top of page

参考情報 [2024年1月~]

[11月]
 
[10月]
  • 〈情報混乱起きた新型コロナ「レプリコンワクチン」〉非科学的なフェイク情報の原因と影響 唐木英明( 東京大学名誉教授)2024年10月22日 Wedge ONLINE

    • レプリコンワクチンは臨床試験によりその安全性と有効性が確認され、2023年11月に国が承認した新しい新型コロナワクチンであり、24年10月から定期接種に使用されている。ところが24年8月には日本看護倫理学会がその安全性を疑問視する緊急声明を発表した。

    • これを見て、「レプリコンワクチン接種者は危険な感染性毒素を呼気から排出する」などの理由で摂種者の立ち入りを禁止する美容院やヨガスタジオが現れ、複数の医療機関までがこれに同調し、SNSはレプリコンワクチンの危険を煽るフェイク情報でにぎわっている。

    • レプリコンワクチンに対する誤解が急速に拡大した理由は少なくとも3つある。

      • 第1は人間が持つ危険重視の本能であり、危険説と安全説があったときには危険説を信じることで自己の安全を守る。

      • 第2は直感で判断するという人間の特性である。判断できないときには、「多くの人が信じていることは正しい」と思う本能もある。こうして、SNSの情報のほとんどが危険論であり、安全論が極めて少ないことは、個人の判断に非常に大きな影響を与える。

      • 第3は、信頼できる人の意見を受け入れるが、信頼できない人の意見は拒否するという本能だ。安全を主張するワクチン販売企業や厚生労働省への信頼度は、危険を主張する学会やSNSよりずっと低いのだろう。こうして多くの人が危険情報を信じて、国民的誤解ができつつある。

    • 日本看護倫理学会は、日本看護系大学協議会に所属しているが、主要な学会が参加する日本学術会議協力学術研究団体には所属していない。その学会が明らかなフェイク情報を緊急声明として理事長名で発信した意図は理解できないが、理解できることはその判断の根拠がお粗末であることだ。

      • 日本看護倫理学会の、レプリコンワクチンは日本以外の国で承認されていないのは安全性に問題がある、ワクチン自体が接種者から非接種者に感染(シェディング)する、ワクチンがヒトのDNAを変化させるという主張は非論理的な推論そのものであるとともに、都合がいい証拠だけを取り上げ、偽物の専門家に依存している。さらに声明全体からは「国は国民の健康より企業の収益を重視している」という陰謀論の影を感じるのは筆者だけだろうか。

    • Meiji Seikaファルマの小林大吉郎社長は、レプリコンワクチンを導入した医療機関に対して誹謗中傷や脅迫が寄せられ、ワクチンの供給に支障が出ていることを明らかにした。そして批判を繰り返す団体を名誉毀損で提訴する方針を示した。

  • 2024年度の新型コロナワクチン定期接種に関する見解 2024年10月 日本感染症学会・日本呼吸器学会・日本ワクチン学会 2024年10月21日 日本感染症学会

    • COVID-19の高齢者における重症化・死亡リスクはインフルエンザ以上であり、今冬の流行に備えて、10月から始まった新型コロナワクチンの定期接種を強く推奨します。

    • 定期接種として用いられるJN.1対応新型コロナワクチンは5種類です いずれも有効な免疫誘導力と安全性が臨床試験で確認されています

    • 高齢者には新型コロナワクチンの定期接種を強く推奨します

    • 関連:コロナワクチン 3学会が見解 レプリコン“シェディング”ない 2024年10月21日 17時02分 NHK

      • ​今回初めて接種に使われている「レプリコンワクチン」と呼ばれる新しいタイプのワクチンについては、免疫反応を起こす遺伝情報を含むmRNAという物質に加え、そのmRNA自体を体内で増幅する酵素も組み込まれていることを説明したうえで、

        • ▽ワクチンに感染力のあるウイルスなどは含まれておらず

        • ▽接種を受けた人が周囲の人に感染させる「シェディング」と呼ばれるリスクはないとしています。

      • ワクチンに詳しい北里大学の中山哲夫名誉教授は「レプリコンワクチンを接種したとしても、細胞の中でメッセンジャーRNAを複製しているだけで、それもずっと続くわけではない。体内でできるのはスパイクたんぱく質だけで、感染性を持った完全なウイルス粒子ができることはない。周りの人にばらまくことはまずない」としています。

