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知・技術・イノベーション [2024年1月~]

[10月]
 
  • 「多様性重視のイノベーション」で科学技術を躍進 佐々木成江 横浜国立大学客員教授/学長特任補佐(ジェンダード・イノベーション担当) 2024.10.31 13:30 Forbes JAPAN
    • ジェンダード・イノベーションとは、性差に基づくという意味の「ジェンダード」と「イノベーション」を組み合わせた造語だ。科学技術分野では、男性が研究や開発の対象や基準となることが多い。同分野の研究・開発で性差を考慮することで新たな発見やイノベーションが創出される。自然科学、健康・医療、工学、環境科学をはじめ幅広い分野に影響があり、世界的に注目されている概念だ。

    • ジェンダード・イノベーションは、政府がまとめた女性活躍・男女共同参画の重点方針(女性版骨太の方針)にも22年にはじめて記 載され、24年にはさまざまな分野におけるジェンダード・イノベーションの推進(5カ所)が盛り込まれた。企業からの講演依頼も多く、社会実装に向けて動き出している。​

 
  • ​外交・安全保障 第20回:海洋防衛力の未来を支える艦船の省人化技術 世界の省人化市場をリードする日本の技術力 2024.10.23 MRI
    • 人材不足は日本のあらゆる領域がかかえる課題だ。中でも海上自衛隊の要員不足は、海洋防衛力までも大きく左右するだけに、その対策は極めて重要だ。そこで解決策の1つとして注目したいのが、「艦船の省人化技術」である。すでに日本は、この分野で世界でも有数の技術力を誇る。人材不足という苦難を発展の契機と捉え、官民で技術開発を加速させれば、日本が世界の船舶の省人化市場をリードする可能性も秘めている。

    • 海上自衛隊の最新の護衛艦(フリゲート※1)である「もがみ」型では、ワンマンでの運航が可能な民間の商船仕様のシステム(統合艦橋システム※2)を採用して、航海に必要な乗員の数を削減した※3。このシステム導入により、艦橋クルーは10名程度から4名まで削減できたという※4。艦橋のみならず、ダメージコントロール※5※6や機関整備にも他の省人化技術が導入されている※2。「もがみ」型と船体規模(排水量・全長)が近い「あさぎり」型護衛艦の乗員は220名※7である。これに対して「もがみ」型の乗員は90名※8であり、民生技術も活用した効果が大きく表れた。この省人化技術を導入すれば艦艇の乗員数を大幅に削減でき、海上自衛隊の隊員不足対策にも貢献するだろう。

    • 省人化は各国の海軍でも必要とされており、「もがみ」型のようにこの分野で他国よりも優れた技術力を有する日本は、この海外需要を好機として、省人化技術を輸出することが考えられる※17※18。

    • 将来的に拡大する船舶の省人化市場を日本がリードすることも十分可能であろう。

  • 予定調和からイノベーションは生まれない アーティスト思考×デジタルで加速させる社会変革 ソーシャルインパクトを創出する「アート」の力とは 2024年10月22日 13:00 アビームコンサルティング株式会社
    • ヘラルボニーは岩手県盛岡市に本社を置くスタートアップで、双子の兄弟である文登と2人で2018年に創業しました。私は東京、文登は岩手を中心に活動しており、その2拠点で事業を運営しています。

    • 主に知的障害のある作家さんとライセンス契約して、2000点以上のアート作品をアーカイブ化し、IP(知的財産)ビジネスを行っています。私たちはこうした作家さんたちを「異彩作家」と呼んでおり、240人以上と契約を結んでいます。

    • 社会的にも経済的にも障害のある方の自立を目指すという点では福祉そのものですが、助成金に頼るのではなく、アート作品をIP としてマネタイズするという回収エンジンをビジネスとして組み込み、課題解決の仕組みに継続性を持たせた。

    • 文登と僕が強く意識しているのは、自閉症の兄がいることから始まったヘラルボニーのストーリーであり、100年先の文化をつくることです。創業者の僕らはもう生きていないでしょうけど、ヘラルボニー100年史ができるとしたら、そこにどんなストーリーを刻みたいのか。経営者として意思決定する際には、いつもそれをすごく意識しています。

    • 本社を岩手に置き、1店舗目のギャラリーも岩手に構えました。それは、岩手からスタートして世界の常識を変えていったという100年先のストーリーを意識しているからです。

    • 僕たちがプロデュースしている自社ブランド商品は、クオリティも価格もハイブランド並みです。障害のある人は安い賃金で働いて、安い商品をつくっているというのが一般的な常識で、それが現実でもありますが、異彩作家の作品がその価値を直感的に認められ、正当な対価を得られる環境をつくることで、現実とのギャップを乗り越え、常識を覆したい。それを実現できたら、夢のあるストーリーを100年史に盛り込めると思います。

