを活用した新しい働き方の推進・就業支援の事例がみられた。

    • 他方、心身の機能や時間や距離の制約を受けやすい人々は、ICT利用のためのアクセスにおいても制約を受けやすいため、オンライン環境の公平な普及に加えてサービス利用の簡便性の追求など、各集団のニーズを踏まえた利用環境整備が不可欠である。コロナ禍への対応として、ICT活用に向けたインフラ整備やサービスの改善が進むことが、ポストコロナにおける一層強靭で活力ある社会を構築する基盤となろう。

 

  • コロナ破たん3月も高水準、7日までに47件判明 累計は3015件に 東京商工リサーチ 公開日付:2022.03.07

    • ​3月7日は16時時点で「新型コロナ」関連の経営破たん(負債1,000万円以上)が3件判明、全国で累計2,874件(倒産2,743件、弁護士一任・準備中131件)となった。

    • 倒産集計の対象外となる負債1,000万円未満の小規模倒産は累計141件判明。この結果、負債1,000万円未満を含めた新型コロナウイルス関連破たんは累計で3,015件となった。

    • 政策支援、金融機関によるリスケ対応などは継続する見通しだが、業績不振の長期化で過剰債務に陥った企業も目立っている。息切れやあきらめによる脱落が徐々に増え、コロナ破たんは当面、高水準で推移するとみられる。

 

  • ポストコロナの社会的課題解決に向けたICT活用の可能性 野村證券データ・サイエンス部 高蔵 蓮、野村證券経済調査部/データ・サイエンス部 水門 善之、監修:京都大学大学院医学研究科 近藤 尚 2022年3月4日

    • ​2020年以降、新型コロナウイルス感染症(以下、コロナ)の感染拡大は、人々の生活にさまざまな影響を与えた。なかでも大きな影響を受けたものとして、人々の働き方が挙げられよう。コロナ禍においては、テレワークに代表されるような、ICT(Information and Communication Technology、情報通信技術)を駆使した働き方が広く浸透した。本稿では、雇用・所得を中心とした社会的課題に対して、ICT活用の有効性を計量的に検証すると共に、国連の持続可能な開発目標(SDGs)達成に向けたICT活用の可能性を考察した。

    • コロナ禍においてはパートタイム労働者の雇用が大きく減少した。高齢者やひとり親世帯(特に母子世帯の母親)の就業者はパートタイム雇用の割合が高く、コロナ禍の雇用減少の影響を大きく受けており、これはコロナ禍における新たな社会的課題と言える。高齢者や母子世帯の就業の困難さやそれに伴う貧困は、コロナ前から日本の社会的課題であり、コロナ禍で顕在化した。一方でテレワーク等の、コロナ禍への対応として急激に普及してきたICT活用によって、加齢に伴って心身の機能が低下するという心身機能的制約や日中のフルタイム勤務が難しいといった時間的制約、通勤の負担が大きいという距離的制約を克服できる可能性があると考え、以下の分析を行った。

    • 本稿では、これらICT活用の可能性を検討すべく、就業状態・所得水準の改善とICT活用の関連性について、約3万人の調査結果を集計したJACSIS(=The Japan COVID-19 and Society Internet Survey)データベースを用いて、個票ベースの分析を行った。多重ロジスティック回帰による推計を行った結果、1. ICT機器を使う仕事に就いている就業者はコロナ禍で休職を回避している傾向にある、2. ICTを活用している高齢者は就業している傾向にある、3. ICT機器を使う仕事に就いている母子世帯の母親は世帯年収水準が高い傾向にある、という3点の関連性とその統計的な有意性が示唆された。さらに追加的な分析から、ICT活用と就業状態については高齢者が特に強い関連性を持ち、ICT活用と世帯年収水準については母子世帯の母親が特に強い関連性を持つことが示され、格差是正の観点からもICT活用が有益である可能性が示された。

    • これらの分析を踏まえると、ICTを活用した支援を通して心身の機能・時間・距離といった制約を克服することで、就業や収入面の格差を是正する機能を持つことが期待される。そのような事例を探索したところ、実際に、政府・地方自治体・民間企業といったあらゆるレベル・フィールドで、ICTを活用した新しい働き方の推進・就業支援の事例がみられた。

    • 他方、心身の機能や時間や距離の制約を受けやすい人々は、ICT利用のためのアクセスにおいても制約を受けやすいため、オンライン環境の公平な普及に加えてサービス利用の簡便性の追求など、各集団のニーズを踏まえた利用環境整備が不可欠である。コロナ禍への対応として、ICT活用に向けたインフラ整備やサービスの改善が進むことが、ポストコロナにおける一層強靭で活力ある社会を構築する基盤となろう。

  • COVID-19で加速するデジタルヘルスの未来 2022/03/04 KDDI総合研究所

    • ​Covid-19パンデミックにより、遠隔医療や医療システムのデジタル化が加速している。感染防止のため、日常の多くの部分が非対面に転換されており、医療分野においても非対面サービスへの需要増加、デジタルヘルス産業への注目度が一層高まっている。医療は疾病の治療から予防、個別化された健康管理へシフトしており、デジタルヘルスはこのようなパラダイム変化の肝になることが期待される。

    • 本稿では、デジタルヘルスの市場規模が最も大きい米国のスタートアップの取り組みとビジネスモデルを調査し、パンデミック以降、急浮上しているデジタルヘルス産業の現状と未来を考察した。

