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影響分析・提言等 [2023年1月~5月

  • 「コロナ禍の政策と行動から見る日本人の自由と平等観」についてのアンケート(速報) 研究報告書 2023.05.29 NIRA

    • (公財)NIRA総合研究開発機構では、「コロナ禍の政策と行動から見る日本人の自由と平等観」についてのアンケートを実施した。本調査は、新型コロナウイルス感染拡大時の政策に対する評価や、政府の行動規制に対して異なる立場の意見を読んだ後の考え方の変化を捉えることを目的に実施したものである。パンデミック時の望ましい行動制限やコロナ禍で感じた不公平感から、日本人の自由と平等観を探る。

    • 政府による行動制限として、最も多くの人が支持するのは「自粛要請」だということが明らかになった。その結果について、異なる立場の意見を読む前(熟慮前)と読んだ後(熟慮後)で自粛要請支持の割合を比較すると、熟慮後に支持する割合がさらに増え、50%となった。また、コロナ禍で「医療関係者など、エッセンシャルワーカーに多大な負担がいったこと」については6割強の人が「不公平だと感じる」と回答した。

    • なお本調査は2022年10月21日(金)~2022年10月24日(月)にかけて行われ、回収数は2,000件、うち有効回答数(トラップ設問をクリアした人)は1,770件であった。以下の速報結果は、トラップ設問(注1)をクリアした人のみを対象とし、「国勢調査(2020年)」の18歳以上の日本人を母集団とみなして、ウェイトによる補正を行った集計結果である(注2)。

    • ポイント

      • パンデミック時の政府による行動制限は「自粛要請」が望ましいと考えている人が最も多く、半数近くとなった。

      • パンデミック時の行動制限における考え方は、経済よりも弱者保護を優先した方が良いと考える人が過半数であった。

      • 「マスク着用要請」、「外国人の入国制限措置」、「ワクチンの確保と接種」、「全国民対象の10万円給付」は過半数の人が肯定的な評価をした。一方、「GoToキャンペーン」は否定的な評価をする人が肯定的な評価をする人の数を上回った。

      • 日本のお手本となる国は、「特にない」との回答が最も多く33%。アメリカや中国がお手本になるとの回答は少なく、どちらも10%未満であった。

      • マスク着用要請が出ている時、義務ではなくても 65%の人が「ほぼすべての人」にマスク着用を期待することが分かった。

      • 持続化給付金を給付する際は1件ずつの精査をするよりも迅速な対応の方が望ましいと考えている人が多く、47%を占めた。そして、70%の人が給付対象は売上減少などの条件を付けるべきだと考えている。

      • コロナ禍で起きた出来事で多くの人々が不公平だと感じているのは、「医療関係者など、エッセンシャルワーカーに多大な負担がいったこと」で63%であった。

      • コロナ禍での対応や情報発信について、「病院」や「保健所」は半数近くの人が信頼している一方、「SNS」や「国会」は信頼していない人が過半数であった。

      • 緊急時における政策の決定権について、「(どちらかといえば、)今よりも地方自治体の権限を強めるべき」と考える人は54%を占め、「(どちらかといえば、)今よりも国の権限を強めるべき」と考える25%を上回った。

 

  • コロナ禍におけるオフィス出社動向-携帯位置情報データによるオフィス出社率の分析 2023年05月25日 ニッセイ基礎研究所
    • 本稿では、クロスロケーションズ株式会社のスマートフォンの位置情報データと、三幸エステート株式会社のオフィスマーケットデータをもとに、オフィス出社率を推計し、新型コロナウイルス感染症の流行期間中の動向を分析する。
    • オフィス出社率は、2020年2月17日から2023年4月28日までの期間、日本の6主要都市の74エリアについて、計14,822棟のオフィスビルの人流を計測することで推計した。
    • 以下では、まず日本の主要6都市、次に東京都心5区、最後に東京都心5区の25エリアの順にオフィス出社率の動向を確認する。詳細な都市やエリアの一覧およびオフィス出社率の基本統計量については、文末の参考資料を参照されたい。
    • 結果は、コロナ禍が長期化したことで、在宅とオフィス勤務を組み合わせたハイブリッドな働き方が既にある程度定着していることを示唆している。新型コロナウイルス感染症の5類移行に伴い、働き方のルールを変更する企業も増えてきており、今後の推移に注目が集まる。
 
  • 新型コロナ収束後に残された課題 2023年05月23日 ニッセイ基礎研究所
    • 今後求められるのは、これまでの取り組みに対する検証だ。様々な対策が感染抑止に一定の役割を果たしたことは確かだが、それと引き換えに景気の急速な悪化、実質的な私権制限、教育現場の混乱、出生数の大幅減少など社会経済活動に大きな弊害をもたらした。感染対策の妥当性については多面的な検証が必要だろう。
    • 問題は全体の死亡者数が大幅に増えていることである。日本は高齢化の影響もあり、コロナ禍前の2019年までの10年間で年平均2万人程度死亡者数が増えていた。新型コロナの流行が始まった2020年の総死亡者数は前年に比べて8000人の減少となったが、2021年は前年から6.7万人、2022年は13.0万人の急増となった。
    • 死因別には、老衰が最も多く、2020~2022年の累計(2022年は11月まで)で5.4万人増、それに続くのが新型コロナの3.8万人増、心疾患の2.2万人増となっている。老衰の増加は高齢化の影響も大きいが、2015~2019年の年平均0.9万人増から2022年は2.4万人増とそのペースが加速している。一方、インフルエンザ、肺炎はコロナ禍前よりも死亡者数が減少している(図3)。全体の死亡者数の増加が新型コロナによる死亡者数の増加を大きく上回っている理由としては、医療逼迫によって救えるはずの命が救えなくなったこと、自粛生活の長期化に伴い免疫力が低下したこと、フレイル状態に陥った高齢者が急増したことなどが考えられる。

 

  • 中国が牛耳る「コンテナ製造」シェア“ほぼ100%”も、リスク回避で新勢力が覇権揺るがす 2023.5.20 Merkmal

    • 現在では約1億8000万TEU(20ftで換算したコンテナ個数を表す単位)の貨物が1年で運ばれ、約8億5000万TEUのコンテナが港で積み下ろしされることで、われわれの日々の生活を支えている。

    • 歴史的に見れば、コンテナは国際貿易を伸展させるとともに、サプライチェーンを大きく広げ、グローバリゼーションを大きく進展させた立役者のひとりだった。

    • 世界におけるコンテナの「箱」の総数は、2021年段階で4989万TEU、個数換算では3113万個だった。そのうち、20ft(約6m)コンテナが1232万TEU、40ft(約12m)コンテナが3521万TEUを占める。

    • 世界のなかでは40ftコンテナ、なかでもハイキューブと呼ばれる高さ約2.9mのコンテナが主流である。用途別では、
      ・通常のドライコンテナ:4289万TEU
      ・冷蔵冷凍貨物を運ぶリーファーコンテナ:347万TEU
      である。そのほか、薬品やジュース、ワインなどを運ぶタンクコンテナも60万TEU存在する。

    • 直近では世界のコンテナ製造のうち、86.2%がCIMC(中国国際海運集装箱集団)、Shanghai Universal Logistics Equipment、民間会社であるCIXCのグループで製造されている。さらにデンマークの海運会社マースクの傘下にあるMCI(マースク・コンテナ・インダストリー)も製造している。

    • 現在は、中国系以外の企業もコンテナ製造を中国で行うことが一般的だ。そのほか、四大グループ以外も含めると中国国内での生産は97.5%(2019年)、97.7%(2020年)を占めている。

    • コンテナ製造中心地国:米国  日本  韓国  中国新造コンテナの生産拠点となるための条件は人件費が低いことに加え、
      ・その国に一定規模以上の製鉄業が立地している
      ・貨物の輸出拠点に近い

    • 2020年初頭に中国で新型コロナウイルスの感染が拡大して、コンテナ生産工場の稼働が停止し、生産が停滞したことが2020年後半以降に起こったコンテナ不足からの回復を遅くした。このことは、中国にのみ生産拠点を置くことのリスクを認識させるきっかけとなった。そのため、現在ではベトナムやインド、韓国でコンテナ生産を行うことも検討されている。

 

  • 日本企業の6割が法人税ゼロの現実 「ゾンビ企業」対「赤字企業」 2023年05月19日 08時00分 公開 ITmediaビジネスonline

    • コロナ禍やコロナ対策禍で打撃を受けた中小企業に対する実質無利子・無担保のいわゆる「ゼロゼロ融資」は、企業の倒産を抑えて経済の下支えに貢献しました。

    • 一方で、国際決済銀行(BIS)の定義「3年以上にわたってインタレスト・カバレッジ・レシオ(利払い負担に対する利益の比率)が1未満にある企業」を基にした帝国データバンクの推計では、いわゆる「ゾンビ企業」は2021年度に国内で18万8000社と、コロナ禍前から3割増加したとのことです。

    • しかし、日本経済にとって問題は、確かに「ゾンビ企業」もそうかもしれませんが、もっと深刻なのは、そもそも、日本の企業の6割が法人税を納めていない点にあります。

    • 日本の法人企業に占める欠損法人の割合(赤字企業割合)は、2021年度現在、全法人(284.8万社)の61.7%(175.8万社)に達しています。この理由としては、業績不振もありますが、合法的な範囲内で節税に励んでいるからだとの指摘もあります。

