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社会・経済・エネルギー・環境・リスク [2024年]

[12月]

 

  • 4    縮小する日本の将来人口とその含意 ~迫られる外国人労働力依存社会への対応 小野充人(一財)国際貿易投資研究所 研究主幹  国際貿易と投資 No.138 (一財)国際貿易投資研究所 2024年12月26日閲覧
    • 日本の人口減少が加速し始めている。2023年時点で、既に医療・福祉サービス業、建設業などで労働者不足が顕在化している。現在、国内の外国人労働者数は204万8,675人であるが、今後少子高齢化が進むにつれて、外国人労働者への依存度は高まることが確実である。

    • 本稿では、2023年の出生率、死亡率を固定して2100年までの人口ピラミッドの推移をシミュレーションした。その結果、2023年の人口規模を維持するために外国人労働者を受け入れた場合、外国人人口は約65%、つまり3人に2人は外国人となることが判明した。

    • 外国人労働力への依存が不可避である事を鑑みて、日本人がマイノリティになった際、どの様に社会、治安を維持して行くのか、参考になると思われる人口の9割が外国人で構成されるアラブ首長国連邦(以下、UAE)の事例を紹介する。

    • 少子高齢化が加速する日本においては、国を維持して行く上で実体経済を担う外国人労働者による生産年齢人口の充足は不可欠である。そして、充足できたとしても、2100年のその姿は人口の約65%を外国人が占め、日本人がマイノリティとなる現在と全く異なった姿である。

    • UAEではこのように、労働者の労働許可証、就労ビザ、居住ビザの取得、更新を雇用者の責任で管理し、移動、転職、勤務地の変更などを常に当局が把握する厳しい管理システムを導入していることもあり、社会的な問題は表面上生じていない。この背景には、常に労働者に対し本国では得られない高給を得る機会を提供するという「あめ」を与える一方、治安を乱すような不穏な動きに対しては国外追放という「むち」でバランスさせようとする、社会の安定を保つシステムが組み込まれていることが指摘できる。

    • 労働力は自国より高い給与に惹かれ世界中より供給される。インド、パキスタン、バングラデシュ、スリランカ、フィリピンなどの近隣諸国は労働力の供給を外貨獲得産業と位置付け、国を挙げて自国民の出稼ぎを奨励している。

    • UAEも安価に豊富な外国人労働力を利用できるので、相互にメリットを見出し、最も軋轢の少ない相互依存関係が構築されているといえる。

    • 今後、日本は外国人労働者を大量に受け入れざる得ない状況が近い将来見込まれる。その際、最も重要なのは第一に治安の維持である。この点で、同国は上手く労務者管理を行い、実体経済を運営しているといえる。人口規模が異なるので、そのまま制度を導入することは困難であろうが、UAEの制度設計の考え方は示唆に富むと考える。

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  • じわじわと迫る危機「生産人口の減少」前編 アド・スタディーズ Vol.90(12月25日号) 吉田英雄記念事業財団
    • 少子高齢化による労働力の需給バランス崩壊により、社会インフラが維持できなくなって生活水準が低下すれば、社会全体で経済活動の停滞が長期化する。それに伴って人材活躍・輩出も停滞し、さらに労働供給不足を悪化させる……という形で、慢性的な労働供給不足のスパイラルに陥る「労働供給制約」の時代がすぐそこにやってきているのだ。

    • この労働供給不足をカバーするには、大きく2つの方向性がある。1つ目は、「労働供給自体を増やす」ことである。具体的には、女性や高齢者の活用が考えられる。そして、それでも足りない分について外国人労働力を受け入れる、という方向性だ。

    • 2つ目は、「今ある労働力の中で対処する」ことである。具体的な方法としては、省人化(DXの進行やロボット・AIの活用)とリスキリング(成長分野への労働移動の円滑化)が挙げられる。

 
  • トランプが変える地球経済 Forbesが見た歴史的転換への道 2024.12.24 16:45 Forbes JAPAN​
    • まさに「トランプ・マスク政権」と言っても過言ではないかもしれない。政府の歳出を削減する政府効率化省(DOGE)が新設され、提唱者のイーロン・マスクがトップに就任した。希代のイノベーターであり、破壊者であるイーロン・マスクがディール政治のトランプとどんな時代をつくるのか。

    • 彼が長い政治史の中で特異なリーダーになる可能性があると言えるのは、その「事実を作り出す」手法に長けていることだ。その手法によって想定外の歴史をつくっていく可能性をはらんでいる。彼は歴史が生み出した「トリックスター」とも言える。そんな予測不能な「ディール外交」でどのような言動をとるのか、国際社会に緊張感を与えている。

    • 関税の引き上げやトランプ減税の延長、移民排斥など、アメリカ国内の需給を逼迫させて、インフレを助長するような政策が並ぶ。そうなると結果的にドル高、円安の傾向が続くとみらっれる。

 

  • LLMやAIエージェントの潮流とその先の展望 2024.12.23 電通総研
    • 現代社会において、LLM(大規模言語モデル)やAIエージェントの進化は、業務効率化や新たな価値創出を実現しつつある。これらの技術は、企業の競争力向上や社会構造の変革を促進するものであり、その影響は広範囲に及ぶ。本レポートでは、LLMやAIエージェントの潮流を俯瞰し、技術的背景や現時点での実用化事例を整理するとともに、それらがもたらす未来の可能性を考察する。

    • また、「マシンワーカー」や「マシンカスタマー」といった新たな役割が社会に登場する可能性が議論されている。これらの概念を「その先の展望」として位置づけ、更なる変革の可能性についても掘り下げる。

    • AIエージェントの発展段階を3つのフェーズに分けて定義する。Phase 1ではまだ人間が労働活動の主体だが、Phase 2からはAIエージェントが労働活動の主体となり、Phase 3では複数のAIエージェントが協力して複雑なタスクを完遂する段階となる。そして、高度に発達したLLMやAIエージェントを手段として実現されるマシンワーカーという未来の労働活動が実現される。

    • マシンワーカー実現に向けての課題

      • ①人間向けに記載された文章をAIエージェントが読めるようになる可能性もあるが、マシンリーダブルな (LLMやAIエージェントが処理しやすい)形の文章に整理することが求められる。

      • ②業務において、すべての情報が明文化されていることは非常に稀で、何かしらの暗黙知が存在する。そういった知識はLLMやAIエージェントが活用できないため、暗黙知をできるだけ明文化することが求められる。

    • AIエージェントの進化は、単なる技術の向上にとどまらず、産業や社会の在り方そのものを変革する可能性を秘めており、既成概念にとらわれない新しい社会の在り方を人間が自ら作り出す創造性が求められている。

  • Beyond GDP NPOが創造する新しい経済社会 2024.12.20 13:30 Forbes JAPAN
    • ​「共助資本主義」とは、経済同友会代表幹事・新浪剛史の発案で23年から掲げている「日本経済が活力を取り戻し、持続的成長を実現するモデル」だ。企業が社会課題の解決に向けて「共助」の取り組みに参画し、新たな需要やイノベーションの創出とウェルビーイングを実現する経済社会を提唱している。

    • 「共助資本主義」の概念を体現する事例も生まれはじめているという。

      • 24年1月の能登半島地震の災害対応において、インパクトスタートアップのWOTAが開発したポータブル水再生システム「WOTA BOX」のシャワーキットを、災害支援を行うNPO法人ピースウィンズ・ジャパンが被災地で活用。この動きを大企業が金銭面・人材面からバックアップしたという災害対応における共助の事例だ。

      • ほかにも、NPO法人フローレンスが主導する「こども体験格差解消プラットフォーム」、NPO法人WELgeeが主導する「難民人材プラットフォーム」、NPO法人クロスフィールズが主催する企業幹部がNPOに参画する「ボードマッチプログラム」をはじめ、協働の取り組みが立ちあがりはじめている。

    • 9月に開催された「国連未来サミット」で国連事務局は、30年が目標期限であるSDGsに続く「ポストSDGs」として、「Beyond(ビヨンド)GDP」という概念を示している。経済成長で捉えきれない評価基準でGDPを補完し、ウェルビーイング、生命と地球の尊重、格差縮小と連帯の強化を大きな目標とする考えだ。未来の新しい経済社会への移行期でもある今、NPOが躍動する/せざるをえない環境へと変化していく。

    • 「今求められているのは、もっと多くの社会運動と社会事業をおこない、既存の破滅的なやり方にノーを突きつけ、建設的なやり方に転換していくことだ」と記している。

    • 世界や社会課題はより深刻化している。だからこそ、次の経済社会は、現在の延長線上にはないことは明らかだ。未来に必要な「包摂的なイノベーション」を、社会に、そしてそれぞれの社会問題に対して起こすためにも、NPOが今以上に輝く「NPO新時代」の到来が求められる。

