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参考情報 [2020年5月~7月末]
 
  • 新型コロナ マスク着用による感染予防の最新エビデンス 忽那賢志 感染症専門医 7/23(木) 11:49 Yahoo!ニュース
    • 新型コロナウイルス感染症では、発症前に感染性のピークがあり、発症前の無症状の時期から周囲にうつしているというデータが集積してきました。
      • これがほとんど無視できる量であれば良いのですが、新型コロナの感染伝播の総量を100とすると、この発症前の無症状者からの伝播が45%、そして無症状のまま経過する無症候性感染者からの伝播が5%ということで、合計50%は無症状者からの伝播であることが分かっています。
    • 「咳で発生する飛沫の量と会話で発生する飛沫の量は大きくは変わらない」とする研究もあり、これらのことから症状がなくても会話などで新型コロナが伝播する可能性が示唆されます。
    • これらの知見に基づき、現在WHO(世界保健機関)は「流行地では無症状者も公共交通機関利用時などではマスク着用」を推奨しています。日本でもご存知の通り5月4日から「新しい生活様式」として屋内では無症状者もマスクを着用することが推奨されています。
      • こうした「無症状の人も含めてマスクを着用する」という考え方をユニバーサルマスク(Universal Masking)と言います。
    • 中国の北京で124家族335人を対象としたコホート研究をご紹介します。
      • 家族内で1人感染者が出た場合に、他の家族に感染が起こった事例は22.3%でした。4つの家族に1つは家族内感染が起こっていることになります。
      • しかし、新型コロナを発症した人が、症状が出る前からマスクを着けていた場合は、家族への感染を79%減らしました (OR=0.21, 95% CI 0.06 to 0.79)。しかし、発症後にマスクを着けても家族への感染は減らさなかったそうです。
    • ちなみにマスク着用が推奨されるのはいまのところ換気が不十分となりやすい屋内や混雑した交通機関内のみであり、人との距離が十分に保たれている場合は屋外でのマスク着用は推奨されていません。
    • 日本小児科医会は窒息や熱中症のリスクが高くなるとして2歳未満の子どものマスク使用は不要でありむしろ危険という声明を発表しています。2歳未満でなくとも小さいお子さんや心肺機能が低下した方のマスク着用には十分注意しましょう。
 
  • 抗炎症薬デキサメタゾン、国内2例目のコロナ治療薬に 2020/7/21 21:30 (2020/7/22 5:38更新) 日本経済新聞
    • 厚生労働省は抗炎症薬「デキサメタゾン」を新型コロナウイルス感染症の治療薬として認定した。すでに広く使われている医薬品で、英国でコロナの重症患者の死亡率を下げる研究結果が出ていた。5月に特例で承認した「レムデシビル」に続き、国内で2例目の正式なコロナ治療薬となる。
    • デキサメタゾンは様々な疾患に利用されるステロイド薬で、国内では肺疾患や感染症などで効果が認められている。すでに保険適用され日医工などが後発薬を製造しており、低価格で手に入りやすい。
 