    • 異彩作家の人たちは、人にどう思われたいとか、作品をどう評価されたいとかではなく、自分がやりたいこと、つくりたいものを我慢しないでひたすら追求します。その姿勢には、いつもインスパイアされますね。

    • 私たちは、将来的には障害のあるなしにかかわらず、さまざまな“ 異彩” の作品を世界に送り届け、作品の価値と作家の創造力を拡張するプラットフォームになりたいと思います。

    • ヘラルボニーの成長スピードが上がるほど、世界を隔てる偏見や固定観念を超える新たな文化の創造に近づく。そして、社会をよりよくできる。そう確信できる企業を目指します。

  • 第7期科学技術・イノベーション基本計画に向けての提言 林 和弘 日本学術会議連携会員(第26期)学者委員会学術体制分科会委員長 2024年10月21日(月) 日本学術会議

    • ​キーメッセージ:予見困難な変化に対してレジリエントな社会を構築するためには

      • 迅速な意思決定とフレキシブルな研究を可能にする環境

      • イノベーションを生み出す基本的な研究力の強化

      • そして未知の価値をも包み含む人類の知識の総体(body ofknowledge)が必要

    • 提言1 大規模感染症や気候変動、超少子高齢化社会などの喫緊の課題及び生成AIの進展を含むデータ科学の進展がもたらす社会の急速な変革に対応する包摂的な科学技術・イノベーションを可能にする制度や取組の実現

    • 提言2 喫緊の課題解決に資する研究に加え、基礎的・伝統的な研究分野を含む広範、かつ、多様な研究分野を支援し、知識や技術の継続的な蓄積による研究力強化

    • 提言3 公共財としての知識・データの蓄積と開放を促し、データ科学の更なる展開による新しい科学への対応

    • 提言4 多様なキャリアをもつ高度人材の育成をあらゆる領域で支援するとともに、そういった人材が様々な場所で専門性を発揮できる仕組みの強化

  • 日本人が知らない「欧州イノベーション」の最前線。TOA(Tech Open Air)報告会で語られたテックの未来 TOA事務局 Oct.18,2024, 01:15 PM BUSINESS INSIDER
    • ​TOAとは、「Future Proof(未来の証明)」をコンセプトに、毎年ドイツ・ベルリンで開催されている国際的なカンファレンス。多分野にわたるテクノロジーの話題を中心に、注目のスタートアップ経営者・創業者や世界トップクラスの研究開発者・専門家たちがピッチを行う。今後の世界的なイノベーションの潮流を探る場として人気を集めている。

    • 生成AIブームをけん引する両社(グーグル、OpenAI)のピッチ内容をはじめ、TOAで鮮明になったのは「マルチモーダル化」と「エージェント化」の本格的な流れだ。

    • テキストだけでなく、画像や音声、動画といった複雑な(複数の)データを一度に処理する「マルチモーダルAI」と、複数のAIモデルを組み合わせ、高度なタスク処理を可能にする「AIエージェント」。これらは、生成AIが進化した姿として語られてきた。

    • 国際的な科学雑誌『Nature』を発行するSpringer Nature社のジョイス・ロリガン氏は、生成AIによって科学研究が加速度的に進む未来を提示した。先行研究や専門外分野への「情報アクセス」が容易になり、論文における「言語の壁」も取り払わることで、AIにより研究活動の効率化が進むだけでなく、欧米偏重のアカデミアがよりオープンになっていくと予測する。

    • 現代イノベーションは、領域を横断して生まれる。あらゆるイノベーションの裏にテクノロジーの存在があるといっても過言ではない現代。

    • 「イノベーションを起こすためには、やはり新たな感情や視点が生まれることも大切ですよね。最先端のテックの話だけでなく、こうした対話を生むプログラムが用意されているところもユニークでした」と参加者からは賞賛の声が上がっていた。

    • ヨーゼフ・シュンペーターは「新結合」の必要性を唱えた。イノベーションを起こすためには、これまでとは異なる視点、新しい価値観を取り入れ、発想することが求められる。

 

  • AI社会の歩き方 2024-10-17 独立行政法人情報処理推進機構(IPA)デジタル基盤センター長 AIセーフティ・インスティテュート (AISI)副所長・事務局長 平本 健二 
    • AIを上手に使うためのポイント