 

  • モデルナ、藤沢にmRNA原薬工場 日本で製造強化 2024年10月18日 化学工業日報 

    • 米バイオ製薬のモデルナは17日、神奈川県藤沢市にメッセンジャーRNA(mRNA)技術を用いたワクチン原薬の新工場を整備すると発表した。ステファン・バンセルCEOは会見で、「今後3年の間に、欧米などで承認や臨床試験(治験)が進んでいる呼吸器感染症のワクチンを日本に導入する」

    • mRNAワクチンの原薬工場は同市の湘南ヘルスイノベーションパーク内に設置し、2~3年内に完成する予定。昨年買収した日本のスタートアップのオリシロジェノミクス(現モデルナ・エンザイマティクス)のプラスミドDNAの無細胞合成技術を活用してmRNA原薬を作る。研究、開発、生産の一貫体制を日本で実現し、パンデミックワクチンを迅速に供給する。バンセルCEOは「需要にあわせて能力を短期間に増強できる」と話した。

    • 関連:米モデルナが国内初のワクチン製造拠点 藤沢の湘南アイパーク内に 2024年10月18日 10時45分 朝日新聞アピタル

      • 米バイオ企業モデルナは17日、日本初となるワクチン製造拠点を藤沢市の「湘南ヘルスイノベーションパーク(湘南アイパーク)」内に設けると発表した。遺伝情報の一部をコピーした「m(メッセンジャー)RNA」を使う技術をベースにしたワクチンや治療薬の製造を見据え、2027年の稼働をめざす。

      • コロナ禍を機に国産ワクチン開発・生産体制の強化を決めた政府方針に基づき、経済産業省の補助金も受けるという。
         

  • 「新型コロナ後遺症の原因」の手がかりを示す新たな研究 2024.10.13 14:00 Forbes JAPAN

    • ​研究者たちが、初回感染から数カ月経過した新型コロナ後遺症患者の血液中にSARS-CoV-2タンパク質を検出した。このことは、持続的なウイルスの「貯蔵所」が新型コロナウイルス感染症の後遺症と関連している可能性を示唆している。

    • ある報告では、米国内で推定580万人の子どもが新型コロナ後遺症に苦しんでいる可能性があるとされている。さらに、米疾病予防管理センター(CDC)のデータによれば、成人の約18%が新型コロナ後遺症を経験したと報告している。

    • 新型コロナ後遺症は依然として複雑で難解な問題であり、新型コロナウイルス感染の非常に現実的かつ潜在的に深刻な後遺症である。しかし、慢性疲労症候群と同様に、その診断と治療は依然として困難である。

【9月】
  • パンデミックは必ずまた起こる――尾身茂が振り返る日本のコロナ対策、成功と失敗 9/29(日) 15:00 Yahoo1ニュース オリジナル RED Chair

    • ​「政府の検証は不十分だと思います。すべての人が大変な思いをした、100年に一度の危機ですよ。誰かを非難するためではなく、次のパンデミックに備えるため、政治家、官僚、専門家、地方自治体、マスコミといったあらゆる関係者が、公開されているデータ、資料等をもとに検証する必要があります」

    • 「日本の人口当たりの死亡者数は欧米諸国に比べて低い。日本の反省すべき点は準備不足だったこと。よかった点は、それを一般市民等が補ったことだと思います」

      • 「国民が罰則や罰金がないにもかかわらず、国や自治体による行動変容のお願い、緊急事態宣言などに自主的に協力してくれました。それから、医療関係者、保健所の人たちのがんばり。三つ目の要因が『ハンマー&ダンス』と呼ばれる施策です」

        • 日本は、医療の逼迫(ひっぱく)が起きそうになると緊急事態宣言のような強い対策、つまりハンマーを打ち、医療逼迫が軽減されると強い対策を解除する、いわゆる「ハンマー&ダンス」を繰り返した。

      • 準備不足の一例として挙げるのがPCR検査だ。もう一つ、準備不足の最たる例として医療情報のデジタル化の遅れを指摘する。

    • 分析するためのデータが不十分かつアクセスに時間がかかる。電話やファクスなどで各地域から情報を送ってもらう必要があり、情報分析の担当者が体を壊したりもしました。