  • WHOが「3密」=「3C」回避を呼びかけ 新型コロナ 令和2年7月19日 1時54分 TBS News
    • WHO=世界保健機関は、新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐため、日本で提唱されてきた「3つの密」=「3密」の英語訳にあたる「3つのC」を避けよう、とのメッセージをSNSに投稿しました。
      • ​Crowded places     密集した場所
      • Close-contact settings   人と密接する場面
      • Confined and enclosed spaces   密閉され、閉ざされた空間
    • この「3つのC」は、日本が感染予防のために回避するよう提唱してきた標語「3密」の英訳にあたり、WHOは、この有効性を認め、さらなる感染拡大の防止を呼びかけた形です。
  • 新型コロナウイルス 治療薬・ワクチンの開発動向まとめ【COVID-19】(7月17日UPDATE) 2020/07/17 AnswersNews (公開:2020年2月28日/最終更新:2020年7月17日)(前田雄樹)
    • 治療薬​
      • 開発中のCOVID-19治療薬は、ウイルスの増殖を抑える抗ウイルス薬と、重症化によって生じる「サイトカインストーム」や「急性呼吸窮迫症候群(ARDS)」を改善する薬剤に分けられます。いずれも既存薬を転用するアプローチが先行していますが、COVID-19向けに新たな薬剤を開発する動きもあります。
      • このうちレムデシビルは、5月7日に日本で新型コロナウイルス感染症治療薬として承認(製品名・ベクルリー)。米国ではFDA(食品医薬品局)が同月1日に緊急使用許可を出しました。
    • ワクチン
      • WHOの7月15日時点のまとめによると、現在、臨床試験に入っているCOVID-19ワクチン候補は23種類。このほかに140種類が前臨床の段階にあります。
      • 開発が先行しているのは、英オックスフォード大と英アストラゼネカのアデノウイルスベクターワクチン「ChAdOx1-S/AZD1222」と、米モデルナのmRNAワクチン「mRNA-1237」。ChAdOx1-S/AZD1222はP3試験に入っており、mRNA-1237も7月27日からP3試験に入ります。アストラゼネカはChAdOx1-S/AZD1222の米国での開発で米IQVIAと提携。バーチャルトライアルを活用し、開発を急ぎます。
      • 国内では、大阪大とアンジェスが共同開発するDNAワクチン「AG0301-COVID19」が、6月30日にP1/2試験を開始しました。対象は20~65歳の健康成人で、目標症例数は30例(低用量群15例、高用量群15例)。アジュバントを含む同ワクチンを2週間間隔で2回、筋肉内注射し、安全性と免疫原性を評価します。
      • 日本政府は、オックスフォード大とアストラゼネカが開発しているワクチンの日本への供給に向け、同社と具体的な協議を進めることで合意。第一三共、MeijiSeikaファルマ、KMバイオロジクスの3社と協力し、海外から供給される原液を国内で製剤化する方向で検討が進められています。

 

  • COVID-19の急速な感染拡大に寄与したと考えられる「表に出ない感染」 Nature Japan  2020年7月16日
    • このほど行われたモデル研究により、中国の武漢で2020年1〜3月に発生したCOVID-19症例の最大87%が未発見症例だった可能性が明らかになった。この新知見は、米国とヨーロッパにおける最近の血清学的研究の結果とも整合している。
    • 未発見感染(あるいは未確認感染)には、無症状の患者、症状発現前の患者や症状が軽度の患者が含まれていた可能性があり、COVID-19の急速な感染拡大に大きな役割を果たした可能性が非常に高い。また、制限の解除が早過ぎれば、感染症の再燃につながる可能性があった。こうした研究結果を報告する論文が、Natureに掲載される。
 