      • ​目的を明確にする
        • 何を達成したいのか、具体的な目標を設定することで、AIの適用範囲や方向性が明確になります。

      • データの質を確保する

        • • AIはデータに基づいて学習します。正確で質の高いデータを使用することが重要です。

      • 適切なツールを選ぶ

        • 目的に応じて、適切なAIツールやプラットフォームを選びましょう。これにより、効率的に問題を解決できます。

      • AIに丸投げせず、人間が関与する

        • AIが提供する結果や提案はチェックし、人間の判断を加えることで、より正確な意思決定が可能になります。

      • 継続的な学習と適応

        • AI技術は急速に進化しています。最新の技術やトレンドを学び、システムを適応させることが重要です。​

  • ノーベル受賞者・ベイカー教授が指摘する「AI科学」の課題 2024.10.17 MIT Technology Review
    • ノーベル化学賞はAIを駆使したタンパク質研究に授与された

    • ベイカー教授はAIの科学的発見への貢献にはデータの質が重要と指摘

    • AI開発の現在のトレンドは、AIが生成した雑多なものでますます溢れかえっているインターネットのコンテンツ全体を使って、さらに大規模なモデルを訓練するといった具合だ。この雑多なものが、今度は訓練用のデータセットに吸い込まれ、結果を汚染し、バイアスやエラーを引き起こす。これでは、正確な科学的発見はできない。

  • 現代のイノベーション思考に不可欠な「スーパーサイクル」という概念融合 2024.10.16 13:15 Forbes JAPAN
    • 「テクノロジー・スーパーサイクル」は、産業革命、インターネットを中心としたデジタル革命(米WIRED誌が1993年に命名)に続くであろう人類のターニング・ポイントを示す考えだ。具体的には、以下の3つの領域が融和して織りなす新しいテクノロジー創出の「超」循環だと言う。

      • 1)AI(人工知能)

      • 2)バイオテクノロジー

      • 3)接続されたセンサー 

    • 20世紀後半から21世紀前半におけるテクノロジー革新は、インターネットを中心に勃興してきた。その本質は、現実世界をインターネットにコピーしていくミラーリング(鏡写しする現象)である。そのドメインをデジタルに移した瞬間、これまで規定されていた物理的な限界を超え、新たな寡占状況を作り出すことが可能となった。

    • そして、これからはAIがすべてを変えていくだろう。これまでのリアル社会のミラーリングによる、「シームレスな情報化空間」の次は、その空間の知能化だ。今はその情報を篩(ふるい)にかける知性が出現する。その知性と情報空間の組合せは、これから個人、組織、あるいは国すら超えた、人間社会のOS(オペレーティング・システム)になりうる。

    • 産業革命では、機械とオートメーションが世界を変えた。デジタル革命では、インターネットに拡張された情報空間(仮想現実)が世界を変えた。そして、AIを発端とする次の革命では、情報空間を制御するオートマティックな知能が世界を変える。

    • イノベーションにおいては「今日の非常識は明日の常識」になる。荒唐無稽という批判を恐れず、ひとつの概念と異なる概念を融合させる思考法は、ますます重要になるだろう。

    • ウェブが提唱した「テクノロジー・スーパーサイクル」という概念は、今後、新たな未来社会や市場を予測するとき、これまでもあった「SF思考」や「スペキュラティブ・デザイン」などの考え方と同様に新たな「レンズ」を私たちに提供し、それは大いに役立つと私は考える。

 

 

  • ロケットを箸でキャッチしたSpaceXの凄さの源泉--「他が報告書を書いている間に次を打ち上げる」と野口聡一氏 2024年10月15日 15時18分 CNET JAPAN
    • ​SpaceXは日本時間10月13日夜、次世代ロケット「Starship」の5回目の打ち上げ試験を実施。使用済みの第1段ブースターを射場の「箸」(発射台の構造)で回収する快挙を成し遂げた。最終的にはStarshipで火星に人類を送ることもめざす。

    • Starshipの初の軌道打ち上げ試験は2023年4月だった。Starshipの初回打ち上げから、ブースターの箸でキャッチまで、わずか1年半の出来事だ。

    • 野口聡一氏は2022年7月に開催された宇宙ビジネスカンファレンス「SPACETIDE 2022」で「変革が速いアジャイルな組織」「考え方がフレキシブル」「ドラスティックな変化をいとわない」と前置きし、次のように述べていた。

    • 「もし失敗があったときに(JAXAやNASAなどでは)報告書を上司に提出するが、SpaceXはその間に改良試験が終わって、次のロケットを打ち上げているくらいのスピード感がある」

  • <シリコンバレーから日本の皆様へ>今、日本人と日本企業に必要なのは「できるよ」感 2024年10月13日 Wedge ONLINE
    • 日本国内では「日本発のイノベーションが生まれていない」というネガティブな文脈で語られることがある。今、日本に必要な視点とは何なのだろうか。「それは『日本でもできるよ』という前向きなムードを社会に浸透させること、つまり『フレーミング』を変えることです」

    • フレーミングとは、考える時の「基準」を意味する。櫛田氏によれば、平成を象徴する「失われた30年」という言葉も、フレーミングを変えることで見え方が変わってくるという。

