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参考情報 [2023年1月~5月

 

  • ワクチン、重篤化予防は半年後も オミクロン対応 2023/05/26 共同通信

    • 【ワシントン共同】米疾病対策センター(CDC)のチームは25日、新型コロナウイルスの従来株とオミクロン株BA・5に対応した2価ワクチンの効果分析を発表した。成人の場合、接種を全く受けていない人と比べた入院予防効果は接種後2カ月まで62%だったが、その後低下が続き半年後までに24%に落ちた。一方、重篤化し集中治療や死亡に至るのを防ぐ効果は2カ月後までは69%あり、少し落ちた後は半年後まで50%を維持した。

    • 昨年9月~今年4月の約6万6千人分の入院データを分析した。チームは「入院予防効果は顕著に落ちたが、最も重篤な状態は防いでいる。勧奨に従って接種を受けてほしい」と指摘した。

 

  • 新型コロナ「定点把握」全国の感染状況データ 初の発表 厚労省 2023年5月19日 21時46分 NHK

    • 新型コロナの「5類」移行に伴い、厚生労働省は、指定した全国およそ5000の医療機関からの週1回の報告をもとにした「定点把握」による全国の感染状況を初めて発表しました。

    • 5月14日までの1週間の1医療機関当たりの平均の患者数は2.63人で、前の週の1.46倍に増加していて、厚生労働省は「4月以降、緩やかな増加傾向が続いている」としています。

 

  • 新型コロナの起源めぐる「タヌキ騒動」が意味すること 2023.05.09 MIT Technology Review

    • 2020年に収集されて以来、公開されてこなかったデータが、動物由来説を裏付けることになるかもしれない。このデータによって、容疑者となり得る動物が浮上してきた。タヌキだ。しかし、このデータがどれほどの説得力を持つかは、誰に話を聞くかによって違ってくる。データの新たな分析は、新型コロナウイルスの起源をめぐる論争に再び火を付け、深刻な事態を引き起こしている。

    • 今回の騒動は、2022年2月に中国の科学者が発表した研究に端を発している。中国疾病予防管理センター(CCDC)の高福(ガオ・フー:ジョージ・ガオ)主任ら研究チームは、プレプリント(査読前もしくは学術誌に掲載前の科学論文)の中で、華南海鮮市場から1380点のサンプルを収集し、分析した経緯について記載している。

    • これらのサンプルは、市場が閉鎖された直後の2020年1月から3月にかけて採取されたものだ。研究チームが記すには、その当時、新型コロナウイルスを検出できたのは、ヒトから採取したDNAを含むサンプルだけだったという。

    • この市場では、海産物のほかにもさまざまな動物が販売されていた。タヌキなどの他の動物も売買されていたと報告されているのだ。

    • 動物を檻に閉じ込め、密接な環境に多くの動物を押し込むことは、非人道的であるだけでなく、病気の蔓延に最適な環境を作り出すことになる。野生動物を捕獲し、生息地を侵害することは、病気が種を超えて伝播するリスクをもたらす行為であることは明らかだ。

 

  • COVID-19の集団免疫レベルの低下と第9波の可能性について May 9, 2023 東京財団政策研究所

    • 今回、ワクチン接種と自然感染の双方によるハイブリッド免疫の減衰と再感染を考慮できる数理モデルを用いて、2023年5月1日現在のCOVID-19の国内の集団免疫レベルの推計を行った。

    • 第8波後の2023年2月から国内の集団免疫レベルは減少傾向にあるという推計結果が得られた。この推計結果は、2022年11月および2023年2月に実施された抗体検査とほぼ合致している。

    • 今後集団免疫レベルが低下したタイミングで再流行(第9波)が起こる可能性は十分考えられるが、自然感染やハイブリッド免疫による重症化予防効果は長期間持続するため、重症者数と死亡者数は第8波以上には増えないことが予想される。しかし、全体の感染者数が増えればハイリスク群への感染が増え、重症者数と死亡者数(特に間接死亡)が増えるリスクがある。

    • ワクチン接種率が低く自然感染例の少ない小児の間で感染が拡大すれば、外来機能が逼迫し、全体の医療に影響を与える恐れがある。
       

  • マスクや働き方は? 新型コロナ「5類移行」で知りたい10のこと 2023.5.8 日経ビジネス

 

