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影響分析・提言等 [2022年7月~12月

  • COVID-19パンデミックに日本はどう対応してきたか? ――医療提供体制と人々の行動―― 社 会 保 障 研 究 Vol. 7 No. 3 2022.12 国立社会保障・人口問題研究所

    • 本研究は,わが国がCOVID-19パンデミックに直面してどのように対応してきたかを,実証研究と制度的側面からまとめたものである。主要な結論は以下の通りである。
    • 第一に,マクロ的な指標における日本の特殊性が明らかになったことである。PCR検査陽性者数とGoogleの活動指数が他国と比較すると変動が小さかった。感染抑止にかかわる厳格度指標も,都市のロックダウンなど非常に厳しい措置が行われた国と比較すると,相対的に低水準であった。
    • 第二に,わが国のCOVID-19への政策的な対応が対症療法とならざるをえず,混乱をきたしたことである。とりわけ,事前の法律的枠組みが存在しなかった2020年度はその傾向が顕著であり,頻繁な事務連絡が出ることで混乱に陥った。
    • 第三に,人々の行動が感染に影響を与えうることである。ワクチン接種が人々の行動や陽性者数に及ぼした影響に関する実証的知見をまとめ,政策的なインプリケーションを導く。
      本研究では,地域の特性に応じた裁量的な政策が困難な場合に,ルールに基づいた対応の重要性を指摘している。
       
  • 2022年を振り返って(前編)公開日付:2022.12.26 東京商工リサーチ

    • コロナ禍で倒産抑制に大きな効果をみせた資金繰り支援策は希薄化が鮮明になってきた。春から企業倒産は漸増状態に入り、6月には負債1兆円超の大型倒産も発生した。コロナ支援の出口戦略を睨み、3月に「中小企業の事業再生等に関するガイドライン」が公表された。その後も「私的整理の法制化」の議論が加速し、「過剰債務」へのアプローチが多様化してきた。​

  • コロナ禍で見えた「国と都道府県」「公共と民間」の歪み シリーズ:新型コロナはなぜ「5類」へとならないのか? 青山 佾 (明治大学名誉教授)2022年12月26日 Wedge ONLINE
    • 新型コロナウイルスの感染症法上の分類を重症急性呼吸器症候群(SARS)などと同じレベルの危険度が2番目に高い「2類」相当から季節性インフルエンザと同じ「5類」へと引き下げるべきか議論されている。論点は、感染者の把握から入院強制や行動制限、医療費の公費負担から一般の人々への外出自粛、事業者への営業時間短縮要請まで多岐にわたっている。
    • 2類相当のままだと都道府県知事が外出自粛や休業を要請する権限をもつ。権限を与えられている都道府県知事からも、2類相当を見直し、新しい分類による対応策を求める意見が出ている。
    • 医療費の公費負担の継続や病床確保などいくつかの対策を講じつつ5類に移行する、あるいは6類ともいうべき新型コロナウイルスという新しい分類を設けるのが現実的だが、そのためには国と都道府県、公共と民間の役割の整理が必須である。
    • もともと外出自粛や休業を要請する権限は新型インフルエンザ等対策特別措置法により主として都道府県知事にあるが、コロナ禍で政府の緊急事態宣言発令に伴って改定された「基本的対処方針」では、自粛要請を「国に協議の上」行うとの文言が入った。
    • 感染症をめぐって自治体の発言や政策が目立つ。国と自治体、公共と民間の役割が整理されていないのが一因だ。
      日本は欧米諸国に比べれば感染者数や重症者数が少なく人口比の一般病床数は多いのに、なぜコロナ禍で病床がひっ迫するのか。いろいろな理由が考えられるがひとつのヒントとして日本では人口当たりのICU病床数が欧米諸国に比べて少ない現状がある。
    • 医療に対する医療保険の役割と税の投入の役割、そして感染症に対する公立病院と民間病院の役割の整理についても議論することが望ましい。
 
  • 「誰の意思決定か見えにくい」尾身会長が語った課題と教訓「自らで判断し説明する政治家が求められる」 富山テレビ 2022年12月23日 金曜 午後8:33 FNN プライムオンライン
    • Q.コロナ対策の方針は
      *政府分科会 尾身茂会長「ロックダウンをやる国もあった。スウェーデンは最初から感染を許容しようという国、中国はゼロコロナ政策。スウェーデンと中国は両極端。日本は当初から両極端の中間をいくことにした。この病気はゼロにすることはできないという我々の判断。だからある程度感染を抑えながら、死亡者を減らしていくという作戦をとった」
    • Q.今後日本に必要なことは
      *政府分科会 尾身茂会長「感染症の対策を打つうえで必要な調査研究をやる。それをやることで、政府の対策に道筋がつくという研究者が絶対必要。それと危機管理。感染症も危機管理。災害医療と近い。限りあるリソースを有効に使う、優先順位をつけることもある。そういう司令塔が地域にも必要。合理的な調査研究、リスク評価ができないと。必要な研究だったらすぐやってもらえる体制を普段から作っておかないと、有事には急にできない」
    • Q.3年で感じた課題と教訓は
      *政府分科会 尾身茂会長「誰が意思決定をしているのか見えにくかった。誰が責任を持って、情報を分析し、その情報をもとに、誰が責任を持って対策を決めるか。政治家は我々と違う目線を持っている。経済や外交や財政。意見が違ったっておかしくない。そういう場合に、最終的に責任をとって判断するのは国。そこの文化がはっきりしなかった。専門家が決めているみたいな。最終的には自分らでリスクをとって判断して説明するリーダーが国に求められている。政治家に」

       
  • 新型コロナワクチンをめぐる人々の話題・関心の変化を分析 ―1億超の大規模Twitterデータを読み解く― 2022/12/23記者発表 東京大学国立情報学研究所 千葉商科大学科学技術振興機構
    • 新型コロナウイルスワクチン接種期間中の2021年1月から10月までにTwitter で投稿された「ワクチン」を含む1億件以上の日本語の全ツイートデータを時系列的に分析しました。
    • テキスト情報を考慮に入れた時系列分析を行った結果、2021年6月の職域接種の開始を境に、ワクチン政策、ワクチンの有効性、関連ニュースなどの社会的トピックに関するツイートの割合が減り、接種の予定や報告、自身の副反応などの個人的事柄に関するツイートの割合が増えていることを発見しました。本研究から、Twitterによる個人的な体験の共有がワクチン接種に対する安心感の醸成に寄与した可能性が示されました。
    • 本研究から、Twitterによる個人的体験の共有がワクチン接種への安心感を醸成した可能性が示されました。今後、公衆衛生などの政策決定を行う上で重要な人々の気持ちや興味・関心をおしはかる手段として、ソーシャルメディアデータ分析が活用されることが期待されます。

 

 

  • テレワークの普及で東京一極集中に変化はあったのか 佐藤泰裕 (東京大学大学院経済学研究科教授) 2022年12月6日 WEDGE Online 

    • 転入超過数(日本人移動者)について、東京を取り巻く状況がコロナ前に戻りつつあることを示唆する。一方で、新型コロナ禍は生活様式や働き方に大きく影響し、その中には今後も影響が残りそうなものも確かに存在する。

    • その一つが、zoomやWebexといったリモートコミュニケーションツールのかつてない普及であろう。一時期は友人と会うのもはばかられ、在宅勤務が推奨されたため、多くの人がオンラインでのコミュニケーションに頼った。最近はこうした対面交流に対する制限も緩くなったが、コミュニケーションの有力な手段の一つとしてリモートコミュニケーションツールは定着したと言えよう。

    • しかし、現実は、対面での交流とリモートコミュニケーションツールを用いた交流とは代替的ではなく、むしろ補完的であるという研究結果が得られている。

    • リモートコミュニケーションツールの普及は、現時点では集積の経済を強める方向に作用し、大都市を拡大させる効果を持っている可能性が高い。

    • 現役世代の中ではテレワークがある程度浸透していると考えられる。しかし、その普及度合いは、地域により大きく異なることもわかっている。

    • 国土交通省「テレワーク人口実態調査(2021年度)」によると、雇用されている就業者のテレワーカー割合は企業規模が大きくなるほど高く、1000人以上の従業員数の企業で最も高くなっている。大企業は東京を中心とした大都市に集中しているため、結果として大都市ほどテレワークが普及していると考えられる。