    • 携帯位置情報データに基づくオフィス出社率を見ると、ポストコロナへの移行期にあたり、オフィスへの回帰が緩やかに進行していることが確認できる。しかしながら、まだコロナ禍前の出社率には達していない。さらに、コロナ禍前には、多くの企業がオフィス出社を前提としていたが、コロナ禍を経験した結果、在宅勤務を制度化する企業が増加している。これにより、企業や従業員間での働き方や働く場所のバリエーションが多様化している。したがって、企業の規模や業種、集積度合い等によって、都市全体、市区町村、さらには細かいエリアレベルでも、オフィス出社率が大きく異なることが見て取れる。今後、エリア間のオフィス出社率の格差はさらに拡大する可能性があり、これが不動産市場や地域経済の動向に影響を及ぼす可能性があると考えられる。

 

  • 日米欧のコロナ禍後の資金循環 2023年05月19日 ニッセイ基礎研究所

    • 欧米の部門別資金過不足を見ると、コロナ禍直後に家計部門の資金余剰、政府部門の資金不足がそれぞれ急拡大した。その後、家計部門の資金余剰は米国ではコロナ禍前を下回る水準まで低下、ユーロ圏ではコロナ禍前水準程度にとどまっている。これに対応する形で、政府部門の資金不足は米国ではコロナ禍前水準まで低下しているが、ユーロ圏では依然としてコロナ禍前水準を上回る状況にある。

    •  日本の資金過不足は欧米と同様に、コロナ禍直後に家計部門の資金余剰、政府部門の資金不足がそれぞれ増加した。その後の推移はユーロ圏と類似しており、家計部門の資金余剰額は減少したものの「過剰貯蓄」の取り崩しはあまり進まず、政府部門の資金不足額(財政赤字額)もそれほど縮小していない。

    • 欧米ではコロナ禍でも家計や企業の投資の落ち込みは限定的で、かつ迅速に回復した。しかし足もとでは、中銀による積極的な金融引き締めを反映して家計や企業の投資に減速感が見え始めている(図表1)。また、コロナ禍直後に急拡大した金融部門のバランスシートも足もとで拡大が止まっている。ただし、企業投資や金融機関貸出の鈍化はそれほど鮮明ではない(図表1・2)。

    • 欧米中銀は金融引き締め姿勢を堅持しており、今後、さらに資金調達環境が厳格化し、投資の減速が鮮明になっていく可能性がある。半面、企業が収益力を維持し、投資の減速が緩やかなものにとどまる可能性もある。グリーン化や経済安全保障に関連した供給網の再構築への対応、デジタル化など人手不足に対応するのための労働生産性向上への取り組みは投資の底堅さに寄与する要因となる。この場合、利上げによる景気減速効果が限定的となり、インフレ率の鎮静化に時間を要するかもしれない。今後、金融引き締めの効果がどのようなペースで波及するかが注目される。
       

  • 水道整備、国交省へ移管 厚労省業務見直し―改正設置法成立 2023年05月19日10時13分 JIJI.COM

    • 厚生労働省が所管する上水道・食品関連の業務を国土交通省や環境省に移管する改正設置法が、19日の参院本会議で与党などの賛成多数で可決、成立した。厚労省の業務内容を見直し、社会保障や雇用などの分野に集中できる体制を整えるのが狙い。2024年4月施行。

 

 
  • コラム 消費ビッグデータで振り返るコロナ禍の3年間 2023年5月16日 (独法)経済産業研究所
    • 2019年は、45度線上に分布している品目が多く、2018年との順位差が±30位以上変化した品目はない。そもそも344品目は日常品が多く、コロナ前の順位は安定的だった。
    • しかし、コロナ禍に転じた2020年は、マスク、手指消毒剤、殺菌消毒剤、うがい薬、体温計といった感染予防品、またそれらの品目の品薄時に代替消費された石鹸、ぬれティッシュ、その他住居用クリーナーが30位以上順位を上げた。一方、外出機会の減少やマスク着用により、口紅、ほほべに、その他リップ、パック、日焼け止め、ギフト(お中元、お歳暮等、贈答品)が30位以上順位を下げた。強心剤は、コロナ前にはインバウンド旅行者の購入が多く順位が下がった。
      2021年は、30位以上順位が上がった品目はなかったが、2020年によく売れた品目のうち、石鹸、殺菌消毒剤、手指消毒剤、うがい薬が30位以上順位を下げている。
    • 2022年は各品目が45度線周辺に分布し、その程度はコロナ前の2019年より強い。つまり2022年の各品目の順位は2021年と類似している。2022年には、検査薬が特徴的な品目として登場した。
    • 表1より、コロナ禍だからこそランクインした品目はマスクや紙製品だ。マスクはコロナ前の夏に200位で、コロナ禍初期の2020年1月第4週に最高2位になり、図1の年次集計でも上位にランクインしている。一方、2019年の消費税率引き上げ時の駆け込み需要で販売増になったパーソナルケア品と、コロナ禍初期にパニック買いされた紙製品は表1では上位だがどちらも継続性がなく、図1で突出して売れた品目に該当しなかった。週次データは季節性に加え、短期的なショックもとらえられる。
    • 一方、2020年は、1月30日のWHOの緊急事態宣言の週に30%を超え、その後のマスク不足の時期には停滞した。第一回目の緊急事態宣言の終了時に50%を超え、その後マスクが市場に戻ると一定の速度で消費された。
      2021年と2022年に注目してほしい。両年はほぼ45度線と重なり、毎週同じペースで購入している。2020年の突発的な需要増によるパニック買いやマスクの供給不足はなくなったが、コロナ前の季節性も消失し、新たな消費パターンに変化した。
 
  • アフターコロナの中で、どこまで回復したか -旅行・観光- 2023年5月12日 経済産業省
    • 第3次産業活動指数から、鉄道旅客運送業と航空旅客運送業について新型コロナの影響がなかった2019年12月からの推移をみますと、鉄道旅客輸送業は、2020年5月を底にして“Go Toトラベル”(実施期間:2020年7月22日から12月27日)の実施効果もあり緩やかな上昇傾向を見せ、新型コロナ前の2019年12月と比較して90%程度までに回復しています。
    • 一方、航空旅客輸送業は、2021年1月を境に緩やかな回復傾向が続いた後、2022年10月に始まった“全国旅行支援”の効果もあり、足元では新型コロナ前の2019年12月を15%ほど超えるまでに回復しています。国内航空旅客運送業は2019年12月の水準を25%超えるまでに回復していますが、国際航空旅客運送業は、回復傾向を続けているものの2019年12月に比べて61%にとどまっています。
    • 出張などのビジネス利用も含めた鉄道とホテルの利用は比較的、早期に回復傾向にありますが、個人の旅行は、パック旅行を利用しないで、鉄道あるいは自動車を移動手段として宿泊してきた姿が想像できます。
      第3次産業活動指数は、個別業種のサービスの生産活動を表す指数系列を、基準年の産業連関表による付加価値額をウェイトにして加重平均により算出。第3次産業の各活動を統一的尺度でみることができ、サービス部門の活動動向をみることができる。
 

  • もう元には戻れない日本経済...崩壊したコロナ以前の「前提」と、来るべき未来の姿とは? 2023年05月10日(水)19時06分 Newsweek

    • このところ人手不足が極めて深刻な状況となっている。コロナをきっかけに高齢者の退職が進んだことに加え、ビジネス環境の変化によって、若年層が条件の悪い仕事を強く忌避するようになったことが原因である。

    • 日本人の相対的な賃金が低下したことで、外国人を安易に雇う仕組みが事実上、崩壊し、低賃金で外国人を酷使することが難しくなった。

    • 無理を重ねて現状維持を続けた社会が、コロナという感染症をきっかけに持ちこたえられなくなっているのだ。
      低付加価値で規模だけを追う従来型の資本主義から、高付加価値で質を追う新しい資本主義への転換が必要である。

 

  • 医療革命に賭けるテック企業、病院のケアを患者の自宅へ 2023.05.08 Forbes

    • フォーチュンマガジンが非常に重要な会議「ブレインストーム・ヘルス」を開催した。

    • 議論された目立つトピックの1つは、医療提供の未来であり、特に「自宅での医療(ヘルスケア・アット・ホーム)」が熱心に議論された。

    • 特に新型コロナウイルスのパンデミック以降、「自宅での医療」というコンセプトは全米的に人気を集めてきた。パンデミック中の外出制限や社会的隔離命令を受けて、患者たちは自宅で医療サービスを受けることの大きな価値を認識したのだ。また、パンデミックは患者とその家族にとって新たな複雑さをもたらした。多くの状況で、感染リスクを考慮してパンデミック期間中に病院に入院した患者は家族といっしょに病院にいることができず、これが多くの人々にとって大きな苦痛の原因となった。

    • 在宅医療は、このような問題を解決するものだ。同時に、患者が好む環境を提供することで、患者の状態をより細かく把握し、テクノロジーを活用して診断・監視能力を高めることで、より良い医療を提供する原動力となる。
      遠隔医療の機能は大幅に向上している。遠隔モニタリング技術も進化している。

    • 「自宅はますます『ケアの延長』として認識され、病院がもう一方の端にあるケア連続体の一端を形成するようになりつつあります」
      在宅医療は、間違いなく何らかのかたちで定着するだろう。