    • デジタルヘルス市場は、ビックテックやスタートアップを問わず多様なプレーヤーの参入が加速しており、熾烈な競争で生き残るためのビジネス戦略が求められる。特に、ヘルスケア産業は、個人、保険会社、医療機関、政府、製薬会社、医療機器製造業者など、多くの利害関係者が複雑に絡み合っており、ビジネスモデルを作ることは容易ではない。また、政府の規制などが参入障壁になったり、規制を超えても持続的な収益モデルを構築できない場合もある。自社のデジタルヘルスソリューションの特性を考慮し、適切な収益モデルを構築することが必要である。

  • コロナ禍が炙り出したグローバリゼーションの課題 鈴木裕明(一財)国際貿易投資研究所 客員研究員 2022/03/02 No.92

    • ​マスク争奪戦はルール破りとは言えない

      • まず、コロナ禍初期に問題となったのは、医療用品・器具不足であった。当時はマスクが市場から蒸発、政府が布マスクを緊急手配・配布する事態となった。不織布マスクの一大生産地であった中国でまず感染が拡がったために、商品が世界に行き渡るまでに何か月もの時間がかかった。2020年4月時点で80か国・関税地域が重要物資確保のため輸出制限に走り(注2)、メディアには批判が満ちたが、実はWTOルール上、非常時における一時的な制限は容認されており(注3)、倫理的にも国家が自国民を優遇することを正当化する考え方がある。技術進化も手伝い平時の経済活動においてはグローバリゼーションが深まる一方で、世界はあくまで国家単位で運営されており、そこに大きなギャップが生じていることが、こうした非常時には明らかにされるのである。

      • 今回のマスク不足にしても、今では市場に十分なマスクが安価で出回っているものの、自給力向上は限定的であり、健闘した日本でも自給率は2019年度の22%が2020年度には27%と5ポイント上昇したに過ぎない(注4)。マスクに関して、日本を含めて世界の中国への一極依存状況は、依然として変わってはいない。

    • ワクチンのいびつな分配

      • 中国はじめ各国での生産増によりマスク争奪戦が一段落すると、次に、ワクチンの生産・貿易・分配にかかる問題が浮上した。ワクチンの開発生産が可能となったのは、米、英、EU、中国、インド、ロシアくらいであり、圧倒的な供給不足が生じた。

      • ワクチン争奪戦は、完成品のほかにも投入財のレベルでも生じた。米国もEUも、自国での需要を優先する法制度を適用、事実上、輸出制限がかけられる状態となった。中国なども含め、各国とも自国民向けを優先しつつ、バランスを考慮して輸出を行うスタンスが示されたのである。その結果、概ね、自国での感染状況が深刻な国(英、米など)ほど輸出は少なく、逆に、感染が制御されている国(中国)ほど輸出が多いという傾向がみられた。

      • 米国国内でワクチン接種が進捗してきた2021年5月頃になると、バイデン政権は輸出強化に舵を切り始める。これは、自地域内感染状況との対比で輸出が多かったEUからの督促に答えたものでもあった。
        ワクチン輸出に当たっては、これを外交上のツールとして利用する、いわゆる「ワクチン外交」が問題となった。輸出で先行していた中国がこの面でもしばしば取り上げられ、これに対してバイデン政権は、米国はワクチン外交は行わないと表明した。ただし、輸出に関する演説では“democracy”を連発、輸出先として優先した国・地域をみても、台湾、ウクライナ、ジョージアなどが並んでおり、広い意味ではワクチンが外交ツールとなっていることが示唆される。

      • ワクチン開発生産国は、サプライチェーンの状況、同盟関係、世界経済での位置づけなどを変数とする連立方程式を解くようにして、供給先を定めており、その結果として、アフリカなど途上国でのワクチン接種が極端に遅れる、いびつなワクチン分配状況が現出している。

      • 2020年にCOVAX(COVID-19 Vaccine Global Access)が発足。しかし、COVAX経由が全世界での接種回数(100億回超)の1割程度に過ぎない。

    • 進まない知的財産権措置

      • 2020年10月に南アフリカ共和国とインドが、WTOルール関連条項からの新型コロナウイルス関連の免除提案を、WTOに提出した。多くの先進国は反対に回った。

    • さらに困難な時代へ

      • こうして見てくると、コロナ禍は、重要物資をめぐっての自国優先主義・輸出規制、知的財産権の取り扱いを含め南北問題を彷彿とさせるようなワクチン分配の格差など、いわば、グローバリゼーションの影の部分を炙り出した。その根本的な背景には、上述のとおり、経済面(=グローバル化進展)と政治面(=厳然とした国境の存在)の対立がある。

      • 最近では、米中対立、NATOとロシアの対立といった安全保障の観点からも、世界最適ではなく世界分割に向けて状況悪化が加速している。パンデミックが終息しない中で、我々はますます困難な時代を迎えている。

  • 行動制限延長を繰り返す日本 ~脆弱な医療提供体制がもたらす景気回復の遅れ~ 2022.02.28 大整形経済研究所

    • 米国ではオミクロン株の影響が弱まる中、2月の総合PMIが大幅に上昇している。欧州でも行動制限緩和が進んだこと等を追い風に、2月のユーロ圏総合PMIが大幅に上昇した。対照的なのは日本。オミクロン株の感染拡大に伴う消費者のリスク回避姿勢継続等からサービス産業の悪化が続く結果、日本の総合PMIは主要国で唯一大幅に分岐点の50を下回っている。