    • ロサンゼルス大都市圏について、テレワーク労働者の増加の効果についてシミュレーション分析の結果、テレワークの普及により、労働者は郊外に、企業は都心に移動し、都市全体で不動産価格が平均的には低下することを示した。

    • コロナ禍の日本についても人口移動の側面では似た動きが観察された。図1でみたように、テレワークが急速に普及した20、21年には相対的に東京圏の中心で人口が減り、郊外で人口が増えたのである。

    • 集積の経済と混雑の不経済への影響に鑑みると、リモートコミュニケーションツールの普及は、現状では、集積の経済との補完関係と混雑の不経済の低減効果により大都市への人口集中を更に促し、大都市内では都心近くに住む必要性を軽減して郊外化を促進する効果を持つと考えられる。近年の東京圏への転入超過数の変化を見ると、その効果がすでに顕在化しているとも考えられる。

 
 
 
  • コロナ禍での子どものウェルビーイングとレジリエンス【前編】2022年11月 4日掲載  【後編】2022年11月11日掲載 CRNアジア子ども学研究ネットワーク チャイルド・リサーチ・ネット
    • 分析結果より、8か国共通で、子どものウェルビーイングにレジリエンスが関連していることが明らかになりました(図1)。レジリエンスが高いほど、子どものウェルビーイング得点が高いということです。図2は、8か国データの中から日本のデータを抽出して分析した結果ですが、8か国共通で同様の結果が出ています。
    • これらの結果から、コロナ禍のような困難な状況で子どものウェルビーイングを実現するには、レジリエンスを育むことが重要だと言えます。
    • 日本では①母親の応答的な養育態度、②母親の子育て肯定感、③園(保育者)のサポート、④デジタルメディア使用時の母親のサポート、⑤遊ぶことができる友達の数が、子どものレジリエンスに関連していることが明らかになりました。

 

 

       新型コロナウイルス感染症対策に関連する各種施策に係る予算の執行状況等について 会計検査院

 

  • 新型コロナ 世界各国の専門家 ”脅威終えるための対応” 提言 2022年11月4日 7時27分 NHK

    • 新型コロナウイルスを脅威ではないようにするためにどのような対応が必要か、世界各国で対策にあたってきた研究者や医師など400人近い専門家が提言をまとめました。ワクチン接種とほかの感染対策などを合わせた対応や、社会や政府を挙げての対応が求められるとしています。

    • 提言では誤った情報やワクチン忌避、世界的な協力の不足、装備やワクチンの不平等な分配などといった政治的・社会的要因によって世界の新型コロナ対策は妨害されてきたとしたうえで、コミュニケーション、保健医療システム、ワクチン接種、予防、治療、それに不平等の問題の6つの分野で合わせて41の声明と57の提案が示されています。

    • この中では、新型コロナを公衆衛生上の脅威ではないようにするために、政府や関係者が行うべき特に優先度が高い提案として、
      ▽社会全体で対応にあたること、
      ▽人々が必要とするものに応じられるよう政府全体で対応にあたること、
      ▽ワクチン接種とほかの感染対策や治療、それに財政的な後押しを合わせた「ワクチンプラス」という考え方に基づいた対応を挙げています。

    • また、信頼を醸成し、対策への協力を得るためのコミュニケーションの改善のほか、変異ウイルスの監視や後遺症についての研究が必要だなどとしています。

 

  • 新型コロナウイルスへの企業の対応2022年の現状 東京海上ディーアール株式会社 2022.11.04

    •  本論文は主に企業のCOVID-19 への 2022 年の対応状況を記録する.

    • 日本はこの夏ウイルスとの共存を目指し行動制限をしない方向へ舵を切った.

    • 第6波第7波と感染者数が拡大し,国内企業はようやく感染症を対象とした事業継続計画BCPの検討と実践を行うようになった.

    • 国内では一部で工場の 1 週間程度の操業停止やバスや鉄道の一部運休などが発生した.

    • また部品供給停止による影響があった.

  • 働き方とライフスタイルの変化に関する全国調査2021」にみるコロナ禍における健康、雇用、意識と介護東京大学社会科学研究所 石田浩 他 中央調査社 
    (前編)2022/10 
    (後編)2022/11
    • 東京大学社会科学研究所が2007年より継続して実施してきた「働き方とライフスタイルの変化 に関する全国調査」の2021年調査を用いて、(1)コロナ禍前後における健康状態の変容、(2)日本 社会に対する希望の変化とその背景、(3)コロナ禍における雇用と収入、(4)家族介護の実態と影 響、という4つのテーマに関して分析をおこなった。
    • それぞれの分析テーマについての知見をまとめると、(1)コロナ禍では主観的な健康状態が悪くなっていると考えている人の比率が増えており、特に女性と低学歴者でその傾向がみられること、 (2)生活満足感がある程度高い水準で一定のまま推移している一方で、日本社会への希望は低水 準ながら変動しつつ推移していること、(3)医療従事者や介護・福祉職に従事する人は勤務日数や 労働時間が増加し、それにともない収入も増加していたのに対し、飲食業や製造業では勤務日数・ 労働時間・収入が減少していること、(4)家族介護は主に女性が担っており、家族介護は就業を中 断させ健康を悪化させる可能性があること等が明らかとなった。

 

  • 「もはやコロナ禍ではない」が66.6%、複合危機が経営課題の中心に ~ 第24回「新型コロナウイルスに関するアンケート」調査 ~ 公開日付:2022.10.25 東京商工リサーチ

    • コロナ禍への現状認識を聞いたところ、「もはやコロナ禍ではない」と回答した企業が66.6%にのぼった。内訳は「もはやコロナ禍ではなく、コロナ以外の環境変化への対応が急務だ」が49.9%、「もはやコロナ禍ではなく、事業環境は平時を取り戻した」は16.7%だった。

    • 一方、「コロナ禍真っただ中で、コロナ以外の環境変化への対応も急務だ」は28.9%だった。

    • 円安進行やエネルギー価格の上昇、原材料高騰、賃上げなど、経営を取り巻く環境が激変するなか、「複合危機」への対応が経営上の大きな課題に浮上していることを示している。

    • ただ、旅行、葬祭、結婚式場を含む「その他の生活関連サービス業」や「飲食店」では75.0%以上が「(事業環境は)コロナ禍真っただ中」と回答した。依然として、コロナ禍で深い傷を負った業種では回復が遅れているようだ。

    • コロナ第7波の新規感染者数がピークアウトし、政府は屋外では季節を問わず、マスク着用は原則不要としている。だが、感染防止に向けた行動様式が定着し、感染リスクへの潜在的な不安は大きく、人流の大幅改善は難しいとの見方もある。対面型サービス業を中心に、「コロナ禍真っただ中」と回答した業種の打撃は大きく、多様な支援や事業計画の立案が必要になっている。

  • コロナ禍と個人消費〜ウィズコロナの振り返りと今後の予測 ニッセイ基礎研究所 生活研究部 上席研究員久我 尚子 月刊資本市場 2022.10(No. 446)

    • コロナ禍の行動変容には不可逆的なものと可逆的なものがある。消費行動や働き方のデジタルシフト、世帯構造変化に伴う需要増などは前者であり、感染不安による外出型消費の抑制は後者と見られる。

    • コロナ禍では診療やフィットネスなど従来はリアルが常識であったサービスが次々とオンラインでも対応されるようになり、旅行会社でもバーチャル・リアリティを活用した観光需要を模索する動きもある。

    • また、オンラインでつながりながら野菜の収穫体験をし、後日、収穫物が自宅へ配送されるサービスなど、オンラインとリアルの融合も一層進んだ。 

    • そうなると、今後、リアルによる体験価値が薄れていくという見方もある。確かに、決まった商品の購入や事務手続きなど、即時性や効率性の高さが優先される行動についてはその通りだろう。 

    • 一方で旅行やライブ、外食、会いたい人と会うことなどは、その時、その場所でしか感じられない空気を、臨場感を持って、五感で楽しむことが主たる目的の行動だ。

    • 将来的にはメタバースやバーチャル・リアリティの進展で、現在のリアル行動の代替手段の水準は格段に上がり、新たな付加価値を持つ形にも成長していくだろう。しかし、1年後、3年後の近い将来では、むしろリアルの価値が再認識されることで、大きく揺り戻しが生じるのではないか。

 