    • 「働き手や担い手が少ないからこそ、ITやAIの力も借りながら、人間がしたたかにハイエンドに移行していこうという発想が必要」と強調する。

    • 「『何事も全力で取り組む』『徹夜で頑張る』などということを全て否定するわけではありませんが、精神論的な『努力賞文化』を美化しすぎることは、将来の日本の首を絞めることになりかねません。

    • 「米国から日本を見ていて感じるのは、『部分最適化は得意ですが、全体最適を生み出す力が弱い』ということです。

    • 社会や組織は個人の集積なので、身近なところから『あったらいいな』を実現していくことが大切なのです。そして、『日本でもできるよ』という前向きなムードをつくっていきたいですね。

  • テスラ、TikTok、Airbnb 破壊的ビジネスからリーダーが学ぶべき4つの教訓 2024.10.07 08:00 Forbes JAPAN
    • 破壊的(ディスラプティブ)ビジネスとは、既存のルールを塗り替えるような製品やサービスを開発し、私たちの生活様式や働き方、人とつながる方法などを一変させる事業を指す言葉だ。アマゾンやアップル、グーグルなど、最も成功したディスラプティブビジネスが、世界でも有数の高い企業価値を誇り、その名前を誰もが知る企業となっているのも驚きではない。

    • 1. 社会の大問題に、恐れずに取り組む

    • 2. 人々の生活をより便利にする

    • 3. コンセプトを、誰よりも巧みに実現する

    • 4. 社会に望ましい変化を起こす力となる

[9月]
  • わたしの研究がまさか…科学雑誌の表紙になるなんて 2024年9月28日 17時32分 NHK
    • 世界的に有名な科学雑誌「サイエンス」の表紙を1枚のイラストが飾った。描かれているのは、海水に漂う小さな藻。
      「小さな海の藻」の名前は「Braarudosphaera bigelowii」。学名が長いので研究者からは「ビゲロイ」と呼ばれている。

    • この藻が、大気中の8割を占める窒素を直接取り込む能力を獲得した生き物と分かり、世界の研究者の間で注目を集めている。

    • 「サイエンス」に掲載された論文の著者の1人、高知大学客員講師の萩野恭子さん。客員講師の立場の萩野さんは現在、大学から研究費を受けておらず、家族の理解を得て私財を投じて自宅に研究環境を整えてきたそうだ。研究は“6畳一間”。

    • 「ビゲロイ」が見つかりやすい場所や季節などの条件を絞り込み、家族3人の連名で論文にまとめることができた。

    • 高知の自宅にある6畳一間の研究室で、10年越しで「ビゲロイ」の培養を成し遂げたことで、萩野さんの研究は思いがけない展開を見せていく。最先端の研究環境がそろったアメリカのカリフォルニア大学のチームから共同研究の提案を受けることになったのだ。

    • 「ビゲロイ」のようにバクテリアや細菌を取り込み細胞内の小器官「オルガネラ」として一体化する事例は非常に珍しく、生命の進化を考える上で重要な発見とされる。ミトコンドリア、葉緑体、これらはいずれもかつては別のバクテリアや細菌だったと考えられ、私たちの祖先にあたる原始的な生物が、これらを細胞内に取り込んで“合体”することで、新たな機能を獲得してきたと考えられている。

    • “合体”による窒素を取り込む能力の獲得は、生命の歴史のなかで、ミトコンドリアと葉緑体に並ぶ新たな能力獲得の事例であり、今回が初の発見だ。

 
  • ポストドクターのキャリアと課題 -全国調査から読み解く日本のポスドクの現状- 公開日: 2024.09.25 著者: 川村 真理 雑誌情報: STI Horizon, Vol.10, No.3 文部科学省科学技術・学術政策研究所 (NISTEP)
    • ポスドク(postdoc)とは、一般的には博士学位取得後任期付きの研究職に就いている者と捉えられているが、実際の定義は国や機関によっても大きく異なる。

    • 科学技術・学術政策研究所(NISTEP)が実施している「ポストドクター等の雇用・進路に関する調査」(以下ポスドク調査)の定義においては、博士号取得者、任期付きといった点についてはNPAと共通しているものの、近年増加している競争的資金等の外部資金により雇用される特任教授、特任准教授、特任講師、特任助教、特任助手等は対象外とされている。日本のポスドクの平均年齢は2021年度時点で男性37.5歳、女性38.9歳となっており、2015年度調査以降男女ともに上昇傾向が続いている。