    • 有事における医療提供体制の構築が遅れ、慎重な国民性の日本経済を正常化に近づけるには、諸外国以上に希望者に対するワクチンのブースター接種の必要性が高まろう。しかし、人口当たりのワクチンブースター接種率の国際比較をすると、日本の接種率が圧倒的に低い。行動制限が延長される一方で、ブースター接種率が遅いとなると、日本経済の回復が諸外国に比べて大幅に遅れ続ける可能性が高い。

    • にもかかわらず、欧米中心に経済政策が出口に向かうことで、日本でも経済政策を出口に向かわせる議論が高まるリスクがある。しかし、欧米経済と違って経済の正常化から程遠いのに経済政策の出口に向かうと、日本経済は正常化に向かうチャンスを失うことになる。

    • 多くの先進国ではサービス産業が回復しているのに対し、先進国にもかかわらず有事の医療提供体制が脆弱な日本では、行動制限の延長が続いている。そのため、他の先進国はコロナショックから脱しつつあるのに、日本はコロナショックから脱却できていない。このままでは、世界経済は多くの先進国が正常化に近づく一方で、行動制限緩和が遅れる日本経済の回復が遅れるK字型回復が続くことが予想される。

    • コロナショックは移動や接触需要を急激にシュリンクさせたことで業種や産業間でK字型回復をもたらしたが、有事における医療提供体制の格差により、国間でのK字型回復が続こう。特に日本は先進国の中で数少ない行動制限を延長している国であることから、他の先進国に比べて経済の正常化が大幅に遅れることになろう。
       

  • 次なるパンデミックを防ぐためにできること。世界の科学者が出した意外な答えとは? 2022.02.28 Mon CINRA

    • ​2月に「Science Advances」という権威のある科学雑誌に、世界各国の学者が協力して発表した論文がこの問いに対して一つの結論を出しました(*1)。
      それは…… 「自然を守ること」。
      *1 『Science Advances』に掲載の論文「The costs and benefits of primary prevention of zoonotic pandemics」

    • ペストやスペイン風邪から、鳥インフルエンザ、SARSや、エボラ出血熱、エイズといった感染症の多くは、「動物由来感染症」といわれ、動物から人間へと感染するウイルスが原因。

    • 宿主である生物から別の生物種へとウイルスが伝播することを「スピルオーバー(異種間伝播)」といいますが、論文によればこの大きな原因となっているのが、「森林伐採」なんです。

    • 端的にいうと、森林を伐採することで、ウイルスを持った可能性の高い特定の野生生物と人が交差する「森の端」の面積が増え、スピルオーバーのリスクが上がるんだとか。実際に、森林伐採ホットスポットと、ウイルス感染ホットスポットは重なっているケースが確認されているそうです。

    • 世界ではいま、毎年600万ヘクタール近くの森林が伐採されています(*2)。なんと、これは東京23区約100個分のサイズ。
      *2 オックスフォード大学とNPO Global Change Data Labが運営する「Our World in Data」のデータ
      未開の森林の奥に切り込めば切り込むほど、私たちは次なるパンデミックの発生リスクを高めているといえます。

    • 森林によって起きる問題といえば、温暖化もあります。温暖化が悪化すると、蚊の数が増え、感染症が広まる可能性があるといわれています(*3)。
      *3 『米国科学アカデミー紀要(PNAS)』に掲載の論説「Climate change hastens disease spread across the globe」

 

  • 21年の死亡数4.9%増、戦後最大 東日本大震災時上回る 2022年2月25日 20:50 日本経済新聞
     

  • コロナ禍が明らかにした失業者救済措置の課題 ~雇用調整助成金の特例措置をめぐって~ 2022 年 2 月 25 日(金)第一生命経済研究所

    • ​コロナ禍が長引く中、雇用維持のために敷かれた雇用調整助成金の特例措置も長期化している。この中で明らかになった日本の失業者救済措置の3つの課題を指摘する。

    • 第一に支給スピードの遅さ、利用者の利便性だ。コロナ危機当初は海外に比べて支給スピードの遅さが目立った。先にお金を配って後に返却を求めるアメリカの施策に対し、日本の雇用調整助成金は休業の事実が発生した後に申請、支給が行われる。この点で、危機時における企業の資金繰りへの配慮を欠いた設計になっていた。

    • 第二に、雇用調整助成金から漏れる人たちが発生したことだ。休業手当を支給しない企業では雇用調整助成金が機能しないケースが生じた。また、個人事業主であるフリーランス・ギグワーカーには既存の社会保障が手薄であり、急遽別の財政措置を用意する形での対応がなされた。日本はなおフリーランス・ギグワーカーを個人事業主として扱う方針だが、海外では職種等に応じて雇用者としてみなす方向性を示す動きがある。日本でも実態に即した法整備が必要である。

    • 第三に、特例措置が長期化する中で、雇用調整助成金が「成長産業への労働移動を阻害している」という批判が高まっている点だ。ただ、不況期には待遇改善等の伴う良い労働移動は難しくなるのが自然だ。失業給付の上乗せ等で対応したアメリカでは、日本よりはるかに大きな規模の失業が生じ、経済回復の進む中でも雇用の回復が遅れ、供給制約が深刻化している。概して危機時には保護重視、平時には労働移動重視の政策が望ましいと考える。労働移動を促す観点では、雇用調整助成金の在り方のみではなく、労働移動を妨げるその他の仕組み―退職金制度や副業禁止規定等の見直しも不可欠だ。