  • 「ポストコロナの都市・地域政策のパラダイム」(経済社会研究会コメンタリーNO.12)東京大学大学院工学系研究科 准教授 瀬田 史彦 2022年10月28日 中曽根平和研究所

    • 都市・地域政策は、一定の地理的範囲である「圏域」を対象に行われる公共の働きかけである。多くの場合、1つの市町村や都道府県などの行政区(界)を対象として行われるが、複数の市町村や都道府県、またそれらの行政区(界)とは異なる区域を対象とすることもある。

    • 今、この圏域の概念が大きく変化し、またそもそも圏域という概念自体の意義に疑問を投げかけるような意見も出始めている。その要因には大きく分けると3つあると思われる。

      • まず人口減少によって公共サービスの需要が減少しているため、公共サービスの供給のあり方を決める圏域の考え方にも変化が生じていることが挙げられる。

      • つぎに、情報化の進展により、圏域の概念は大きな影響を受ける。公共サービスは、民間のサービスに比べるとまだ圏域に根差しているものが多いが、モビリティの問題も少なくネットに慣れ親しんでいる若い層を中心に、地理に縛られた圏域という概念から解き放たれた人たちが増えている。

      • そしてその流れを決定的にしたのが、コロナ禍による行動制限である。

    • 以上のような動きがないまぜとなりつつ、圏域という概念があいまいになってきていることは確かであるように思われる。圏域は、特にデジタル化によって過渡期にあると考えられるため、今後の都市・地域政策についても、技術進化やその受容についてある程度の幅を見積もりながら進める必要がありそうだ。

    • 現在、特にポストコロナにおける圏域の変化がどのようになるかについての実証研究はまだこれからの段階である。
      圏域だけでなく、公共サービスとは何かを見直すことにもなりそうである。

 

  • ポストコロナの医療提供体制研究会提言 2022.10.21 キャノングローバル戦略研究所

    • 今回の一連の感染拡大を通じて露わになった我が国の医療システムの脆弱性は数多いが、特に顕著であったのは、ICU等の高度医療提供体制の貧弱さと、全国8万に上る診療所について感染対策に寄与できる余地がもっとあったのではないかということ。本研究会としては、こうした反省を踏まえ、特に以下の11のアクションを重点的に提言したい。

    • 政策提言(全文)→ 政策提言(全文)(PDF: 1,142KB)
      アクションプラン → アクションプラン (PDF: 658KB)
      データスライド資料 → データスライド資料 (PDF: 1,178KB)
      メンバーリスト → メンバーリスト (PDF: 245KB)

 

  • 特集 コロナ禍で日本の生活者はどう変わったか テレワークが変えるワークライフバランス 「ライフ」への重点シフトが加速 知的資産創造 2022年10月号 2022年10月20日 野村総合研究所
    • 2021年に実施した「生活者1万人アンケート調査」ではテレワーク実施者は就業者全体の22%、人数換算で約1500万人存在しており、さらに年間120日以上テレワークを実施したヘビーユーザー(人数換算で約340万人)の余剰時間は年間200時間にも上ると推計される。その余剰時間の活用方法としては「散歩」「ランニング・ウォーキング」「パソコン」「読書」「スポーツ・フィットネス」など、自宅や自宅周辺で実施できるアクティビティの割合が高く、ワークライフバランスの視点では「ライフ」へと大きく加速した。さらには資格取得、副業への意向だけでなく、会社への貢献意識も高くなるなど、就業価値観にも明らかな変化をもたらしている。
    • 職種によってテレワーク実施率は異なり、「技能工、作業者」や「サービス職業従事者」では実施率が低い。しかし、これら職種ではテレワーク実施者の勤務先ロイヤルティが特に高く、テレワーク導入による従業員のロイヤルティ向上効果を期待できる。
    • テレワーク導入による業務への支障感は、緊急事態宣言に伴うテレワーク導入が全国的に広がった2020年5月調査では高かったが、その後低下している。支障感を抱く理由としては、テレワークに関する社内IT環境の整備上の理由よりも、コミュニケーション上不慣れであることの方が大きかったが、それはテレワーク期間の長期化に伴い次第に解消されていったと想定される。
    • テレワーク導入による仕事の効率低下は一時的なものであり、継続して行うことの効用の方が大きく、ニューノーマルな働き方(時間的にも空間的にも縛られない働き方)は今後も続くと想定される。コロナ禍以前とは異なる余剰時間の使い方に着目し、新たなビジネスが生まれることも期待される。
  • 特集 コロナ禍で日本の生活者はどう変わったか コロナ禍が日本の生活者にもたらしたもの 知的資産創造 2022年10月号 2022年10月20日 野村総合研究所
    • 直近3年間で日本のみならず世界の消費者に変化をもたらしたのは、新型コロナウイルスの蔓延である。2019年12月に初めて報告されて以降、全世界の人々の生活様式を一変させたコロナ禍は、22年半ばを過ぎても収束する気配を見せないが、生活者は「ウィズコロナ」として生活様式を変容させ、何とかこの新しい脅威と共存しようとしている。
    • コロナ禍は単に一過性の変化としてだけではなく、日本人の人とのつながり、働き方、余暇の過ごし方、消費行動についての時系列トレンドを大きく変えた。野村総合研究所(NRI)が1997年から継続している「生活者1万人アンケート調査」においても、2018年調査以前のトレンドに対して直近の21年調査では、これまでと異なる大きな変化が見られることとなった。
    • 日本の消費者の価値観や意識・行動には、オンライン化の加速と「おうち時間」回帰という大きな変化が生まれた。この総論では、各論考で触れる「労働」「余暇」「消費」を包含する生活全般に対する価値観や満足度・不安、人づきあい、生活防衛意識などについて紹介し、今後の展望および各論考で扱う要素への影響を考察する。

  • JHPSコロナ特別調査からみるコロナ禍2年間における家計のレジリエンス 慶應義塾大学商学部教授/パネルデータ設計・解析センター長 山本 勲 慶應義塾大学経済学部特任准教授 石井 加代子 「中央調査報(No.779)」

    • 本稿では「JHPSコロナ特別調査」(第1~5 回)を用いて、個人や家計のレジリエンス(ショックに対する復元力)に焦点を当て、コロナ流行か ら2年間におけるコロナ危機の家計への影響の 多様性と変化について確認した。

    • 未知のウイル スによる世界規模のショックに対して、それぞ れの家計がどれだけレジリエンスがあったのか という視点からみたところ、新型コロナウイルス感染症のパンデミックは、家計に一様ではな く多様な影響を変化しながら与えてきたことが わかった。低所得層やコロナ禍で大きな影響を 受けた医療・福祉・飲食・宿泊業・サービス職 に従事する層で、ウェルビーイングの低下が顕 著であり、こうした層の人々はさまざまな面で コロナ禍の悪影響を回避できるほどレジリエン スは高くなかった可能性が示唆される。さらにコロナ危機によるこうした多様な影響は、2年の 間に変化しており、こうした点を確認できるの は同一個人を追跡するパネルデータならではの 利点といえる。

    • また、コロナ危機による負の影響が目立つ一 方で、コロナ危機を契機に普及した在宅勤務を 活用し子育てと仕事の両立を実現することで、生産性を高めるといったポジティブな影響も ワーキングマザーにおいて確認できた。在宅勤 務の実施においても、高所得層、正規雇用といっ た属性で多く、危機下においても仕事を継続で きるという点で、これらの属性の人々はレジリエンスの高い働き方を実現できた状況がうかがえた。

    • 新型コロナウイルス感染症のパンデミックと いう未曽有の危機に直面して、レジリエンスと いう非金銭的な側面においても人々の間で格差 があることが確認できた。長寿化が進む中、自 然災害や経済危機、失業や疾病といったリスク は人生の中で何度となく訪れるかもしれない。 こうしたショックに対してしなやかに強靭に対 応していくという意味で、レジリエンスは重要 であり、今回の危機で浮かび上がったレジリエンスにおける格差をどうしていくか、今後の重 要な課題となるだろう。