 

  • コロナ禍で世界的に広がる「会社より個人の生活」という新価値観 2023.05.06 Forbes 

    • コロナ1年目の20年にも売上高は右肩上がりの成長を継続しており、コロナ3年目の22年には急拡大。18年の売上高と比べると2.4倍強にまで増加した。

    • このような結果となったのは一体なぜなのか。その要因は大きく三つある。

      • 一つ目は、それでもなお海外移住の節税効果の高いことが挙げられる。

      • 二つ目の要因としては、移住の時期的な制約のある富裕層のニーズが、コロナ禍の中でも底堅かったことが挙げられる。

      • 入国制限をしている国が多い時期は、富裕層の移住先が限られた。その中で唯一といっていい受け皿となったのが、アラブ首長国連邦(UAE)のドバイだ。「世界中でロックダウン(都市封鎖)している時期にも入国できた数少ない国。コロナ禍以降、100人以上の移住をサポートした」と大森氏は明かす。
        三つ目の要因として大森氏が挙げるのが、「コロナによる富裕層の死生観の変化」だ。
        日本人の海外永住者は22年10月時点で55万7034人に上り、20年連続で増え続けている。永住権は移住後に数年がかりで取得するので、日本人の移住時期とタイムラグがある数字だ。

 

  • 7年かけたシステム使わず、急造ハーシスで混乱…厚労省「詳しい経緯わからない」 2023/05/04 05:00 読売新聞オンライン

    • 「デジタル敗戦」と言われた新型コロナウイルス対応で、使われなかった「幻のシステム」がある。「症例情報迅速集積システム(FFHS)」。2009年の新型インフルエンザの教訓から、素早く感染者情報を把握する目的で、厚生労働省の研究班が13年から7年かけて開発した。

    • コロナ禍が始まった20年2月、厚労省から研究班にコロナ向けにシステムを改修するようメールで指示があった。だが、導入されたのは同時期に急きょ、開発が始まった「HER―SYS(ハーシス)」だった。

    • ハーシスの開発を主導した橋本岳副大臣(当時)にはFFHSの情報は上がっておらず、、橋本氏は「必要な機能が備わっていると説明を受けていれば、採用していたかもしれない」と振り返る。

    • 厚労省の元技官で、FFHSの開発を担当した北見工業大の奥村貴史教授(49)は「自治体が使いやすいよう意見交換を重ねて設計していたのに、政府は過去の教訓を生かさず、ハーシスを導入した」と指摘する。

    • FFHSは感染者に関する入力項目を7に絞り込んでいたが、ハーシスは未知の感染症のデータを多く集めようと120に及び、入力に約30分を要した。

    • 患者対応に追われた医療機関の多くはハーシスを使わず、感染者の情報が書かれた文書を保健所にファクスで送った。保健所には紙が山積みになって入力が追いつかず、把握が遅れた感染者の死亡が相次いだ。

 

 

  • コロナ国内初感染確認から3年 人々の暮らしや意識はどう変わったのか ~「新型コロナウイルス感染症に関する世論調査(第3回)」の結果から①~ 公開:2023年5月1日 NHK放送文化研究所

    • 感染拡大が『不安だ』という人は84%と多いが、時系列では年々減少している。外出回数は過去に比べて増え、特に「散歩や運動」「買い物」の回復が目立つ。

    • 一方で、ストレスを感じる人は少しずつ増加している。過去と同じように女性のほうがストレスを感じる人が多く、「ウィズコロナ」に向けた制限緩和による減少はほとんどみられない。ストレスの原因として「収入が減っていること」を挙げた人は、全体では19%だが自営業者では50%となっている。これは過去と同様の数字で、現時点では回復の兆しはうかがえない。

    • 感染収束後でも、マスクを「前よりは多く着ける」と「できるだけ着ける」が合わせて約75%に上った。その理由の90%は「衛生上の理由」だが、「素顔をさらしたくないから」という人も7%いて、18~39歳では男女とも16%いた。
      コロナの法律上の扱いを引き下げることに『賛成』は約6割で、『反対』を上回った。賛成の理由は「重症化しづらくなっている」などで、反対の理由は「感染しやすくなるから」などだった。

 

  • 「第12回 新型コロナによる暮らしの変化に関する調査」 調査結果概要 2023年04月27日 ニッセイ基礎研究所
    1|トピックス
     ① 物価上昇に関わる意識や行動
     ② 少子化に対する意識や政策への期待
    2|新型コロナによる行動変容
     ① 店舗やネットショッピングの利用 17
     ② シェアリングサービスの利用 18
     ③ 移動手段の利用 19
     ④ 食事サービスの利用 20
     ⑤ メディアの利用 21
     ⑥ 働き方 22
    3|新型コロナによる生活不安
     ① 感染に関わる不安 23
     ② 高齢家族に関わる不安 24
     ③ 子どもに関わる不安 25
     ④ 経済不安 26
     ⑤ 人間関係不安 27
     ⑥ 働き方不安(在宅勤務が増えることへの不安) 
    4|今後の見通し
     ① 感染拡大の収束や経済回復の見通し 29
     ② 家庭生活の見通し 30
     ③ 働き方の見通し 

 

  • 新型コロナ「五類」 次のパンデミックに備える 危機で見えた医療機関の機能分化とICT化が鍵 2023.4.25 三菱総合研究所 

    • 全医療機関 能力に応じた感染症対応が義務化

      • 改正前の感染症法では、新興・再興感染症などが発生した場合、「帰国者・接触者外来」で外来診療を行い、感染症指定医療機関などに入院措置(実質的な隔離措置)をすることが想定されていた。しかし、新型コロナのように急速に拡大する感染症が発生した場合、感染症指定医療機関だけで対応することに無理があったことは、周知のとおりである。

      • 感染症法の改正の具体的なポイントは、医療機関の対応能力に応じて①入院、②発熱外来、③自宅療養者への医療提供、④後方支援(非感染者の受け入れなど)、⑤医療従事者の派遣といったさまざまな形で枠組みが構築されたことだ。全ての医療機関に対して「感染症対応に係る協定」の事前協議に応じることが求められる。感染症対応ができない専門外の医療機関は、非感染者の受け入れや医療従事者を派遣する形で感染症対策に貢献することが指向されたといえる。

    • なぜ一般医療機関で診療されなかったのか?

      • 今回の感染症法改正は、コロナ対応の教訓を踏まえて、医療機関の「機能分化」をあらかじめ行い、あらゆる医療資源を活用して医療提供機能を充実させる狙いがある。

    • 次のパンデミック時の鍵は「機能分化」と「ICT化」

      • 新型コロナ患者の入院に伴い病床がひっ迫したことに関しては、1人当たりの入院期間が長かったことも理由の一つとして挙げられる。感染症患者の治療にあたる感染症指定医療機関でも、第三者に感染する恐れがなくなった長期療養者の転院先が見つからず対応を行ったケースもあり、病床ひっ迫につながったともいわれている。

      • 入院機能について役割に応じて「分化」すると、さまざまな要素があることがわかる(図3)。
        具体的には、医療提供という役割の他、医薬品供給、健康観察、生活支援(食事提供)、宿泊機能などが組み合わされて措置が成り立っている。入院病床の不足に備え、「クリニックが在宅診療」「薬局による医薬品供給」「ICTを用いた健康観察」など、複数の事業者であらかじめ機能分化をすることが求められる。2024年4月の改正感染症法の施行までに、都道府県は「都道府県連携協議会」を通じて、この役割分担を事前に進めたい。

      • ここでは、従来のような在宅医療=「外出が難しい高齢者宅を在宅診療医が訪問」という形から、医療機関に行かずともオンラインで診療し、地域の薬局から医薬品を供給する、というスタイルへの転換が鍵となる。
        平時に実施していないことを緊急時に行うことが困難であることも、新型コロナ対応を通じて明確になった。導入に相応の時間と労力がかかるICT化などはまさに当てはまる。緊急時にICTを用いた効率的な医療体制を構築するためには、平時にも一定程度、慣らし運転をする必要があるだろう。

      • 新型コロナでは、時限的・特例的に初診からのオンライン診療※4などが認められた。これにより新型コロナの陽性が診断された患者は、電話やWeb(パソコンやスマートフォン)を用いてオンラインで医師から診療を受けた後、薬剤を自宅などで受け取ることが可能になったのである(図4)。

 

  • アベノマスク単価、165~68.9円 業者や時期で2.4倍の差 毎日新聞 2023/4/24 15:33(最終更新 4/25 10:44)

    • 安倍政権が新型コロナウイルス対策で全国に配った布マスク「アベノマスク」を巡り、神戸学院大の上脇博之教授らは24日に記者会見し、国が開示した調達業者ごとの単価や発注枚数を明らかにした。3カ月間に約3億2000万枚が全て随意契約で発注され、税込みの単価は165~68・9円で業者や契約時期によって2・4倍の差があった。

    • 安倍政権は新型コロナの感染が拡大した2020年3~6月、17業者と計32件の随意契約を結んだ。調達総額は442億円で、全世帯に布マスクを2枚ずつ配布したほか、福祉施設や学校にも配った。業者名や業者ごとの契約額は明らかにされていたが、単価や枚数は公表されていなかった。