  • コロナ禍が明らかにした失業者救済措置の課題 ~雇用調整助成金の特例措置をめぐって~ 2022 年 2 月 25 日(金)第一生命経済研究所

    • ​コロナ禍が長引く中、雇用維持のために敷かれた雇用調整助成金の特例措置も長期化している。この中で明らかになった日本の失業者救済措置の3つの課題を指摘する。

    • 第一に支給スピードの遅さ、利用者の利便性だ。コロナ危機当初は海外に比べて支給スピードの遅さが目立った。先にお金を配って後に返却を求めるアメリカの施策に対し、日本の雇用調整助成金は休業の事実が発生した後に申請、支給が行われる。この点で、危機時における企業の資金繰りへの配慮を欠いた設計になっていた。

    • 第二に、雇用調整助成金から漏れる人たちが発生したことだ。休業手当を支給しない企業では雇用調整助成金が機能しないケースが生じた。また、個人事業主であるフリーランス・ギグワーカーには既存の社会保障が手薄であり、急遽別の財政措置を用意する形での対応がなされた。日本はなおフリーランス・ギグワーカーを個人事業主として扱う方針だが、海外では職種等に応じて雇用者としてみなす方向性を示す動きがある。日本でも実態に即した法整備が必要である。

    • 第三に、特例措置が長期化する中で、雇用調整助成金が「成長産業への労働移動を阻害している」という批判が高まっている点だ。ただ、不況期には待遇改善等の伴う良い労働移動は難しくなるのが自然だ。失業給付の上乗せ等で対応したアメリカでは、日本よりはるかに大きな規模の失業が生じ、経済回復の進む中でも雇用の回復が遅れ、供給制約が深刻化している。概して危機時には保護重視、平時には労働移動重視の政策が望ましいと考える。労働移動を促す観点では、雇用調整助成金の在り方のみではなく、労働移動を妨げるその他の仕組み―退職金制度や副業禁止規定等の見直しも不可欠だ。

  • 米国・欧州経済は「コロナ前」に回復、日本だけが足踏みを続ける理由 河野龍太郎:BNPパリバ証券経済調査本部長チーフエコノミスト DIAMOND online 2022.2.23 4:50

    • ​米国の実質GDP(国内総生産)がパンデミック危機前の2019年10~12月の水準を超えたのは、2021年4~6月だ。2021年10~12月には、2019年10~12月の水準を3.1ポイント上回った。回復の遅れていたユーロ圏でも、2021年10~12月にコロナ前の水準を何とか上回った。

    • 日本の2021年10~12月は前期比年率5.4%と高めの成長になったが、昨年1年間、コロナ禍に翻弄されたこともあり、いまだに2019年10~12月の水準を下回る。日本はパンデミック危機が訪れる直前の2019年10~12月には、消費増税によって、実質GDPが前期比年率で10.6%落ち込んだ。

    • 経済活動の戻りが鈍いのは、日本人の健康損失に対するリスク許容度が諸外国に比べて、著しく低いことも影響する。

    • 仲田泰祐・東京大学准教授によると、「コロナ死者数を1人減少させるためにどの程度の経済的犠牲を払いたいのか」を推計すると、日本人は何と20億円に上り、米国の約1億円、英国の0.5億円に比べて、相当に高い。こうした日本人の選好を配慮してか、岸田政権は極めて慎重な対応を崩していない。

    • 政府が慎重な対応を続けているのは、日本の医療能力が感染症に対して、極めて脆弱であることが底流にある。昨夏のように、重症化しても入院できず、自宅療養中に死亡するという医療崩壊を回避するためだ。
      昨夏のデルタ株のピーク時においても、コロナ患者のために使われた病床は、日本全体の病床のわずか4%にすぎない。

    • 400病床以上の大病院であっても、昨夏のピークで重症患者を受け入れているのは23%にとどまり、一部の大病院がコロナの重症患者を少しずつ平等に受け入れている、というのが実態だ。日経新聞の報道によると、昨夏に2000床を抱える東大病院が受け入れたのは8床だけだったという。

    • 本来なら、公的機関として積極的に対応すべき公的病院や国立大学病院にも政府の権限が十分に及んでいない。鈴木亘・学習院大学教授が論じる通り、緊急時における医療機関に対する指揮権発動など、政府のガバナンス欠如が原因と筆者も考える。

    • コロナ対応の医療能力が高まらないのは、資金不足というより、制度的要因が大きい。

    • 米国ではコロナ危機をきっかけに、「大転職時代」が訪れ、あらゆる世代において、賃金があまり上がらない職場から、高い賃金を払ってくれる職場への移動が生じていることも影響している。これが離職率の急激な高まりの背景の一つだ。より良好な仕事を求める自発的な失業の増加で、賃金上昇やインフレの加速を引き起こす自然失業率の水準が切り上がっている可能性もある。
      日本がかつて高い成長を経験したのは、明治維新や第2次大戦後の大きなリシャッフルが生じた局面である。もちろん、混乱は回避するに越したことはない。しかし、現在の我々は、極めて強い安定を選択している代償として、衰退企業に経済資源を固定化し、成長の機会を失っているのではないだろうか。