 

  • 2025年版 PHPグローバル・リスク分析 2024/12/19 PHP総研
    • 1. 世界同時カオスを引き起こす「アメリカファースト2.0」

    • 2. 各国のトランプシフトで混迷するグローバル経済

    • 3. 米国の「脱・脱炭素」で起きるエネルギーパラダイムチェンジ

    • 4. 常態化する国家間「戦争」と攻撃手法高度化で高まるサイバー脅威

    • 5. 経済停滞とトランプ再登場が駆り立てる中国の高圧的な対外行動

    • 6. 「世界の多数化」戦略を加速させるロシア

    • 7. 「弱い独仏」で地盤沈下する欧州の国際影響力

    • 8. イスラエル優勢な中東勢力バランスがもたらす反作用

    • 9. 韓国の内政混乱が拍車をかける米韓同盟破綻

    • 10. 拡大する力の空白地帯と見捨てられる失敗国家

    • 関連:特集:2025 年のリスクとオポチュニティ <海外報道ウォッチ>The Economist 誌による 2025 年予想 <From the Editor> 1965 年のスーパーヒーロー 溜池通信 vol.803 December 26th 2024 双日総合研究所 吉崎達彦

    • http://tameike.net/pdfs8/tame803.PDF

 
  • 電通、第3回「サステナブルカスタマー調査」を実施 サーキュラーエコノミーをけん引する「サステナブルカスタマー」は約2割 2024年12月18日
    • 主なファインディングス

      • ①「サーキュラーエコノミー」の認知率は8.5%。さらに、内容まで知っている人は2.0%と低い。

      • ②関心のある社会課題は、「自然災害」「気候変動」「少子化・高齢化」の順で多い。サステナブルカスタマーが全体より10ポイント以上高い項目は、「持続可能性(SDGs)」と「再生可能エネルギーの普及」。

      • ③「再生プラスチック」であることが商品購入の後押しとなると考える人は、サステナブルカスタマーにおいては、過半数(53.7%)。全体(36.6%)より17.1ポイント高い。

      • ④資源のリサイクル活動・回収活動の動機付けとなる特典の上位は、「共通ポイント」と「商品クーポン」。サステナブルカスタマーにおいては、「回収量、回収結果を教えてくれる」「CO2削減量を教えてくれる」「寄付ができる」といった社会貢献が実感できる非金銭的インセンティブが、全体よりも割合が高い傾向にある。

      • ⑤リサイクル活動・回収活動に取り組む理由の上位は、"回収せずに捨てることによる環境負荷への考慮"や、"国・自治体などの推奨"、"回収せずに捨てることに対する罪悪感"。サステナブルカスタマーにおいては、上位2つの理由は全体と同じだが、次いで"子どもたちの未来の環境への考慮"が挙がった。​​

 

  • 2040年の経済社会シリーズ:日本における外国人労働者をどう捉えるか? -アジアの成長を人の移動の側面から取り込む- 国立社会保障・人口問題研究所 国際関係部部長 是川 夕 2024年12月17日 SBI金融経済研究所​
    • 1. 日本における外国人労働者をどう捉えるか?

      • 外国人の入国超過数(今回推計値、年間16.4万人)が年間25万人となった場合の総人口、及び高齢化率に与えるインパクトは、出生率が高位で推移した場合(1.64)と同程度である。また、これが年間50万人となった場合には人口置き換え水準を超える2.20の出生率まで回復した場合とほぼ同じインパクトを与える。

      • 日本には労働移民政策というオプションがまだ残されているという見方も可能である。

    • 2. 日本はもう「目指されない国」なのか?

      • 1990年代以降、日本とアジア諸国の経済的格差は格段に縮小しているものの、アジア諸国から来日し、日本で暮らす外国人の増加ペースは、リーマンショック(2008年)や東日本大震災(2011年)、及び新型コロナ禍(2020-21年)といった時期を除けば一貫して増加しているだけではなく、むしろ加速さえしているのである。

      • このような事実の背景には、国際移住を行う際には、移住能力と意欲の双方が関わるメカニズムがあり、それは最新の移民研究では「意欲‐潜在能力モデル」として整理されている。

      • 先進国に対する移住圧力については、一人当たりGDPが7千米ドルに達するくらいまでは高まることが最新の研究成果(IMF 2020)から示されている。

      • 円安になって以降、むしろ外国人の流入は加速しているのは、円安による移住コストの低下による来日圧力の押し上げ効果が、期待賃金の低下による押し下げ効果を上回っているためと整理することができる。

      • 今後、日本とアジア諸国の経済格差はより一層縮小すると仮定しても、現在のメカニズムが妥当するならば、潜在的に来日する外国人労働者は趨勢的に増加すると見込まれるのである。

    • 3. 外国人労働者の受入れは生産性の低下を招くのか?

      • 出身国の送出し機関や日本側の監理団体への手数料など、技能実習生の受入れに必然的に伴うコストを考慮すると、時間当たりの単位労働コストは日本人非正規労働者を雇用する場合と比較してむしろ4%ほど高くなる(Korekawa 2023)。

      • つまり、外国人労働者はたとえそれが技能実習生であったとしても、安い使い捨ての労働力とはいえないのである。

      • 外国人労働者の雇用が、日本人を雇用する場合に比べて労働集約的な経営を可能にすることで、生産性の低下に結びつく可能性は低いといえるだろう。実際、OECDは日本の外国人労働者の受入れを研究開発投資による生産性の上昇と並んで、少子高齢化による生産年齢人口の減少に対してとられてきた政策オプションの一つとして評価しており、二律背反なものとは捉えていない(OECD 2024)。

    •  4. アジアの国際労働市場の成長

      • 2023年には約693万人のアジア諸国からの国際労働移住が発生している。その内、約336万人が湾岸産油国へ出稼ぎに行っており、残りの内、約238万人が日本を始めとした先進国へ、残り約119万人がその他のアジア域内に移住している。

      • 日本はアジアから先進国へ向かう国際移住の内、53万人を受け入れており、これは米国の約42万人や韓国の8.9万人を超えて、アジアから先進国へ向かう人の流れの内、最大である(ADBI-OECD-ILO 2024)。

      • アジア諸国から日本へ働きに来る人たちは、高卒以上であり、これは堅調な経済成長を背景に、中高等教育進学率が上昇するアジア諸国において拡大する中間層に相当する人々といえる。こうした人々の間での永住先としての日本の人気は高く、特に2015年以降、こうした傾向が強まっている(図8)(田辺・是川 2023)。

      • アジアの国際移住の特徴は、旧植民地からの難民や家族移民が主流である欧米とは大きく異なり、経済的動機に基づく移住が主流である。そのため、移民は文化や宗教面も含め、ホスト社会への適応を何よりも優先する傾向が強い。

    • 5. 日本の労働移民政策の未来

      • 日本はもう目指されない国なのだという安易な悲観論や、外国人労働者の受入れは生産性の低下を招く、あるいは欧米のような社会的分断を生むといった一見、もっともらしい主張は、こういった事実を踏まえない印象論に過ぎないのである。本年の6月には技能実習制度の後継制度としての育成就労制度が国会で成立した。その行く先には日本で定住、永住するミドルクラス外国人の増加やそれに伴う、日本語教育などの統合政策の充実といったことも期待される。また、一定以上の経済水準を越える国、地域との間でのハイスキル人材のための自由移動圏といった構想も生まれてくるかもしれない。こうした取り組みはいずれも成長するアジアの活力の一部を日本の経済社会の発展に取り込んでいく取り組みといえる。

      • アジア地域の優秀な若者が日本を目指す傾向は今後も強くなっていくだろう。日本の労働移民政策はそうした確固たるエビデンスを踏まえつつ、機動的、効果的に立案される必要があろう。

 

  • 電力・水・土地・人材 AIが引き起こす「資源競争」に備えよ John Werner | Contributor 2024.12.17 09:30 Forbes JAPAN
    • 突然、本格化した新たなエネルギーソリューションへの意識

      • 全体の電力需要について、記事は、2020年代末までにデータセンターが世界の電力使用量の最大8%を消費すると予測している。このため、エネルギーに対する発想を大きく転換する必要がある。

    • 富裕層と権力者が有利になるデータ構造

      • 高品質なデータの大半が欧州的背景を持つ英語圏社会に集中していると指摘している。専門家によれば、多様な非白人社会集団向けの十分なデータがなければ、そうした集団はAI革命から取り残されるおそれがある。