 
  • 政策形成における数理モデルの利用:新型コロナウィルス感染症への対応を事例として 報告書 令和3年9月 未来工学研究所 2022年10月14日 更新
    • 感染症の拡大には地域的・民族的な抗体の獲得状況やウイルスの変異、人々の動き(頻度や距離、場所)や行動の態様・接触状況、背景にある社会的・文化的・経済的な相違など複雑な要素が関係する。
      今回の新型コロナウイルス感染症への対応において、政府などにおける政策検討の過程で日本と英国等でどのような数理モデル(感染者数等の予測に関するもの)がどのように利用されたかを比較することで、数理モデルを使った政策分析が、より優れた政策の立案等にどのような貢献をすることが可能か、それをより効果的に行うためにはどうしたらよいか(専門家活用の仕組み、体制など)等の示唆を得ることを目的として本調査を実施した(調査実施期間:2020年10月~2021年9月)。
    • 本調査の主な知見は以下のとおりである。
      • 〇COVID-19 による感染者数、死亡者数の国別の相違
        世界の平均値は 10 万人当たりの感染者数、死者数はそれぞれ 3072 人、62.6 人である。日本は 1354 人と 14.3 人であり、世界的に見てもどちらもかなり少ないことが分かる。米国と英国は 10 万人当たりの感染者数・死者数はそれぞれ約 13416 人と約 216 人、約 12252人と約 204 人であるからほぼ同じような位置にあることが分かる。どちらの国も日本に比べると感染者数、死亡者数がかなり大きいことが読み取れる。また、それ以外の国ではペルーが感染者数に比して死者数が極めて大きいこと、また同様にボスニアヘルツェゴビナ、ブルガリア、ハンガリー、ブラジル等では 10 万人当たりの死者数が大きい。このように COVID-19 の感染状況、死亡者の状況は国別に大きな違いが見られた。
      • 〇数理モデルと COVID-19 対策との関係
        研究開始から 1 年経って分かってきたことは現実は予想以上に複雑であり、数理モデルの活用と COVID-19 抑制政策の間におけるクリアカットな因果関係などの関係性を抽出することは現時点では困難である。要するに、COVID-19 がまだ収束していないためどのような施策が効果的かどうかについて判断することが困難であるとともに、数理モデルの活用以外の数多くのパラメータが存在するということである。
      • 〇感染症対策における疫学数理予測モデルの活用における日本と英国の仕組みの相違
        日本は、一般に危機管理時の専門家からの助言システムは米英に比べて整備は遅れてきたが、感染症数理モデルが政策策定に利用されたのは COVID-19 が初めてのケースであったとされる。
        英国には、コロナのような非常時に複数の省庁間で政策立案する内閣府ブリーフィングルーム(通称 COBR)があり、緊急時は、関係省庁がとる対応の調整機関として働く危機管理委員会(SAGE)が COBR に設置される。今回のコロナでも SAGE は科学的な見地からコロナ拡大防止策への助言を行っている。
      • 〇専門家会議等で検討されたモデルの相違
        本の専門家会議で検討されたモデルは SIR モデルであったのに対して、英国で検討されたモデルはエージェントベーストモデルであり、学校休校、社会的距離の確保、家庭への隔離、70 歳以上の者の社会的距離の確保といった施策をモデルに取り込んだものであった。このモデルは既に 2006 年のインフルエンザパンデミックの感染者数の地域的な拡大のシミュレーションモデルとして開発されており、それを修正して発展させたものだった。
        また、新型コロナウイルス感染についての数理モデルの論文が英国の研究者グループによりかなり早い時期から発表され、これらは英国の政策決定に影響を及ぼした。
      • 〇ビッグデータの活用促進
        数理モデルとも関連し、COVID-19 対策で他に注目されることとしては、スマホの位置情報を使った分析が幅広く利用されるようになったことである。
      • 〇感染症数理モデルの知見の政治家の認識、政治家による政策説明への影響
        総理大臣、大臣、専門家(感染症全般)、専門家(数理モデル等)と、数理モデルへの言及の程度は上の階層になればなる程少なくなる。その少なくなる程度はどのくらいなのだろうか。会見録から確認してみたところ以下の結果となった。例えば、内閣総理大臣であれば新型コロナ感染症関連だけについて発言する訳ではなく、また、政策の検討状況や分析内容について細かく説明するよりも、決定した政策の内容やそれが人々の生活にどのような影響を与えるか、影響を受けた人々や産業等をいかに補償するか、などについての説明の割合が多くなるのは当然である。また、政治家であれば、その個性も発言内容には当然影響する。例えば、医師出身の政治家であれば、より専門的な見地からの説明も期待されまたそれに応えることがあるだろうし、同様に、数理系の経歴を持つ政治家であればより数理的内容への言及が多くなるものと考えられる(ドイツのメルケル首相など)。
      • 〇日本の感染症数理モデルへの研究資金配分・専門家育成状況
        諸外国では国家プロジェクトとして数百億円の予算規模で、スーパーコンピュータを数台も駆使して数理モデルの開発がされているとの見方があるのに対して、日本では新型インフルエンザの数理モデル開発のための政府予算は殆どないとのことである。他方、米国や英国の研究者の作成した数理モデル(エージェントベーストのもの)では家庭、学校、職場をモデルに入れているが、日本では「通勤電車」を通勤・通学で多くの人が利用する点がこれらの国とは異なっているので、日本における感染拡大状況をモデル化するためにはそれを考慮するなどの変更を行うことが必要との指摘がある(大日・菅原、74 頁)。ただし、米国や英国と比較すれば研究予算規模は小さいとみられるが、2010 年代の中ごろからは感染症の数理モデルに関連する研究に対して、厚生労働科学研究費や科学研究費助成事業(科研費)の助成は多くなってきている。
      • 〇日本の感染症数理モデルの専門家の活用状況
        感染症の数理モデルに関連した研究課題に科研費の助成を受けた研究者数はこの図では 57 人いるが、継続して研究テーマを採択されている研究者数は多くはない。日本では数学者で感染症数理モデル関連の研究課題で科研費を貰っている人(微分方程構いる。そのような理学部(一部は工学部)の数学者と、医学部の疫学の先生(医学部出身者)の連携に問題がある
        英国では、根本的に日本と違う点があり、大学内に公衆衛生という学部や研究所があり、そこで数学者と医学部が連携できる土台ができている点がある。
 
  • 「コロナ禍における日本の人口動態の変化とその対応」 (経済社会研究会コメンタリーNO.11)駒澤大学経済学部准教授 増田幹人 2022年10月5日 中曽根平和研究所
    • 日本では、コロナ危機により、2020 年 12 月から 2021 年 1 月にかけて合計特殊出生率が急低下し、その後、急激な反動増が見られるが、その後は元の水準に戻り、低下傾向を示していた。低下傾向に戻ったことは、従来の日本の少子化トレンドに戻ったと解釈することができるが、コロナ危機の効果が従来の少子化の背景要因と相乗的に作用した結果と考えることもできる。合計特殊婚姻率については、コロナ危機による急低下は確認されなかったが、対前月比で見ると、緊急事態宣言が出された 2020 年前半から大きな負の変化率が観測されやすくなっていることから、婚姻率もコロナ危機からある程度影響を受けていることが示唆された。
    • 日本を都道府県別に見ると、出生率が低い都道府県ほどコロナ危機以降の出生数の低下が強く、自治体間の出生率格差がより大きなものになった可能性がある。出生率の低い都道府県には日本全体への影響力が強い大都市を含むケースが多く、こうした都道府県ではコロナ危機以降の出生数低下が強いため、日本全体の少子化、人口減少がますます強まる可能性が示唆された。したがって、大都市においてはより積極的に少子化対策を行っていく必要がある。
    • また、少子化対策が充実し、性別役割分業の意識が弱い緩少子化国では、急低下後の急激な反動増以降も出生率の上昇を経験して元の水準に戻っていないか、もしくはそもそも急低下自体経験していなかった。こうした国では日本のような国と異なり、コロナ危機の出生抑制効果を打ち消す力が強いと考えられる。このことは、日本において少子化対策のより一層の推進と、ジェンダー平等を推し進める必要のあることを示唆している。
    • また、コロナ禍における日本の少子化に対する対応策を考える場合、一歩進んだ大胆な施策が必要になると考えられる。その一つとして、地方創生の観点から、出生率が低くかつ人口規模が相対的に大きい地方の「中枢中核都市」における少子化対策の拡充が挙げられた。すなわち、これは国全体の出生率上昇や人口減少抑制に対してある程度以上の影響を与えるものと考えられる。
 