    • 日本の医療はなぜ逼迫したのだろうか。

      • 「感染症法上の位置づけが2類相当で一部の医療機関しか診られなかったので、患者数が少なくても逼迫するというのがまず一つ。それから、日本の病院は中小病院が約7割で、高齢者医療に特化しているところが比較的多い。また、経営を成り立たせるためには病床をある程度埋めなければならず、いつ来るかわからないパンデミックに備えて空けておくことが難しいのです。さらに病床当たりの医師の数が欧米に比べて少ない。感染症は全身疾患ですから、総合的に診られる医師を育てなくてはならないという課題もありますね」

    • 2月24日、「専門家は政府から聞かれた課題に答える」という暗黙の境界線を越え、国民に向けて「今後1~2週間が瀬戸際」という独自のリスクメッセージを出す。この見解を出すことについて、専門家会議のメンバー全員が同意した。この日を境に専門家はコロナ対策の前面に出ることになり、葛藤の日々が始まる。

    • 政府と専門家の意見が一致せず、提言が受け入れられない時もあった。

      • 意見が衝突した一例は、2021年夏に開催した東京五輪だ。2021年6月、「今の状況で開催することは普通はない」という尾身の発言が波紋を呼んだ。国会での質問に対する回答の一部が広まった。

      • 政府は6月21日に「会場の観客数の上限を収容定員の50%」「上限1万人」と発表したが、7月8日にこの決断を覆し、無観客開催を決めた。尾身が3年半の間で精神的、肉体的に一番ハードな日々を過ごしたのは、このオリンピック前後の時期だという。

    • 待望されたワクチン接種が国内でスタートしたのは2021年2月。5月に大規模接種が始まる。

      • 「日本はワクチンを作れなかったから、導入が遅れたわけですよね。菅政権のもと、大規模接種が加速しましたが、あれがもう少し遅ければもっと死亡者が出た可能性があります。国産のワクチン開発が実現しなかったのは、日本企業の国際競争力が不足していること、政府の資金が十分に投入されていなかったことに尽きるでしょう」

    • ワクチンの薬害に関する訴訟も起きているが、これについてはどう捉えているのか。

    • 「ワクチンによる被害や死亡は、残念ながら日本では詳細なデータを取れるようなシステムになっていません。死亡した原因がワクチンなのか他のものなのか、ほとんどわからないという状況で、今は結論を出せないということになっている。精査するためのモニタリングシステムを日本は早く構築したほうがいいと思います」

    • 2023年9月、尾身はコロナ対策に関する政府関係の役職をすべて退任した。「かなり長い間、警察の方が身辺を守ってくれました。」

  • 日本に求められる戦略的な医薬品開発支援 パンデミックへの対抗手段「MCM」の整備に向けて(1) 2024.9.27 三菱総合研究所

    • 今後発生する可能性のある感染症パンデミックの危機から国民の生命を守るためには、パンデミックに対抗する医薬品などを適時適切に利用可能にすることが求められる。そこでCOVID-19発生後、日本では感染症危機発生時に医療的な対抗手段となる重要性の高い医薬品など(感染症危機対応医薬品等:MCM:Medical Countermeasures)の整備に向けて、厚生労働省の厚生科学審議会などで議論が重ねられている。

    • 分析・戦略の不足〜COVID-19発生前の日本の課題

      • COVID-19発生前の日本の新興・再興感染症対策は、新型インフルエンザが中心であった。

      • COVID-19発生後、政府の戦略文書※6などでは、ワクチン開発が遅れた理由の1つとして、「戦略的な研究開発費不足」が言及されている。しかし真の理由は「研究開発費の一極集中」であり、本質的な課題は戦略的な資金配分の前提になるはずである「分析・戦略」の不足ではないか。

    • パンデミック対策が直面する3つのアンバランス

      • (1)投資(研究費)のアンバランス

      • (2)公共セクターと民間セクターのアンバランス

      • (3)国内とグローバル(国際協調)のアンバランス

  • 新型コロナウイルス、中国の市場起源説に新たな証拠 新研究 2024年9月20日 18:26 発信地:パリ/フランス [ フランス ヨーロッパ ] AFP BB News