  • 「新型コロナウイルス感染症による旅行市場への影響」調査(第11回:2022年1月28日~2022年1月29日) 2022年2月21日 リクルート

    • ​潜在層を含めた旅行意欲全体は前回調査(2021 年 11 月)から 12.0pt 低下したが、依然として過半数(55.7%)を占めている
      〇2022 年 1 月末時点の潜在層を含めた旅行意欲は前回調査から 12.0pt 低下して 55.7%であるが、過半数が旅行意欲を持っていることには変わりない。
      〇旅行の予定のある人は前回調査から 8.8pt の減少。ボリュームゾーンである「旅行に行きたいが様子をみている」層は前回調査から 3.2pt 低下したものの 42.8%だった。

    • 《コロナ禍前と現在の生活者心理の変化について調査を実施》
      コロナ禍前(2022 年 2 月以前)と比べ、現在は特定の場所をじっくり巡る旅行が人気に
      〇生活者心理の変化を分析すると、限られた場所、余裕を持った旅程、リラックス、穴場などの要素を求める割合が、コロナ禍前より 5pt 以上増加した。
      〇情報の取得時期、旅程の決め方や細かさ、出費、新しい地域に行きたいかなどについては大きな変化は見られなかった。

  • 「コロナ禍で東京への人口集中鈍化」どう評価するか 戸所 隆(高崎経済大学 名誉教授・事業創造大学院大学 特任教授) 2022.02.21 世界経済評論IMPACT

    • ​総務省は2021年の人口移動報告(含む外国人)を2022年1月下旬に公表した。

    • 神奈川・埼玉・千葉3県は前年比増であったが,東京都は転入超過とはいえ前年より2万5692人も少なかった。なかでも東京都特別区部の人口は2014年以降初めて1万4828人の転出超過となる。

    • 一方,東京圏に隣接する茨城県,山梨県及び群馬県は前年の転出超過から転入超過へ転じた。この要因は,大手企業を中心にコロナ対策としてテレワークが取り入れられ,東京への通勤が可能で安価な土地・住宅を取得でき,相対的に環境の良い地域でのテレワーク移住者の増加にあるとういう。また,オンライン講義の増加で東京近県出身大学生が少なからず親元に拠点を移したことも大きいという。さらに数は少ないがDXや働き方改革の一環として本社機能を東京区部以外に移転させた企業の影響もある。

    • 今日ではテレワークの普及や環境意識の高まりから,バブル崩壊時より地方移住は持続するであろう。しかし,2021年の東京区部の人口減少で増加したのは東京近郊で大阪圏や名古屋圏すら流出超過である。ポストコロナでも社会活動が正常化し,テレワークや移住者への特別補助終了を期に東京再一極集中が起こり,地方衰退・東京との格差拡大の深刻化が懸念される。

    • 大企業の本社各種団体の本部機能が東京に集中する限り,また東京圏外の企業や大学には人材や受験生が集まらないという東京を頂点とする階層地域認識の歪んだ国民意識を転換しない限り,逆説的だが東京一極集中は復活・強化する。その結果,東京は再生しても東京以外は衰退し,日本の国力・国際競争力低下と貧困問題が益々深刻化するであろう。また,首都直下地震や新たな感染症などの災害対応能力も低下し,東京は最大の問題発生源化するであろう。

 

 

  • 第2回 新型コロナウイルス感染症対策において乱立したITに見る課題の本質 知的資産創造 2022年1月号 野村総合研究所

    • ​新型コロナウイルス感染症(COVID-19)を受けて、感染状況の把握や抑制、ワクチン接種を対象に中央府省や自治体を中心に多くのITシステムが投入されてきたが、結果として、それらが乱立してしまった面は否めない。いまなお、ワクチン接種に携わる関係者は苦戦しており、多くの不満も見られる。

    • ワクチン接種事業において発生した問題事象を紐解くと、乱立したITシステムがその要因となっている点も散見される。そして、そうした課題の本質には制度上の考慮不足とともにわが国が備えるべき社会基盤の弱点も見えてくる。

    • 今般の事業では重大な問題とならなかったものの、2021年8月に発生したモデルナ製ワクチンの異物混入や幾度となく発覚した制度を逸脱した接種など、今後を見据えると看過できないリスクをはらんでいる状況にある。

    • ワクチン接種の本格的な開始後は、先行する諸外国を上回る接種回数を非常に短期間で達成するなど、わが国の行政や民間企業の連携の強みが再認識され、有事対応に向けた貴重な教訓が得られた。これらを検証し、今後も断続的に発生し得るであろう新たな感染症対策に向けて、乱立したITシステムを再構成し、防疫に資する盤石な社会基盤整備に取り組むことが求められる。​

  • 分科会メンバーも「飲食店時短」の意味を疑問視 専門家らが「尾身会長」を徹底批判する理由 2022年01月29日 デイリー新潮 (週刊新潮 2022年2月3日号掲載)

    • ​琉球大学大学院感染症・呼吸器・消化器内科教授で、沖縄県新型コロナウイルス感染症対策専門家会議座長の藤田次郎氏

      • 「沖縄県のデータでは、デルタ株は平均5.6日、最長14日でした。一方、オミクロン株は平均2日で最長5日。すべての方が5日以内に発症しており、ほぼ異なった病気になったといえるでしょう。もう一つ大事なのが、ウイルスを排出するピーク。デルタ株は発症時にはウイルス排出量がピークを迎えており、発症2日前まで遡って濃厚接触者を探していました。これが困難でしたが、オミクロン株は発症して3~6日後にピークがくるので、発症前の濃厚接触者を捕捉する必要がありません。熱が出たときに接触していた人だけが、その後5日間気をつければよいことになる。保健所の業務が軽減します」

