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歴史

[2024年]
​[2023年]
  • 世界経済の50年の歩みと未来に向けた展望 (PDF形式、593kバイト) 一橋大学 名誉教授 野口悠紀雄 【日立総研創立 50 周年記念】機関誌「日立総研」 Vol.18-2(2023年11月)​
    • 本稿は、1970 年代からの世界と日本の歩みを振り返り、中国の工業化や IT 革命が大きな転機であったことを指摘する。そして日本の対応がどこで誤っていたかを明らかにする。さらに、将来を展望し、世界における日本の地位の変化について考える。

    • オイルショックを乗り越え、日本の時代に

      • 日本の時代となった 1980 年代

    • 中国の工業化と IT 革命に対応できなかった

      • バブル崩壊でなく、中国の工業化が原因

      • 中国の工業化に対して新しい産業構造に転換する必要があった

      • アメリカは IT 革命に成功

    • 未来の世界と日本を展望する

      • 日本の将来を考える場合、人口高齢化にどう対処するかが最大の問題となる。

      • 医療・福祉以外の産業は、就業者数で見て減少を続ける。したがって、これらの産業では、今後は量的な拡大を期待することができない。成長を前提とした経営戦略は成り立たないのだ。マイナス成長のビジネスモデルを確立する必要があるだろう。

    • 最も重要なのは、生産性の向上だ。そのためには、デジタル化が重要な意味を持つ。日本でデジタル化が進まないのは、技術的な要因によるだけでなく、日本の組織や社会の構造に真の原因がある場合が多いからだ。したがって、これらを改革していくことが必要だ。

  • GDPからGGWへ 豊かさの指標の人類史的転換 慶應義塾大学教授 前野 隆司 【日立総研創立 50 周年記念】機関誌「日立総研」 Vol.18-2(2023年11月
    • 私は、ウェルビーイングの潮流とは、単なる短期的な流行ではなく、人類史における農業革命・産業革命に匹敵する激変であると考えている。このため、産業革命以来の資本主義経済の主要な指標である GDP(Gross Domestic Product)から、ウェルビーイング革命後の指標が GGW(Gross Global Well-Being)へと転換することの必然性と可能性について論じる。

    • 人口増加と定常化のサイクル

      • 100 万年前から現在までが三つの段階に分かれており、いずれの段階も、増加を示した後にフラットな定常期がある。

        • 20 万年前に誕生した人類は、最初、狩猟採集により生活する。食料が潤沢な間は人口が増えるが、食料に対して人が増えすぎると、増加は止まり定常化する。

        • そこで農耕が始まり、再び人口は増加に転ずる。しかし、やがて農業による人口増加に限界がやって来て定常化する。

        • 次に産業化(工業化)が起こり産業革命を経て情報化・金融化へと続く。このため、再び人口が増える。しかし、その後に地球環境の限界が到来する。日本では、育児コストの高さと女性の再就職の難しさが壁となって、出産数の減少による少子化が進んだ結果、すでに定常化③に突入している。

      • 人類史的に見ると、定常化社会は決して衰退社会ではない。1 度目の定常化社会は心のビッグバンといわれる約 5 万年前である。このころは、人類がアニミズム(自然崇拝)的な原始宗教を開始し、壁画などのアートを発明した時期である。つまり、人口増加中は狩猟採集のための新天地への展開に忙しく、いわゆる経済成長重視だった人たちも、成長が止まると時間が生まれ、心にゆとりもできて、壁画や構造物に取り組むようになり、人類の文化が栄えたということのようなのである。

      • 2 度目に定常化した紀元前 5 世紀前後は枢軸時代と呼ばれる。枢軸時代は、ギリシャではソクラテス、プラトン、アリストテレスの活躍した時代である。インドではブッダが生まれ、中国では孔子、老子、荘子、孟子などの諸子百家が輩出した時代であった。つまり、古代の文明都市に哲学、思想、あるいは宗教が生まれた時代である。

      • 定常化③にあって定常化①と②にないのはウェルビーイングの科学や IT、AI をはじめとする科学技術である。定常化③の思想は、思想としての神道、仏教と科学技術が融合したものになるべきではないだろうか。

    • 「経済成長」から「心の成長」へのパラダイムシフト

      • GDP 第一の時代(経済成長期・人口増加期)とは違って、定常期とは、GDW(Gross Domestic Well-being)の時代というべきではないだろうか。いや、国内だけに目を向けるのではなく、世界に目を向けて GGW(Gross Global Well-being)を考える時代というべきかもしれない。人類 3 度目の定常期を、豊かな成熟期にすべきではないだろうか。

        • 産業化で後れを取っていた鎖国時代に、日本は世界に誇る浮世絵やわびさびの茶道などを確立する文化的な時代を過ごしていた。つまり、日本は、豊かな定常時代の長い国なのである。

      • 心が成長する時代というのは、心の豊かさをめざすウェルビーイングの時代である。人間性を高める時代に向けて、日本はいまその一番手にいて、産みの苦しみを味わっているところと考えるべきではないだろうか。

    • 「経済成長」から「心の成長」へのパラダイムシフトに関する研究と実践

      • 極論すれば混沌の時代なのである。先が読めない VUCA(Volatility・Uncertainty・Complexity・Ambiguity)の時代であるから、どうすればよいのかがわからない。

    •  ウェルビーイングについての各国の取り組み

      • 日本国憲法の 13 条に、幸福追求権がうたわれている。「すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする」。これが基本的人権の幸福追求権である。

      • 幸福度を下げる要因の一つは、孤独・孤立である。日本でも 2021 年に、世界で 2 番目となる孤独・孤立対策担当大臣が設置された。ウェルビーイング政策の一歩といえるだろう。

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