    • 調査結果からは、ポスドクの高年齢化や低賃金労働等の実態等が明らかになった。また、男女別、分野別にみた場合の研究、雇用環境に顕著な違いが認められることも確認された。男女別、分野別等、属性による雇用、研究環境の違いが大きいとすれば、当然必要となる支援やサービスも属性の傾向に合わせた多様な種類が必要になる。こうした意味では、先に紹介したOECDやNPAといった機関が提案している、キャリアオプションの拡大や可視化、早期からの他業種との交流機会促進、政府も含めた研究者の安定的なセクター間モビリティーの推進といった多面的な取組も参考になるものと思われる。

    • 今後ポスドクを含む博士人材については、国際的な競争力確保の観点からも、より安定的な研究環境、雇用環境確保に向けてより具体的な支援が必要になるものと思われる。また、多様なキャリア選択という観点からは、博士課程のみならず、ポスドク職にある若手・中堅研究者に対しても、大学・企業での研究・教育・研修等の機会を創出し、研究者の知識や技術を拡大するための取組も重要になるだろう。

 
  • 10兆円規模のスタートアップ投資を生み出す「日本版イノベーションエコシステム」の未来 スクラムベンチャーズ/スクラムスタジオ 2024.09.13 10:30 Forbes JAPAN
    • 1990年代〜2010年代前半(イノベーションエコシステム1.0)

    • 2010年代後半〜2020年代初頭(イノベーションエコシステム2.0)

    • 2020年代〜(イノベーションエコシステム3.0)

    • 「イノベーションエコシステム3.0」時代のアプローチ

      • スクラムスタジオでは、包括的なアプローチを採っている。具体的には、まちづくりをテーマにしたSmartCityX」、ウェルビーイングの「Well-BeingX」、健康長寿の「AgeTechX」など、複数領域の事業共創プログラムを起ち上げ、さらに地域を絡めたイノベーション創出を支援している。

      • 地域の特性とグローバルな視点の組み合わせが独自の価値を生む

    • 「大企業とスタートアップ」「グローバルと地域」そして「人と技術」を結びつけるエコシステムは、これからの時代における新たなイノベーションの「源泉」となる。このイノベーションエコシステムを構築するためには、包括的なアプローチが必要だ。

 
  • 7割が「日本人はイノベーションに消極的」と回答 実際に8割が行動せず──G’s ACADEMY調査  2024/09/05 12:00 BizZine
    • デジタルハリウッドは、同社が運営する起業家・エンジニア養成スクール「G's ACADEMY」にて、全国18〜65歳の男女を対象に、「イノベーションと熱狂的なこだわりの関連性」に関する調査を実施した。

    •  なお、同調査におけるイノベーションの定義とは、所属している組織やコミュニティ(会社、学校、地域など)において、既存の課題から新たな価値を生み出し、大きな変化(変革・改革)をもたらすことを指す。

    • 日本人はイノベーションに消極的であるというイメージを持ち、実際に行動に移したことがある人も少ないことが明らかになった。

    • イノベーションがもたらす好影響について、理解できている人がまだ少ないことが推察される。

    • 日本企業に未だ多いレガシーシステムや固定概念が、イノベーションを阻害している要因となっていることがうかがえる。

  • 「日本のブレイクスルーと未来」、日・米・印を結ぶサイマ・ハサンに聞く 2024.09.03 13:30 Forbes JAPAN
    • ​サイマは米シリコンバレー発のベンチャーキャピタル(VC)、エボリューションの共同創業者で、インドで女性たちの就労訓練プログラムを提供する非営利団体ロシュニの創業者でもある。2024年にはシリコンバレー・ジャパン・プラットフォーム(SVJP)の共同議長に就任した。

    • 彼女は「日本がブレイクスルーのさなかにある」と断言する。

    • 日本企業はDXを進めるうえで2つの課題を抱えているという。1つはデータのクリーンアップや構造化、タグ付けなど、AIの活用に不可欠な作業を担うデジタル人材が圧倒的に不足していること。2つめは、シリコンバレー発のテック系スタートアップと連携したくてもインナーサークルにアクセスする手段がないことだった。加えて、仮に日本企業がシリコンバレー企業にアクセスできても、そこには文化や仕事の進め方の違い、言語の壁、そして製品のローカライズという3つの障壁があることもわかった。

    • 「多くのイノベーションを起こすには、異なる問いかけをする人たちの存在が不可欠です。多様性があるほど、偉大なことを成し遂げられる可能性は高くなります」

​【8月】
 
  • ノーベル賞で読み解く「創造の風土」 2024/08/29 11:02 読売クオータリー2024夏号 読売新聞オンライン
    • 日本は自然科学分野で25人のノーベル賞受賞者(外国籍を含む)を出している。東京大学出身者はそれほど多くなく、地方大学出身者も目立つ。