      • 「沖縄県では第6波に入って2万3千人以上が感染しましたが、残念ながら亡くなった方は、1月24日現在、70代のお一人です。致死率は2万3千分の1。インフルエンザより低くなります。デルタ株は致死率が2~3%でしたから、状況はまったく変わりました。全身の病気ではなくなっているということです」
        「沖縄県は真っ先にオミクロン株を経験し、約1カ月が経過し全貌が見えてきました。琉球という人口147万人の島嶼圏だからこそ、潜伏期やウイルス排出のピーク、致死率なども正確に出すことができました」

      • 「オミクロン株の病原性であれば、経済と医療を両立させるべきです。」

    • 名護市にある北部地区医師会病院呼吸器・感染症科の田里(たさと)大輔医師

      • 「ここにきて高齢者の患者さんが多く、80~90代の方も多く入院されています。高齢者施設でのクラスターも増え、施設職員から感染するケースが多い。こうして介護が必要な高齢者が入院すると、コロナ自体の重症者は少なくても医療体制は逼迫します。そもそも高齢者は肺や心臓などに持病があることが多く、感染すれば持病の悪化も相まって入院が長引きやすく、コロナ病床があっという間に不足する。この状況は、東京や大阪でもすぐに見られると思います」

        • 要は、介護施設の職員にも医療従事者同様、毎日の検査を義務づけるなど、ンポイントの対策こそ必要だ、という話。適用地域が広がる“まん防”で、こうした問題は解決できまい。

      • 「私は尾身会長の発言は当たり前の内容で、間違っていないと思います。これまでと性格が異なる変異株が出てきた以上、対策は変更されてしかるべきです。とはいえ、2年以上に及んだ、人流抑制策からの転換を提起したのだから、これまでの対策への検証が不可欠で、それをせずに発言したから批判を浴びたのです。また、感染が急拡大した場合、若年層は検査せず、とも言いました。高齢者や基礎疾患がある人が確実に受診できるように、という狙いでしょう。重症化率が低いオミクロン株であることを考えれば間違っていない。これも批判されたのは、説明しなかったからです」

    • 浜松医療センター感染症管理特別顧問の矢野邦夫医師

      • 「オミクロン株はワクチンを打っている人や若年層にとっては、もう風邪のようなもの。保健所や医療の負担を軽減するためにも、感染症法上の位置づけを5類に引き下げるべきです。南アフリカなどのデータを見ると、感染者の推移は3週間後にピークを迎え、その後、5週間ほどで収束となる。日本では1月24日からの週にピークを迎え、2月中に収束するでしょう」

  • 厳格な水際対策で留学生らが続々日本離れ、国益を損なうとの見方 横山恵利香 2022年1月27日 6:00 JST

    • ​主要7カ国(G7)の中でも突出して厳格な日本の水際対策を受けて、来日を希望していた海外の研究者や学生の一部は留学先の変更などの対応を迫られている。入国制限の緩和を求める声が上がっており、現状が続けば国益を損なう恐れがあるとの見方も出ている。

    • 書簡を提出した研究者らによると、推定で15万人の留学生が現在、日本に入国できず待機している。その中には、国際交流基金やフルブライト交流事業など権威ある機関が奨学金を授与した研究者も含まれていると、ハーバード大学のスーザン・ファー日本政治学教授は21日の記者会見で説明した。

    • 新型コロナウイルスのオミクロン株の感染拡大を受け、岸田首相は11日、水際対策を2月末まで維持すると表明した。政府は対面授業が必要で卒業や修了の期限が迫る国費留学生87人に対しては、例外的に入国を認める。

    • 日本を除くG7諸国はワクチンの接種証明や渡航前のPCR検査での陰性結果があれば、外国人の新規入国を容認している。

    • 世界保健機関(WHO)は19日、オミクロン株の発生後の渡航制限が感染拡大を防げず、「効果的でないことが明らかになった」との見解を示した。「実施する価値はなく、経済的・社会的な負担となり続ける」として、各国に渡航制限を撤廃するか緩和するよう勧告した。

    • 水際対策の緩和を求める声は国内にも広がる。経団連の十倉雅和会長は24日、外国人の新規入国停止を「見直す時期に来ている」と述べた。外国企業との技術協力や企業の合併・買収(M&A)交渉などに支障が出ているという。楽天グループの三木谷浩史社長は11日、「今更、新規外国人を入れないことになんの意味があるのか?判断があまりに非論理的すぎる。日本を鎖国したいのか?」とツイッターで批判した。

 

  • 蔓延防止に効果なし、「同調圧力」に屈せぬ 奈良県知事・荒井正吾氏 2022/1/27 19:38 産経新聞

    • ​感染「第4波」「第5波」の検証から、飲食店の営業時間短縮と酒類の販売停止が感染者数の減少につながっていないと判断した。医療が逼迫(ひっぱく)するから飲食店を時短するというロジック(論理)が分からない。奈良県は大阪府の10分の1の感染規模だが、これまで飲食店に時短要請をしなくても感染は収束した。

    • どうして感染者数が増えるのか、減るのか。国は検証せず、根拠を出さない。重点措置は効果がない割に経済への打撃が大きいと考える。敵のいないところに弾を撃つようなものだ。