    • 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の起源に関する新研究の結果が19日に発表され、2019年末に中国の市場で動物からヒトに初めてウイルスが感染したとする説を支持する新たな証拠が提示された。

    • 論文の共同執筆者で、フランス国立科学研究センター(CNRS)の進化生物学者フィレンツェ・デバーレ(Florence Debarre)氏はAFPに対し、中国当局が公開したこの種のデータからは「(市場にいた)動物の感染の有無を確定することはできない」が、「われわれの研究では、2019年末にこの市場に野生動物、特にタヌキやハクビシンの仲間が存在していたことを確認している」と述べた。

    • 「それらの動物がいた場所は市場の南西の角で、そこはまたSARS-CoV-2が集中的に検出された一帯でもある」という。
       これらの小型哺乳類はヒトと同様のウイルスに感染する可能性があり、ヒトとコウモリの間の中間宿主の役割を果たしたことが疑われている。

    • 英ケンブリッジ大学(Cambridge University)の感染症疫学者ジェームズ・ウッド(James Wood)氏は、「武漢の華南海鮮市場で野生動物を売っていた露店が、新型コロナパンデミックの発祥の地であることを非常に強力に証明している」研究だと評価する。同氏は、今回の研究には参加していない。

    • 関連:新型コロナウイルスの起源、中国武漢市のタヌキか 米誌 2024年9月21日 6:18 (2024年9月21日 8:21更新) 日本経済新聞
       

  • 子供のコロナ後遺症は年齢によって症状が異なる…米国医師会誌に研究論文が 公開日:2024/09/15 06:00 更新日:2024/09/15 06:00 日刊ゲンダイDIGITAL

    • 子供に対するコロナ後遺症の実態を調査した研究論文が米国医師会誌の電子版に2024年8月21日付で掲載されました。
      米国で行われたこの研究では、6~17歳の898人(うち、新型コロナウイルス感染症を経験した子供は751人)が対象になりました。

    • その結果、新型コロナウイルスに感染した子供では、感染していない子供と比べて、学童期、青年期ともに、頭痛、記憶力や集中力の低下、倦怠感、胃痛、筋肉痛、関節痛など、14の症状で統計学的にも有意な増加を認めました。また、学童期では記憶力や集中力の低下、胃痛、吐き気の症状が多い一方、青年期では味覚の障害、倦怠感、疲労感が多いことも分かりました。​
       

  • 新型コロナの感染抑える天然物質を発見、変異株にも効く薬に期待 土壌にいる放線菌がつくる「プラディミシンA」、ヒトの細胞で実験 2024.09.01 NATIONAL GEOGRAPHIC

    • ​名古屋大学などの研究グループが、放線菌が産生する「プラディミシンA」が新型コロナウイルスの感染を抑えることを発見。

    • プラディミシンAはウイルスのスパイクタンパク質の糖鎖に選択的に結合し、ヒトの細胞への感染を防ぐ。1980年代に日本人が発見した低分子化合物で、高収率で得られる。

    • プラディミシンAはマンノースにのみ結合し、他の糖には結合しない。

    • 研究グループはプラディミシンAの選択性を利用して新型コロナウイルスの感染を防ぐ方法を研究。

    • 感染阻害試験で、低濃度のプラディミシンAがウイルス感染率をほぼゼロにできることを確認。

    • 高濃度でもヒトの細胞に対する毒性がないことを確認。

    • 新型コロナウイルスの変異株にも効果があると考えられる。

    • レクチンと比較して、プラディミシンAは低分子で製造が容易であり、抗原抗体反応のリスクが低い。

    • 欧州の研究グループはプラディミシンAが抗エイズウイルス作用を持つことも発見。

​【8月】

  • コロナ後遺症ここまで分かった...「感染時は軽度」が90%以上、倦怠感から心不全まで影響は200以上 Long COVID puzzle pieces are falling into place – the picture is unsettling 2024年8月18日(日)17時15分 ジャド・アルアリ(セントルイス退役軍人医療施設の研究開発主任、セントルイス・ワシントン大学の臨床疫学者) Newsweek