    • 「喉が乾きやすい」チャットボットと水資源問題

      • 2030年までにデータセンターが1日あたり約5億ガロン(約19億リットル)の水を必要とする可能性があると試算している。これにより水資源をめぐる争いが起き、地域社会の飲料水確保にも影響を及ぼす可能性がある。興味深い例として、ChatGPTに10~50回質問するだけで、16オンス(約473ミリリットル)のペットボトル1本分の水を消費する計算になるという。

    • ネットワーク需要、データを必要な場所へ届ける

      • デバイスが音声、映像、マルチメディア、そしてデータを同一ネットワークで扱えるようになることで、これらすべてが1つの基盤上に収束しつつあります。この収束は、各領域の急速な成長と相まって、ネットワーク容量への需要をさらに高めています」

    • レアメタルをめぐる争奪戦

      • いわゆる「チップ戦争」や原材料確保、地政学的緊張の影響である。

    • 「頭脳流出」の問題

      • 次世代のAI時代を主導できる熟練の専門家を確保することが鍵となる。

    • AIは確かに多くを求めている。その需要をいかに満たすかは、これからの世界にとって極めて重大な意味を持つのだ。

 

  • 日本のエネルギー政策は何を目指すべきか 制度・政策の変遷と論点整理 政策共創の場 No.4 2024.12.16 NIRA
    • 1.日本におけるエネルギーの現状

      • 日本のエネルギー自給率の推移をみると、2011年の東日本大震災までは、ほぼ20%の水準であったが、震災後は原子力発電の停止により6%台に落ち込み、最近では13%の水準で推移している。

      • 他方、日本全体のエネルギー消費量は2005年度以降減少しており、2022年度は、2013年度と比べて15.8%減だった(年率1.9%減)。

      • エネルギー効率(1単位の国内総生産=GDPを生み出すために必要な一次エネルギーの供給量)をみると、2022年度は、1973年度の半分以下の水準にまで低下している。

      • 2022年度の電源構成比をみると、化石燃料72%程度、再エネ22%程度、原子力5.5%であった。

      • エネルギー起源のCO₂が日本の温室効果ガス排出量の9割程度を占める。CO₂の排出量を部門別にみると、工場等の産業部門が最も多く、次いで、自動車などの輸送部門、商業・サービス・事業所等の業務その他部門、家庭部門の順となる。

    • 2.エネルギー政策における論点と専門家の見解

      • 論点1 S+3E、および電力供給の電源構成について

        • 3E:安定供給の確保(Energy Security)、経済効率性(Economic Efficiency)、環境への適合(Environment)

        • +S:安全性(Safety)

      • 論点2 2030年度の温室効果ガス削減目標を達成するにはどのような手段をとるべきか。

      • 論点3 2050年に向けた取り組みについて

    • 3.日本のエネルギー政策の体系と変遷 

  • 図表でみる世界のGDP-日本が置かれている現状と世界のトレンド 2024年12月16日 ニッセイ基礎研究所
    • GDP(国内総生産)は世界の勢力図を概観する上で最も重要な指標と言って良いだろう。

    • 国際通貨基金(IMF)が公表した予測値を見ると、日本の2024年のGDPは約4兆ドルで、世界におけるシェアはじりじりと低下してきており、現在は3.7%となっている

    • GDPを人口で割り算した一人当たりGDPを見ると(図表-2)、日本は中国と比べると2.5倍くらいの水準にあるが、米国と比べると4割弱にとどまる。10年余り前までは、日本と米国がほぼ同水準で推移していたので、この10年ほどの間に日米の豊かさに大きな変化があったことがわかる。

    • GDP(米ドルベース)のランキングを見ると、1位は米国、2位は中国、3位はドイツで、日本は4位となっている。

    • 一人当たりGDP(米ドルベース)のランキングが、円安もあって、日本は主要先進国(G7)の中で最下位の39位にとどまっている。GDPを人口で割り算しているため、人口の少ない国・地域が上位に来る傾向があるとは言え、韓国や台湾よりも下に位置している。

    • 国際ドル(ある基準年において米ドルが持っていたのと同じ購買力平価を示す仮想的な通貨単位)ベースのGDPランキングを見ると、1位は中国、2位は米国、3位はインド、4位はロシアで、日本は5位である。

    • 米ドルベースで見たGDPにおけるG7のシェアは四半世紀前(2000年)には約65%だったが、2024年(予測値)には44.8%まで低下している。一方、BRICSプラスのシェアは約10%から25.8%まで上昇した。次に国際ドルベースを見ると四半世紀前(2000年)に約45%だったG7のシェアは2024年(予測値)に29.1%まで低下した。一方、BRICSプラスのシェアは約20%から36.4%に上昇、G7を上回っている。
       

  • 2025年地政学リスク展望 2024-12-02 pwc
    • 国際情勢を捉えるために押さえるべき3大トレンド

    • 国際秩序:米国一強時代の終焉

      • ①トランプ2.0

      • ② ウクライナ運命の年

      • ③ 中東情勢の混迷

      • ④ 東アジア情勢の混乱

    • 国際経済:安保ファーストの経済運営

      • ⑤ 貿易戦争の再発

      • ⑥ 中国経済のリスク化

      • ⑦ グローバルサウスの取り込み合戦

      • ⑧ サイバー・認知戦の激化

    • 国内政治:ポピュリズムの常態化

      • ⑨ グリーンバックラッシュの拡大

      • ⑩ 反DEI運動の普及

  • ウェルビーイング測定の経緯と課題 令和6年 12 月 一橋大学経済研究所 世代間問題研究機構 桑原進
    • 1960 年代に社会指標運動として始まったウェルビーイング測定の試み 2は、持続可能性などに範囲を広げつつ、一進一退しながら各国、国際機関、わが国で進んできた。SDGs という世界的な目標としてまとまった指標群もあり、近年はさらに重要性を増している。SDGs を推進する指標として、さらに限定的な指標を選別・開発する動きがあるものの、国際的な合意への道のりは険しい。

    • 包括的なウェルビーイング指標の一つとして注目されている主観的ウェルビーイングについては、ギャラップ社世界世論調査(GWP)が世界的におおむね共通の項目、方法で調査を行っており、国連のイニシアティブで始まった世界幸福度報告で活用されている。このデータを見ると、大きな政治社会情勢の変化が起きた国で主観的ウェルビーイングに GDP では見られない動きがあり、主観的ウェルビーイング指標の有用性が確認できる。民間データではあるものの、公的部門にとって有用な情報が含まれ、一層の活用が望まれる。

    • 我が国においても主観的ウェルビーイングの測定・活用の努力は半世紀以上にわたって継続されている。しかし、設問や手法が安定しておらず、時系列分析には困難を伴う。インターネット調査などの活用方法を含む調査手法の研究が望まれる。

 

  • サーキュラービジネスシリーズ 1:サステナビリティ課題解決の鍵を握るサーキュラーエコノミー 2024-12-02 pwc
    • 地球の限界の範囲内での、個のウェルビーイングの追求

    • 複数の環境課題を解決する「広義のサーキュラー化」

      • 「サーキュラーエコノミー」はあらゆる環境課題の包括的な解決策となると考えられます。

      • サーキュラー化というのは、バリューチェーンの上流から下流までその全体にわたって変革が求められる非常にスケールが大きい話です。サーキュラー化は、金属やプラスチックなどの素材の循環としてみなされがちですが、より広義に、炭素(C)や、自然(食糧)の循環も含む概念として捉えると、広く環境課題一般に適用できる解決策と考えることができます。

    • 拡大するビジネス機会

    • WEF(世界経済フォーラム)によれば、サーキュラーエコノミー化によってアクセスし得るネイチャーポジティブ関連のビジネス機会は、2030年に世界全体で年間約10兆米ドルの規模になると推計されています。その内訳は、食料・土地・海洋の利用が3兆5,650億米ドル、エネルギー・採取活動で3兆5,300億米ドル、インフラ・建築環境で3兆150億米ドルとなっています。

    • 関連:米大統領選、メディアが「敗者」 偏向報道批判、SNS存在感 2024/12/01 KYODO

[11月]
  • 「人材派遣業」は大手企業がシェア席巻 黒字企業が8割も、コロナ後初の減益 2024/11/29 東京商工リサーチ
    • 東京商工リサーチ(TSR)は、全国の人材派遣業1,497社を対象に、業績動向を調査した。全国の人材派遣業1,497社の2023年度の売上高合計は4兆6,624億円(前年度比6.0%増)で、利益合計は1,508億円(同7.5%減)と増収減益だった。

    • 売上高100億円以上は69社(構成比4.6%)と5%に満たないが、売上合計は3兆675億円で全体の65.7%を占める。一方、売上高5億円未満は787社(同52.5%)と半数を超えるが、売上合計は1,436億円と全体の3.0%にとどまり、一部の大企業が業界を牽引する構図ができている。