    • 上脇教授らによると、期間中に最多の約1億1000万枚を調達した総合商社の単価は、全5件の契約で143円だった。2番目に多い約7200万枚を納入した別の総合商社の単価は130・9円だったが、契約を重ねた末に139・5円に値上がりしていた。

    • 会計検査院は21年11月に公表した報告書で、国の対応について「業者の見積書の額をそのまま契約額とした」と指摘。国は過去に同規模の調達実績がなかったなどとして、市場価格を調査して算出することは困難だったとしている。

  • 新型コロナ「5類」移行時の働き方の変化に関する実態調査 働き方がコロナ前と大きく変わる企業は15.5% ~ リモートワーク・テレワークの定着が追い風も4割近い企業でコロナ前に回帰 ~ 2023/4/24 帝国データバンク

    • 本調査の結果、新型コロナの感染症法上の分類が「5 類」へ移行した後の働き方について、新型コロナ以前より半分以上異なると回答した企業は 15.5%にとどまった。変化の濃淡はあるものの『新型コロナ前と異なる』とする企業は、「情報サービス」などを含む『サービス』を中心にその割合が高いことが明らかになった。さらに、従業員数が 1,000 人を超える企業では 5 割以上となるなど従業員に比例して働き方が変化する企業は増えた。

    • 一方で、「新型コロナ前と同じ状態」へ回帰する企業は 39.1%と 4 割近くにのぼり、『農・林・水産』や『建設』などの企業でその傾向は高かった。「新型コロナ前と 2 割程度異なる」を含めると 6 割を占め、従来の働き方に戻る企業が多かった。

    • 引き続きリモートワークやテレワークなどを継続する企業がある一方で、感染対策を意識しながらも徐々に新型コロナ流行前の働き方へ戻す企業も多い。今後、企業を取り巻く環境については働き方だけではなく、コロナ禍で本社を郊外へ移転した企業の都市部への回帰など新たな変化が生じる可能性もあろう。

  • コロナ禍の教訓と気候変動問題-感染拡大防止策が温暖化対策のヒントになる!? 2023年04月18日 ニッセイ基礎研究所

    • 1――はじめに

    • 2――コロナ禍とCO2排出量の推移
        1|世界全体では、2020年に排出量が減少、21年には反動増
        2|日本も、2020年に排出量が大きく減少したが、21年にはコロナ禍以前からの減少基調に
         戻った
      3――コロナ禍と気候変動問題
        1|コロナ禍と気候変動には、世界全体での取り組みを要する等の共通点がある
        2|コロナ禍と気候変動には、時間軸などの相違点もある
      4――コロナ禍で見られた気候変動関連の事象
        1|産業・運輸部門のエネルギー使用量は減少、住宅部門のネルギー使用量は増加
        2|リモートワークが進み、郊外等でのエネルギー使用が増大
      5――得られた教訓
        1|取り組みの遅れは、コスト増につながる
        2|「他者のための取り組み」との理解が、人々の集団行動の促進につながる
        3|情報を効果的に発することで対策が推進される
      6――おわりに (私見)

 

  • 総額56兆円超「ゼロゼロ融資」の驚くべき実態…“借入額7,000万円”で「株式投資」した社長も! バラマキと利権の構造が放置されたワケ【新聞記者が解説】高橋 祐貴2023.4.17 幻冬舎GOLD ONLLINE 

    • 無利子・無担保の「ゼロゼロ融資」を中核とするコロナ対応融資の総額は56兆円を超えた。東京商工リサーチ(TSR)によると、2021年の企業倒産(負債額1,000万円以上)は6,030件。好景気に沸いたバブル期の1990年(6,468件)をも下回り、高度経済成長期の64年(4,212件)に次ぐ異例の低水準となった。

    • ゼロゼロ融資は、利子を各都道府県が、返済不能となった場合の焦げつきリスクを信用保証協会が受け持つ制度だ。お金を借りる企業の利子・担保負担を「ゼロ」にする制度で、仮に事業者が返済不能になったとしても、政府や都道府県、信用保証協会が代わりに受け持つことになる。

    • ゼロゼロ融資が始まった当初は政府系金融機関でのみ取り扱う計画だった。しかし、中小企業からの申請が殺到したため、政府は2020年5月から民間金融機関にも窓口を拡大した。日銀による大規模な金融緩和で収益悪化に苦しんでいた地域金融機関にとっては、ゼロゼロ融資は「カネのなる木」になった。

    • 金融機関から見ると、融資先の返済が焦げついても信用保証協会が肩代わりしてくれ、利子は都道府県が支払ってくれる側面があり、リスクを負うことなく、貸せば貸すほどもうかる構図となっている。

    • 政府融資の使途は運転資金と、新型コロナ対策のための設備投資に限定されているが、神戸市内の50代の中小企業経営者は、株式投資など「マネーゲーム」の原資にしていると明かす。政府もこうした実状を把握している模様だが、半ば放置されているのが実態だ。

    • 新型コロナ融資が企業・金融機関双方のモラルハザードを助長した。

    • 経済官庁幹部は次のように指摘する。
      「補助金や給付金、交付金は企業を受け身にさせ、常識的な経営者でさえ補助金をもらうことが目的となり、その間は自分が何をするべきかという考えを奪われてしまう。コロナ禍の政策はある種の麻薬になってしまっている」
      環境の変化に事業者支援の柔軟性が追いついていなかった。新型コロナの拡大に伴って、無尽蔵に広げてきた支援から絞り込みや実際の運用する中で生まれてきた課題をもとに変えていくことが必要だった。

 

  • マスクの売り上げ、着用緩和で3割近く減少 東芝が電子レシート分析 毎日新聞 2023/4/17 22:25(最終更新 4/18 07:54)

    • 政府が屋内でのマスク着用を個人の判断として以降、全国のスーパーマーケットなどでのマスクの売り上げが3割近く減ったことが明らかになった。東芝が、同社で提供する電子レシートのデータを分析して分かった。新型コロナウイルス禍でマスク着用は習慣として定着したが、徐々にマスク離れが進んでいるようだ。

    • 政府はマスクの着用を3月13日から個人判断とした。週ごとのマスクの売り上げは、3月13~19日は約623万円だったが、同20~26日は約451万円と約28%減少。今年、最も多かった週(1月23~29日、約700万円)と比べると約36%減った。

    • 一方で、化粧品の売り上げは増加。3月13~19日の売り上げは約1094万円と、政府がマスク着用の方針変更を決めた2月10日を含む2月6~12日と比べ、約407万円増加した。

  • 2022年度の「新型コロナウイルス」関連破たん 前年度から4割増の2,757件 公開日付:2023.04.07 東京商工リサーチ

    • 2022年度(4-3月)の「新型コロナ」関連の経営破たん(負債1,000万円未満を含む)は2,757件に達し、前年度(1,938件)から1.4倍増(42.2%増)に急増した。

    • 2020年2月25日、「コロナ関連破たん」第1号の判明から2023年3月31日まで、全国で累計5,951件が判明した。アフターコロナの時期に差し掛かってもコロナ破たんは増勢を強め、収束が見通せない。2023年度は物価高や人手不足などコストアップも重なり、複合型のコロナ破たんを中心に、さらに増加する可能性が高い。

    • 国内の企業数(358万9,333社、2016年総務省「経済センサス」)を基にした比率では、これまで累計のコロナ破たん率は0.165%で、1,000社に1社が破たんした計算になる。都道府県別で最も比率が高いのは東京都の0.291%で0.3%に迫り、最低は宮崎県の0.068%と、地域格差がみられる。

    • 関連:2022年度(令和4年度)の全国企業倒産6,880件 2023/04/10 東京商工リサーチ 

  • パンデミック下の雇用者収入 照山博司 2023年04月04日 リクルートワークス研究所

    • 玄田・萩原(2022)で示されたJPSEDに基づく分析や、他の統計調査を利用した分析の結果は、新型コロナパンデミックの雇用者収入への影響は、2020年の政府対応が強化された特定時期、行動制限が効果的であるとされた一部業種、さらには非正規という雇用形態に集中したことを示している。

    • 2020年の雇用者収入減を経済全体でみると、感染抑止政策が強化された期間に限定的に、収入変化の分布の右側(収入上昇サイド)が圧縮されるかたちで生じていた。年間を通してみると、収入変化の分布は2019年から2021年まで大きな変化はなかったといえる。これらの傾向は、正規雇用、非正規雇用で共通であり、両者の収入変化の分布の元来の差異を変えるようなものではなかった。

    • 影響が大きかった業種でみると、大幅な収入減が発生したのは第1回緊急事態宣言時で、特に飲食宿泊業の非正規雇用者で顕著であった。しかし、第2回宣言時には既に収束傾向がみられ、通年では、その影響はそれほど大きくなかったといえる。少なくとも、年収変化の分布は、2021年には2019年とほぼ変わらないものになっている。ただし、いったん大きく減少した収入「水準」は、その「変化率」が元に戻っても(それがさらに高くなるか、継続するかしないと)回復しないことに注意したい。

    • 以上にみたように、2020年のパンデミックがもたらした雇用者の収入変化は、年間でマクロ的にみると平常時と大きく変わりなかったが、実際には、特定の業種や雇用形態に短期に集中して大きな減収が発生していた。この点で、雇用調整助成金の特例措置を通じて、時期やターゲットを絞った迅速で重点的な経済対策を行ったことは、政策効果が高かったと考えられる。