    • コロナ後遺症は科学的にもかなり注目されており、これまでに2万4000本以上の論文が発表されている。人類史上、4年間でこれほどまでに集中的に研究が行われた健康状態は他に例を見ない。

    • SARS-CoV-2ウイルスへの感染によって引き起こされる、長期的な健康への影響の総称が新型コロナウイルス後遺症(long COVID)だ。

    • 息切れなどの長期的な呼吸器症状から、衰弱性疲労やブレインフォグ(脳の霧。頭にモヤがかかったような状態になり、集中力や記憶力が低下するとされる)、さらには生涯にわたる影響として、心不全や糖尿病などの症状までが含まれる。

    • コロナウイルスの原型が感染の主な原因であり、ワクチンがまだなかった2020年には、コロナに感染した成人の約10.4%が後遺症を発症した。

    • オミクロン系の変異株が優勢となった2022年初頭までには、その割合はワクチン未接種の成人で7.7%、ワクチン接種済みの成人で3.5%に低下した。ワクチン未接種者がコロナ後遺症を発症する確率は、ワクチン接種者の2倍以上だった。

    • コロナ後遺症に関するあらゆる健康影響については、米学術機関の全米アカデミーズ(全米科学・工学・医学アカデミー)が2024年に入って詳細な報告書を出している。この報告書では、コロナ後遺症は複雑な慢性疾患であり、複数の身体機能に200以上の健康影響を引き起こす可能性があると結論付けている。そこでは、次のような症状の発症や悪化が挙げられている。

      • 心臓病

      • 認知障害、脳卒中、自律神経障害(血圧、心拍数、体温などの体の重要な機能を調節する神経の障害)などの神経に関する症状

      • 労作後倦怠感(わずかな活動でも起きる深刻な疲労状態で、数時間、数日、数週間にわたって機能不全を引き起こすことが多いとされる)

      • 消化器系疾患

      • 腎臓病

      • 糖尿病や高脂血症(悪玉コレステロールの増加)などの代謝障害

      • 免疫機能障害

    • 注目すべきは、コロナ後遺症にかかった人の90%以上が、コロナ感染時の症状は軽度であったということだ。

    • 2024年初頭に発表された大規模調査によると、ウイルス感染が軽度であった人でさえ、感染から3年目に新たな健康問題を経験していることが示された。

    • コロナの感染者数はインフルエンザの患者数を上回り、インフルエンザよりも入院や死亡に至る確率も高いと報告されている。それに加え、コロナは長期にわたる深刻な健康問題をも引き起こす可能性があるのだ。コロナを単なる風邪とみなしたり、インフルエンザと同等とみなすことは、決して現実的な捉え方とは言えないだろう。

【7月】
  • コロナ再拡大、変異株「KP.3」はどんなウイルスか 一度感染した人も要注意!押さえたいポイント 2024/07/30 5:00 東洋経済ONLINE

    • 「アメリカやイギリスなどでもいま、KP.3などのオミクロン系統の変異株が流行しています。日本もKP.3が中心です。KP.3は以前の株に比べて感染力が非常に強く、過去に感染した人や、ワクチン接種者でも感染しやすいのが特徴です」(岡医師)

    • 岡医師はKP.3の主な症状についてこう説明する。

      • 「強い喉の痛みを訴える人が多く、咳や38~39℃の高熱が出やすく、倦怠感もかなり強い。一方で、これまで多かった味覚障害や嗅覚障害などの症状は、かなり減っている傾向です」

      • 「軽症であれば、風邪のときのように自宅での静養で十分な回復が見込まれます。発熱から5日間は感染力があるので、その間はできるだけ外出しないこと。もし、外出が必要な場合は他人への感染を防ぐため、発熱後1週間程度はマスクを着用しましょう」

    • 5類移行後、検査費用や治療薬の費用は自己負担となった。特に治療薬は高額(ゾコーバの場合、3割負担で1万5000円強)だ。パキロビッドやラゲブリオは重症化リスクの高い人向けの薬です。パキロビッドはほかの薬との飲み合わせにやや注意が必要ですが、最も効果が示されている薬です。