    • 利益面はさらに規模格差が鮮明で、100億円以上の69社は1,133億円(構成比75.1%)に対し、5億円未満の787社は22億円(同1.4%)と、極端な開きができている。

 
 
  • COP29閉幕、「気候資金」年3000億ドル拠出で合意 現行3倍増ながら途上国不満も 2024.11.26 Science Portal JST科学技術振興機構
    • アゼルバイジャンの首都バクーで11日から開かれていた国連気候変動枠組み条約(UNFCCC)第29回締約国会議(COP29)は24日、発展途上国の地球温暖化対策資金(気候資金)として先進国が2035年までに官民合わせて少なくとも年3000億ドル(46兆円余り)を支援することなどで合意し、閉幕した。

    • 米国のトランプ次期政権はパリ協定から離脱する可能性が高い。グテーレス氏は「パリ協定を中心とする多国間主義が(気候変動という)最も困難な問題を乗り越える道筋を見いだすことができることを示した」とも述べた。

    • 関連:「で、中国の責任は?」 変わる気候対策の世界地図 2024.11.26 MIT Technology Review
      • ​中国は世界最大の二酸化炭素排出国だが、排出量削減に向けた進歩の兆しが見られる

      • 中国の排出量の急増は、途上国の排出量の割合が増加傾向にあることを反映している

      • 途上国支援のための気候資金をめぐり、中国の役割について意見が分かれている

 

  • 国連未来サミットでBeyond GDP枠組み策定に合意 ~ウェルビーイングはBeyond GDP指標の三本柱の一つに~ 2024.11.20 第一生命経済研究所
    • 2024年9月に開催された国連未来サミットでは「未来のための協定」という合意文書が採択され、その中で「Beyond GDP」指標の策定がコミットされた。これはSDGsの目標達成を促進し、従来のGDPを補完する、人々のウェルビーイングや地球環境の持続可能性などを考慮した包括的な指標を開発する動きである。

    • 具体的なBeyond GDP指標がどうなるかはこれからの議論によるが、国連による2022年の報告書では、Beyond GDP指標の案として、ウェルビーイングと主体性、生命と地球の尊重、不平等の縮小と連帯の拡大という3つのアウトカム達成を重視する枠組みが提案されている。

    • 国連未来サミットを受け、今後、独立ハイレベル専門家グループが指標開発を進め、2025年の国連総会で報告される予定である。その後2030年のSDGs最終年を目標に、SDGsの次の目標に向けて議論が本格化していくことが予想される。

  • 沈むハリウッド、日米コンテンツ産業逆転の理由 2024.11.20 13:30 Forbes JAPAN
    • 日本コンテンツが大活況時代に入っている。

    • 2018年は英語番組:非英語番組が8:2であったが、23年には6:4と半分近い比率まで伸びている(Parrot社調査)。ではその4割の非英語番組とは何かというと、韓国ドラマや欧州ドラマを差し置いて「日本語コンテンツ(≒アニメ)」がいちばん高いシェアを誇る。米国のZ世代の視聴者は、NFLのスーパーボウルを見るよりも「推しの子」や「呪術廻戦」を優先するようになっている。

    • 24年にはついに実写映画『ゴジラ-1.0』がアカデミー賞を受賞した。

    • 日本の戦国時代を舞台にしたDisney+配信の「SHOGUN 将軍」は、Disney脚本シリーズとして過去最高の6日間で900万回再生に到達した。エミー賞での25部門ノミネートは“歴史的快挙”であり(史上最多は19年「Game of Thrones」の 32部門ノミネート)、9月の発表時には新たな“お祭り騒ぎ”が生まれる確かな予感がある。

    • 2020年3月のパンデミックで映画・TVの職業人口は全米で40万人から20万人へ半減、2度目の危機が5月の「WGA(全米脚本家組合)/SAG-AFTRA(全米映画俳優組合)ストライキ」、半年間映画がつくれない状況に陥った。職業人口は再び9万人に急減した。ストライキによって条件が上がった俳優や脚本家を使いたがらない。こうしたさまざまな理由が重なって、「30年成長し続けたハリウッド映画の終わり」が始まっているという声もある。

    • つまり日本コンテンツの大活況は米国ハリウッドの不況と隣り合わせなのだ。

    • ポップカルチャーであっても、日本は「伝統と継承」という魂を忘れない。個々が協調的・融和的にすりあわせをしながら、全体が恒久的に保存・継続している。確かなことは、日本コンテンツの特徴がコロナを経た新時代の世界的なプロトコルにちょうどフィットしているということなのだ。

  • オーストラリア議会上院 16歳未満の子どもSNS禁止法案可決 2024年11月29日 11時29分 NHK
    • オーストラリア政府は「世界的にみても先進的だ」としていて、1年後をめどに施行される見込みです。

    • この法案は、SNSの運営会社に16歳未満の子どもが利用できないような措置を講じることを義務づけるもので、違反した場合は最大で4950万オーストラリアドル、日本円でおよそ49億円の罰金が科されます。

    • 保護者や子ども自身への罰則はありません。

    • 対象となるSNSは「インスタグラム」や「TikTok」「スナップチャット」「X」「フェイスブック」などで、「YouTube」など教育目的でも使われるものは適用が除外される想定です。

    • フランスでは去年、SNSの運営会社に対して、保護者の同意がないかぎり、15歳未満の子どものアクセスを制限するよう義務づける法律が制定されました。

    • アメリカの一部の州でも、未成年のSNS利用を規制する法律を制定していて、ユタ州などでは未成年がSNSを利用する際には保護者の同意が必要だとしています

    • 関連:オーストラリア、16歳未満のSNS利用禁止案可決 世界初 2024年11月28日 22:10 日本経済新聞
 

 

 
  • 暑いと妊娠しずらいって本当? 出生率低下の一因は「気候変動」 影響を受けやすいのは意外な世代だった 2024.11.18 COURRiER
    • 猛暑は人間の出生率にも影響を与えていることが明らかになってきたと、英誌「エコノミスト」が報じている。

    • ドイツのマックス・プランク人口動態研究所の調査では、特に暑い日の約9ヵ月後に出生率が確実に低下していることが確認された。スペインでの調査では、気温が25~30℃の日が1日増えるごとに、合計特殊出生率(TFR)は0.3%低下し、30℃を超える日はさらに0.8%の低下が見られた。この傾向は欧州以外でも確認されている。

    • 出生率の低下をもたらす背景には、暑さが精子の質や数に影響を与えていることが挙げられる。とある実験では、高温の環境にいたタイミングから数週間かけて精子の質が低下することが確認されており、これが出生率の低下の一因となっている。欧州メディア「ユーロニュース」は、3ヵ月前に猛暑の環境下にいた男性は、精液中の精子数が46%の確率で減少すると報じている。また、40%の確率で精子の動きが弱くなるという。

    • さらに、猛暑の影響をもっとも受けやすいのが25歳から35歳の男性だと専門家は述べている。

    • エアコンの使用がこの影響を軽減する効果も確認されており、1970年代以降の米国ではエアコンの普及に伴い、気温が出生率に与える影響は緩和され始めた。

    • 出生率の低下が加速するなか、気候変動による影響を理解することが新しい解決策につながるかもしれない。

 

  • ヤバすぎる経済危機に「気付かない」日本人…1人当たりGDPでわかる「衰退国家の惨状」 連載:野口悠紀雄のデジタルイノベーションの本質 2024/11/18 ビジネス+IT
    • 「貧しい国」になった日本

    • 戦後に「急成長した日本」「低迷した米国」

    • いまの日本経済は「1970年ごろと同じ」

    • 日本が「韓国・台湾に抜かれる」のは時間の問題?