  • コロナ禍における東京23区の人口移動 2022年10月05日 ニッセイ基礎研究所
    • 東京23区の転入超過数を年齢別にみると、「10代」と「20代」は、大学や専門学校等への進学や新卒就職等を背景に「転入超過」を維持している。しかし、「30代」は、2020年に▲14,881人、2021年に▲26,705人となり「転出超過」に転じ、「40代」以上では「転出超過」が拡大傾向にある(図表2)。
    • 転入超過数(月次)をみると、2022年に入り「転入超過」に転じたが、2022年5月以降、再び「転出超過」となっている。昨年から回復の兆しはみえるものの、コロナ禍前(2019年)の水準には至っていない(図表6)。「在宅勤務」を取り入れた働き方が浸透し、「都心に近い」など通勤利便性を重視する傾向が弱まり、多様な価値基準による住居選択がひろがるなか、住宅需要に影響を及ぼす人口移動にも変化がみられる。不動産運用を行う上で、人口移動を引き続き注視する必要があるだろう。
 
  • コロナ破たん、関東に全体の4割が集中 1都3県が100件以上 「新型コロナウイルス」関連破たん【10月3日16:00 現在】2022.10.03
    • 10月3日は16時時点で「新型コロナ」関連の経営破たん(負債1,000万円以上)が13件判明、全国で累計4,180件(倒産4,037件、弁護士一任・準備中143件)となった。9月は206件が判明し、月間では2022年3月(216件)、2022年6月(212件)に次ぐ過去3番目となった。
    • 2021年の年間件数は1,718件に達し、2020年の843件に比べて2倍に増加した。2022年も9月までに前年同期比3割増(32.6%増)の累計1,606件に達し、高水準が続いている。
    • 倒産集計の対象外となる負債1,000万円未満の小規模倒産は累計214件判明。この結果、負債1,000万円未満を含めた新型コロナウイルス関連破たんは累計で4,394件に達した。
    • 国内の企業数(358万9,333社、2016年総務省「経済センサス」)を基にした比率では、コロナ破たん率は0.122%で1,000社に1社が破たんした計算となる。都道府県別で最も比率が高いのは東京都の0.223%で唯一の0.2%台、一方最低は宮崎県の0.043%で、地域間での格差がみられる。
    • コロナ関連融資は、返済開始が本格化する時期に差し掛かってきた。だが、コロナ禍以前の水準にまで業績が回復しないうえ、円安進行による資材高や物価高などの事業環境の悪化も重なり、返済原資を捻出できないケースが増加している。
       過剰債務に陥った企業の息切れや脱落を中心に、コロナ破たんは引き続き増勢をたどる可能性が高まっている。
  • 国際共同研究「コロナショックから何を学ぶか?」 経済分析 第204号 2022年(特別編集号) 内閣府経済社会総合研究所
    • 本特集号では、各コーディネーターによる3つの展望論文を収録している。いずれの論文も、国際的な研究動向を踏まえながら日本の研究に焦点を当て、雇用・消費、企業、社会経済システムといった切り口でさまざまな研究を紹介しており、2020〜21 年度にかけて発表されたコロナ研究が網羅的かつ体系的にまとめられている。
    • 雇用・家計・消費への影響についてまとめた第1論文(照山・木村論文)では、コロナショックの影響は決して一様ではなく、就業に関しては対人サービス業や非正規雇用者、若年層・女性、消費に関しては流動性制約のある家計や高齢層、家庭に関しては家事・育児負担の増大を経験した女性などに偏っており、異質性が高いことが挙げられる。また、こうした異質性は男女間あるいは正規・非正規間での格差を明確化したほか、テレワークなどの柔軟な働き方ができるかどうかという点での働き方の格差も生んだ可能性も指摘されている。政策的には、定額給付金などの所得補償政策が経済的救済と消費喚起の両面から一定の効果があったことや、感染拡大防止と労働・消費機会の維持という新たなトレードオフ関係への対応が課題として残ることなどが示されている。
    • 企業への影響についてまとめた第2論文(滝澤論文)では、政府や金融機関を通じた資金繰り面での支援や休業・休職を通じた雇用面での支援が奏功したことや、宿泊業に関する支援策である「Go To トラベル」の評価は区々であること、ゾンビ企業の割合は必ずしも世界金融危機時よりも増加しているとは限らないことが指摘できるとしている。さらに、在宅勤務の実施には企業のマネジメント能力やテクノロジー、無形資産の蓄積が重要であり、また、感染予防の観点からもサービス業の稼働率の平準化の観点からも、時間に関する柔軟な働き方やそれを実現するための環境整備が必要であることを指摘している。
    • 行動変容が経済社会システムに及ぼしつつある変化についてまとめた第3論文(小塩論文)では、ロックダウンやソーシャル・ディスタンス政策が人々の外出抑制といった行動変容をもたらしたこと、その際にはリスク選好などの心理的性向に及ぼすナッジ・メッセージなどが有効であること、外出抑制やテレワークへの移行は属性による異質性が大きいこと、コロナ前からの子どもの学習環境の格差がコロナ禍での成績格差に反映されやすいこと、家事・育児・労働供給のバランスの取り方が家庭において重要となったことなどが挙げられる。さらに、パンデミックによって精神健康が悪化し、自殺や自殺念慮のリスク増加が確認されたほか、ソーシャル・キャピタルが精神健康面への悪影響を緩和する可能性も指摘された。このほか、パンデミックによって日本の医療制度の課題が浮き彫りになり、地域医療機関間の役割分担や機能調整を進める仕組みを整えることの重要性が示された。
 
  • コロナ禍における働き方の変化~働き方のデジタルシフト 2022年09月26日 ニッセイ基礎研究所
    • ニッセイ基礎研究所が実施している「新型コロナによる暮らしの変化に関する調査*」の第1回調査(2020年6月)から第9回調査(2022年6月)における就労者の回答を使って、勤務先への出社、在宅勤務、オンライン会議やビジネスチャットの利用等コロナ禍で働き方等がどのように変化したのかを紹介する。
      働き方等の変化
        1|勤務先への出社、在宅勤務の利用
        2|オンライン・非対面ツールの活用
        3|上司や部下、同僚との会食

 

 

  • 第3の都市,都市空間の変貌 瀬藤澄彦 (ITI 客員研究員・帝京大学経済学部 元教授)2022.09.19 世界経済評論IMPACT

    • 価値連鎖の上流部門と下流部門の頭脳に相当する戦略的に重要な意思決定活動を集中的に多国籍企業が集積立地することによってここに「グローバル・シティ」,世界的な中核拠点メトロポール都市が形成される。

    • コロナ禍は,まず世界的な都市の序列構造に変化が生じせしめた。国家間のサプライチェーンの寸断によって国内の中小都市との繋がりが再び重要度を増してきた。コロナ禍はデジタル化を加速させて都市機能の一部はデジタル空間に移行した。MNCのプットフォーマーとして価値連鎖機能のスマイル・カーブが一層,高度化するようになった。

    • 東京の丸の内・六本木,パリのラ・デファンス,ロンドンのカーナリーワーフ・シティ,ニューヨークのマンハッタンなどの都心部は,①専門家同士の近接・相互交流,②学習イノベーション,③人材のシナジー効果などで世界的競争優位を築いてきたが,世界都市の集積は大きな試練に立たされようしている。世界本社の立地は企業の国籍,業種,経営戦略によって異なるが,グローバル価値連鎖における分散と集中は拠点グローバル都市であるパリ,ロンドン,ニューヨーク,東京における本社設置のレゾンデートルは,都心回帰復活のなさと深刻化するオフィス供給過剰によって厳しく問われている。

    • このような状況のなかで都心部再生の動きが欧米都市部の公共空間は反省期に入り,歩行者,自転車,道路歩道の空間の再整備に舵を切っている。「第3の都市」という選択が急浮上するようになった。第1のハイテク機能都市,第2の田園都市,そしてこの2つの都市を止揚した言わば第3の衛星都市型モデルである。コロナ禍を経て企業組織に対する働き方の考えが大きく変ろうしている。自動車と同じように公私の中間的交通体系の台頭と同様に,住居と会社との間の都市空間に個人としてのオフィス空間を設けることによって自宅勤務とのときの世帯生活領域と公的領域につぐ自己空間の「都市」が徐々に拡大しつある。