  • 感染力増、致死率は低下 コロナ変異株、次々出現―専門家「5類後も警戒を」 2023年05月08日07時05分 JIJI.COM

    • 国内では2020年1月に初の感染者が確認された。当初は中国・武漢株などが流行したが、21年以降は変異株が中心となり、英国由来のアルファ株、インド由来のデルタ株が流行。同年12月には、ワクチンや感染で得た免疫から逃れやすい南アフリカ由来のオミクロン株が拡大した。

    • 3タイプとも、既存株より感染力が強く、置き換わる形で拡大した。一方、オミクロン株では肺炎による重症化リスクが低下。厚生労働省によると、80歳以上の感染者の致死率は、デルタ株流行時(21年7~10月)の7.92%から1.69%(22年7~8月)に下がった。感染者の急増に伴い持病を悪化させて亡くなる高齢者が相次いだものの、致死率自体は季節性インフルエンザ(1.73%)並みとなった。

    • 感染症に詳しい慶応大の菅谷憲夫客員教授は「オミクロン株とは別の変異株が出てくる可能性も十分にある」とした上で、「日本はPCR検査や病床、ワクチン接種の体制が脆弱(ぜいじゃく)で、逼迫(ひっぱく)したら拡充するという場当たり的な対応に終始してきた。国は5類移行後の『平時』にこそ『有事』に備え、医療体制の整備などに努めるべきだ」と強調した。
       

  • 新型コロナウイルスの将来: 季節的な急増ではなくミニウェーブ 2023 年 5 月 1 日 訂正2023 年 5 月 4 日 nature
    • 容赦のない一連のウェーブレットは、インフルエンザや風邪の原因となるコロナウイルスのゆっくりとした年間循環パターンとは大きく異なっており、SARS-CoV-2がすぐにインフルエンザのようなリズムに落ち着く可能性はますます低くなっていると科学者らは述べている。
    • 世界保健機関は 4 月 17 日に XBB.1.16 を「注目の亜種」と宣言しました。
    • 現在、SARS-CoV-2のスパイクタンパク質は、ほとんどの免疫回避変異が発生するが、季節性インフルエンザの同様のタンパク質の2倍の速度で進化しており、風邪を引き起こす「季節性」コロナウイルスの約10倍の速度で進化している。
      今後数年のうちに、新型コロナウイルス感染症の正味の被害額がインフルエンザと同程度になるという希望を与えてくれます。

 

  • 新型コロナウイルス、最初の感染源ついに判明、やはり武漢の市場から 中国が誤魔化し切れなくなった「タヌキ」 赤木昭夫(評論家) 2023.04.18 現代ビジネス 

    • 2019年の11月の末ないし12月の初めには、感染者が発見されていた。1ヵ月後には、感染者の多くが、武漢の駅の南にある大きな市場(主として水産物を扱う武漢華南海鮮批発市場)の関係者とわかり、翌20年の1月1日から閉鎖された市場で、ウイルス探しが始まった。

    • だが、サンプルの採取法が実にズサンだった。売り場を水で洗い、回収した汚水を区画ごとに分けて大きな容器に入れて運び、PCRによって検査した。

    • その結果は、ウイルスと売られていた動物とヒトの遺伝子、これら3種の遺伝子が混在する状態が、市場の区画ごとに確認されただけだった。

    • という次第で、市場の南西の区画、イカモノの獣(生きたまま、あるいは肉や臓物)をとくに扱う一角が、ウイルスで汚染されていたことだけは、中国当局も認めざるを得なくなった。そんな中途半端な状況のままが現在も続く。

    • 今年の3月4日、フランスの国立科学センター(CRNS)のウイルス研究者で、大学でも教えるフロランス・デバールが気づいたのだが、インフルエンザ関連のデータ・センター(GISAID、本部はワシントンDC)に、武漢の市場で採取された遺伝子配列データが、中国から2022年6月付で登録されていた。

    • 彼女を中心とするグループは、それらのデータをあらためて調べ、5日後の9日には、コロナ・ウイルスといっしょに8種類の野生動物とヒトの遺伝子が混在しているのを確かめた。野生動物は、タヌキ(日本のそれと同種)、ハリネズミ、ヤマアラシ、タケネズミ、マーモット、ハクビシン、イタチ、ブタバナアナグマだった。それらのうちで、店頭でもっとも多く見つかったのがタヌキの遺伝子だった。