    • 日本とは真逆…米国が「V字回復」できたワケ

      • 米国の復活は、すでに1990年代から始まっている傾向的な現象だ。

      • こうした変化をもたらしたものは、IT革命だ。つまり、米国が情報通信の分野で、新しい技術の開発と新しいビジネスモデルの確立に成功したからだ。それまでの大型コンピューターによる情報処理からPCとインターネットを通じる分散型の情報処理システムへの移行に成功し、GAFAと呼ばれる企業群をはじめとして、多くの新しい企業が登場した。

    • 危機的状況に「気付いてない日本人」がまだ多い…

 
  • 驚くほど無策な新聞業界と、報道を捨てたテレビ情報番組に思う…新聞・テレビが「マスメディア」でなくなる日 メディア不信とニュース離れは案外早い時期に訪れるのではないだろうか 2024.11.15(金) 西田 亮介 :日本大学危機管理学部教授、社会学者
    • 最近はTBS系『ラヴィット!』のようにそもそも「ニュースなし」を堂々と掲げる「情報番組」さえ登場している。各事業者が好きにすればよいのだが、いったい誰のために、なんのために放送しているのだろうか。

    • 伝統的なマスメディアは日増しにマス性が自明でなくなるとともに、実質的にパーソナルな媒体になっている。もっともわかりやすいのがかつての代表的マスメディアであったラジオであろう。

    • ラジオ業界の広告費は2010年代半ばピークに減少傾向に歯止めが利かない状況である。取材も限定的になり、制作費も減少し、良くも悪くももっぱらパーソナリティのトークや個性を目当てに視聴する媒体となっている。もはや、ラジオをマスメディアだと認識する人は業界や専門家を除くと、それほど多くはないだろう。

    • 新聞もそうだ。日本新聞協会の調べによれば、2023年にはじめて新聞の1世帯あたり部数が0.5を割り込み0.49となった。1世帯あたり部数がはじめて1を割ったのは、2008年のこと。換言すれば、それまでは平均すると1世帯あたり1部を超えていたということを意味するから、新聞はとんでもなく大きな力を持っていたといえる。

    • 新聞社は名実ともにマスメディアであった2010年代に手を打つべきだったが、英『Financial Times』を買収し、デジタル化を推し進めるなど試行錯誤を続けている日本経済新聞を除くと2010年代は業界全体が驚くほど無策のままに過ぎ去ってしまった。おそらくはこれから10年程度の時間をかけてラジオと同じように、パーソナルなメディアになる途を辿ることが強く懸念される。

    • テレビはどうか。テレビはかろうじて規模で維持しているが、在京キー局、在阪局、在名局くらいまではなんとかやりくりできている。だが、新聞と同じく十年一日で、デジタル化が遅れている。コンテンツ自体を制作していない地方局の未来は暗い。​

 

  • 女性の正規雇用率は上昇している 小前和智 2024年11月12日 リクルートワークス研究所
    • これまでに、多くの女性が結婚や出産を機に退職しその後非正規雇用として再就職していると報告されてきたが、「2020年と2024年の就業率を比較すると、15~24歳と65~74歳では低下しているが、それ以外の幅広い年齢層で上昇が続いている。」は、そうした流れが変わり、数値の変化としても捉えられるようになった可能性を示す。

    • 有配偶の女性の場合、女性自身の勤務先の制度や働き方のみならず、配偶者である男性の働き方も重要な要素となることは、多くの研究で指摘されてきた。家事(household work)を夫婦で分担するとすれば、男性の長時間労働や柔軟でない働き方は女性への家事負担の偏りにつながるためである。

 

 

  • 早慶の合格者、4人に3人が東京圏出身 私大でも受験格差拡大 2024年11月4日 毎日新聞

    • 早稲田大と慶応大の合格者に占める東京圏(埼玉、千葉、東京、神奈川)の高校出身者の割合が2009~24年度の15年間でいずれも6割強から7割半ばへと増加したことが、毎日新聞の集計で明らかになった。国立の旧帝国7大学で東京圏の合格者数が増えたことが判明しているが、難関私大でも同様に格差が広がっている状況が浮かんだ。

    • いずれも付属・系属校からの内部進学者数については非公開のため、実際の割合はこれより高く、80%近くになるとみられる。

    • 受験の格差を巡っては、北海道、東北、東京、名古屋、京都、大阪、九州の旧7帝大で拡大していることが毎日新聞の集計で判明。08~23年度の15年間で旧7帝大の合格者に占める東京圏の高校出身者は11%から9ポイント増の20%に増えた。

 

[10月]
  • 地球温暖化で「居住不可能な地域」が増加、健康や農業への悪影響が顕在化 2024.10.31 11:00 Forbes JAPAN
    • 地球環境についての国際的な研究プラットフォーム「フューチャー・アース」などがこのほど発表した報告書によると、地球温暖化にともなう気温と湿度の上昇により世界各地で居住不可能な場所が増えている。特に南半球に多い新興国・途上国の一部の地域が極端な暑さと湿度にさらされていると警告している。

    • 報告書の著者の1人であるビョルン・ホールバルド・サムセットは、1970年代以降、地球の平均気温は10年ごとに0.2度上昇しているとインタビューで指摘した。だが、この10年では0.3度上昇しているという。現在、平均気温が29度を超える地域には約6億人が住んでいると考えられている。また、大気汚染が気温の上昇と降雨量の増加に影響し、異常気象につながるという。

    • 気温の上昇は健康や経済、重要なインフラに大きな影響を及ぼす、と言うのはエンジニアリングと持続可能性のコンサルタント会社Arup(アラップ)の自然再興専門家のディマ・ゾゲイブだ。「人間は自然を破壊し、道路をコンクリートで覆い、鉄とガラスで高層ビルを建て、都市部で気温が高くなるヒートアイランド現象を生み出してきた」「こうした行為が周囲に及ぼす影響は不均一で、脆弱な人々はより大きなリスクにさらされる」とゾゲイブは言う。

    • 「都市には、最もリスクの高い人々を保護するために行動を喚起できる、暑さ対策の責任者が必要だ。加えて、CO2排出量の削減を含め、大規模な暑さ対策を講じる必要がある」と指摘している。​

 
  • 全国調査で里山の身近な鳥や蝶が急速に減少 「生物多様性、50年で73%低下」とWWFが危機感 2024.10.29 Science Poetal
    • 環境省と日本自然保護協会は、里山や里地に生息する鳥や蝶(チョウ)など身近な生物の個体数が急速に減少していることを示す報告書「モニタリングサイト1000里地調査」を1日に発表した。長期間にわたる大規模全国調査の一環の結果で、鳥類ではスズメやオナガなどの種が、また蝶類では国蝶のオオムラサキといった以前はなじみ深かった種が、絶滅危惧種認定基準以上の減少率であることが明らかになった。

    • また、世界自然保護基金(WWF)は生物多様性の豊かさを示す指数が、自然環境の損失や気候変動により過去50年で73%低下したとする報告書「生きている地球レポート2024―自然は危機に瀕している」を10日に発表。生態系は回復不可能な状況に近づいているなどと強い危機感を示した。

    • 環境省によると、これら鳥や蝶の種の減少は里山の荒廃が主原因だ。今回の調査ではサンゴの白化や海藻の減少など、気温の上昇などの気候変動の影響とみられる生態系の変化も多く確認された。また外来種の拡大による影響も一部で見られたという。

    • 生息環境別に見ると、森林や山地ではなく、農地や草原、湿地など「開けた環境」(開放的な環境)に生息する種の減少が激しい。これらの場所では里山の荒廃やシカの食害などに加え、稲の害虫駆除に使われる農薬の影響が大きいと考えられるという。

 
  • 見たくないものは報道されない 鶴岡秀志(元信州大学先鋭研究所 特任教授) 2024.10.28 世界経済評論IMPACT
    • 株式証券市場関係者とメディアは,生成AIと関連する半導体市場に対してネガティブな情報は完全無視をするらしい。情報を歪めていて健全な産業経済発展に障害となっているのではないか。

    • 現在の生成AIは人間のように想像的に思考することができないということである。もう少し砕けた表現だと,生成AIの応答は役所が奉じる前例主義的なものということである。役所の仕事の合理化には非常に有効なシステムと言える。

    • 生成AIは,あくまでも数式,特に不等式で示される判断基準アルゴリズムを使ってプロトコールを決めている。各生成AIについてプロトコールの詳細は開示されていないが,おそらく,数式の係数(パラメータ)を学習によって調整する自動修正システムを用いていると考えられる。この手順そのものは,フィードバックループなどでかなり昔から使われている手法であり,あくまでも「過去」と「現在」の差分による「学習」に基づく。この方法によって「一対一対応」のRecognitionはできるが,記録されていない様々な事象を「多対多対応」的にCognitionしている人間とはかなり乖離している。

      • CognitionとRecognition は日本語訳ではどちらも認識であるが,前者が心の中で知識と理解が発達する過程であることに対し,後者は存在するものを受け入れることという違いに留意しなければならない。

    • 現在の生成AIは既存の論文や教科書の記述データからごく簡単な「群論」を解くことは可能であるがあくまでも「前例」踏襲である。「群論」を使った想像的発展は前例が存在しないので取り扱えない。

    • 番組制作者の描いたストーリー通りの「絵」を取るだけの媒体になっているTVの姿を見れば,情報を公平,正確に伝える機能は失われていると言って良いだろう。我が国政府が推進する貯蓄から投資への転換で加熱する金融市場の動向は国というシステムの将来を予測するものではなくなっている可能性が高い。失敗を招かないために我が国経済産業を指導する人々は見たくないものをより熱心に見る必要がある。