    • 今回のコロナ禍で,既にフレキシブル・オフィス,レンタル・オフィス,サテライト・オフィス,コワーワーキング,シェア・オフィス,などの名前でこのような「自分」だけの都市空間が世界的に都心部や都心・郊外の中間地点などで急増している。欧米主要都市ではすでに全オフィス・ストックの5%を越えると勢いである。このモデルでは,コンパクト都市にありがちな過密,交通渋滞なども緩和され,従って大気汚染も少なくなることも期待できる。都市機能にMaaS(Mobility at a Service)を適用すれば人々の移動も一層,スムースになると期待される。さらに,かつて英国ハワードが描いたような田園都市モデルの職住接近にも完全ではないが,FUAの機能空間内のCBDという自宅から遠くないところにオフィスを構えられる。これはまさにハワードのガーデン・シティ論が躓いた盲点を克服できる点であるかもしれない。

 

 

  • コロナ禍で放置された「中高年ひきこもり」60万人に増殖、老いた親に限界が来たらどうなる?迫る日本壊滅のタイムリミット=鈴木傾城 2022年9月13日 Money VOICE

    • 収入がないなか、社会からの接点も切れた状態でひきこもっている人たちは、コロナ禍でますます孤立して「社会に戻れなくなってしまっている」と見るべきなのだ。しかし、コロナ禍で「ひきこもり」が許容されるようになって、彼らの存在は忘れ去られようとしている。リモートワークは一部に定着したが、これからはリモートワークしていた人々も社会に戻る時期となる。

    • ひきこもりは日本全国で見ると約100万人を超えている。

    • 若者だけではない。中高年のひきこもりも多い。内閣府は「自宅に半年以上閉じこもっている「ひきこもり」の40~64歳が、全国で推計61万3,000人いる」とコロナ以前の2019年に報告していた。

    • この中高年のひきこもりを、老いた親がいつまでも面倒を見ている。80代の親が自室に引きこもって何もしない50代の息子を年金で細々と養う。生活費が足りなくてどちらも貧困で共倒れになりつつある。それが「8050問題」である。

    • 彼らのほとんどは20代からひきこもって、それが長期化していよいよ50代に到達してしまったというのが現状だ。彼らの20代は、バブル崩壊以後の「超氷河期」と呼ばれる時代にぴったりと合致する。

    • 少子高齢化問題と、ひきこもり問題と、労働問題と、社会保障費の増大のありとあらゆる問題が密接に絡み合って日本を襲いかかっているのが分かる。日本社会は予断を許さない状況になっている。
       

  • 新型コロナが日本の劣化を助長した理由 新型コロナと既得権益の暗闇~異端のススメ~ 中村繁夫 (智探庵代表)2022年9月10日 Wegde ONLINE

    • 政府は根拠の乏しい自粛生活を強要した。日本人は実に従順にお上の要請に従った。マスクを忘れると非国民扱いされ、外出すらできない沈鬱な2年半を過ごした。なぜか、われわれ日本国民は世間体を気にして意味のない同調圧力に屈してしまうのだ。

    • 異端者が窒息する日本の組織
      ①中国、シンガポールに勝る、日本の組織の既得権益
      ②組織の権力者が一旦権力を握ると離さない
      ③哲学のない人物が権力を握る

    • 組織の停滞を正すのは異端者だ

      • コロナ禍を盲信する日本人の姿と一国平和主義を盲信する日本人の姿にはたった一つの共通点がある。「われわれ自分の頭で考えなくなってしまった」ということだ。何でも既得権に守られたお上(統治者)の言われるままになってしまった。

      • コロナ時代を経験して見えてきたことがはっきりしてきた。アフターコロナになって炙り出されてきた問題が既得権益の暗闇であった。実は日本中が既得権益に守られている産官学医の世界はオワコン化しているのだ。

  • 新型コロナが暴いた後期高齢者医療費効率化の余地 島澤 諭 (関東学院大学経済学部教授)2022年9月7日 Wegde ONLINE

    • 現役世代の家計状況を総務省統計局「家計調査」によれば、消費税負担は月平均で2.9万円ほどであるのに対して、所得税や住民税など直接税は4.7万円、公的年金保険や医療保険など社会保険料は6.5万円と社会保険料負担が最も大きく、消費税負担の2倍以上となっている。

    • 同じく総務省統計局「家計調査」によれば、給料はこの10年で1.16倍にしかなっていないにもかかわらず、社会保険料負担は1.29倍になっている。そして、社会保険料の中でも今後さらに負担を増すのは現役世代が保険料負担だけでも4割を担っている後期高齢者医療制度だ。

    • 後期高齢者医療制度は、原則、75 歳以上の後期高齢者全員が対象であり、75歳の誕生日を迎えるとそれまで加入していた国民健康保険や被用者保険から自動的に加入することになる公的医療保険制度の一つである。

    • 負担の内訳をみると、後期高齢者の保険料負担1割、後期高齢者支援金4割、税(公費)負担5割であり、税負担は、国:都道府県:市区町村=4:1:1となっている。後期高齢者の自己負担は所得水準によって異なり、原則は1割負担だが、一定以上の所得がある場合は2割、現役並み所得がある場合は3割となっている(2割負担は今年10月1日より)。

    • 日本経済新聞の報道によれば、「新型コロナウイルス禍での高齢者の受診控えなどで医療費が減少したこと」にある(日本経済新聞「後期高齢者医療、現役世代の支援金2.3%減 20年度」2022年6月23日)。受診控えが後期高齢者の死亡率に与えた影響を見ると、75~79歳で死亡率が増加したものの、80歳以上では大きく死亡率が低下し、後期高齢者全体で見れば死亡率は低下している。

    • 結果として、20年度では、新型コロナ禍によって6.5(=1.2÷17.7)%の後期高齢者医療費の無駄(過剰医療需要:消費税に換算すると0.8%分)を削減できた。

  • コロナ禍の下での国内人口移動の変化 共済総合研究 第85号(2022.9)一般社団法人 JA共済総合研究所

    • 本稿では、コロナ禍以降の国内人口移動について、直近のデータを元に改めて事実関係の整理・確認を行ったうえで、東京圏など都市部のみならず全国の市町村においても大きな変化が生じている点について確認した。

    • さらに、都市部と地方の雇用・賃金格差を点検し、従来安定的に観察されてきたそれら基本的な要因と都市部・地方間の人口移動との関係に変化が生じたのか否かについて検討した。

    • 現時点ではこうした関係に著しい変化が生じている可能性は低く、コロナ禍がいずれ終息していくとの前提に立てば、2021年にかけて減少した3大都市圏の転入超過数は今後増加していく可能性が高いと考えられる。

  • コロナ禍の人口への影響 ~外国人の入国者数の減少と東京一極集中緩和が進む ~ 2022.08.31 SOMPOインスティチュート・プラス㈱

    • 住民基本台帳に基づく2021年の人口動態が2022年8月に公表された。

    • 外国人が調査対象になった2013年以降では、日本の人口(日本人+外国人)の減少数は最大となり、また、東京圏の東京都、神奈川県、千葉県、埼玉県の全てが人口減少に転じた。

    • コロナ禍が外国人の入国者数の減少等により日本の人口減少を加速させ、また、東京圏の転入超過数の減少等により東京一極集中の緩和をもたらしたといえる。

    • 今後は、入国制限の緩和により外国人人口の減少に歯止めがかかる一方、フルリモートワークの定着等により2022年前半も東京都の転入超過数はコロナ禍前に戻っておらず、東京一極集中の緩和は続くであろう。

 

  • 一度決めたら変えられない 日本で続くコロナ対策の失敗 2022年8月24日 Wedge ONLINE

    • 日本の感染対策は、検査態勢が十分ではないにせよ、数字的には、うまくいっているといえるだろう。

    • 医療関係者は、常に医療ひっ迫を訴えているように見える。新型コロナ感染症が日本で広がって2年半経過しているにも関わらず、大胆で包括的な病床確保策、発熱外来の整備、中等症と重症患者の的確な選別などは十分ではない。

    • そもそも2類相当としたのは、04年のSARSや09年の新型インフルエンザ(亜型H1N1)流行時の封じ込め成功例があるからだ。全数を把握し、しっかり追跡できれば、新興感染症を早期に封じ込められるという考え方だ。しかし、新型コロナは違っていた。感染力が強いうえ、感染しても症状が出ない人もいるなど全く異なっていた。変異しやすさも大きな特徴で、ワクチン接種した人や一度感染した人でもかかっている。