    • 論文では、8種類の野生動物の比率は示されていない。だが、「タヌキを含む野生動物」と筆頭に挙げることによって、売られていたタヌキが感染源だと、限りなく断定に近い表現になっている。検討結果は、論文として3月20日に公開された。

    • 中国からの申し出によって、肝心のデータそのものが3月11日に取り下げられた。
      武漢の市場にタヌキを供給したのは、武漢と同じ省内、湖北省西端の山岳地帯、恩施(エンシ)地区に存在する飼育場群と推定される。飼育数は総計で100万匹とも伝えられる。この地帯は洞窟も多く、そこがコウモリの巣窟になっている。
      この疫学モデル――「ウイルス→コウモリ→仲介動物→ヒト」――は、2002年11月から翌年7月にかけてのSARS(重症急性呼吸器症候群)の場合と、パターンが同じだ。

    • その点からしても、コロナ肺炎の武漢市場タヌキ起源説が、真相にもっとも近いと考えるべきだろう。

 

  • コロナ後遺症の謎を解く鍵? 「毛細血管を詰まらせる微小血栓」 ウイルスのスパイクタンパク質が引き金に、通常より壊れにくい血栓 2023.4.5 日経ビジネス

    • 新型コロナウイルス感染症から回復した後も、多くの人が悩まされるコロナ後遺症(罹患後症状)。その仕組みを解明する研究が2年以上にわたって行われてきたなかで提唱された仮説の一つに「微小血栓」がある。微小血栓ができて毛細血管がふさがれると、血液や酸素の流れに影響が生じ、様々な症状につながるという説だ。

    • プレトリウス氏らは10年以上にわたって微小血栓について研究し、2型糖尿病、慢性疲労症候群、アルツハイマー病、パーキンソン病などの患者の微小血栓を観察してきた。そして、2021年8月に医学誌「Cardiovascular Diabetology」に発表した予備研究では、急性の新型コロナ患者や、6カ月以上にわたって症状が出ている新型コロナ後遺症患者の血液に、相当量の微小血栓ができていることがわかった。しかも、簡単に分解される糖尿病などの微小血栓とは違い、新型コロナの微小血栓は簡単には壊れない。

    • 微小血栓が長期にわたって存在すると、誤って健康な組織を攻撃する「自己抗体」というタンパク質が作られ、体を衰弱させる不調を引き起こす可能性がある。プレトリウス氏が特に心配しているのは、このような患者たちだ。

 

  • 22年の超過死亡、11万3千人 前年から倍増、コロナ影響か 2023.04.05 共同通信

    • 死者数が例年の水準をどれだけ上回ったかを示す「超過死亡」が、2022年に最大約11万3千人に上ったとの推計を国立感染症研究所などが5日、明らかにした。21年の最大約5万人から倍増し、新型コロナウイルスの流行が影響した可能性がある。厚生労働省に新型コロナ対策を助言する専門家組織の会合で示された。

 

  • 特別研究 (下村プロジェクト)シリーズ「高まる地政学的リスクと日本経済」第3回 不確実性下での経済の新陳代謝 2023年4-5月号 2023/04/01日本経済研究所

    • 本稿では、増大する不確実性のなか、危機対応の在り方や日本の長年の課題である経済の新陳代謝について、集計データをもとにさまざまな角度から考察を加えた。コロナ禍をケーススタディとした分析の含意として、以下のような指摘ができる。

    • 第一に、危機の当初には、それが可逆的なショックである可能性も考慮に入れて、現状維持的な支援措置を導入することはある程度正当化される。ただし、植田(2022)が指摘するように、保険など民間のサービスで対応できる部分も少なくないことには注意が必要である。

    • 第二に、不確実性下の危機においては、時間との競争のなかで、真に救済すべき対象であるかどうかを見極めてから支援を行うことには難しい面も多い。しかし、資金繰り支援においては、もともと業績の悪かった企業ほど支援を受ける傾向があったとの研究結果が複数公表されているように、100%公的保証など金融機関の選別意欲を完全に阻害してしまうような支援の在り方は、経済の新陳代謝の観点からみて望ましいものではない。

    • 第三に、産業レベルでみて明らかな資金の誤配分は今のところ生じていないが、飲食サービス業については今後の動向も含めて検証が必要とされる。

    • 第四に、資金繰り支援については、とりあえず利用し、状況がみえてきた段階で返済する動きが目立った。これは結果的には不要な資金であったものの、不確実性の軽減を通じて投資など前向きな経営をサポートする意義はあったと思われる。