  • イタリアのコロナ入院患者、発症から2カ月後も8割近くに後遺症 Victoria Forster , CONTRIBUTOR 2020/07/13 16:30 Forbes JAPAN
    • 米国医師会が発行する医学誌「Journal of the American Medical Association」に先ごろ掲載された研究結果は、イタリア・ローマにあるジェメッリ大学病院の医師らが新型コロナウイルス感染症(COVID-19)で入院し、回復後に退院した患者を対象に行った調査に基づくもの。治療後の検査で陰性となったことが確認され、退院した患者のうち143人から情報を収集した。
    • 調査対象者の入院期間は平均2週間で、このうち28人が侵襲的陽圧換気法(気管挿管や気管切開を行って気道を確保し、人工呼吸管理を行う)、または非侵襲的陽圧換気法の処置を受けていた。
      退院が可能と判断された時点で、これらの患者には発熱も、COVID-19が原因とみられる(急性疾患の)症状もなかった。ただ、半数以上が「倦怠感がある」、43%が「息切れがする」と訴えていた。また、ほぼ3分の1に「関節の痛み」、22%に「胸の痛み」があったという。
    • 発症から2カ月後の時点で、感染に関連しているとみられる症状がまったくなくなっていたのは、患者のわずか13%だったという。半数以上の人には、3種類以上の症状がみられた。さらに、これらの人たちに「生活の質」の変化について尋ねたところ、44%が「以前より悪くなった」と答えていた。
    • COVID-19の患者からSARS-CoV2が検出されなくなった後も、長期にわたってその人に後遺症が残る場合があることはすでに確認されており、今回の研究結果は、それを裏付ける新たな証拠といえる。
      数多くの医師たちが、COVID-19の患者の一部にこうした影響が出ていることについて、警告を発している。そして、SARS-CoV2がもたらす影響については今後、急性・慢性のどちらの症状についても、より詳しく研究する必要があると訴えている。
  • ノーベル賞学者の警告 東京五輪までに「ワクチン」はできない|本庶佑 文藝春秋digital 2020/07/11 08:00
    • 大な期待と理解不足
      • 日本の政治家や行政を見る限り、生命科学や医学に対する過大な期待と理解不足があるような気がしてならないのです。
    • 変異と副作用が問題
      • コロナとの闘いを勝利に導くには、「予防」「治療」「診断」の3つの対策を立て直さなければなりません。
      • まず私が警鐘を鳴らしたいのは、予防に関して「ワクチン」への過度な期待は禁物だということです。
      • 新型コロナウイルスはインフルエンザウイルスやHIVウイルスと同じように、「DNA」ではなく、「RNA」を遺伝子に持つウイルスです。このRNAウイルスの場合、効果的なワクチンを作るのは難しいことが知られています。
      • 二重らせんという安定的な構造を持つDNAに対し、一重らせんのRNAは、その構造が不安定で、遺伝子が変異しやすい。遺伝子が変異してしまうと、ワクチンが効きにくくなったり、まったく効かなくなったりするのです。もう一つ、ワクチンには「副作用」という大きな問題があります。
      • ワクチンの有効性を評価するには、数千人健常な人を集め、打ったグループと打たなかったグループ、双方の感染率を比べなければいけません。しかし、この比較試験を感染が抑えられている今の日本でやるのは非常に難しいと思います。
    • ワクチンより治療薬を
      • 私は、当面ワクチン開発よりも、「治療薬」のほうに期待すべきだと考えています。
      • 治療薬の投与にあたっては、新型コロナに「潜伏期」「初期段階」「重症期」の3つのステージがあることを踏まえるべきです。ステージによって使うべき薬剤は変えたほうが効果が上がるかもしれません。
    • なぜ日本人の死者が少ないか
      • 私は、人種によって異なる「免疫力」の差ではないか、と見ています。
    • 空港の検疫強化を急げ
    • 国産のPCR試薬が必要だ
    • 設計通りにいかない生命科学
    • 裁判で1000憶円を得たら
    • 政治や行政の覚悟が問われる
  • WHO、空中浮遊する粒子からの感染あり得ると認める 新型ウイルス 2020年07月8日 BBC NEWS Japan
    • 世界保健機関(WHO)は7日、新型コロナウイルスについて、空中に浮遊する極小の粒子で感染する可能性を示す科学的証拠が蓄積されつつあると認めた。
      • 密閉空間や換気が不十分な混雑した場所では、空気感染の可能性が排除できないと、WHOで感染予防・対策技術チームを率いるベネデッタ・アッレグランツィさんは話した。
      • WHOは従来、ウイルスは感染者のくしゃみやせきで飛び散る飛沫(ひまつ)で伝播(でんぱ)すると説明していた。
    • これまでに科学者239人が公開書簡で、WHOが空気感染リスクを過小評価していると批判していた。
      32カ国の科学者239人はこれに賛成しない。新型ウイルスは飛沫よりはるかに小さい粒子に含まれ、人が会話をしたり息を吐いたりした何時間も後まで空中を浮遊し、広がる可能性を強力に示すエビデンスが得られているというのだ。WHOは今日、密閉空間や混雑した場所ではそれは可能だと示唆するエビデンスがあると、認めるに至った。
 