    • 硬直化した組織や、権威主義は創造性の芽を摘みかねない。最後の帝国大学の名古屋大学から、多くのノーベル賞受賞者が出ているのは象徴的だ。

    • 「自由闊達(かったつ)」「日本オリジナル」「もの作り精神」の3つの潮流が、名古屋大学のノーベル賞を生み出している。

    • 「大いなる田舎」とも揶揄される名古屋。ローカルでありながら、グローバルであることが創造力の源になっている。

  • テクノロジー、サステナビリティ、Well-beingの交差点 ~イノベーションの動向を掴む~ 「科学技術が駆動する地域イノベーション - 世界の事例から」 2024年8月23日 JST研究開発戦略センター(CRDS)STI基盤ユニット 澤田 朋子 国立研究開発法人科学技術振興機構 研究開発戦略センター
    • 政策文書のおけるイノベーションエコシステムの定義:絶え間なく自律的かつ連続的にイノベーションが創出される、生態系システムのような環境・状態のこと(文科省。・経産省の定義の統合)

    • 世界にある地域の課題

      • 地域の課題を研究&イノベーションで解決

      • 地域イノベーションエコシステム

    • 地域イノベーション活性化の取り組み事例

      • 事例① EU ミッション志向型政策と地域イノベーション戦略の構築 S3

      • 事例② 米 地域特性に合わせたエコシステム NSF地域イノベーションエンジン

      • 事例③ 独 持続性ある地域中核拠点の整備

    • 持続性ある地域イノベーションエコシステムを目指して
       

  • 「デザイン思考」の、その先へ 制御不能な世界のなかで「デザイン」はますます重要になる 2024.8.14 COURRiER
    • ​イノベーションの源泉として注目を集めた「デザイン思考」。ところがここ数年、人工知能の発達などで、あえて人間がデザインをおこなうことの意義が問われている。デザイン思考の牙城、スタンフォード大学デザインスクール(d.school)の2人のディレクターが、その問いに正面から向き合う新著を出版した。デザインが持つ「世界をよりよい場所に変える力」とは何なのか。米メディア「ファストカンパニー」が2人に聞いた。

    • デザインは世界をよりよい場所に変える力を秘めている。デザインはまず固体として始まります。次は液体の段階です。ここではより具体的に、そのデザインがどんな経験を生み出し、どんなサービスに利用されるかを考えていきます。デザインとは商品そのものだけでなく、その周囲のものにも関係してくるのです。

    • デザインはデザインそのものだけでなく、デザインがもたらすサービス、経験、影響、システムすべてを指します。人々がデザインに求める役割は長い年月を経て、こうして広がってきたのです。

    • デザインとはデータであり、テクノロジーであり、商品であり、経験であり、システムなのです。

 
  • 技術開発の“後発組”中国は、なぜ巨大イノベーションの波を起こすことができたのか? 科学技 術大国だった旧ソ連を苦しめた「発明」と「イノベーション」のジレンマとは バーツラフ シュミル ,栗木 さつき  2024.8.7 Japan Innovation Revier
    • いくら発明があろうと、それにふさわしいイノベーションをともなわない例も多く、その不協和音が大きい最たる例が旧ソビエト連邦だろう。

    • ソ連のイノベーションの失敗とは対照的に、中国の1990年以降の経済発展は多種多様な国外の発明を迅速に模倣し、イノベーションを大規模に実現させた最新の例であり、歴史的にも類を見ない。

    • 数千もの外国企業が中国に進出したが、たいてい合弁事業の形をとらざるをえなかった。そのため、すべてのノウハウを中国と共有することになり、中国側はリバースエンジニアリング〔訳注:分解や解析などを通じて製品の構造を理解し、情報を入手すること〕の機会を得た。こうして中国は後発組であったにもかかわらず、国外の完成した発明品を利用して巨大なイノベーションの波を起こし、その波に乗ったのである。

    • 産業革命の時代でさえ、18世紀にはそれほど発明は多くなかったし、技術もゆるやかに進歩したにすぎなかったが、19世紀に入ると画期的な発明の数々が次から次へと誕生し、大きな成果をあげはじめた。さらに20世紀になってからの進歩は、それ以上に目覚ましいといえるだろう。20世紀に入ると、なにをもってしてもイノベーションの加速化を止めることはできず、工業化・産業化した世界の大半で急成長が起こったのだ。

 
  • 誰がためにイノベーションはあるのか? クレイトン M. クリステンセン「第3の解」連載⑤ 翻訳|岩崎卓也(ダイヤモンドクォータリー編集部 論説委員) 2024.8.5 5:00 DIAMOND online    
    •  「未来を予測する最良の方法はみずから未来を創造すること」これは「パソコンの父」と呼ばれるアラン・ケイの言葉である。

    • インターネットの黎明期には、ワールドワイドウェブの本質を理解することも、そこから膨大な経済的価値が創出されることもとうてい信じられない、という懐疑論者が大勢いた。ブロックチェーン技術も同様の状況にあるが、インターネットと同じく、世界や世界経済との関わり方を根底から変えてしまうだろう。