    • 今年10月からは、65歳以上の高齢者と、60~64歳の重症化リスクが高い人を対象に、接種費用の一部自己負担によるワクチン定期接種が始まる予定だ。

  • 新型コロナ 時間差でやってくる「免疫性肺炎」に注意 倉原優呼吸器内科医 7/13(土) 12:01 YAHOO!JAPANニュース

    • ​発症後しばらくして、時間差の「免疫性肺炎」を起こす事例が増えています。

    • 典型的なパターンは、「新型コロナが治ると思っていた矢先、1週間後に肺炎で救急搬送」というものです。

    • なぜこのような「時間差」が生じるかというと、ウイルスが直接肺を傷害する「ウイルス性肺炎」のあとに、「頑張ってやっつけないと!」とヒトの身体が頑張って炎症を起こそうとする「免疫性肺炎」を起こすためです(2)。

    • この「免疫性肺炎」というのは、発症後1~2週間でやってきますが、経験上、割とキツめの肺炎を起こします。体のウイルス自体は減っているのに、「根こそぎやっつけるぞ」と身体が頑張ってくれているのです(図3)。

【6月】

 

【5月】

 

  • コロナ後遺症、2年で6割が大きく改善、免疫の異常が落ち着く 緩やかな回復がありうるという回復の希望をもたらす研究結果 2024.05.09 NATIONAL GEOGRAPHIC

    • 「新型コロナ感染症自体は軽症から中等症だった人でも、後遺症があると、感染から8カ月後になっても炎症のバイオマーカー(指標となる物質)の値が高いままだったのです。非常に意外な発見でした」と、カービー研究所の免疫学者で、2022年と今回の両論文の筆頭著者であるチャンサバット・ペッツーパン氏は振り返る。

    • 研究者たちは今回、62人の被験者(そのうち31人が後遺症患者)をさらに1年半、追跡調査した。その結果、以前は免疫の異常な活性化を示していた血液サンプルのバイオマーカーの値が、最初の感染から24カ月後にはほぼ正常値まで下がっていて、後遺症がなかった人との差がみられなくなった。

 

【4月】
  • 新型コロナ、世界の死因の第2位に 順位の大きな変動は数十年ぶり 2024.04.23 ForbesJAPAN

    • 1990年から新型コロナウイルス流行前の2019年まで、世界の死因は一貫して、虚血性心疾患、脳卒中、慢性閉塞性肺疾患、下気道感染症が上位を占めていた。この期間中に、すべての死因の死者数が年間で0.9~2.4%減少したことにより、全世界で平均寿命が延びた。

    • ところが、新型コロナウイルスの世界的な大流行で状況は一変。同ウイルスに関連する死者の増加で2019~21年の間に世界の平均寿命は1.6年縮まり、新型コロナウイルスが死因の第2位となった。世界の死因の順位が大きく入れ替わったのは数十年ぶりとなる。

    • 今回の研究は、新型コロナウイルスによる死亡を他の主要な死因と比較した初めてのものとなる。

    • 関連:新型コロナの流行で世界の平均寿命が「1.6年短く」 当初の予想上回る 2024.03.14 ForbesJAPAN

      • 1950年から2021年の間に、世界の平均寿命は49歳から71.7歳へと全体で22.7年伸びたが、この数字は2019年から21年の間に世界全体で1.6年縮まった。

      • 今回の研究では、2020年と21年の世界の死者数1億3100万人のうち、12.3%が新型コロナウイルスに起因する死亡だと推定されている。ここには、ウイルスの直接感染だけでなく、同ウイルスの流行にともなう社会的、経済的、行動的変化で死亡した例も含まれる。

      • このパンデミック(世界的大流行)の間、世界の84%の国と地域で平均寿命が短くなり、新種の病原体が壊滅的な影響を及ぼす可能性が示された

      • ランセットの研究では、初期のパンデミックの影響に加え、世界の人口増加率が2017年以降停滞しており、新型コロナウイルスの流行でさらに急速に減少したことが明らかになった。これに加え、世界の人口は高齢化している。2000年から21年にかけて、調査対象となった188の国と地域で、65歳以上の人口が15歳未満の人口を上回る速度で増加していることが分かった。

 