  • 動物由来の感染症、今後も増え続ける恐れ=国連報告書  2020年 7月 7日 BBC NEWS JAPAN 
    • 国連の専門家たちは、COVID-19などの感染症の増加は、動物性たんぱく質の需要の高まりや、持続不可能な農業慣行、気候変動によるものだとしている。
    • 軽視された人獣共通感染症によって年間200万人の命が奪われているという。
    • COVID-19による世界経済の損失は、今後2年間で9兆ドル(約966兆円)に上るとされる。
    • エボラ出血熱やウエストナイル熱、重症急性呼吸器症候群(SARS)も全て人獣共通感染症だ。
  • 人類が6万年前にネアンデルタール人から受け継いだDNAが「新型コロナウイルス感染症の重症化」と関連しているという可能性 - GIGAZINE 2020年07月06日 12時55分
    • ​人類は2万~4万年前に絶滅したとされるネアンデルタール人と交雑し、そのDNAを受け継いできたことが知られています。新型コロナウイルス(COVID-19)に関する研究により、現生人類が持つネアンデルタール人のDNAが「COVID-19の重症化と深い関わりがあった」ことが新たに示唆されました。
    • 今回、ネアンデルタール人のDNAがCOVID-19の重症化を招いている可能性があることを突き止めたのは、スウェーデンにあるカロリンスカ研究所の神経学者であるHugo Zeberg氏らの研究チームです。
    • 「第3染色体の遺伝子の一部がCOVID-19の重症化と関係している」ことが確認されました。
    • アフリカに住む人は全くCOVID-19の重症化に関するネアンデルタール人のDNAを持たない一方で、ヨーロッパに住む人の約8%、南アジアに住む人の約30%がこのDNAを持っていたとのこと。
      • 南アジアの中でも、最も極端にDNAの保有率が高いのがバングラデシュで、人口全体の約63%がこのDNAを保有していました。実際に、イギリスではバングラデシュ出身者が特にCOVID-19で死亡する確率が高いことが分かっています。
    • Zeberg氏はニューヨーク・タイムズの取材に対し「ネアンデルタール人のDNAがCOVID-19の重症化と強く関係している理由はまだ未解決ですが、人類の進化の歴史を明らかにすることができれば、COVID-19のパンデミックがこれほど危険なものとなった理由も解明できるかもしれません」とコメントしました。
  • 【特別寄稿】「8割おじさん」の数理モデルとその根拠──西浦博・北大教授 THE NUMBERS BEHIND CORONAVIRUS MODELING 2020年6月11日(木)17時00分 西浦博(北海道大学大学院医学研究院教授) Newsweek  
    • 第2波のリスクに対峙するに当たっては、被害の想定と取るべき対策をめぐるコミュニケーションについての問題点を改めないといけないと考える。それは、4月15日の記者会見で筆者が話した「何も流行対策を施さなければ、日本で約85万人が新型コロナウイルスで重症化し、その約半数が死亡する」という試算(モデル)が、「42万人の死亡の想定」というメッセージとしてクローズアップされ、前提条件やメッセージの真意から外れて数字が独り歩きしてしまったことを振り返り、強く思うことだ。
    • 死亡者数の被害想定は、あくまで「流行対策をしない」という仮定の下で計算されているので、実際に観察されたのがそれを下回る700人台(5月中旬時点)の死亡者数であると、「モデルが間違っていた。自粛なんてする必要がない」というような誤解も生じかねない。大規模な流行が防がれたことによって感染者数の爆発的な増加が防がれたわけであり、流行が拡大すると今度は制御が困難になり得ることは改めて覚えておかないといけないと思う。
    • 「日本で用いた年齢構造化モデル」「集団免疫を達成する条件」「集団免疫閾値の新たな知見」​​
      • 上記については、抜粋では誤解を招くので原文を参照されたし。
    • 「第2波」に向けての課題:死亡の被害想定のような、社会に大きな影響力を持つ数字は、やはり諸外国のように政府機関の代表者(首相や厚労相、少なくとも科学顧問の役割を担う方)に発表していただく必要がある。
  • 最短40分でPCR検査法と同等の検出感度、東大が新型コロナ診断法を開発 宮永 龍樹POSTED ON 2020年6月8日 NEWS SALT
    • 東京大学医科学研究所は3日、最短40分で試験紙による正確な診断ができる新型コロナウイルスの迅速診断法を開発したと発表した。国産ゲノム編集技術CRISPR-Cas3を用いてウイルスのRNAを検出する新しい手法を用いることによって、PCR検査法とほぼ同等の高い検出感度を可能にしたという。この内容は査読前の医学系論文を公開しているメドアーカイブに掲載された。

    • 今後はキット化し、医療現場で簡易的に使用できる新型コロナウイルス診断薬として早急に実用化することを目指すという。

  • 新型コロナウイルス感染症対策専門家会議 「新型コロナウイルス感染症対策の状況分析・提言」(令和 2 年 5 月 29 日) 内閣官房
    • 1.はじめに

    • 2.感染状況等の評価について

      • (1)感染状況(疫学的状況) (2)医療提供体制

    • 3.新規感染者数・死亡者数のこれまでの推移等に関する現段階の評価について

      • (1)新規感染者数・死亡者数の推移について (2)緊急事態宣言の効果について (3)見えてきた課題

    • 4.今後の政策のあり方~次なる波に備えた安全・安心のためのビジョン~

      • (1)次なる波に備えた「検査体制」の更なる強化について (2)次なる波に備えた「医療提供体制」の更なる強化について ・平時の医療提供体制との切替えについて (3)次なる波に備えた「保健所機能」・「サーベイランス」・「感染予防対策」の 更なる強化について (4)治療法・治療薬の確立、ワクチン等の開発の促進について (5)感染時の重症化リスクの高い集団等に対する感染予防対策について ①院内感染対策について ②高齢者・障害者施設等における施設内感染対策について ③クラスター感染が生じた場における感染予防対策について (6)水際対策の見直しの方向性について