    • 危機が長期化するほど、その影響は可逆的なものから不可逆的なものへと変化する可能性が高い。現状維持的な危機対応策も、長期化すれば、経済のスパイラル的な悪化を防ぐメリットよりも、構造変化の動きを止めてしまうデメリットの方が大きくなる。また、業種別の雇用動向を見る限り、通常は現状維持的な政策のメリットに含められる雇用保蔵による企業特殊的人的資本の維持には、明確な効果はなかったといえる。総合すれば、コロナの影響が本格化して1年程度の時期に、支援策を継続するにしても、現状維持的な方向から、転業・転職支援など構造変化を促進する方向に切り替えた方が、より望ましい結果につながったと考えられる。

    • 不確実性がますます高まる世界で、日本にとっては外的なショックに脆弱な構造を克服することが喫緊の課題である。資源の調達ルートの多元化、国際標準競争、マーケット・デザインといった面では、政府の役割も重要である。しかし、根本的な問題は、日本企業の「稼ぐ力」の弱さにある。企業が積極的な投資を継続的に行わなければ、市場の選別メカニズムは働かず、経済の新陳代謝も進まない。不確実な世界を生き抜くために、労働者であり投資家でもある国民の意識は着実に変化しつつある。成長力の乏しい企業が見向きもされなくなる時代が到来する前に、日本企業は自ら変革しなければならない。

 

  • 日本でも4割の人がすでにコロナに感染 抗体調査から分かることは?国内でもコロナは広がりにくくなる? 忽那賢志感染症専門医 3/19(日) 10:48 YAHOO!JAPAN ニュース

    • 先日開催された厚生科学審議会において、日本における抗体陽性率の最新の調査結果が報告されました。

    • 今回の調査は、2023年2月に日本赤十字社で献血した16歳〜69歳の13,121名を対象に、N抗体が測定されました。調査の結果、42.3%、つまりおよそ4割の人が過去に新型コロナに感染したことがあると考えられました。

    • また、年齢別に見ると、N抗体の陽性率は年齢が若いほど陽性率は高く、16〜19歳の6割がすでに新型コロナに感染したことがあるようです。

    • 42.3%の人が感染しているとすると、日本では5300万人が感染していることになります。2023年3月16日までに、日本では3337万人が新型コロナと診断されていますので、一部の人は再感染していることを差し引いても、感染しても診断されていない人が約2千万人いると推定されます。

    • 海外の報告では、オミクロン株に感染した約半数は感染したことを自覚していなかった、とのことですので、今回の抗体調査の結果と合わせると日本でも自覚せずに感染している人はたくさんいると考えられます。

    • 前回2022年11月の抗体調査では、N抗体陽性率から推定される感染者数(3300万人)とその時点で把握されていた感染者数(2500万人)の差は800万人でしたが、今回の抗体調査ではこの差が2000万人と大きく開いています。

    • 第7波と第8波の間に届け出の要件が変更されたこともあり、第8波では実際の感染者と把握されている感染者数との乖離が大きくなっているものと考えられます。

    • 把握されている感染者数の規模は第7波と第8波では大きく変わらなかったにも関わらず、死亡者数は第8波の方が大幅に増えていたのは何故なのかこれまでも議論されていましたが、「実際の第8波の感染者数は第7波よりも多かったため」ということが今回の抗体調査によって明らかになりました。

    • オミクロン株が広がる前の2021年12月にも同様の抗体調査が行われていますが、このときの陽性率は2.5%でした。
      つまりほとんどの人はオミクロン株が広がってから感染していることになります。

    • しかし、XBBと呼ばれるオミクロン株の亜系統の変異株に対しては、過去にオミクロン株に感染した人であっても感染予防効果は51%にまで下がる、という報告も出ており、今後の日本国内で広がる変異株の状況次第では流行の規模の大幅な減少は期待できないかもしれません。

 

  • コロナワクチン、少なくとも7783万回分廃棄 2000億円超か 2023/3/18 毎日新聞

    • 今年2月までに少なくとも7783万回分の新型コロナウイルスワクチンが使用されずに廃棄されたとみられることが、毎日新聞の取材で判明した。厚生労働省の公表資料や全国の主要な自治体へのアンケート集計で割り出した。ワクチンの有効期限切れが主な要因で、廃棄量は購入契約数の約9%に当たる。有効期限の到来によって今後も増える見通し。