  • 特別研究 (下村プロジェクト シリーズ「高まる地政学的リスクと日本経済」第3回 不確実性下での経済の新陳代謝 2023年4-5月号 2023/04/01 (一財)日本経済研究所 

    • 経済構造の変化をもたらす外的要因は、大きく2つに分けられる。1つは、グローバル化、技術進歩、気候変動、人口構造といった徐々にではあるが累積的に大規模かつ不可逆的な変化をもたらす「トレンド」的な要因である。こうしたタイプの変化は最終的には勝者と敗者を生み出すが、進行が緩慢であるため、抜本的な改革よりも問題の先送りが選択されやすい面がある。調整過程の痛みを和らげるために衰退するセクターを政府や金融機関が支援すれば、経済構造の変化に対応した資源の再配分を阻害し、いわゆる「ゾンビ企業」を生み出す結果につながりやすい。

    • もう1つの要因は、金融危機、自然災害やパンデミックのように短期的に急激な変化をもたらす「ショック」である。こうしたタイプの変化は予期せぬ形で発生し、短期間に企業経営や雇用に多大な打撃を与える。しかし、現に起きている急激な変化が可逆的な(元に戻る)ものか不可逆的なものかを、すぐに見極めることは難しい。可逆的なものであれば最終的には経済構造は元に戻るため、その間のショック・アブソーバーとしての政府・中央銀行や金融機関の役割に期待が集まりやすい。しかし、ショックが不可逆的に経済構造を変えてしまった場合、これらの支援策は経済の新陳代謝に逆行することとなり、やはり「ゾンビ企業」を生み出してしまう。

    • 海外経済の減速を背景に景気は2018年10-12月期をピークに緩やかに後退に転じており、これに伴い法人企業の売上高も製造業は2019年4-6月期、非製造業は同7-9月期から前年同期比で減少に転じている。2020年に入るとコロナ禍の影響で売上高の減少幅は一層拡大するが、ボトムは早くも2020年4-6月期に訪れる(景気の谷も同様)。その後は経済活動の再開とともにマイナス幅が徐々に縮小し、2021年4-6月期以降は製造業、非製造業ともにプラスに転じている。

    • ゼロゼロ融資は、補助金・給付金による支援と相まって、これまでのところ事業の継続(倒産の抑制)につながっている。それでは、雇用の維持という観点ではどうだったのであろうか。期末従業員数(パート・アルバイトは常用雇用人数換算で含む)の推移を見ると、製造業・非製造業ともに2020年4-6月期から大幅な減少に転じている。

    • 一般に、日本の雇用システムでは、企業特殊的スキルを重視するため、業績が悪化しても企業は簡単に従業員の解雇には踏み切らず、雇用保蔵の形でショックを吸収する傾向が強いと考えられてきた。しかし、このようなメカニズムが働くのは、メンバーシップ型雇用の正社員に限られる。売上高の減少幅に比べれば小さいとはいえ、2020年4-6月期の時点で大幅に雇用が削減された事実は、非正規雇用が4割近くに達する現在、雇用保蔵の効果は限定的であることを示唆する。

    • もちろん、反実仮想(もし支援策なかりせば……)の議論をすれば、より多くの雇用が削減され、アメリカのように失業率が短期的に急上昇した可能性は否定できない。しかし、雇用は2021年4-6月期から増加傾向に転じ、2022年12月の日銀短観雇用人員判断DIでは宿泊・飲食サービスが最も不足感の強い業種となっている。支援策が一定の雇用保蔵効果をもたらしたのだとしても、それがコロナ禍の影響を受けた産業の円滑な事業再開につながっているとは言い難い。

    • アメリカとドイツでは、構造変化の大きさは「設備投資>付加価値>就業者数」の順であるのに対して、日本は「付加価値>就業者数>設備投資」となっている。つまりアメリカやドイツは、設備投資が最も活発に変化し、付加価値や就業者数の変化がそれに続く形であるのに対し、日本は付加価値や就業者数は相応に変化しているにもかかわらず、設備投資のダイナミズムが決定的に欠けている。第2節でも触れたように、日本企業は失われた10年を経て企業の存続に重きを置いた経営スタンスが主流となり、投資行動の面でも「減価償却の範囲内」といった戦略性に欠けた意思決定が一般化した。表2に示された設備投資の変化の乏しさは、このような長年にわたる経営の不作為の表れであるといえる。

    • 保守的な投資行動は、短期的には企業の存続確率を高めるが、長い目で見れば深刻な競争力の低下を招く。日本企業が危機に対して脆弱なのは、危機管理体制の不備など技術的な問題もあるが、根本的には長年の投資不足による競争力の低下が響いていると考えられる。世界的に大きなショックが襲った時、需要が蒸発したり調達が困難になったりするのは、グローバルなバリューチェーンの中で、販売力や購買力の面で限界的なプレーヤーに位置付けられている証拠である。DXなど技術進歩への対応に迫られた時、国内に人材がいないのは、設備の老朽化を放置して従業員が最新技術に触れる機会を奪ってきたためである。世界的に人手不足が続くなか、将来性を感じられない企業に人は集まらない。経済の新陳代謝を前進させるドライバーとして、高まる不確実性の下でもリスクを取って積極果敢に設備投資を実行する企業家精神が今ほど求められている時はない。

    • 総合すれば、コロナの影響が本格化して1年程度の時期に、支援策を継続するにしても、現状維持的な方向から、転業・転職支援など構造変化を促進する方向に切り替えた方が、より望ましい結果につながったと考えられる。

    • 根本的な問題は、日本企業の「稼ぐ力」の弱さにある。企業が積極的な投資を継続的に行わなければ、市場の選別メカニズムは働かず、経済の新陳代謝も進まない。不確実な世界を生き抜くために、労働者であり投資家でもある国民の意識は着実に変化しつつある。成長力の乏しい企業が見向きもされなくなる時代が到来する前に、日本企業は自ら変革しなければならない。​​

  • ポストコロナの都市交通とまちづくり 日本都市センター研究員 髙野裕作 「都市とガバナンス」第39号(2023.3)

    • 持続可能な地域づくり、まちづくりのためには、公共交通は現状維持ではなく、何らかの改善が必要ということである。

    • 本 WG で対象とした事例は、モータリゼーションが進展しつつも、一定の公共交通利用が現状においてあり、比較的人口が維持されているあるいは減少が緩やかな都市が中心である。また規模が小さい地方都市である由布市、柳川市についても、人口減少が進んでいるものの観光地としての魅力・競争力の高い都市である。

    • 人口減少がより著しく、既存の交通機関の存続が難しくなっているような地域においても、第一には近江鉄道の事例のように幅広い社会的影響からその存在価値について検討し、第二には地域にとって真に必要・有用な公共交通サービスのあり方を検討し、需要に応じた最適なサービスが実現すれば、それは既存の交通機関の維持よりもより社会的便益が高いものとなる可能性がある。

  • ポストコロナ時代の地方創生を考える ―ローカルキャリアと越境学習の視点から― 青森大学社会学部准教授 石井重成 都市とガバナンス Vol.39(2023.3)

    • 『ライフ・シフト』の著者であり、ロンドン・ビジネススクールで教佃をとるリンダ・グラットン氏は、新型コロナウィルスによるリモートワーク経験と、あらゆるセクターにおける DX の浸透により、時間的・空間的な制約を受けない新たな働き方が拡がりつつあると指摘する。NTT グループは、2022年 7 月より勤務場所を社員の自宅とする「リモートスタンダード制度」を導入し、働き方を自由に選択・設計可能とすることで「ワークインライフ(健康経営)」を推進する方針を示している。

    • 日本国内においても、地域や業種・業態によってバラつきはあるものの、これまで一部の人にしか許容されてこなかった「自身の裁量によって、いつでも、どこでも仕事ができる」というライフスタイル提案が、企業の経営戦略や人事戦略として活用され始めている。この働き方の変容とは、つまるところ、「働く場所と暮らす場所が遊離していく」未来を示しているのではないか。「働く場所と暮らす場所を独立の事象として選択できる社会」が迫ってきているとしたら、人はどのように自分の過ごす場所を定めるのだろうか。

    • 「働く場所と暮らす場所が遊離していく」社会における地方創生とは、いったい何を意味するのか。人口減少問題を起点とし、国や地域を主語に論じられることの多かった地方創生論と、個人一人ひとりが自分らしく、豊かなライフスタイルを実現するためのキャリア論を、どのように再結合していくべきか。私たちは今、こうした根本的な問いに直面しているのではないか。

 

  • コロナ後の世界と日本」 機械振興協会経済研究所 所長 林良造 2023年03月31日 No.36(2023年3月)機械振興協会

    • 2022 年を振り返ると、コロナに追われている間に世界は激変していたことに驚かされる。

    • 第一がロシアによるウクライナ侵攻である。国境を接する主権国家が平和裏に共存することを目指した国連の常任理事国がその国境線を越えて侵攻したことは、戦後の安全保障秩序の前提を根本から揺るがした。またこれはヨーロッパのみならず世界のエネルギーバランスをくずし、食糧危機を惹起し、相互依存を深めていた世界経済を大混乱に陥れた。

    • また、中国経済の巨大化、そのシステムの優越性の自己評価と太平洋への軍事的進出、そして一帯一路構想は、米国中心に出来上がっていた既存秩序に対する対抗軸を形成するところまで進んだ。これは中国自身がかかわるアジアにおける中華思想秩序の復活への動きのみならず、世界の現状変更を求める勢力を力づけることとなっている。