    • 5.緊急事態宣言解除後における市民生活・事業活動の段階的な移行について

      • (1)市民生活における留意事項 ・「3密」の回避、基本的感染症対策、「新しい生活様式」の実践 等 (2)事業活動における留意事項 ・業種ごとの感染拡大予防ガイドラインの遵守 等

    • 6.都道府県等の対応について ・次なる波に備えた体制整備のためのチェックリスト

    • 7.おわりに

    • 補論 我が国のクラスター対策について

    • (別添1)感染の状況、医療提供体制、検査体制の構築

    • (別添2)都道府県等における取組について(事務局提示資料)

  • 新型コロナ患者の「奇妙な症状」、各専門医が解説 心筋炎、大量の血栓、発疹、脳疾患、川崎病のような症状ほか NATINAL GEOGRAPHIC 2020.05.26
    • 感染症はあの手この手で体に深刻なダメージを与えるが、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)は、そのほとんどを引き起こしているかのようだ。このウイルス(SARS-CoV-2)はまず肺を攻撃して肺炎や呼吸不全を引き起こし、その約5人に1人が多臓器不全に陥る。
    • 新型コロナウイルス感染症のパンデミック(世界的大流行)が続く中、多数の微小血栓や、若者の脳卒中、さらには、「コロナのつま先」と呼ばれる謎の炎症反応や子どもの全身の発疹など、新型コロナウイルスに感染した人の珍しい症状が報告されるようになっている。
    • 体は一人一人違うので、ウイルスに感染する人が何百万人もいれば、奇妙な症状が出てくるのは不思議ではない。では、患者の体では何が起こっているのだろうか? それはどのくらいの頻度で起こるのだろうか?これらの珍しい症状について現時点でわかっていることと、治療に向けて解明しなければならないことをまとめる。

  • 見た目と実際~新型コロナウイルス感染データの見方 NTTデータ経営研究所 取締役会長 宮野谷 篤 2020年5月21日
    • 本稿では、統計の見方、見せ方という観点から、東京都の新型コロナウイルス感染関連データを分析した。上述のとおり、都の新規感染者数は減少トレンドにあるほか、一時逼迫していた病床使用率もかなり改善してきている。また、本稿執筆の過程でも、都のコロナ関連統計は日を追って充実してきており、多角的な観点からデータ分析やモニタリングが可能となりつつある。自粛緩和に向けた条件は整いつつあると考えられる。現在の改善状況が定着すれば、今後は東京都を含め、感染抑制と経済社会活動維持のバランスをとるフェーズに移行していく。
    • しかし、ウイルスが根絶されるわけではないので、二次、三次の感染拡大も起こりえる。コロナ対応は長期戦が不可避であり、自粛緩和と再要請が繰り返されることを想定しておく必要がある。自粛緩和や再要請について、住民や企業等が予見可能性を持てるようにし、コロナとの長期戦に適した合理的な行動変容を促すためにも、客観的でわかりやすい自粛要請・緩和基準の設定と事前周知が望まれる。
    • わが国の感染対策は、欧米のように自粛に強制力を伴うものではないが、私は、わが国の一般的な医療・衛生水準も、国民の理解力やモラルも高いと思う。政府や地方自治体等による適切な情報開示と説明は、感染対策と経済活動維持の両面で、「国民の自発的行動に基づく日本モデル」を成功に導く鍵となる。

  • 発話の飛沫、空気中に最長14分残存 マスクの効用裏書き Alice G. Walton , CONTRIBUTOR 2020/05/20 07:00 Forbes
    • 発話による飛沫は閉ざされた場所では空気中に8〜14分とどまるとの研究結果を、米国立衛生研究所(NIH)とペンシルベニア大学のチームが発表した。
    • 「閉鎖された環境では普通に話すだけでも、空気中のウイルスによる感染を引き起こす可能性が十分あることが確認された」としている。
    • つまり、わたしたちが全員マスクを着用すれば、お互いを守り合える、ということだ。これは疫学的に賢明なメッセージであるばかりか、社会的にも素晴らしいメッセージだと思う。
    • 今回の研究は、このところ大きな疑問となっていた現象の説明にも役立ちそうだ。それは、自宅待機命令が2カ月にわたって出されているにもかかわらず、感染中心地で感染者数の上昇曲線がなだらかになるペースが比較的遅いのはなぜか、というものだ。ニューヨーク州による最近の調査でも、低度の感染拡大が長引いているのはファーストレスポンダーやエッセンシャルワーカーの間ではなく、自宅にとどまっているとされる人の間だということが示唆されている。
 