      • 国はワクチンの1回当たりの購入単価を公表していないため、廃棄されたワクチンの費用を算出できない。ただ、財務省は購入予算額(2兆4036億円)を総契約数(8億8200万回分)で割った2725円を金額換算した場合の1回分として示している。この数字を掛け合わせ、廃棄されたワクチンを金額に換算すると約2120億円と試算することができる。厚労省幹部は「2725円を掛け合わせて廃棄されたワクチンの費用の総額を算出することには反対はできない」と述べ、実態と大きくかけ離れていないことを示唆した。

    • 政府はコロナワクチンとして、米ファイザー社製3億9900万回分▽米モデルナ社製2億1300万回分▽英アストラゼネカ(AZ)社製1億2000万回分(後に6230万回分契約解除)▽米ノババックス社製1億5000万回分(1億4176万回分契約解除)をそれぞれ調達した。このうち、厚労省は従来型ワクチンの有効期限が切れたとして、廃棄数量がモデルナ社製で約6390万回分(自治体見込み分含む)、AZ社製は約1358万回分(同)に上ることを明らかにしている。

    • ワクチン1回当たりの金額換算として「2725円」と記載されていたのは、財務省の財政制度等審議会の分科会の資料。予算額には配送料も含まれており、実際のワクチン価格とは異なるが、購入単価はメーカー側と政府で秘密保持契約を結んでいるため、公表されていない。

 

 
  • <プレスリリース>「コロナ禍による社会的孤立は改善傾向だが、孤独感は増悪:5万人への全国調査より判明」 2023年03月14日 東京都健康長寿医療センター研究所
    • 研究グループでは、15~79歳までの全国サンプルによるインターネット調査のデータにより、コロナ流行前と流行中の社会的孤立の変化を調べ、コロナ禍に入って社会的孤立者が大きく増加していることを明らかにしました(2021年8月19日プレスリリース)。今回、2020年と2021年に実施した同データを用い、コロナ禍1年目と2年目の社会的孤立と孤独感の変化を調べました。この成果は、国際誌Frontiers in Public Health(Impact factor: 6.461)に掲載されました。
    • 全体では社会的孤立者割合は、コロナ禍1年目は27.4%、2年目は22.7%であり、その減少幅は−4.7ポイント(95%信頼区間:−6.3, −3.1)でした。孤独感に関しては、コロナ禍1年目は5.03点、2年目は5.86点で、0.83点(95%信頼区間:0.66, 1.00)増加していました。つまり、コロナ2年目にかけて社会的孤立は改善しているものの、孤独感は増悪していることが分かりました。社会的孤立の改善には、ワクチン接種の広がりや感染予防行動が浸透してきたため、外出や人との交流が戻っていることを表しています。一方、孤独感に関しては、長期に亘り様々な制約が強いられたことによる、いわゆる「コロナ疲れ」(COVID-19-related psychological fatigue)が生じているものと解釈できます。
    • 図は1年目、2年目それぞれの社会的孤立、孤独感の年齢別分布です。10代、20代といった若い年代は特徴的な推移をしています。まず、1年目には、社会的孤立の割合は低いものの、孤独感は著しく高いものでした。「SNSネイティブ」の若い世代では、コロナ禍でもオンライン(SNS等)によって人とのつながりが比較的保てていたものの、顔が見えないこのつながりは「細くもろい」ものです。つまり、オンラインでのつながりだけでは、「友人、上司・同僚に深い相談ができない」「表面的なやりとりしかできない」等の弊害が生まれ、結果として孤独感が高かったと考えられます。ただし、2年目には、高かった孤独感は他の年代と同等に落ち着いています。徐々に日常生活が戻ってきたことにより、1年目ほどの孤独感を感じる人は少なくなったと言えそうです。
 