    • その一つが過剰な防衛的領土拡大本能を持つロシアであり、ジハードによりイスラム教で世界をうめつくそうとするイスラム原理主義であった。このような、世界の安全保障環境や経済秩序に対する現状変更勢力の挑戦は、次の 10 年間の基調を形作ると思われる。

    • このような安全保障秩序・経済秩序の揺らぎの中で、インターネットのとどまるところを知らない普及とチャット GPT のような生成 AI、その他の IT 技術の急速な展開は、巨大な機会と脅威をもたらし不安定性を拡大する要素となる。

    • 政治・政策面では、統治の質、政治家の質、官僚の質、政策の質等々の劣化が目立つようになった。そもそも日本の議院内閣制では政権交代が少なく、国民を聴衆とした公開での政党間の政策論争という真剣勝負の機会が限られており、政治家の政策立案能力が磨かれる機会が少ない。また安定的与党と官僚機構との間で濃密な依存関係が形成され、その緊張関係もあやふやになりがちである。さらに実質的な政策立案の情報と能力が圧倒的に官僚機構の中に集中し、政権与党の政策に対し実質的な政策論争を行えるシンクタンクが育ってこなかった。

    • このような日本のガバナンスシステムにおけるチェックアンドバランスの弱さと独特ともいえる精緻なコンセンサス文化が、政策決定過程における既得権益の構造を守り、結果として政策のダイナミズムを失わせてきた。

 

  • コロナ禍が高齢者の生活に与えた影響と回復に向けた取組(総括編)2023年03月31日 ニッセイ基礎研究所 

    • 山田氏の発表によると、コロナ禍1年目で身体活動は約3割減少し、仕事やボランティア、趣味活動などの社会活動も連動して大幅に減少した。コロナ禍2年目でいったん回復の兆しを見せたが、3年目に入ると、また1年目と同程度まで落ち込んだという。

    • また、各種の機能低下などを確認できる厚生労働省の「基本チェックリスト」を用いて調査したところ、大幅に状態が悪化しており、項目別に変化をみると、特に身体機能と精神機能の低下が顕著だったという。実際に、コロナ禍になってフレイルを発症した高齢者は約23%おり、通常の3年間の発症率(約15%)と比べて上昇したという研究成果を明らかにした。コロナ禍では、通常に比べて約1.5倍の割合で発症したことになる。コロナ禍の自粛生活によって、高齢者に「健康二次被害」が起きていることは明らかである。

    • コロナ禍になって、高齢者の移動が減少し、高齢ドライバーの交通死亡事故は大きく減少した。これに対して、(2)外出困難は、コロナ禍の外出自粛によって深刻化し、身体機能や精神機能の低下、フレイル発症率上昇というように、健康二次被害が増していると言える。

    • アイシンのAIオンデマンド乗合タクシー「チョイソコ」は、全国50か所以上で運行されているが、そのうち最初に運行が始まった愛知県豊明市のコロナ禍の利用状況についてみていきたい。「令和4年度第1回豊明市地域公共交通会議」配布資料によると、同市におけるチョイソコの利用回数は、2019年度は約10,000回、2020年度は約8,700回、2021年度は約9,500回となっており、コロナ禍直後の落ち込みは2022年度に入って回復してきていると言える。

    • そこで、どのように利用されているのかをみると、「利用回数の目的別内訳」では「買い物」(41%)、「医療」(37%)の他に、「文化」と「運動」が計22%を占めている。

    • アイシンが最近、開発に力を入れているというのが、特典付きのイベントである。例えば岐阜県各務原市では、高齢者がチョイソコを利用してハーブ園へ行き、ハーブ摘み作業を行うと、施設内の温浴施設の無料券をもらえるという取組が紹介された。

    • 自立度が低下した高齢者の外出については、チョイソコが新たな取組を始めたことが、座談会で紹介された。アイシンと協業する企業グループの介護施設と連携し、介護施設の車椅子の利用者をチョイソコに乗せ、介護職員にも付き添ってもらって、外出を支援する取組である。

    • 関連:コロナ禍が高齢者の生活に与えた影響と回復に向けた取組(上) 2023年03月28日 ニッセイ基礎研究所

    • 関連:コロナ禍が高齢者の生活に与えた影響と回復に向けた取組(下) 2023年03月29日 ニッセイ基礎研究所

 

 

  • 「ポストコロナの新常態」における経済社会の展望と政策 経済社会研究会 2023/03/24 中曽根平和研究所

    • 1.新たな発想で人口政策の見直しに取り組み、短期的には国民希望出生率の達成、長期的にはその引き上げを目指そう。

      • 出生率が国民希望出生率を上回ることは原理的に不可能であり、長期的には、国民希望出生率自体を引き上げるような何らかのブレークスルーが必要となる。子育てにおける経済的負担とともに、心理的・肉体的負担の大きさも意識されてきており、それらが国民希望出生率の低下にも表れているのだとすれば、我が国の経済社会の枠組みが、必ずしも「子育てにやさしい」ものにはなっていない、いわば「文化的背景」にも課題があると考えらえる。

    • 2.経済社会全体で「まずやってみる」「まず変えてみる」という機運を醸成し、デジタル技術を上手に応用して、経済社会のさまざまな課題解決につなげていこう。

      • 進化が速いデジタル技術の普及に係るリスクは、政府や企業における意思決定の過程やそのスピードにあるかもしれない。我が国では、プロセスを重視するあまり「何かをする」「何かを変える」という一つひとつの意思決定が重く、環境の変化に柔軟に対応することを難しくしている側面がある。たとえ完璧なものでなくとも、早く社会に送り出し、みんなで利用して、どんどん改良してよいものに進化させていく、という発想を経済社会全体で共有し実践していくことが必要だろう。

    • 3.地域間連携と「共感型」まちづくりを組み合わせ、人口減少下でも人々のwell-beingの維持・向上を目指す「スマートシュリンク」を実現しよう。

      •  今後の新たな「共感型」まちづくりのプロセスの推進力となりうるのは、行政区(界)にとらわれない、例えば共通の歴史や伝統、文化をはじめとする、いわばその「土地」のソフトパワーかもしれない。それぞれの「土地」の個性、強みを生かしていくことは、ポストコロナにおける家計や企業の立地選択の多様化に応えることにもなるし、結果的に複数の都市・地域を、住民のレベルでも、また行政のレベルでも有機的に結び付け、そこでの社会的問題をともに解決し、住民のwell-beingを向上させるための力にもなりえよう。
         

  • ウイズコロナとアフターコロナ 心をよぎる五つの不安― 有岡正樹 No.157 2023年3月23日発行 DNA問題研究所

    • 背中を押した「日本近代史八十年周期説」

    • 三年間にわたる新型コロナ感染拡大研究のグループ活動

    • 夢のまた夢

  • ロナ感染拡大から 3 年の今みる、旅の変化と宿泊業の雇用動向 23.03.22  リクルート

    • コロナ禍を経た、観光旅行の変化~個人化や高付加価値化が進む~

      • 国内宿泊旅行におけるグループサイズは縮小傾向にあり、旅行の個人化は既に起きていました。それがコロナ感染拡大に伴い、一気に加速したとみられます。2021 年度に実施された国内宿泊旅行のうち、「夫婦二人での旅行」が 27.4%。次いで「一人旅」は 20.1%で過去最高値となっていました。

      • コロナ禍を経て、『量から質へ』という戦略転換が各観光地、宿泊施設で強く求められている今、旅行の高付加価値化への挑戦も始まっています。コロナ前は、オーバーツーリズムが発生し、旅行需要の多寡が発生していました。

      • 観光旅行業界で注目されているのがサステナブルツーリズムです。これは地域における「経済」「社会・文化」「環境」の 3 つの観点を共存させつつ、旅行者を迎え入れる、旅の在り方です。日本全体で観光の力を活用しながら、持続的な地方創生を実現するためには、それぞれの観光資源を生かした「地域の魅力づくり」をした上で、その魅力を体現する「人を育てる」ことが必要となるでしょう。

 

  • 新型コロナパンデミックと雇用の格差 ―2019年から2021年の動向 2023年03月20日 リクルートワークス研究所

    • 新型コロナウイルス感染症が世界的に急拡大した2020年、日本の雇用環境にも大きな影響が生じた。中でも一時休業による雇用調整が目立った。その理由として、経済の回復見通しが立たない状況で、解雇や再雇用よりも調整コストの小さい手段として選ばれたことがあろう。また、特に感染拡大初期に外出自粛が強く推奨された経緯から、休業は雇用調整以外に人流制限の目的も強くもった。雇用調整助成金制度による政策対応もこれを後押しした。

    • 休業の活用は失業者の増加を抑えることに貢献したが、その適用は労働者に幅広く及んだわけではなく、一部に集中した。まず、従来、不況期の雇用調整弁だった非正規雇用層では、コロナ禍でも休業者増が顕著であった。また、テレワークなど働き方が柔軟な労働者ほど休業を回避する可能性が高いが、そのような労働者は良好な職場環境下にある高所得層に多い。玄田・萩原(2022)では、これらの事実をJPSEDによって検証した研究結果を総括して、雇用に所得・安定・柔軟の「三重の格差」が生まれたとしている。