  • 今こそ言いたい「日本経済を衰退させた真犯人」 選挙で日本経済の未来が議論されない異常事態 野口 悠紀雄 2024/10/27 8:00 東洋経済ONLINE
    • 日本経済に関する最も重要な問題が、総選挙では議論の対象にならなかったということになる。これは今回の選挙の特殊事情ではない。どの選挙においても似たような状況であった。そして、選挙においての問題だけでなく、実際の政策で行われるのが人気取りのバラマキ政策ばかりであり、日本経済を強くするための政策がなおざりにされることの反映である。こうした「政策の貧困」が、日本の経済を衰退させてきたのだ。

    • 1980年代の後半には、日本の1人当たりGDPは、実にアメリカの1.5倍になっていた。これは、「ジャパン・アズ・ナンバーワン」と言われていた時代のことだ。だが、2023年における日本の1人当たりGDPは、アメリカの約7割程度でしかない。

    • 1980年代に「ジャパン・アズ・ナンバーワン」と称された日本が、その後、世界における地位を下げたのは、1980年代、1990年代に生じた大きな世界経済の構造変化による。なかでも重要なのは、中国が工業化に成功したことだ。そして、情報関連技術において、IT革命と呼ばれる大きな変化が生じたことだ。

    • このいずれに対しても、日本は適切に対応することができなかった。それに加えて、政府の政策や企業が対応を誤ったのだ。

    • こうなってしまったのは、円安や金融緩和といった目先の政策に終始して、新しい技術の開発やビジネスモデルの導入、あるいは人材の育成といった問題をなおざりにしたからだ。アベノミクスは、日本の劣化を加速したのだ。新技術の開発や人材の能力向上といった課題は無視し、ひたすら安い金利で資金を利用可能とし、かつ円安を追求した。それに応じて、日本経済が衰退していったのは、必然であった。

  • 新たな消費行動を牽引するZ世代といま起きている3つの大きな変化 ~現代の消費者行動(前編)~ SVPインサイトVol.36 SVD JAPAN 2024/10/24
    • 2024年度の“SVPトレンド調査”では、「現代の消費者行動に関する調査分析」と題して、主要世代の消費行動のトレンドを把握することを目的に、調査分析を行う。

    • ベビーブーム世代、X世代、Y世代、Z世代、さらに、パワーカップル層とニューリッチ層を対象とすることで、世代別と収入階層別の特徴を把握する。本レポートでは、総括として、日本における消費行動の傾向と、いま起きている3つの大きな変化について概観する。

      • 2020年以降は、二人以上の世帯における消費支出は増加している

      • 贅沢消費を抑え、支出のバランスをとる

      • この1年間で、全体の35.0%が低価格商材へのスイッチを実行

      • 商品・サービスの購買決定において、総じて価格重視、ブランド軽視の傾向は顕著

      • 今後の消費意向について、どの世代も半数近くが「節約志向」へ

      • 贅沢消費の対象としては、高齢層は「旅行」と「クルマ」「家電・家具」、若年層は「食料品中心」

 

  • 日本はどんなリスクを取るべきか~デジタル・リアルの勝ち筋 2024年10月21日 ニッセイ基礎研究所
    • 日本は30年ぶりの復活のチャンスを迎えている。ただ不幸なことに経済低迷が長かったため、日本にはそれほど多くの選択肢は残されていない。

    • その上で、筆者は国産の半導体はなんとしても手に入れるべきだと思っている。日本復活の肝は、日本で生産して貿易黒字を作りだし、日本に雇用と利益を還元することだと思っている。少なくとも、デジタル・リアルの世界を作り出し、日本の製造業を復権させることが不可欠であり、その重要なパーツが「半導体」である。

    • 日本には、追い風が2つ吹いている。その1つは、価値判断基準の変化だ。日本は「成長センター」となる潜在能力を秘めるASEAN(東南アジア諸国連合)からの信頼が高い。経済安保が世界の趨勢となる中、信頼性の高さが製品購入時の重要な判断基準になり始めている。信頼性が高く、高品質な日本の製品にとって、この変化は大きなプラスである。

    • もう1つは、デジタルとリアルの融合の流れだ。日本はデジタル化で、米国や中国から大きく引き離されて来た。しかし、これからはリアルな製造の現場に、デジタルが組み込まれるシーンが増えて行く。身の回りにある、あらゆる製造物がIOTでネットに接続し、リアルタイムで収集されたデータがAIに分析され、経験や想像で補われていた部分がデジタルで管理されるようになる。それは製造物だけでなく、サービスや商習慣もデジタル化していく。

    • 世界を見回した時、製造業をフルラインナップで有している国は、日本のほかにあまりない。日本の高いサービス品質と日本式の安心安全の作り方・社会体制は、デジタル・リアルの世界においても大いに生きる。これまで完全デジタルの世界では完敗してきた日本も、リアルと接続するデジタル・リアルの世界では復活できる。

    • これを実現するのに不可欠なのがエネルギーだ。電気のないところにデジタル化は起きない。一つの社会的選択として作れる電力量に経済水準を落とすこともあり得る。しかし、その選択をしないなら、原発の再稼働やリプレース、再生エネのさらなる拡大などの選択を今すぐ実行しないと近未来の需要に間に合わない。

    • 企業は生産性(付加価値/投入量)を上げることが至上命題である。デフレ下では分母のコスト・カットが優先されたが、インフレ下では付加価値創出をしない限り、生産性の向上は実現できない。そのためには、新たなアイデア等を生み出す人への投資、賃上げなどの処遇改善、新しい製品の開発、製造するための設備投資が必要になる。新しく生み出されたものが消費者に受ければ、売上高でみる生産性は伸ばすことができる。

    • 国も企業も個人も「やらないリスク」をもっと意識し、選択することを先送りしないことである。

    • 参考:財政制度分科会(令和6年11月1日開催)資料一覧 財務省
      • 資料1  国内投資・中小企業等

      • 資料2  外交・デジタル

      • 参考資料 国内投資・中小企業等(参考資料)

  • スタートアップは経済成長に寄与しているのか 「GAFAMを日本から生み出す」という幻想を捨てよ 加藤雅俊 関西学院大学経済学部教授 2024/10/16 10:00 東洋経済ONLINE
    • MicrosoftやAppleは、創業からすでに50年ほど経過しているし、GoogleやAmazonは30年、Facebookも20年ほど経過している。つまり、近年のGAFAMの成長は、大企業がさらなる拡大を遂げたにすぎないのである。何よりこれは長年繰り広げられた「競争」の結果であり、アメリカ政府が作り上げたものでも何でもない。

    • スタートアップが生み出す経済効果についても、明確に効果があるとは首肯しがたい部分もある。

    • 筆者のスタートアップ研究から得た教訓は2つ。

      • 1つ目は、スタートアップが経済活性化における「起爆剤」となる可能性は低いということ。そもそも、アメリカ以外の国はGAFAMを出せていない。

      • 2つ目は、スタートアップの成長に「特効薬」はないということ。成長はランダムで「運」の要素が強いことはおおよそわかっており、「こうすれば、成長できる」という単純な図式はない。

    • スタートアップに期待されている役割は何なのか。それは、市場に「新たに競争をもたらす」ということである。競争はイノベーションを生み出す源泉である。つまり、スタートアップ自身が生き残るためにイノベーションを起こす可能性があるし、既存のプレイヤーもスタートアップからの競争のプレッシャーによって、新たなイノベーションを生み出すことが期待されている。ただし、スタートアップは競争をもたらすだけでなく、大企業にとってはイノベーションにおける「分業」のパートナーにもなりうるのだ。この意味では、両者は補完的な関係にあるとも言えるだろう。そうした相互作用を起こすことも期待されているということだ。

    • スタートアップ支援を考えるうえで大事なことは、新しく市場に参入する企業への入り口を整えるだけではなく、市場から退出する企業の出口(倒産/廃業/M&Aなど)も整えることである。新しい企業が出てこないのは、市場から退出する企業が少ないから、人も金も技術も市場に流れてこない側面もある。競争というファクターがより作用する環境を整えるのである。

    • その視点で考えると、政府がスタートアップに対して創業から5年、10年手取り足取り支援を続ける必要はない。公的支援は、あくまで創業間もない段階での成長への「足掛かり」となるような支援にとどめ、その後はフェアな競争にさらす必要がある。

    • 起業活動は起業家「個人」だけで生まれるものではなく、起業に対する社会的規範や制度によるところも大きい。そうした社会的規範は、短期で変わるものでもないので、たとえ「5カ年計画」だとしてもすぐに明確な効果が出ることを期待してはいけない。​