  • 戦後最悪になった「超過死亡数」の原因はワクチン接種なのか? 有力な容疑者だが有罪とは断定できない 2023.3.3(金)池田 信夫 JBpress
    • コロナの流行が終わって5類に移行することが決まってからも、すべての原因による超過死亡は増え続けているが、厚労省はなぜ増えたのか説明できない。
    • 昨年のコロナ死者は約4万人。超過死亡との差は6万人である。このようにコロナ死者数と超過死亡数に大きな差のある国は珍しい。ほとんどの先進国では、超過死亡数の7~8割がコロナ死者数である。
    • この原因として、厚生労働省は「オミクロン株で患者が急増し、医療が逼迫した」と説明しているが、これは誤りである。病床使用率は最大でも50%程度、人工呼吸の実施率は10%に満たない。緊急搬送の数は増えたが、死亡率は5%以下だった。コロナを5類感染症に落としたことでも明らかなようにコロナ肺炎は激減し、コロナ病床はがらがらなのだ
    • ではなぜコロナ肺炎が減った昨年、超過死亡数が大幅に増えたのか。昨年の最大の死因は老衰(死因不明)、その次が循環器系疾患(心不全など)で、そのピークはコロナ死とほぼ一致している。
    • つまり基礎疾患をもつ高齢者の容態が、コロナ感染をきっかけに悪化した間接的なコロナ死と考えることもできる。
      感染が激増した時期と、コロナウイルスの主力がオミクロン株に変わった時期は一致している。したがって「初期(武漢株)には抵抗力のあった日本人が、オミクロン株には抵抗力がなくなった」と考えることは可能である。
    • 超過死亡率でみると、2020年にはマイナスだった日本の超過死亡率が2021年から英米に近づき、2022年にはほとんど同じになった。
    • つまりウイルスが変異し、ワクチンへの耐性を備えて生き残った。言い換えると、ワクチンの影響で感染しやすく弱毒性のオミクロン株に変異したと考えることもできる。
    • ワクチン接種後に死亡した人は約1900人で、そのうち国が責任を認めて死亡一時金を支給したのは30人である。これだけで6万人の(コロナ以外の)超過死亡は説明できない。
    • 総じてワクチンのメリットはリスクより大きかったといえるが、日本の場合は高齢者や基礎疾患をもつ人に限定すべきだったかもしれない。若年層の5回目以降の接種は、ほとんど意味がない。
    • 今のところ超過死亡の原因について決定的なことはいえないが、一ついえるのは、日本では超過死亡が一貫してコロナ死の3倍と異常に多いことだ。これはコロナ偏重の医療で、他の病気の患者が十分な医療を受けられないで亡くなったことを示唆する。
    • 100兆円のコロナ対策の費用対効果は、第三者委員会をつくって検証すべきである。
 

 

  • 新型コロナ「ゾコーバ」服用で半年後の後遺症リスク半減 2023年2月23日 5時08分  NHK
    • 新型コロナウイルスに感染したあとで続く、のどの痛みやけん怠感など後遺症とみられる症状について、塩野義製薬は治験の結果、感染したときに飲み薬の「ゾコーバ」を服用した人では、半年後に症状が出るリスクが半分ほどに下がったと発表しました。
    • 塩野義製薬は日本時間の22日、アメリカで開かれた感染症の学会で発表した最終段階の治験の結果を発表しました。
    • それによりますと、治験に参加した1800人余りのうち、新型コロナに感染したあと一定程度の症状があり、ゾコーバを服用した患者で半年後にせきやのどの痛み、けん怠感、味覚障害など、14の症状のうちのいずれかを訴えたのは14.5%でした。
    • 一方、偽の薬を服用した人で症状を訴えたのは26.3%で、会社ではゾコーバを服用した人では、後遺症とみられる症状が出るリスクが45%下がったとしています。
    • また、集中力や思考力の低下、物忘れや不眠などの神経症状が出るリスクも33%下がったとしています。
 
  • 国内におけるCOVID-19の第8波ピーク後の集団免疫レベルの推計 February 9, 2023 東京財団政策研究所
    • 第8波のピーク後の2023年1月15日までのデータを用いて、日本全国および主要5都道府県(北海道・東京・大阪・福岡・沖縄)の集団免疫レベルの推計を行った。
    • 第7波直後の自然感染由来の免疫レベルが高かった沖縄では第8波の流行が遅く、規模が小さかったが、同免疫レベルが低かった北海道では第8波の流行が早く、規模が大きかった。
    • 現在はどの地域でも集団免疫レベルはおよそ0.7(70%)であり、過去最高の水準となっている。そのため、しばらくは流行が抑制されることが期待されるが、免疫の減衰やウイルスの免疫逃避による再流行の可能性は否定できない。
    • 自然感染とワクチン接種による集団免疫レベルを継続的にモニターしながら、ワクチン接種間隔の延長の検討や社会経済活動の正常化を進めていくことが望ましい。
 