  • WHOと専門家、コロナ禍受け「空気感染」の定義で合意 2024年4月19日午前 11:58 GMT+92日前更新 REUTERS

    • 世界保健機関(WHO)は18日公表した技術協議文書で、約500人の専門家と空気感染による病気のまん延の定義について初めて合意したと明らかにした。

    • 文書は「空気感染」という表現について、病原体が空気中を移動したり、空気中に浮遊したりすることが主な感染経路となる感染症に用いることができると結論づけた。

      これまでは空気感染と判断する前に高いレベルの証拠が求められたが、新たな定義では曝露の危険性と疾患の重症度も考慮する必要があるとした。また過去には感染症粒子の大きさが「飛沫」か「エアロゾル(空気中を漂う微粒子)」かが争点だったが、新しい定義ではそれを問題視していない。

 

  • 京大と理研が大警告!「コロナに感染」で「心不全のリスクが高まる可能性」の衝撃研究結果 2024.04.09 週刊現代 講談社

    • 研究を発表したのは、日本最高峰の科学研究所で数々のノーベル賞受賞者を輩出している理化学研究所と、京都大学の共同研究チーム。論文は昨年末に発表されたもので、新型コロナウイルス感染症が心不全のリスクを高めること、そして心不全患者を急増させるおそれがあることに強く警鐘を鳴らしている。

    • 「問題は新型コロナウイルス感染症が、見かけ上は治ったように見えても、ウイルスが心臓に残り続けている可能性があることです。心臓に残ったウイルスが、思わぬ悪影響を与えることがあるのです」

    • 「私たちはヒトiPS細胞を使って心臓を模倣したものをつくり、この疑似心臓をコロナに感染させました。すると、一度コロナに感染した心臓は、たとえ回復して見かけ上は元気になっても、心臓にウイルスが残り続けることがあるとわかったのです。

 

  • 新型コロナで自己免疫性リウマチ性疾患リスク上昇 日韓の研究で 2024.04.02 Forbes JAPAN

    • ​日本と韓国の成人を対象とした最近の研究で、新型コロナウイルスが感染後1年以内に自己免疫性リウマチ性疾患(AIRD)の発症リスクを高めることが明らかになった。

    • これには関節リウマチ、乾癬(かんせん)性関節炎、シェーグレン症候群、全身性硬化症、リウマチ性多発筋痛症、混合性結合組織病、皮膚筋炎、多発性筋炎、結節性多発動脈炎、血管炎などの疾患が含まれる。

    • 医学誌「内科学紀要」に掲載された今回の研究では、重度の新型コロナウイルス感染症から回復したワクチン接種済み患者でも、これらの疾患のいずれかに罹患(りかん)するリスクが高まる可能性があることが分かった。

    • 韓国人の対象者のうち3.9%に新型ウイルス感染症の既往歴があり、1%近くが過去にインフルエンザと診断されていた。新型ウイルスに感染したことのある日本人の割合は8.2%と高く、1%近くにインフルエンザの既往歴があった。

[2月]
  • 約1億人を調べた史上最大規模の研究で新型コロナワクチンの健康リスクが明らかに 最終更新日 2024.02.28 WEDNESDAY 公開日 2024.02.27 TUESDAY

    • 9900万人を対象とした史上最大規模の研究で、主としてファイザーとモデルナの開発したmRNAワクチンおよびアストラゼネカが開発したウイルスベクターワクチンの3種類でみられた、副反応13種が調べられています。

    • 最終的な結論として、ワクチン接種の利点が健康リスクを上回っていたことも、あえて先に述べてさせて頂きます。その上で、新たに判明した副反応を報告します。

    • 対象となる副反応は、心臓にかんする「心筋炎(MYO)、心膜炎(PER)」。

    • この調査では、ワクチンを打った後42日間にみられた症状を調査し、打たなかった場合を比較しました。

    • mRNAワクチンは特に心筋症と心膜炎のリスクが高まった

      • 特に、1~2回目の接種においてファイザーやモデルナなどのmRNAワクチンでは心筋症と心膜炎のリスクが増大することが示されました。

    • 新型コロナウイルスのワクチンが脳や脊髄など神経系へ及ぼす影響

      • ギラン・バレー症候群(GBS)がアストラゼネカのワクチンによって2.49倍に増加しているのがわかります。

      • 急性散在性脳脊髄炎(ADEM)では、アストラゼネカのワクチンで2.23倍、モデルナのワクチンで3.78倍に増加している

    • 新型コロナウイルスのワクチンが血管系へ及ぼす影響

      • 脳静脈血栓症(CVST)頭蓋や硬膜洞でみられる血栓症であり、1回目の接種後にアストラゼネカのワクチンで3.23倍、ファイザーのワクチンで1.49倍に増加しました。