    • 第5波のときは、奈良にも緊急事態宣言発令を要請しろといわれたが、効果がないのに経済への打撃が大きいことはしたくなかったので要請しなかった。「(要請を)出せ」という圧力を受けるのは政治家としては大変だが、緊急事態宣言の連発より、医療体制の拡充が大事だ。(飲食店の)時短が病床数に関係するとは思えない。

    • 感染症対策で最も必要なことはエビデンス(証拠)だ。日常生活との両立を図る中で効果が少ないものは採用しない。その際に求められるのが、複数の作戦の中で何が効率がいいのか、どれが効果があるのかを検証する「オペレーションズ・リサーチ」の発想だ。

    • 奈良は緊急事態宣言の発令や重点措置を適用しなくても感染が収束した。これが最大のエビデンスだ。

    • 国はエビデンスの材料になる数字を一番持っている。これをすると感染リスクが何%増える、これをすると何%減るということを検証してほしい。新型コロナとの戦いに勝つにはなにより情報分析。現場として納得して対策に取り組めるよう説得力のあるエビデンスやロジックを国が中心となって示すべきだ。

    • 日本人は自然災害には誇らしいほど冷静だが、感染症にはパニックになる傾向がある。今は感染予防の4原則、マスク着用▽距離をとる▽換気▽消毒―を徹底することが大切で、辛抱強く、用心して暮らしてほしい。感染の波は高くなったり低くなったりする。行政としては重症者と死亡者を出さないことに最大の力を入れ、医療体制を維持していく。

 

  • なぜ"日本のコロナ対策"は根本的に解決しないのか?医療界にはびこる不都合な事実 木村盛世(医師・作家)、和田秀樹(精神科医) 2022年01月26日 WEB Voice

    • ​※本稿は、木村盛世・和田秀樹著『なぜ日本は勝てるはずのコロナ戦争に負けたのか?』(かや書房 2022/1/4)を一部抜粋、編集したものです。

    • 医療費を抑制するさまざまな政策がとられました。そのうちの1つが診察報酬の減額です。多くの病院は収益を維持するために、患者数と受診回数を増やす薄利多売方式に切り替えました。その結果、病院は生活習慣病の患者さんに、本来は必要のない検査をしたり、飲まないほうが良い薬を与えたり、薬の処方箋は小分けにして患者に与え、受診回数を増やすようになり、患者さんの寿命を縮めているのです。

    • コロナ禍で病院が怖いというイメージが国民に広まり、みんなが極力、病院に行かなくなりました。その結果、何が起こったかというと、死者数が減ったのです。

    • 2007年に北海道の夕張市が企業でいう倒産にあたる、財政再生団体に指定され、それまで171床あった市民病院が19床になり、医療崩壊が起こりました。ところが、その後、夕張市ではさまざまな病気での死亡率が減ったのです。それと同じことが2020年の日本で起こりました。みんなが病院に行かなくなると、死者数が減りました。

    • 冷静に感染者数と死者数を見て、そういう人たちに踊らされないことが大事なのです。感染者数で言えば、例えばインフルエンザであれば、一冬におよそ1000万人。ということは、1日平均10万人の感染者が出ています。死者数は、コロナとインフルエンザではほとんど変わりません。インフルエンザの際と同じ冷静さを、政治家や医師たちを含め、国民が持てるかどうかです。

    • 新型コロナウイルスが2類相当なんて、おかしいんですよ。インフルエンザと同じで、5類相当にするべきです。SARSやMERSや結核は2類相当ですが、これは患者がそんなにたくさん出るわけではない。しかも致死性が高いから、それほど感染者も増えない。これなら保健所で対応できますよ。ところが風邪のウイルスを保健所で対応すると、収拾がつかない。

    • 病院的には2相当類のままのほうがいいんですよ。1人受ければ月に900万円の補助金が入るから。そのお金がある限り、2類のままのほうが彼らには都合がいいのです。

    • 病院には大金が入る。だから、どこの大病院、大学病院も、もう大黒字になっている。財務省の分析では、2020年の医療機関のコロナ補助金の受取額は平均で10億1000万円。利益は平均6億6000万円の黒字。感染拡大前の19年度は2000万円だったのに、ですよ。

    • 要するに、コロナのおかげで彼らは短期間に20年分の利益を稼げたわけです。しかし大黒字になっているのに、医療従事者には回さない。

 

  • 医療崩壊の元凶は医師会にあり…本当はあり余っているのに「病床が足りない」と騒ぐワケ 医療逼迫の責任を国民に問うな 2022/01/26 18:00 PRESIDENT Online 木村 盛世(医師、元厚労省医系技官)

    • ​本稿は、木村盛世『誰も書けない「コロナ対策」のA級戦犯』(宝島社新書 2021/12/10)の一部を再編集したものです。

    • コロナ禍によって改めてわかったことは、日本の医療機関の多くが“薄利多売”で儲けていたということでした。別の見方をすると今の病院は「来ても来なくても寿命に影響しない人たちを呼び込むことによって利益をあげてきた」ということでもあります。

    • 医師法17条で「医業」とは「医師しか行えない」との特権を国から与えられているのです。それが19条で「正当な理由なく患者を診ないことがあってはならない」とされているにもかかわらず私利私欲に走るのは、医師として許されることではありません。コロナ患者を率先して診た勇気をもった医療機関が存続し、それ以外は淘汰されるきっかけを新型コロナは与えてくれたのかもしれません。