  • 日本でコロナ死者急増 免疫力の低さと医療のひっ迫が要因か 2023年2月3日 BBC NEWS JAPAN
    • 専門家らによると、最近の死者のほとんどは、基礎疾患がある高齢者だという。感染流行の初期に、肺炎が死因となった人や、集中治療室(ICU)で治療を受けた人が多かったのとは対照的だ。
    • 日本を代表するウイルス学者で、世界保健機関(WHO)の感染症対策の地域アドバイザーを務めた押谷仁氏は、「これらの死亡を治療で防ぐことは難しい」と説明。新型ウイルスはきっかけに過ぎないとした。
    • オミクロン変異株が流行するまで、日本の新型ウイルスの死亡例は東京や大阪などの都市部に集中していた。しかし今では全国各地でみられると、押谷氏は話した。
    • 「小規模な県や地方では、高齢者の割合が全国平均よりさらに高い。変化する地理的パターンも、死者の増加傾向に関係している可能性がある」
    • 徳田氏によると、自然免疫はワクチン接種で得られる免疫よりも強い。日本では、感染率の低さが免疫の弱さにつながり、それが死者が増える原因になっているという。
 
  • 新型コロナ「第8波」 どこで亡くなっているのか 2023.01.24 サイカル
    • これまで、感染者が増加してから死亡者が増加するまでにはタイムラグがありました。
      ▼感染拡大は若い世代から始まることが多く、重症化リスクが高い高齢者に感染が広がるのには時間がかかること、
      それに、
      ▼感染から死亡に至るまでには一定の時間がかかるためです。
      それが、第8波では、感染者数と死亡者数の増加の波がほぼ重なっていたのです。
    • ワクチン接種が進んで治療薬が徐々に普及してきていて、若い人にとってはただの「かぜ」だとしても、高齢者が感染すれば文字通り致命的な状況に陥ってしまうのです。
    • もともと重い症状の病気がある人にとって、コロナの感染は死に直結してしまうと指摘します。
  • 緩和しても流行は終わらない」イギリスの教訓から探る、日本の選択肢 公開 2023年1月20日 BuzzFeed News
    • ひと足さきに全面緩和した英国 人口の4〜6%が陽性
      • 英国ではボランティアの国民に1か月に1回PCR検査を受けてもらって、人口の中でどれぐらいの割合の人が感染しているのかを追いかけている調査(ONSサーベイ)を続けています。
      • 英断だったのはどれだけ緩和が進んでもその調査をしっかりしたサンプル数で続けていることです。日本でもやりたいと言ったのですが、大変高額な調査でもあり、これまでにお金は出してもらえませんでした。
      • 12月下旬の段階で4〜6%ぐらいが陽性になっています。ということは15人から25人に一人が常に感染している状態であることを示しています。これは流行状況が悪い時の調査ですが、低い時は1〜2%で、高い時は7〜8%です。
      • その結果、この感染症は高い感染割合で、エンデミック期(常時感染者がいる流行状況)が推移するのだなとわかる
    • 対策緩和以来、英国の救急は常に逼迫
      • この状態になると何が良くないかと言うと、もちろん若い人でも後遺症が残るなどの負債を抱える影響もありますが、一番問題なのは救急の逼迫です。
      • 英国も日本と同様、流行の波を繰り返しているのですが、救急の状況はずっと悪いままであることです。良くなった時期がない。悪い状態がずっと続いています。
      • その中で、救急搬送されるまでに1時間かかってしまうのはかなり大きなダメージです。循環器疾患の死亡が容易に起こり得る状態になっているということです。かなり厳しいです。
    • 日本は英国と同じ厳しい状態になるかどうかの分岐点
      • 日本で献血の検体からこれまでコロナに感染した人の割合を調べた調査では、高齢者は昨年11月時点でまだ20%未満しか感染していませんでした。
      • 英国では2021年の緩和のプロセスで高齢者の多くが感染して、2022年の全面緩和を介して同年冬までに高齢者の8割が感染しました。そんなことがありながらも、状況は良くならない。ずっと慢性的に悪い状態が続き、抜本的に解決する手段が今のところないのです。
      • エンデミック化する途上に日本は今、います。
      • 高い感染割合のままエンデミック化してしまうのか、何とか踏みとどまって低い感染割合で続けられるように社会で協力して過ごすのか、今後の状況を考えるのに、今は重要な局面にあります。
    • 対策を緩和しても流行は終わるわけではない
      • 緩和が進めば「継続的に高い感染レベルで伝播が続く状態に至る」ということを最低限、共有しておくべきです。
        この感染症は再感染しますし、進化して新たな性質を持つ亜系統が繰り返し出てきます。エンデミック化する過程で、繰り返し流行が起きているのです。
      • 医療や救急の慢性的な逼迫がエンデミック化した国で続いています。救急車の搬送困難事例が増えていて、ずっと関連死による超過死亡が起こりやすい状況下にあります。
      • 残酷なことですが、疫学データが指し示しているのは、エンデミック化のプロセスにおいて、元々から医療体制が専門医療別に細分化され、キャパシティが低めに設定されている日本では、特定の診療科で厳しい状態が続くと思われます。
         