    • 政府の初期対応を検証した報告書「新型コロナ対応・民間臨時調査会」によれば、厚労省は、20年5月になっても国会議員に「誰もがPCR検査受けられると問題が起こる」旨の文書を提出。偽陽性によって医療ひっ迫に陥るとした。官邸内部でもPCR検査拡大を積極的に表明できない雰囲気だったという。

    • 全数把握をするための受け口となった保健所職員は、合理化によって過去30年で20%以上減少している。日本の医療は民間病院が支え、200床以上の病院の4割は民間だ。その多くが、コロナの受け入れを拒むなどの構造的な問題も露呈した。

    • 要は、SARS、新型インフルのようにほぼ10年おきにパンデミックが日本を襲っているのに、それに対応できる法整備、体制構築ができていなかったと言える。

    • 一度動き出した政策を変更するのには時間がかかる。2類から5類への変更や、濃厚接触者の扱い方、外国人観光客受け入れ策などなど。政策変更することはそれまでの政策を否定することにつながると、日本人は考えるからだ。
      メディアが毎日感染者数を報道しているが、この発表でどれだけ行動変容を迫られるのか疑問で、感染抑制効果は見られない。その意味でメディアも熟考が不可欠だ。

    • 政策についてアドバイスしてきた政府の分科会(尾身茂会長)など専門家グループが、22年5月までに、政府に対し66を超える政策提言をしたが、それがうまく採用されないなど、政治家と専門家の関係はギクシャクしていた。

    • 分科会の枠を超えて尾身会長ら有志が8月初旬、「現行法の範囲内で可能な対策」「法改正などが必要な対策」について提言を発表した。本来は、分科会の中でやるべきことを有志の発表という形にしたのは、政府がそれを認めなかったからだという。

    • 命を脅かす緊急事態に直面したとき、専門家の意見をどう政策に生かしていくのか、その基準つくりを政治家側がきちんと考えていないことの表れではないか。そもそも、同様のことは、福島第一原発事故の後にも指摘されたが、10年間ないがしろにされてきた。

    • 同じ光景が新型コロナで再び見えている。失敗の歴史を繰り返して、学んでいないということを政治家は重く受け止めなくてはならない。今回の新興感染症で、日本の医療体制の不備、コミュニケーションの不全、ワクチンの国内製造体制の脆弱性など多くの問題点が露呈した。新型コロナが終息した後、政府はこれを検証するだろうが、福島第一原発事故の時のように1年検証しただけで、後は何も改善しないということはあってはならない。

  • 新型コロナと行動制限~公衆衛生倫理から考える(前編)健康被害の増加か、社会経済的損失か パンデミックがもたらしたジレンマ 2022年08月24日 論座

  • 新型コロナのパンデミックは、世界中の人々の生活とものの考え方に大きな変化をもたらした。その原因の一つは感染拡大によって生ずる甚大な健康被害であり、もう一つがこれらを抑制するためにとられてきた「公衆衛生的・社会的対策(public health and social measures)」である。WHOの定義によると、公衆衛生的・社会的対策とはワクチンや治療薬などの薬物的介入以外の社会的な対策のことであり、これにはマスクの装着、消毒、換気などの日常の感染対策から、社会的距離、渡航制限、都市封鎖、集会の制限、外出制限といった個人の社会行動に制限を課す対策が含まれる。本稿では、このうち感染者であるか否かにかかわらず市民の行動に制限を課す対策のことを「行動制限策」と呼ぶ。

  •  Oxford COVID-19 Government Response Trackerのデータによると、同年4月30日時点で住民に対して何らかの行動制限を要請していた国は184カ国であった。つまり、この時点で地球上の人類の大半が行動制限下にあったということになる。さらにこの状況は、ワクチンと治療薬が開発導入されて以降も長期間にわたって続いた。2022年初め以降の世界的な制限緩和の流れの中においても、5月30日時点で88カ国において行動制限が課されている。複数の研究が、行動制限策が流行抑制に効果があったことを示している。

  • 一方で、世界規模で講じられた行動制限策は、市民生活に心理的負荷、社会文化的停滞、経済的損失を含む負の影響をもたらした。国連教育科学文化機関(UNESCO)によると、パンデミックにより世界中で16億人の子供達が教育の中断の影響を被ったとされる。また、世界の労働時間は2019年第4四半期に比べてパンデミック直後には18.7%減少し、その後も4.5%減少のまま推移している。この影響は特に中低所得国において顕著である。

  • 倫理学は個別の倫理的問題について判断を下すことはしないが、その判断についての考え方や方向性、あるいは基準を示すことが期待される。このうち特に公衆衛生における倫理的問題を扱うものが、「公衆衛生倫理」と呼ばれる。

  • 日本はコロナ禍にどう対応したのか?—2年間の消費ビッグデータから読み解く 2022年8月24日 (独法)経済産業研究所

    • 日本はこれまで感染拡大の7つの波と3回の緊急事態宣言を経験したが、諸外国で行われたような強制的なロックダウン、行動制限、マスク着用の義務といった措置はとらず、日常生活における様々な行動変容によって危機に対処してきた。
      2020年1月から2021年12月の2年間分のPOSデータと家計簿アプリデータを組み合わせることで、コロナ禍における消費行動の変化を総合的に把握することができました。

    • 3密回避にともなって私たちの余暇の過ごし方が変わりました。多くの人が余暇を過ごす選択肢として漫画とゲームを選んだことがわかりました。

    • 自宅で過ごす時間が増え、「食」に関しても変化がみられました。家庭での食事が増え習慣化したことにより、調味料の売れ行きは好調に推移しています。スーパーの食料品販売だけが増加し続けました。一方、飲食店での支出は、引き続きコロナ前を下回り続けています。

    • オンライン会議や授業で使用されるWebカメラやヘッドセットの販売動向について、1回目の緊急事態宣言の解除以後は、両製品の売り上げは継続して増加し、自宅学習や在宅勤務が増加傾向にあることが確認されました。

    • 感染者数の多寡、ワクチン接種率の高低に関わらず、人々は両製品を購入し続け、マスク着用や手指消毒が私たちの日常生活に浸透していることがわかりました。
      マスクの購入の季節性や、マスク不足による購入の集中・分散などがなくなりました。これは、いかに日本で暮らす人々がマスクを着用し続けたかを示しています。

    • 店舗では体温検査や手指消毒など、新しい買い物の仕方を取り入れ、感染予防に努めてきました。決済方法も金銭授受を避け、従業員とお客さんを感染リスクから守るため、キャッシュレス決済が増加しました。
      正しい情報が提供された後には、私たちはすぐに行動を変え、早期に購買行動が安定するという特徴も見られました。

 

  • 東京都の時短命令を違法とする判決が確定 飲食チェーン側が控訴取り下げ 2022年8月16日 20時34分 東京新聞
    • 新型コロナウイルス特別措置法に基づく東京都による営業時間の短縮命令で営業被害を受けたとして、飲食チェーン「グローバルダイニング」(東京)が都に損害賠償を求めた訴訟で、グローバル社側は16日、控訴を取り下げた。時短命令を違法とする一方、命令を出した小池百合子知事の過失を認めず、請求を棄却した一審東京地裁判決が確定した。
      • 弁護団によると、コロナ禍での営業の制限を巡り、司法判断が確定するのは初めて。
    • 一審判決後に「判決が確定していない」などの理由で従来の対応を継続する自治体の動きもあり、弁護団は訴訟を早期に確定させる社会的意義を重視して控訴を取り下げたという。
      • 5月の一審判決は、グローバル社が各店舗で感染対策を取っていたことなどを理由に、時短命令は発出要件の「特に必要がある」場合に当たらないと判断。一方、命令を発出した小池知事の証人尋問は行わないまま知事の過失を認めず、賠償請求を棄却していた。
  • Future of health 3 | Innovation boosted ROLAND BERGER
    • 2019年、2020年に実施した前回の調査を踏まえ、第 3回目の「Future of Health」 調査では、これらの疑問に対する答えを提示したい。
    • 業界関係者は、2026年までにヘルスケア市場の 12%をデジタルが占めると予想している。 人工知能、早期発見、人々の行動を変えるツールなど、数多くのデジタル技術の革新により、約 1兆ユーロの世界市場価値を示すと予想されている。
    • そして、遺伝子治療や電気薬学療法などの新しいタイプのイノベーションは、病気の治療方法を大きく変えるだろう。
    • このような変化を促進する上で、プレイヤーはそれぞれ異なる役割を担うことになり、それに応じて異なる戦略を追求する必要がある。
    • 製薬企業や医療機器メーカーは、「フィジカル」 及び「デジタル」的なイノベーションを引き続き牽引する一方、医療従事者やペイヤーは、自分たちの役割を再定義することになるだろう。 ビジネスにおけるエコシステムや、オープンイノベーションのネットワークについて考えることは、誰にとっても重要なことだと言える。
    • 1 ヘルスケアにおけるイノベーション
        新しい変革
      2 未来の形
        二つの世界が融合する
      3 ヘルスケア市場への影響
        イノベーションによる影響
      4 各プレイヤーへの示唆
        異なる役割
      終わりに