    • 何より重要なイノベーションは、すでに十分なサービスを享受している人たちにわずかな改善をもたらすものではなく、ともすると排除されてしまう大多数の人たちに新しい可能性を開くものである。そして素晴らしい発見とは、そのイノベーションが正しく適用されることで、全人類がより健康的な生活、より大きな自由、みずからを定義する機会を拡大するものである。

    • 既存のプラットフォームを基盤とするビジネスモデルは、中央が情報を所有し、中央に価値を誘導するものだが、かたやブロックチェーンを基盤とするビジネスモデルは、分散して情報を所有し、顧客や市民たちのいる周縁へと価値を誘導する構造になっている。つまりブロックチェーンは、市場創造イノベーションと制度の進歩を実質的に関連付ける。

    • ブロックチェーンを基盤としたビジネスモデルは、「自分は何者なのか」は仕事によって、また「自分は裕福かどうか」は資産によって定義されるという20世紀の考え方がもはや時代遅れであることを突き付ける。翻せば、おのれのアイデンティティは再び人間関係によって形づくられ、富は能力によって定義されるという、新たな世界を受け入れる必要がある。

    • そして進歩への道は、これまで通り、制度設計やアイデアではなく、市場創造イノベーションによって拓かれる。

【7月】
  • 将来像 「自然共生経済」 2024年7月  NEDOイノベーション戦略センター(TSC)
    • ​社会問題を解決し持続可能な社会を実現するために、カーボンニュートラルやサーキュラーエコノミーの実現に向けた動きが活発化していることに加え、近年では、ネイチャーポジティブの実現に向けた動きも注目を浴びている。

    • カーボンニュートラル、サーキュラーエコノミー、ネイチャーポジティブの実現に向けた取組は、互いにシナジーやトレードオフの関係を有するため、相互の影響を考慮して取り組むことが必要である。

    • 本レポートでは、社会問題の解決に向けて、「産業」や「市民/消費者」と「自然」が互いに補完し合い、それらの価値の総和を高め、社会問題の解決と持続的な経済発展を実現する循環型経済を、将来像「自然共生経済」として提案する。

    • 将来像実現のためのアクションを実行するに当たっては、負担するコストと得られる価値のギャップ(コストギャップ)の課題があるため、それらのアクションに必要なコストを削減するとともに、コストギャップを埋めるための原資を調達すべく、製品やサービスの価値を向上させることが必要である。そのためには、これらの環境価値等を明確化して経済価値化することを通じた新しい価値の創出や価値の向上が有効な方策となり得る。環境価値を明確化して経済価値化するためには、カーボンニュートラル、サーキュラーエコノミー、ネイチャーポジティブの実現に向けた、アウトプットの可視化/指標化が必要である。

  • 「桁違いの成長」を生むイノベーションの起こし方 未来をつくる共創とテクノロジー活用のカギ SAPジャパン 制作:東洋経済ブランドスタジオ 2024/07/26 東京経済ONLINE
    • ​市場や社会、テクノロジーの急速な変化に対応し、企業が成長を続けるためには、イノベーションによる新たな価値の創造が重要になる。その取り組みには経営の関与が欠かせない。現場の「たくみ(匠)」任せにせず、「しくみ(仕組み)」によってイノベーションを起こすために必要な考え方やテクノロジーの活用法とは。

    • 「イノベーションは現場からしか起こらない」としたうえで、現場で起こったイノベーションを桁違いにスケールさせるには、『異質な』インクルージョンをどこまでできるかがカギになります」(名和氏)

    • 社内の多様な「たくみ」の力を取りまとめ、「しくみ」に落としていくことでようやくスケールできる。

    • 「0から1というのは一つの新しい可能性を見つけただけであって、スケールしなければ本当のイノベーションにはなりません。1から10、10から100へとスケールし、マーケットを創造するのがイノベーションです」

 
  • サーキュラーエコノミーで社会変革 「環境負荷低減」「経済合理性」を両立 2024年07月23日 リコー経済社会研究所
    • ​サーキュラーエコノミーは、日本政府が推進してきた「循環型社会」と言葉が似ていることもあり、議論の中心はリサイクルに関する話題となることが多い。

    • しかし本来のサーキュラーエコノミーは、欧州を中心に提唱されている新しい考え方だ。従来の大量生産・大量消費・大量廃棄を前提とした一方向に進むリニアエコノミー(線形経済)を見直し、製造・販売・利用などさまざまな段階で資源の効率的・循環的な利用を図りながら付加価値を最大化する。単なる環境規制や環境政策とは異なる。これまでの経済活動を転換し、大きく社会システムを変えて持続可能な経済活動への移行を目指している。