    • 2020年11月、分科会会長の尾身茂氏が「個人努力だけに頼るステージは過ぎた」と語ったのもそういった思想があってのことでしょう。これはつまり、分科会も政府も医師会も2020年11月まで感染拡大防止を「国民一人ひとりの個人の努力」に頼り、病床確保などの手を打ってこなかったということです。そして、国民の努力が足りないから感染者が広がり、医療崩壊が起きると尾身氏は言っているのです。

    • 現実に起きたのは「医療崩壊」ではなく、営業自粛を要請された居酒屋の崩壊でした。医療崩壊を防ぐために時短営業や外出自粛が繰り返され、経営が成り立たなくなった居酒屋従事者たちの生活が逼迫するという悪いジョークのようなことが起きてしまったのです。

    • 2020年11月18日、日本医師会の中川俊男会長は「今週末を秋の我慢の3連休としてほしい。コロナを甘くみないでください」と、感染拡大地域との往来を自粛するよう国民に要請しました。
      何のための我慢なのか、何のための緊急事態宣言だったかという目的を皆が忘れ、我慢が主目的になっていることを象徴した言葉でしょう。

 

  • コロナ患者を拒否しつつ「病床が足りない」と叫ぶ日本医師会は、だれのための組織なのか 医療提供体制を整える気はあるのか 2022/01/18 9:00 PRESIDENT Online

    • ​コロナ禍の最大の課題は、医療の逼迫だ。これまで日本医師会は「医療提供体制が逼迫する恐れがある」として、就労制限などの感染防止対策を求めてきた。しかし、一部の医療者はこうした呼びかけに首を傾げる。ジャーナリストの笹井恵里子さんは「危機を叫び続ける医師会は『断らない医療』を実践する徳洲会に学ぶべきではないか」と指摘する――。

    • 「“コロナ対応という名目のために、救えるべきコロナ以外の患者さんの命を見捨てることがあってはならない”。それは当たり前のこと。ところがこの論法は、“ですから、コロナ以外の救える命のためにもバランスを考え、コロナ対応は制限せざるを得ない”と続きます」つまりなんの工夫も努力もせず、「コロナ以外の救える命のために」という名目(言い訳)によって、コロナ受け入れ人数を増やさない病院がある、ということだ。

    • 残念ながら、今日まで徳洲会以上にコロナに立ち向かう病院はなかったと私は思う。大きな要因として新型コロナが、保健所を通して入院勧告や隔離、就業制限を行い、濃厚接触者や感染経路の調査が必要な「2類相当」に位置することにある。すべてを保健所が仕切る。つまり「保健所の管轄下」にあり、患者側が直接「医療機関とつながる」ことができない。そのため発症から治療までタイムラグが生じ、手遅れになって重症化する人、在宅で放置されて死亡する人、入院したくても受け入れ先が決まらない……などの問題が起きた。今、現場では保健所を介さずコロナ患者を受け入れざるを得ない状況になりつつあるが、しかし一方で2類であるがために「患者を受け入れなくても済む」言い訳も生まれやすい。

 

 

  • 2021年の「旅行業」倒産は31件、7年ぶりに30件超 2022.01.12 東京商工リサーチ

    • 2021年(1-12月)の「旅行業」倒産(負債1,000万円以上)は31件(前年比19.2%増)で、2年連続で前年を上回った。30件台に乗せたのは2014年(37件)以来、7年ぶり。このうち、新型コロナウイルス関連倒産は25件(構成比80.6%)で、長引くコロナ禍が旅行業に深刻な打撃を与えていることがわかった。

    •  旅行業界は、2年にわたる新型コロナウイルス感染拡大の影響が深刻だ。度重なる緊急事態宣言等の発令で人流が抑制され、出入国制限により海外旅行とインバウンド需要が落ち込んだ。

    • 海外旅行の再開にめどが立たないまま、経営体力の乏しい中小・零細企業を中心に息切れが増えた。

  • 新型コロナワクチンと流言・デマの拡散 ~接種への影響を探る~ 『放送研究と調査』2022年1月号 公開:2022年1月1日 NHK放送文化研究所

    • ​本稿は、新型コロナワクチンをめぐる流言やデマが、20~40代の人びとの間でどのように拡散し、接種の意思決定にどの程度の影響を及ぼしているのかをインターネット調査によって明らかにしたものである。調査結果は以下の通り。

    • 何らかの流言・デマを「見聞きしたことがある」という人が全体の71%に上った。
      流言・デマの中で、最も多くの人が見聞きしたのは「接種すると不妊になる」だった。

    • 流言・デマを見聞きして「信じた」人が5%、「半信半疑だった」人が42%いた。流言・デマのうち、信じたり、半信半疑だったりした人が最も多かったのは「治験が終わっていないので安全性が確認されていない」だった。この流言を見聞きした人のうち60%が信じたり、半信半疑になったりした。

    • 流言・デマを見聞きして、20%の人が家族や他人に「伝えた」。伝えた理由で一番多かったのは「デマかどうかに関係なく、話題として伝えた」で、二番目が「不安な気持ちを共有したかったから」だった。

    • 流言・デマを見聞きして、接種を「やめようと思った」人が7%、「見合わせようと思った」人が28%いた。接種を躊躇したのはどのような流言・デマを見聞きしたからかを尋ねたところ「治験が終わっていないので安全性が確認されていない」が最も多かった。

    • 流言・デマを見聞きして、いったんは接種を躊躇した人びとが接種する気になったのは、多くの場合「感染への不安」や「同調圧力」によるもので、流言・デマの否定情報による効果は限定的であった。

 

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