 

 

  • 新型コロナ(COVID-19)収束シナリオ 第4回:感染症の状況に適応した措置のための制度と技術活用を 2022.8.3 三菱総合研究所

    • 新型コロナの致死率は着実に低下しているが、インフルエンザを上回る。

    • 新たな脅威となりうる変異株の発生などについては、引き続き注視が必要。

    • 効果的なサーベイランスなどを継続するためには制度とシステムが重要。

      • ① 感染症法の区分を二類から五類に変えるだけでは対応する医療機関は増加しない

        • 五類相当に変更すると行政が法的に要請できる範囲が限定され、今後、感染力が増大した場合などは対応が困難となる。このため、現状の二類相当での運用を続けるべきであると考える。

        • 多くの医療機関で対応できるようにするためには、類型を変えるのではなく感染症法の改変が必要である。2022年8月1日の厚生科学審議会感染症部会では、一般の医療機関も感染症法において協定を締結するなど、法的に感染症患者の診療が義務付けることが提案された 。また同時に、人材育成、医薬品等の備蓄、設備の整備等を支援する必要性にも触れられている。

      • ② 次の感染症への対応の観点

        • サーベイランスと検査により感染現状を適切に把握し、状況に応じた対応をすることが、感染症対策には最も重要である点は共通認識となったといえる。これは、新型コロナの変異株への対応のほか、次の感染症パンデミックも含めて、共通して言えることである。

        • 経済への影響を最小限にしつつ行動制限を緩和するためにも、この「情報収集」、情報を集める「技術」、そして情報・技術を十分に活用するための実行性を高める「制度運用の仕組み」が必要となる。

 

  • BIGLOBEが「コロナが収束した後の行動に関する意識調査」第3弾を発表 2022年7月27日 ビッグローブ株式会社

    • コロナを理由に飲み会などを断ったことのある人の約 8 割が今後も誘いを断る傾向

      • 全国の25歳から50代までの有職者の男女523人に、「コロナ禍を理由に飲み会や社内イベントを断った経験」について質問したところ、全体の44.4%が「ある」と回答した。

      • 年代別にみると、25~29歳では「ある」と回答した人が38.9%、50代では51.7%と年代が上になるほど断った経験のある人の割合が上昇するという結果になった。

      • また、断ったことがある人に「今後、出社が増えたとしても、新型コロナウイルス感染症を理由に飲み会や社内イベントを断ると思うか」と質問したところ、「(断ると)思う/やや思う」をあわせた回答は約79.3%となり、約8割が飲み会や社内イベントを断ると回答した。

    • 今後出社が増えた場合、起こりそうだと思うのは「メンタルヘルスの不調」が23.9%

      • 全国の25歳から50代までの有職者の男女523人に「今後出社が増えた場合、起こりそうだと思うこと」を質問したところ、「メンタルヘルスの不調」(23.9%)、「飲み会や社内イベントの増加」(21.0%)となった。

    • 仕事についての意識の変化は「ワークライフバランスを重視」が約9割で最多

      • 全国の25歳から50代までの有職者の男女523人に「コロナ禍を機に、これからの仕事についての考え方に変化があったか」と質問したところ、「あった/ややあった」をあわせると26.8%が「変化があった」と回答した。どのような意識の変化があったかを質問したところ、「ワークライフバランス」が「重視するようになった/やや重視するようになった」をあわせると88.6%で約9割となり最多となった。

 

 

  • 地方・郊外移住を希望するのはどんな人か~「第8回 新型コロナによる暮らしの変化に関する調査」より 2022年07月21日 ニッセイ基礎研究所

    • 総務省の住民基本台帳人口移動報告によると、今年5月、東京都の転入超過数は720人となり、5か月連続のプラスとなった。注目されていた地方移住は進まず、寧ろ、東京一極集中の方向に逆戻りしてきたようである。一方で、コロナ禍に入って地方・郊外移住への関心は高まっており、住まいに関する意識と行動にはギャップがある。そういう人たちは、条件さえ合えば、行動に踏み出す可能性がある。

    • そこで、移住希望者は何を望んでいるのかを探るため、ニッセイ基礎研究所のコロナ調査から、地方・郊外移住希望と、ライフスタイルやビジネススタイルの変化等に関する設問とのクロス分析を行った。その結果、移住希望は、様々な要素と関連していることが分かった。

      • 子どもが誕生・就学した家庭だけでなく、子どもが独立間近の家庭では、移住希望が高い。

      • コロナ禍で家族と過ごす時間が増えた人と、逆に、一人の時間が増えた人では、移住希望が高い。

      • コロナ禍で収入減少や失業など家計不安を感じている人は、移住希望が高いーーなどである。

  • コロナ禍における男女間の雇用動向―日米比較 丸紅経済研究所 2022年7月7日

    • 米国のコロナ禍における男女別の就業状況をみると、女性の就業者数の落ち込みの方が大きく、復元も遅れている。女性の就業者数をコロナ前のピークと比較した場合、一時、約▲1,350 万人減少し、足元では▲74 万人となっている。一方、男性は落ち込みもより小さく、既にコロナ前の水準を回復した。

    • コロナ禍においては、飲食・レジャーをはじめとするサービス業種における雇用が大きく削減された。女性はとくにサービス業で就労する割合が大きく、パートタイム労働比率も高いため、コロナ禍における雇用調整で大きな悪影響を受けた。

    • 日本でもコロナ禍における雇用の変化をみると、正規雇用者は増加傾向が続いたのに対して、非正規雇用者は 2020 年4月に急減した後も回復せずに横ばいとなっている。とくに、女性の非正規雇用者については、25~34 歳や 35~44 歳などの子育て世代を中心に減少している。また、業種別にみると、米国と同様に、特にコロナ禍で需要が急減した宿泊業・飲食サービス業や生活関連サービス業・娯楽業などの対面型サービスを中心に雇用者数が大きく減少した。

    • 男女間の雇用格差の背景には、①就業業種の違い、②正規労働・非正規労働など雇用形態の違い、③同一職種における賃金格差の問題などがある。中でも、就業業種の違いを解消しない限り、真の意味での
      雇用における男女平等は達成できない。

  • コロナ後の地域における集客・交流のあり方 ―地域の魅力に深く触れる、解像度の高い観光体験のために― 2022年7月4日 三菱UFJリサーチ&コンサルティング

    • 今後、緊急事態宣言下のような広域での移動の制限・自粛が長期において実施される可能性は低いと見込まれるものの、人々の公衆衛生に対する意識は依然として高いと考えられる。

    • コロナ後において、集客・交流の場として来訪者に選択されるための条件として、日常では経験できない感動や興奮、癒しといった魅力だけではなく、安全に・安心して行動できることに対しても優先度が高まるとみられ、各地において新しい交流・集客の姿を実現するには、適切な媒体により情報発信できる基盤の整備や、ある程度人流コントロールが可能な仕組みの導入が重要である。

    • さらに、コロナ後においては、広域・長距離を移動しながら複数の観光地を効率的に周遊するよりも、行動圏域としては一定のエリアにとどまるものの、身近な近隣地域を散策したり、特定のエリアに滞在したりしながら地域の魅力を自分のペースでじっくり感じ取ることを重視する人々が増えてくることも考えられ、これまで来訪者には十分に伝えられてこなかった、日常の暮らしや風土に溶け込んだ地域固有の魅力を発掘することも求められる。

    • そのため、集客・交流や観光の舞台となる地域・施設が、訪れる人々から期待されるような体験の価値を提供できるよう、来訪者の周遊しやすさへの配慮や観光サービスの充実を図り、それだけではなく、地域住民の地元への愛着、誇りの醸成や、地域の魅力の発信などの取り組みも一体的に進めるなど、より一層の努力・工夫が必要と考えられる。

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