    • サーキュラーエコノミーでは、同じような便益を享受するために社会の仕組みを変えることが前提となる。「環境負荷の低減」と「経済合理性(利潤の追求)」をいかに両立するか。このコンセプトに基づいて製品(モノ)とサービス(コト)を準備して、その準備したモノ・コトに適したビジネスモデルを立ち上げ、経済活動を変革していく。

    • 具体的には、製品の設計段階で長期使用を視野に入れ、修理を前提に分解しやすい構造にしたり、交換しやすい構造にしたりする。初めから修理することが前提のモノづくりと、修理を受けやすくするサービスの仕組みを提供する。環境政策の一つではあるが、地球温暖化対策や生物多様性への対応とは異なり、目標値ではなく、その概念や具体的なアプローチの方法を示すことで説明するケースが多い。

    • 仏大手タイヤメーカーのミシュラン。同社は運送会社向けに、従来のタイヤを売り切るビジネスを取りやめ、走行距離に応じてタイヤの利用料を受け取るビジネスモデルを展開。利用者の走行距離の算出やタイヤ状態を検知するセンシングやIoT(モノのインターネット)を駆使し、タイヤを「使い捨て」するのではなく、摩耗具合に応じて例えば再び溝を掘ったり、ゴムを張り替えたりする。メンテナンスにより、使い続けるサービスを提供している。
      サーキュラーエコノミーを具体的に運用するサービスの仕組みと合わせて検討し、持続可能な経済活動をどう作っていくのかが、企業に問われている。モノづくりとビジネスモデルの統合をいち早く検討し実践した企業が、次の時代の勝者となる日もそれほど遠くないはずだ。

    • 日本でも導入に向けた動きが活発化してきている。2023年3月に策定した「成長志向型の資源自律経済戦略」に基づき、サーキュラーエコノミーの実現を目指して産官学の連携を促進、協議する場として「サーキュラーパートナーズ(CPs)」が設立され、同年12月に第1回の総会を開いた。300を超える企業や各種団体、研究機関が参加し、以降さまざまな議論がなされている。 

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  • 第248回「社会変革を促進する総合知」 2024年7月12日 JST研究開発センター
    • 人工知能(AI)など新興技術の急速な発展に伴い、科学技術と人・社会の関係がより複雑化し、科学技術・イノベーションのあり方も変化している。専門分野を超えた「学際融合」と、産業界・市民などの参画による「共創」も不可欠になってきた。

    • 日本ではこの多様な知の融合を「総合知」と名付け、あらゆる分野の知を活用し、複雑な社会課題に的確に対応していくことを目的に、第6期科学技術・イノベーション基本計画(2021-25年)で重要な政策課題として位置付けた。

    • 総合知に類する各国事例の共通点は、研究・実践・教育の一体的な取り組みと、政策やファイナンスなどにおける既存の枠組みを変革することへの挑戦だ。

【6月】
  • 「イノベーションと競争政策に関する検討会」最終報告書について 令和6年6月28日 公正取引委員会
    • ​持続的な経済成長や現在の経済環境(デジタル経済の進展、ビジネスのプラットフォーム化・エコシステム化に伴う市場の独占・寡占化やその固定化・拡張)に鑑みると、イノベーションを促進し得る競争環境の確保は競争政策における重要かつ現代的課題。

    • 競争政策の文脈において、イノベーションの実態に係るより深い理解や知見を得るため、有識者検討会を開催し、企業行動等がイノベーションに与える影響メカニズムや、独占禁止法におけるイノベーションの競争への影響の評価に係る考え方等について整理・検討。

  • イノベーション小委員会の中間とりまとめ 2024年6月21日 経済産業省
    • ​(1)スタートアップ・大企業の強みを活かした研究開発投資の促進

    • (2)イノベーション資源(人材・技術・設備等)の流動化による事業化・付加価値創出の促進

    • (3)需要創造まで見据えて国が産業化に向けた新たなモメンタムをつくるべきフロンティア領域の探索・重点支援

  • 総合科学技術・イノベーション会議(第73回)資料 令和6年6月3日(月)内閣府
    • 統合イノベーション戦略2024(案)(概要)

    • 諮問第41号「統合イノベーション戦略2024について」に対する答申(案)
    • <3つの強化方策と3つの基軸>

      • 3つの強化方策として、「重要技術に関する統合的な戦略」、「グローバルな視点での連携強化」、「AI分野の競争力強化と安全・安心の確保」を推進していく。

      •  併せて、従来からの3つの基軸である「先端科学技術の戦略的な推進」、「知の基盤(研究力)と人材育成の強化」、「イノベーション・エコシステムの形成」について、引き続き着実に政策を推進していく。

【5月】
 

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