 
  • 〈中国「認知戦」の正体に迫る〉流出文書を追った調査報道、ネット空間はすでに戦時にある 田部康喜( コラムニスト) 2024年10月12日
    • 中国が習近平主席のもとで2013年に「情報戦に向けた準備」を呼びかけた。その後、中国国内のサイバーセキュリティ企業は、最近まで約4000社まで増加して、警察組織の一部ともいえる治安対策を専門とする「公安」や、「軍」と共同で「認知戦」を仕かけている。

    • 認知戦とは、対象国のなかの分断の亀裂が入っているテーマについて、SNSなどを使って分断を大きくする活動である。そのかたわらで、対象国の国民に中国との関係を深めるように誘導する。

    • いまの西側諸国と中国との根本には、価値観やイデオロギーの隔たりがあります。そこで『認知戦』が重要になるのです。現在を正確に理解するなら、戦争はすでに始まっていて、ただ目の前でミサイルが発射されていないだけなのです」と。現在のサイバー空間では、平時と戦争の区別がありません。

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  • 移民と日本社会 データで読み解く実態と将来像 永吉希久子(東京大学) 財務総合政策研究所ランチミーティング(2024.10.03)
    • ここでは短期滞在者を除き、外国籍者すべてを「移民」と呼ぶ

    • 他国の結果によれば移民の受け入れはおおむね肯定的な経済効果をもつ

      •  競合関係にある労働者の労働環境の悪化は、最低賃金を高めることで緩和可能

      •  低技能移民の受け入れによる技術発展の抑制は起こりえる

      •  高技能移民の増加による産業発展

      •  ただし、経済効果は限定的であることに注意が必要

    • 日本ではメリットはより小さく、長期的にはデメリットが生じる可能性も

      • 労働力人口を補うという点ではプラスの効果

      • 低技能労働者のキャリア上昇のチャンスの少なさと高齢期の経済リスク

        • 状況は身分系の在留資格を持つ人の方が深刻か

        • 親世代の経済不安定が子ども世代に影響

    •  高技能労働者の能力を生かせておらず、定住も抑制されている

[9月]
  • 再考:日本の生産性 学習院大学経済学部 教授 滝澤美帆 月刊資本市場 2024.9(No. 469) (公財)資本市場研究会
    • 日本の労働生産性水準は、製造業で米国の 7 割程度、サービス業で 5 割程度であることがわかった。
    • 本稿では、人口減少が進む中で経済成長をもたらすための数少ないチャンネルとして、設備投資や人的資本投資に注目をした。
      • 新しいテクノロジーを体化した機械や設備へ投資して資本装備率を上げること、そして、人的資本投資を増やすことが重要である。
      • 特に、企業数では99.7%、雇用の7 割を占める中小企業の生産性を伸ばすことが、経済全体の生産性向上のためには必須となる。
 
  • 米国で年収1400万円以上を稼ぐ「5つの技術職」 2024.09.25 09:00 Forbes JAPAN
    • 1. バックエンドソフトウェアエンジニア 総報酬の中央値:18万ドル(約2563万円)

    • 2. AIリサーチャー 総報酬の中央値:18万ドル(約2563万円)

    • 3. ネットワークエンジニア 総報酬の中央値:20万1000ドル(約2862万円)

    • 4. クオンツリサーチャー 総報酬の中央値:20万2300ドル(約2877万円)

    • 5. テクニカル・プロダクト・マネージャー 総報酬の中央値:24万3000ドル(約3457万円)

 
  • 都市部の緑地、平均-3℃の効果 冷却能力が高い都市は10位まで全部アメリカ クラウディア・カルアナ(SciDev.Netライター)2024年09月25日 事業構想 ※『SciDev.Net』に2024年9月5日付で掲載された記事
    • 研究者たちは、世界の500都市の衛星データを使用して、都市内の緑地が都市の表面温度をどの程度冷却しているかを評価した。新たな研究により、低・中所得国の多くの都市が、気候変動とは別の要因で猛暑にさらされていることが明らかになった。その要因とは、冷却効果をもつ緑地の不足だ。

    • 英エクセター大学の気候変動専門家であるティム・レントン氏は、緑地や屋上庭園、樹木などの都市緑化は「致命的な影響をもたらす猛暑と湿度への対策として非常に効果的」だと指摘する。「現在、気候変動によって命を落としているのは、多くが都市のスラム街に住む人々です」同氏は言う。

    • 都市の緑地は、暖かい季節には平均で都市の表面温度を約3°C冷却できることが分析により示されており、「猛暑の際には、非常に重要な差となる」とレントン氏は強調する。都市の緑地、特に都市内の森林の冷却効果は、日陰を作ることと水の蒸発によるものだという。

    • ノースカロライナ州立大学の著名な生態学者であるロブ・ダン氏は、「都市の緑化は簡単ではないが、都市を将来的に住みやすくするための鍵だ」と指摘する。

      彼は都市を猛暑から守るために、地上の緑地のほか、壁面緑化、屋上緑化、さらには都市の森を導入することを提案している。

  • 深化するSX 第1回:Scope3およびサーキュラーエコノミーへの挑戦 2024-09-17 pwc
    • ​2024年1月に開催された世界経済フォーラム(通称、ダボス会議)では「気候、自然、エネルギーの長期戦略」についてのパネルディスカッションが行われ、複雑化するサステナビリティ課題への対応策として、「システミック投資」が注目されました。

    • 「システミック投資」とは、バリューチェーンの構造と変革メカニズムを「システム」として解明し、変革の要所に対して投資・開発活動を行うことで、単一で行う投資より遥かに大きな変化を生み出す手法です。

    • PwCでは、サーキュラーエコノミーを「自然界からの採取と拡散を最小化し、物質を循環させることで、サステナビリティ課題の解決と経済の両立をはかるもの」と定義しています。人間の経済活動は、自然の均衡を壊す形で大量の資源採取や大量廃棄、CO2の拡散をもたらしています。これにより、資源の枯渇や、生態系の破壊、気候変動、環境汚染が引き起こされます。このような問題の根源となる採取と拡散を極小化するため、経済活動を循環構造に変えていく。それがサーキュラーエコノミーです。

    • 局所から広域へとサーキュラーエコノミーを拡大させるためには、以下の4つの要諦を押さえる必要があります。

    • 1つ目はイノベーション。マテリアル、バイオサイエンスやエンジニアリング技術の革新により、根本的な課題解決とコスト低減に向けた、具体的な打ち手を用意します。2つ目はサプライチェーンの組み直し。循環化に伴う新たな多様なステークホルダーを巻き込み、各々の役割と目的をデザインする必要があります。3つ目はビジネスモデル。先に述べたようにマネタイズに向けた多様な工夫が必要です。4つ目はスケール化。法制度や消費者意識に目が行きがちですが、どちらも欧米に遅れている現状を踏まえると、それらへの過度な依存は避けるべきです。むしろ、自ら成功例を作り、業界を動かすフロンティアランナーとしての動きが望まれます。

​【8月】
  • 国家ブランド指数No.1の日本 海外に評価される、知られざる本当の強み 2024.08.31 10:15 Forbes JAPAN
    • 経産省のクールジャパン政策課と協働し、『海外都市から見た日本ブランドの今と今後の可能性』をテーマに調査を実施したBIOTOPE代表の佐宗邦威へのインタビュー記事

    • 国家ブランド指数1位 海外から見た日本、知られざる4つの価値

      • ソフトパワーの点で見た時には、すごく価値が上がってるという実態があるのですが、その部分がほとんど知られていないっていう現状がとてもよくない

    • 日本の強みの活かし方

      • 日本人の精神性や、生活スタイルを背景にした多様な文化コンテンツと段階的に出会うことでポジティブイメージが形成され、最終的に4つの提供価値になる。

        ①バラエティ豊かで遊び心のある体験 ②心が落ち着く体験 ③健康な暮らし ④丁寧な暮らし

    • 表面的に幅が広いけど、実はものすごく奥深いブランドだ、というところが強み

      今後、国策として文化戦略を考える上でも、2週間以上滞在する人を増やしていく、というのはファンを作っていく上で1つ大きな分岐点なのかなと思います。

    • 失われた30年のなかで、日本のガラパゴス化が進んだという視点はすごく自虐的だし、ドライなことが多かったと思うんです。しかし、むしろ日本の文化として自分の足元に眠っているものは、実は世界から見るとすごくユニークな存在として認識されていて、幅広く、かつ奥深いというのは、大きな価値だと思うんです。