    • パンデミックの影響は、正規雇用者に対しては、若干休業者が増えた程度で大きなものではなく、もっぱら非正規雇用者へ、休業の急増とそれに続く失業と労働市場からの退出の増加として表れた。ただし、その影響が顕著だったのは2020年に限定され、2021年にはおおよそ2019年水準に収束している。この意味で、コロナ禍の影響は、非正規雇用者に集中したが、雇用形態にかかわらず短期的だったといえる

    • 大部分の雇用者はテレワーク可能な環境にないことである。上記のテレワーク適用者の比率は、2018年で4.3%、2019年で5.0%、2020年で15.6%、2021年で17.4%(いずれも12月)であった。コロナ禍を経て高まっているものの、依然多くの雇用者をカバーしているとはいえない。また、その過程で、テレワークのもつ働き方への役割も異なってきているだろう。テレワークの役割については、コロナ禍における短期的なレジリエンス効果とともに、より長期の視点から従業継続に対する効果をみる必要があるようだ。

 

  • 世帯年収別に見たコロナ禍3年の家計収支-給付金や消費減少で貯蓄増加、消費は回復傾向だが子育て世帯で鈍さも 2023年03月20日 ニッセイ基礎研究所

    • 総務省「家計調査」を用いてコロナ禍3年間における二人以上勤労者世帯の家計収支を見たところ、「特別定額給付金」や「女性の活躍」推進による妻の収入増加、外出自粛による消費支出の減少によって、収入階級によらず貯蓄は増加している。消費は全体で見れば未だコロナ禍前の水準を下回っているが、高収入階級ではコロナ禍前の水準に回復し、回復傾向の鈍い世帯年収600万円前後の子育て世帯や高齢者の勤労世帯でも、コロナ禍2年目と比べて3年目の2022年では回復基調が強まっている。

    • 5月に新型コロナウイルス感染症の感染症法上の扱いが季節性インフルエンザと同じ5類指定感染症へと見直されるが、コロナ禍で増えた貯蓄によって家計に余力があるために、短期的には消費回復の動きが更に活発化するだろう。一方で、物価高が継続する中では賃金が物価の上昇率を超えて伸びない限りは、コロナ禍で抑制していた消費活動が一巡した後は消費行動には節約志向が色濃くあらわれる懸念がある。

    • 特に懸念されるのは中低収入層の子育て世帯の消費だ。既出レポートで述べてきた通り、物価高進行下において、子育て世帯では物価高の負担感が強い。収入が減少した層が比較的多く、あらゆる面で支出を抑制する工夫をしている。また、「全国旅行支援」などの需要喚起策も経済的、あるいは時間的な余裕のなさを理由に利用が少ない。

    • 今の子育て世帯は就職氷河期世代の親が増えており、上の世代と比べて経済状況が厳しい。35~44歳の男性の非正規雇用率は1990年と比べて現在では約3倍(2022年9.3%)へ上昇している。また、正規雇用者の賃金カーブは10年ほど前と比べて30~40歳代で平坦化している(40歳前後の10年間で大学卒の男性で約▲730万円、女性で約▲820万円)。

    • 物価高が進行する中で、政府はエネルギー価格や食料価格の抑制対策や賃上げ支援、低所得世帯への給付といった物価高対策を実施しており、負担感の大きな子育て世帯に向けた給付等を行う自治体もある。生活困窮世帯を中心に即時的な家計支援策の実行が求められる一方で、中長期的には、安心して働き続けられる就業環境の整備を進めることが究極の家計支援策と言える。

    • また、家計負担が増した状況を根本的に改善するには賃金の上昇が必要だ。そのためには、生産性を高めることで高い報酬を得られるような賃金構造に抜本的に変えていく必要がある。欧米と比較して日本の賃金水準が低い背景には、雇用者の約3割が賃金水準の低い非正規雇用者であり、正規雇用者でも、終身雇用や年功序列が色濃い日本型雇用では高い能力や成果に対する報酬が低く抑えられていることがある。

  • マスク着用する機会「減らなかった」74% 朝日新聞世論調査 2023年3月19日 朝日新聞デジタル

    • 18、19日に実施した朝日新聞の世論調査で、マスク着用が13日から個人の判断に委ねられていることを受け、「あなた自身はマスクを着けることが減ったか、減らなかったか」と聞いた。「減らなかった」74%が「減った」23%を大きく上回った。「減った」は男女で差があり、男性29%、女性17%だった。また年代別では18~29歳で33%と多めだった。

    • 「減らなかった」と答えた人に理由を5択で尋ねると、「感染対策のため」50%、「花粉症だから」21%、「マスクが習慣になったから」15%、「周りが着けているから」10%、「顔を隠せるから」3%の順だった。「感染対策のため」は60代で60%、70歳以上で60%。30代以下では3割程度だった。「花粉症だから」は若年層で多く、18~29歳の29%、30代の33%が答えた。

  • コロナ対策、国費102兆円で論戦 岸田首相は効果力説、再検証に否定的―維新「無駄、詐欺みたい」 2023年03月03日07時03分 JIJI.COM
    • 2日の参院予算委員会では過去3年間に投じられた総額102兆円の国費の効果を巡り論戦が交わされた。
    • 猪瀬氏が最初に矛先を向けたのは地方創生臨時交付金だ。「配られた15兆円は竹下内閣の交付金(ふるさと創生事業)の50倍以上。イカのモニュメントを作った自治体もあった。無駄遣いの動機を与えたのではないか」と批判。
    • 猪瀬氏は医療機関向けの補助金も「巨額さが際立つ」とやり玉に挙げた。1日1床当たり7万4000~43万6000円の病床確保料を得ながら、医師や看護師が確保できないとして患者受け入れを断っていた医療機関もあったと指摘。「幽霊病床は詐欺みたいだ」と問題視した。
    • 政府はコロナワクチンに関し、米モデルナ製で約4610万回分、英アストラゼネカ製で1350万回分が廃棄されたことも明らかにした。
    • コロナ対策検証を巡っては、政府の有識者会議が昨年6月に報告書をまとめた。しかし、活動期間はわずか1カ月余り。安倍晋三元首相や菅義偉前首相への聞き取りも行わなかった。報告書は「今後とも多面的な検証が行われることを求めたい」と記した。
    • 関連:コロナ病床補助金 神奈川県の76医療機関に約88億円過大交付か 2023年3月1日 17時48分 NHK
      • 神奈川県内の76の医療機関に対して、新型コロナの患者のために確保した病床に対する補助金が、およそ88億円過大に交付されていた可能性があることが分かり、県は今後、返還を求めることにしています。
      • 新型コロナの入院患者の病床を確保するため、国はほかの患者の受け入れを休止した病床や、コロナ患者用に確保したものの使われなかった病床に、都道府県を通じて補助金を支給しています。
      • この補助金について会計検査院が調べたところ、神奈川県内では、病院側が対象の日数を過大に申告したり、より単価が高い病床として申告したりして、令和2年度に8つの医療機関に対して、およそ42億円が過大に交付されていたことが分かっています。
      • 会計検査院の指摘を受け、県は同じようなケースがないか医療機関に自主点検を求めました。
      • その結果、76の医療機関に令和2年度から2年間、およそ88億円が過大に交付されていた可能性があることが、新たに分かったということです。
      • 県の担当者は「県の審査が不十分だったこともあり、反省している。金額を精査したうえで、来年3月末までに全額を返還してもらう方向で、医療機関と調整したい」と話しています。
  • コロナ禍で高まった輸入浸透度をどうみるか No.389-1 (2023年3月2日) DBJ Research
    • コロナ禍での日本の輸入は、名目、実質ともに増加し、先行きについても、内需の回復もあって高水準を維持する見通しとなっている。国内供給に占める輸入品の割合を示す輸入浸透度をみると、2013年以降は横ばいだったがコロナ禍で急上昇しており、国内の財供給における輸入依存の強まりがみられる。
    • 輸入浸透度の上昇には、ワクチンの輸入増加などコロナ禍での一時的な要因もあるが、5Gや脱炭素関連の資本財の輸入増加など、一時的とは言い難いものもみられる。これらの資本財では、近年競争力を高める中国からの輸入が増加しており、輸入が高止まる可能性もある。
    • 国際分業が進むことによる輸入浸透度の上昇は経済効率化のメリットも大きく、それ自体は悲観することではないが、5Gや脱炭素関連投資は今後さらなる需要の拡大が見込まれるほか、安全保障上の観点もあり、国内生産や技術の強化が議論されよう。
  • コロナ禍が不動産業に与えたインパクト ―不動産業業況等調査からの分析―  土地総合研究 2023年冬号 一般財団法人土地総合研究所
    • 「住宅・宅地分譲業」と「不動産流通業(住宅地)」の業況指数は、新型コロナウイルスの感染拡大の影響を受けて、2020 年4月調査では大きく悪化した。経済社会活動の規制や縮小、停止により、モデルルーム来場者数は減少しており、あわせて成約件数も減少している。しかし、その期間も、販売価格の動向は高い水準を維持しており、個人の購入意欲は強い。このため、この2業種は、2020年前半で底となって以降はすぐに回復傾向となり、2021年後半にはコロナ禍以前の水準に戻っている。また2021年後半からは、オンライン商談も一般的になってきている可能性が見えた。
    • 「ビル賃貸業」の業況指数は、上述の2業種から遅行して悪化した。コロナ禍を受けた店舗の撤退やオフィス床面積の見直し等によって、空室の状況と成約賃料動向はそろって大幅に悪化しており、それにあわせて業況指数も落ち込んだ。現在では、空室の状況は回復傾向となっているが、成約賃料動向はいまだ低迷しており、業況指数は回復基調にはあるもののコロナ禍以前の水準には戻っていない。
    • リーマンショック時の業況の推移をみると、「住宅・宅地分譲業」と「不動産流通業(住宅地)」の業況指数は、サブプライム住宅ローン問題が顕在化した 2007年夏頃から2009年初頭まで、継続的に大きく悪化した。「ビル賃貸業」も、1年ほど遅行して悪化し、その後低迷した。また、諸指標をみると、コロナ禍とは異なり、リーマンショック時には販売価格等も大幅に悪化している。
    • 3ヶ月先の見通しと実際の業況指数を比較するは見通しよりも回復が遅くなった。
    • また、3業種について、業況指数の推移を底を起点に重ねてみると、リーマンショック時と比べてコロナ禍の方が、負の影響は小さく、短期間で回復傾向に入っている。このように、2020年初めに巻き起こったコロナ禍は、不動産業にも大きな影響を与えたが、3年が経過しその混乱は収束しつつある。また、悪化の度合いは、リーマンショック時と比較して小さい。
    • 一方で、コロナ禍で行った経済・金融政策は、世界的な物価上昇や金融引き締めなど、新しい局面を引き起こしつつある。また、テレワークの浸透など新しい人の動き方も出てきている。今後も、それらの動向を引き続き注視していく必要があると考えられる。
 