    • ワクチンの利益は健康リスクを上回る

      • 研究結果をまとめると、調査された13種の症状において、ファイザーやモデルナなどmRNA系のワクチンは心筋症や心膜炎などのリスクを増加させ、アストラゼネカのワクチンは顔面麻痺と内臓静脈血栓症以外の11種類全てのリスクを増加させると言えるでしょう。

      • これまでに行われた複数の研究では全て、新型コロナウイルスの感染によって、心筋症や心膜炎などの症状の発生率が大幅に増加することがわかっているからです。

      • さらに感染後に神経系への何らかの影響が出る確率は「617倍」と圧倒的に増化することが報告されています。

      • 最近の研究で、インフルエンザや天然痘、ポリオ、麻疹、おたふく風邪、風疹など、様々な種類のワクチン4億500万回分を分析した結果、新型コロナウイルスワクチンを接種した後に起こる心筋炎や心膜炎の発症率は、これらの他のワクチンを接種した後の発症率と大差ないことがわかりました。

 
  • コロナ感染で慢性疲労リスク4倍 米、後遺症頻度高く「予防策を」 2024/02/15 KYODO

    • 新型コロナウイルスに感染した人はしなかった人に比べ、その後に疲労感の症状が現れるリスクが1.68倍になると、米疾病対策センター(CDC)などのチームが14日発表した。慢性疲労に発展するリスクは4.32倍に上った。疲労感は後遺症の中でも頻度の高い症状で、チームは改めて感染予防の重要性を指摘した。

    • 感染した人の中でも、女性は疲労感が現れるリスクが男性の1.39倍。持病のある人もリスクが高く、胃炎や十二指腸炎があると1.93倍、不安やうつなど精神症状でも1.6倍ほどになった。

    • これまでの研究では、米国の成人の最大15%が新型コロナのさまざまな後遺症状のうち1種類以上を経験している。

 
[1月]
  • コロナ第10波の兆し、今後「心不全パンデミック」の恐れも、研究 感染が心不全のリスクを高める可能性、実験で明らかに 2024.01.27 NATINAL GEOGRPHIC

    • 新型コロナウイルスの感染は昨年11月下旬から年が明けても増える傾向が続き、流行の「第10波」の兆しも見せている。理化学研究所(理研)と京都大学の共同研究グループは昨年末、症状が収まった後もウイルスが心臓に残存すると心不全のリスクが高まる可能性があると発表した。

    • 新型コロナウイルスは流行「第10波」が立ち上がりつつある。国立感染症研究所によると、現在日本で主流とみられるのは、オミクロン株の亜種XBBの一種であるHK.3。XBB全体の約7割を占め、さらにBA.2.86やJN.1など新たな変異株が広がりつつある。対応ワクチンも使われているオミクロン株の仲間だが、専門家は性質が異なる変異株の登場を懸念している。

    • この研究の大きな特徴は人工多能性幹細胞(iPS細胞)を使ってヒトの心臓組織を作製した実験手法だ。理研・生命機能科学研究センターの村田梢研究員や升本英利上級研究員と京都大学医生物学研究所の朝長啓造教授、牧野晶子准教授らの共同研究グループは、ヒトiPS細胞を使ってヒトの心臓組織の「心臓マイクロ組織」(CMT)を作製した。CMTは心筋細胞やその他の心臓構成細胞で構成され、実際の心臓のように拍動した。

    • 研究グループは新型コロナ感染による心筋症はサイトカインストームとは独立して起き、持続的な感染が心不全のリスクを高める可能性が明らかになったとしている。

    • 理研の升本上級研究員ら研究グループは、ウイルスが心臓組織に持続的に感染し、感染者が典型的な症状がなくなった後も心機能に悪影響を及ぼすことにより、心不全患者が急増して「心不全パンデミック」になる可能性があるとみている。

bottom of page