  • 日本のコロナ死亡者が欧米より少ない理由、高齢者施設クラスターの実態 真野俊樹:中央大学大学院戦略経営研究科教授、医師DOL特別レポート 2020.5.13 5:20 DAIMOND online

    • 米国では、高齢者施設がクラスター化している例の報告が多い。英国では、毎日発表している死者の集計方法を4月末に変更し、高齢者施設などで亡くなった人の数も含めるようにした結果、死亡者数が急増した。

    • 福祉国家として多額の介護費用を投入し、施設数も多く、さらに介護者数が多い北欧諸国でも、高齢者施設での死亡者が多い。一方、欧州で対応がよかったとされるドイツでは高齢者施設の死亡は相対的に少ない。これは、医療のキャパシティーと異なり、介護のキャパシティーが大きいことと、感染による死亡者数が無関係であることを示す。

    • 海外に比べ、日本は病院以外の高齢者施設が少ない。世界一高齢者の比率が高い国でなぜこれが成り立っていたかというと、病院に高齢者が入院していたからである。すなわち、病院が高齢者施設の代わりをしているのは「日本の特殊性」ということになる。

    • 変化が起きたのは2000年に介護保険が施行されてからであるが、一気に高齢者施設数が増えたわけではないし、導入当初は介護と医療は分断していたが、近年では「医療介護連携」が叫ばれ、医療と介護の連続性が比較的保たれている。

    • そして、新型コロナウイルス感染においては、それが幸いした。おそらく日本の高齢者施設に新型コロナのクラスター感染が少なく、死亡者数が少ない理由は、介護施設従事者が必ずしも得意ではない感染管理に対して、医療従事者からのアドバイスがあったことが大きいのではなかろうか。

 
  • 日本においてPCR等検査能力が早期に拡充されなかった理由(考察) 新型コロナウイルス感染症対策の 状況分析・提言(2020/5/4) 新型コロナウイルス感染症対策専門家会議
    • 日本においてPCR等検査能力が早期に拡充 されなかった理由(考察)
      •  日本でPCR等検査の能力が早期に拡充されなかった理由
        • ▶制度的に、地方衛生研究所は行政検査が主体。新しい病原体について大量に検査を行うこと を想定した体制は整備されていない。
        • ▶その上で、過去のSARSやMERSなどは、国内で多数の患者が発生せず。 日本でPCR等検査能力の拡充を求める議論が起こらなかった。
        • そのような中で、今回の新型コロナウイルスが発生し、重症例などの診断のために検査を 優先させざるを得ない状況にあった。
        • ▶ 専門家会議提言等も受け、PCR検査の民間活用や保険適用などの取組を講じたが、拡充が すぐには進まなかった。
      • PCR等検査件数がなかなか増加しなかった原因
        • ① 帰国者・接触者相談センター機能を担っていた保健所の業務過多、
        • ② 入院先を確保するための仕組みが十分機能していない地域もあったこと、
        • ③ 地衛研は、限られたリソースのなかで通常の検査業務も並行して実施する必要があること、
        • ④ 検体採取者及び検査実施者のマスクや防護服などの感染防護具等の圧倒的な不足、
        • ⑤ 保険適用後、一般の医療機関は都道府県との契約がなければPCR等検査を行うことができ なかったこと、
        • ⑥ 民間検査会社等に検体を運ぶための特殊な輸送器材が必要だったこと
  • Tackling coronavirus (COVID‑19)  Contributing to a global effort COVID-19  検査:外出制限措置を解除するために OECD 2020年5月4日更新
    • 重要なことは、感染を早急に抑えるには、より多くの人々に対して検査を行い感染者を特定すること、感染が拡大しないように感染者を追跡すること、感染者が誰と接触したかを追跡することである。
    • 本報告書では、下記の3つの目標を達成するために検査戦略をどのように用いるかを論じている。
      1. 地域の感染再発を抑制する
      2. 何らかの免疫を獲得し安全に仕事を再開した人を定する
      3. 集団免疫の閾値が達成された時期を含め、流行の動向についての情報を集める。
    • 本報告書では、各目標の達成に用いることができる検査の種類と、この文脈におけるデジタルツール活用の機会とリスクを含め、検査戦略とともに実施上の問題について考察している。
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