  • 『エン転職』1万人アンケート(2023年2月) 「新型コロナ後の企業選びの軸」調査 特に重視するのは「テレワーク・副業など希望の働き方ができるか」企業選びで「クチコミ」を参考にする人多数。 ー『エン転職』ユーザーアンケートー 2023/02/14 エン・ジャパン
    • 新型コロナウイルスを経験し、企業選びの軸が変わった方は約3割。変化があったと回答した方が多い業種上位は「コンサル」「IT」。
    • 企業選びの軸が変わった方で、特に重視するようになったことトップ3は「希望の働き方(テレワーク・副業など)ができるか」「希望の条件(勤務時間・休日休暇など)があるか」「業績が好調か」。
    • 企業を知るうえで、最も参考になったものトップ3は「転職サイト」「クチコミサイト」「企業ホームページ」。知りたくても調べきれなかったことトップは「職場の雰囲気」。
  • コロナ破たん企業、約6割が「従業員5人未満」 累計の判明件数は5465件【2月9日16:00現在】t東京商工リサーチ
     
  • COVID-19 拡大による住まい方・エネルギーの使い方の変化 2023.01.31 ミサワホーム研究所
    • アンケート調査について
      • 在宅時間が増えた人の割合は月別で最大70%
      • 自宅での昼食・夕食の回数が増加
      • 在宅時の使用頻度の高い家電類は娯楽家電類、空調家電類、在宅勤務等に係る家電類
    • 対象世帯全体の変化
      • 対象世帯全体のエネルギー使用量は増加傾向
      • 在宅での生活が多い世帯で消費電力量の増加が顕著
    • 邸別の変化
      • 居間・台所での消費電力量および食事に係るエネルギー使用量が増加
    • まとめ
      • COVID-19拡大後は、在宅時間、自宅での食事の回数、家電機器類の使用頻度などの住まい方の変化が確認され、それらに影響を受けると推測される時間帯、回路のエネルギー使用量の変化も確認されました。
 
  • 「ゼロ・ゼロ融資」を受けた倒産、累計584件 2022年は前年比4倍増の452件に急増 ~ 「ゼロ・ゼロ融資後倒産」状況 ~ 2023.01.13 東京商工リサーチ
    • ゼロ・ゼロ融資は、2020年3月の政府系金融機関に続き、初の緊急事態宣言が発令された同年5月から民間金融機関でも受付が始まり、同年7月に初のゼロ・ゼロ融資後倒産が発生した。 
    • ゼロ・ゼロ融資後倒産はその後、毎月発生し、2020年は19件、2021年は113件と増加をたどり、2022年は前年比4倍増の452件と急増した。ゼロ・ゼロ融資の据置期間は最長5年で、実質1~2年が多いとみられるが、時間の経過とともに右肩上がりで倒産は増勢を強めている。
    • ゼロ・ゼロ融資は倒産抑制を支えたが、その副作用で「過剰債務」が懸念材料に浮上している。ゼロ・ゼロ融資後倒産は、負債1億円以上が316件と半数(構成比54.1%)を占める。一方、同期間(2020年7月~2022年12月)の全国倒産(1万6,230件)では負債1億円以上の構成比が25.4%(4,102件)で、ゼロ・ゼロ融資後倒産の半分以下にとどまる。
    • また、ゼロ・ゼロ融資後倒産の従業員数は10人未満が386件と6割超(構成比66.0%)に達し、このことから小・零細規模の企業が通常借入に加え、緊急避難的なゼロ・ゼロ融資で負債が膨らんだことがうかがえる。
    • 東京商工リサーチが2022年12月に実施した企業アンケート調査で、ゼロ・ゼロ融資の利用を約半数(47.8%)の企業が回答した。このうち、約3割(28.2%)の企業が据置期間終了後に再び「返済猶予を受けている」または「返済に懸念がある」と答えている。2023年7月からゼロ・ゼロ融資の返済開始のピークが見込まれており、「過剰債務」への対応が急がれる。
 
  • コロナ補助金で赤字4億→黒字7億 病院平均、患者拒否で受給も 毎日新聞 2023/1/13 17:00(最終更新 1/13 18:53)
    • 新型コロナウイルス対策に関する国の補助金事業により、受給した医療機関の収支が大きく改善したことが13日、会計検査院の検査で判明した。検査対象となった269医療機関の平均収支額は感染拡大前の2019年度は約4億円の赤字だったが、拡大後の21年度は約7億円の黒字だった。一方で、検査した医療機関にはコロナ患者の入院病床を確保するための補助金を受けながら、患者の受け入れ要請を断っていたケースもあり、検査院は事業内容の見直しや検証を求めた。
    • また、20~21年度に病床確保事業の補助金を受給しながら患者の病床利用率が50%を下回っていた医療機関も民間を含めちょうど同数の269あったとし、該当病院などにアンケート調査を実施。「入院受け入れ要請自体が少なかった」とする回答が多かった一方、「対応する看護師などの人数が足りなくなった」ことなどから「都道府県からの入院受け入れ要請を断っていた」とする回答も3割強あった。
    • こうした要請拒否について検査院は「個々の医療機関についてみれば、やむを得なかった事情があった」としつつ、「実際にはコロナ患者などを入院させることができなかった病床に対しても補助金が支給されていたことになる」と指摘。厚生労働省に対し、看護師の人員確保など受け入れ態勢が整っている病床数に応じた補助金が支給されるよう明確に定める▽人員確保が困難になった医療機関については補助対象の病床数を調整するよう都道府県に指導する――ことなどを求めた。
 
  • コロナ禍での「静かな退職」、米ミレニアル世代と大卒の男性が主導 Michael Sasso 2023年1月10日 12:47 JST Bllomberg
    • ワシントン大学の研究者らの研究結果によれば、2000年代に成人になったミレニアル世代に分類される25歳から39歳までの男性は2019年から22年に、自発的に労働時間を年16時間減らした。また、学士号以上の学歴を持つ男性は14時間減らし、最も労働時間が減ったグループだった。中でも高所得で既に労働時間が最長だった人が最も大きく減らした。
    • クワイエット・クイッティングは、労働者が仕事に費やす全体的な努力と時間を減らすことを指し、世界的に仕事と生活のバランスの見直しが求められたコロナ禍で広がった現象だ。リセッション(景気後退)は通常、レイオフの中で労働時間の減少をもたらすものの、コロナ禍を受けた景気低迷では従来とは異なり、労働時間減少の大きな部分は米国民がより柔軟な勤務時間や勤務態勢を選んだ結果だったと研究者らは分析した。
    • 米国全体でみると、パンデミック期の労働時間は2007年までさかのぼったパンデミック前の期間に比べて11時間減った。
 
  • 攻めなき日本の薬事行政、名ばかりだった「緊急」2023年1月8日 5:30 日本経済新聞
 
  • 大学入学共通テストまで一週間、女子の理系志向高まる…コロナ禍で「手に職を」 2023/01/07 06:00 読売新聞オンライン
    • 大学入学共通テストは14、15日に実施される。予備校による今年の受験生志望動向分析からは、女子の理系志向が高まる傾向が浮かび上がった。長引くコロナ禍による先行きの不透明感もあって、就職や資格取得に有利とされる理系学部が注目されているようだ。
    • 「長期的には理系志望の女子は増えてきていたが、今年は特に、女子のキャリア志向・理系志向の高まりがはっきりとしてきた」と河合塾教育研究開発本部の近藤治主席研究員は言う。
    • 河合塾が昨年秋に行った模擬試験(約24万人受験)の分析では、東京大や京都大など国立難関大10校の理系学部志望者は前年比99%だったが、女子に限ると同101%に増加した。首都圏の私立理系10大学でも、志望者数は前年比98%に対し、女子は同103%だった。
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