    • ブランド論の観点から見ると、他の国はすぐには真似できないものが詰まったブランドとして強いはずなんです。文化の領域は模倣がすごく難しいので、ちゃんと自分たちの強みにしていけば、次の20年、30年ちゃんと残っていき、自分たちを助けてくれる資産になるはずなんじゃないかなと思っています。無形資産──目に見えない価値をちゃんと守っていくための事業を今後提唱していけると、これは次の世代にも残っていく文化資産になるんじゃないでしょうか。

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  • 1.42倍に価格高騰しても輸入数量が減らない! ~円安下で生じている構造変化~ 2024.08.29 第一生命経済研究所
    • ​2020年以降、GDPデフレーターでの輸入物価の変化は、実に1.42倍の上昇である。通常、輸入物価が上がると、輸入品から国産品へのシフトが起こり、それが物価上昇圧力を緩和する。ところが、2020年以降、実質輸入は9.2%も増加している。割高になっても、輸入数量は増え続けている。輸出数量の増加も限定的である。円安メリットは、一体どこに行ったのかといぶかしく思う。調べてみると、そこにはデジタルなど先端分野で日本の製品競争力が低下している姿が浮き上がってきた。

    • コロナ禍でデジタル需要が急増した。クラウドの利用拡大は、海外事業者に「通信・コンピュータ・情報サービス」利用の対価を支払うことになった。「その他業務サービス」の方も、インターネット広告やOS分野の使用料とである。米国などのプラットフォーマーに支払うサービス代金の支払いが急増したのは、2020年以降のデジタル需要の高まりがある。

    • 消費財、生産財でも同様に輸入浸透度が上がっている。つまり、サービスだけではなく、財の品目でも日本企業の競争力が相対的に低下していることを示唆している。

  • 「あえて結婚しない女性」が増えた真の理由、実は「仕事や趣味」のせいではなく…【識者が解説】 2024.8.27 4:00 DIAMOND online
    • 家族社会学者の山田昌弘氏へのインタビュー記事。

    • 1990年と2020年の国勢調査における未婚率を比較してみると、25歳~29歳の女性の未婚率は40%から65%、30歳~34歳の女性の未婚率は14%から39%と、大幅に上昇している。(総務省統計局「令和2年国勢調査 人口等基本集計結果 結果の概要」

    • 山田氏は、結婚したくない人が増えたというよりも、結婚に適した相手に出会いにくい社会になったことで、結果的に結婚しない選択肢を取る女性が増えていると話す。

    • 今の時代は、マッチングアプリなどで出会いの機会は豊富になったことに伴い、比較対象も増えています。その結果、次はもっといい人に出会えるかもしれないと思う人が増え、それにより『妥協してまで結婚したくない』という女性が増えたのだと思います」
    • 「国が助成金などを充実させて、お金のことを気にせずに相手を選べる環境になれば結婚しやすい社会になると思います。結婚のメリットは、主に老後の孤独に対処するということですから、独身でも友達や仕事に恵まれていれば、必ずしも結婚する必要はありません。

    • 若いときには独身で自由な生活を謳歌し、老後に訪れる不安を解消することを考えれば、自然と行き着くのは、結婚適齢期ではなく、50歳など老後を見据えた年齢での結婚だ。

  • 「自然資本」を経済指標中心に考えることの難しさ ―自然との共生(日本的な豊かさ)を感じられる世界に向けて― 2024/08 三井物産戦略研究所
    • ​2024年の選挙イヤーに、即効的経済政策を望む有権者がグリーン政策を継続支持するか注目される。

    • グリーン政策の計測指標としての自然資本は、経済思想(西欧近代的思考)の影響下にある。

    • 日本的な豊かさの下で感じられる自然資本は、人間と自然の共生の中で培われている。

    • 自然資本という言葉を、現代合理主義の下で再解釈し、自然との共生を目指してはどうか。枠組みを3つ提言する

      • 自然の成長速度に合わせ、異なる時間軸を併用 

      • デジタル情報を組み合わせた自然空間の高度利用

      • 都市に自然を創出する形で社会インフラを整備 

    • サリバン教授が語る「自然資本は、会計士が作り出す魔術ではない」という主張は、近代的思想から抜け切れていない現代人への慈雨であり、地球に響く言葉である。人間が自然を支配するという指標運用ではなく、人間と自然が一緒に成長するという視点に立つことで、自然との共存の豊かさを確信することができるように思える。

 

  • 温暖化で増加する熱波による世界各地での被害 ~ 熱波に関連する事業リスク 2024/8/20 東京海上ディーアール㈱
    • ​熱波とは、通常予想される気温よりも異常に高い気温が長期間続くことであり、数日から数週間に亘ることがあります。

    • 熱波は最も致命的な自然災害の一つで、毎年何千人もの人々が熱に関連した原因で亡くなっています。しかし、熱波の影響の全容は、死亡証明書が集められるか、科学者が超過死亡を分析できるまで、数週間または数か月後にしかわかりません。また、多くの場所では、熱に関連した死亡の記録が適切に保管されていないため、現在入手可能な熱波による世界の死亡者数は過小評価されている可能性があります。

    • 熱波による事業影響を評価する際は、前述した日最高気温という気温に関する情報に加え、湿度に関する情報が重要になります。

  • グリーン成長、脱成長、グリーンニューディール 排出量ネットゼロ達成に有望なのは リチャード・サンドブルック(トロント大学 政治学 名誉教授)2024年08月20日 事業構想
    • ​ネットゼロを達成するためのアプローチは大きく分けて3つある。急進的改革主義(グリーンニューディール)、グリーン成長(現在の戦略)、そして「脱成長(Degrowth)」と呼ばれる考え方だ。

    • グリーン成長は気候・生態学的な課題に対応できていない。地球環境が安定した状態を保てる限界の範囲である9つのプラネタリーバウンダリーのうち人類は既に6つを超えており、2015年のパリ気候協定で提案された1.5℃の温暖化制限に間に合わない。今すぐ決断して行動を起こす必要がある。

    • 脱成長とは、GDPを廃止し、人間のニーズを満たすことを経済目標に置く革命的なアイデアである。脱成長は政治的・経済的に実現可能ではない。脱成長は資本主義を問題として捉え、それを「ポスト資本主義」や「ポスト成長」へと転換することを求めている。最大の問題は、そこにどうやって到達するかである。

    • カナダでは、2016年のリープマニフェストでグリーンニューディールの概念と政策構造が打ち出された。これには再生可能エネルギー、富の分配、先住民の権利、支援的な社会運動の構築が焦点とされている。しかし、マニフェストの野心的な目標は未だ実現しておらず、カナダには正式なグリーンニューディールが存在しない。

      • カナダにおける急進的なグリーンニューディールの必要性は説得力があり明白である。グリーンニューディールは、グリーン成長よりもポジティブな生態系変化をもたらす可能性があり、脱成長モデルよりも短期的には実現可能である。ニューディールはアメリカを大恐慌から救ったが、グリーンニューディールは私たち全員を生態学的崩壊から救う第一歩となるだろう。

    • 主流のグリーン成長アプローチは私たちを救うことはできない。そして、脱成長のビジョンは魅力的ではあるが、資本主義を覆すという非現実的なものを伴う。急進的改革主義のグリーンニューディールは、気候的緊急事態に対してグリーン成長よりも実行可能なアプローチであり、脱成長よりも政治的に実現可能性がある。

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  • 「10年以内に火星に人類を送り込み、20年後には火星都市が実現する」 イーロン・マスクが率いるスペースXが描く「火星都市」の最新計画図 2024.8.12 

    • 2016年には火星に自律的な文明を築くには40年から100年かかると述べていたマスクだが、2024年4月、スペースXの従業員に向けて「およそ20年後には100万人が火星に移住するだろう」と語りかけた。「生命の“多惑星化”は急務だ」と、マスクは公開動画のなかで語っている。「文明に余力のある今のうちに実行に移さねばならない」

    • 構想は、彼が地球上で手がけるほぼすべての事業の原動力となっている。資料と関係者の証言によると、マスクの火星に対するビジョンは、彼が経営あるいは所有する6つの会社の根底にあり、いずれの会社も地球外コロニーの建設に貢献する可能性を秘めているという。

    • マスクが設立した私営トンネル掘削ベンチャーのボーリング社は、火星の地表を掘削するための機器開発を目的の一つとして設立されたと、2人の関係者は明かす。マスクはSNSの「X」を買収した理由の一つとして、合意に基づいて統治される市民主導型の政府が火星上で機能するかテストするためだと語っている。

    • さらに、EV会社テスラの鋼鉄パネル製サイバートラックは、火星の住民が乗ることを想定しているとも語っている。約2700億ドル(約40兆円)の資産を保有するマスクは、テスラから得た約470億ドル(約7兆円)の報酬パッケージを含む自身の蓄積資産は、すべて火星移住計画の資金だと公言している。

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【7月】
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