  • 新型コロナウイルス感染拡大と人口動態 ー次期推計基準年前後の状況ー 令和3年6月25日 第20回社会保障審議会人口部会 資料4 国立社会保障・人口問題研究所

    • 新型コロナによる死亡発生と2020年の死亡総数の減少
      – 新型コロナによる死亡:2020年は3,466人(人口動態統計概数)(厚労省オープンデータによると2020年3,459人、2021年は5月末までで9,585人)
      • 高齢者、男性で多い死亡
      • 全死因では2019年1,381,093人→2020年1,372,648人。8,445人の減少
      – 高年齢(65歳以上)での肺炎による死亡の減少
      2019年93,383人→2020年76,566人。16,817人の減少
      (全年齢:2019年95,518人→2020年78,445人。17,073人の減少)

    • 2020年春の婚姻の減少
      – 「令和婚」増、「令和2年2月婚」増の後、急減。
      – 1回目緊急事態宣言下の5月に落ち込み。
      – 2020年5月以降回復傾向を示していたが、2021年4月に再び落ち込む。

    • 令和婚直前の婚姻減による出生減に加え、コロナ禍による抑制
      – 2018年の婚姻の減少による2019年の出生減
      – 1回目の緊急事態宣言下の妊娠抑制によると見られる2021年1月の出生数の落ち込み
      – その後回復し、2021年4月には中位推計水準に。
      – ただし出生に先行する妊娠届出数によれば、2021年8月で中位水準維持は困難か。

    • 2019年までの外国人入国超過拡大傾向は、コロナ禍により急減するも、2020年9月期末で入国超過維持
      – コロナ感染拡大期直前は、平成29年推計仮定を大幅に上回る外国人入国超過数を記録。2019年、平成29年推計では68,997、実績は207,792。
      – 2019年10月~2020年9月期は、コロナ感染拡大に伴う水際対策や経済社会活動の変化に反応し、移動の抑制、再開を繰り返す状況。2020年は数は前年と比べ減少したものの、最終的には入国超過となった。

  • 新型コロナの累計死者は6万人、感染者は3000万人超 4年目を迎えても収束の見通し立たず 2023.01.16 内城喜貴 / 共同通信客員論説委員、科学ジャーナリスト Science Poetrtal

    • 新規感染者数だけを見ると第7波より少ないのになぜ死者がこれほど多いのか――。この点について専門家は、昨秋に感染者把握を簡略化したために集計、統計として上がってくる数字は実態よりかなり少ないとみている。死者が多くなっている背景には第7波をかなり上回る感染実態があり、主に高齢者が犠牲になっているという。

    • 大曲貴夫・国立国際医療研究センター国際感染症センター長は12日開かれた東京都の新型コロナウイルスのモニタリング会議で「把握されていない多数の感染者が潜在している。職場や学校の(正月休みが明け)再開に伴う新規陽性者数の動向を注視する必要がある」と指摘した。

    • 政府の動きの中で新型コロナ対策を助言する専門家組織の主要メンバー15人が11日の会合で「新型コロナウイルス感染症対策に関する見解と感染法上の位置付けに関する影響の考察」と題した見解を公表した。

    • 見解はまず、オミクロン株の出現やワクチン接種の進展で重症化率や致死率は下がったものの、ウイルスの伝搬力(感染力)はむしろ強くなっており、感染者が増えたために死者数は極めて多くなっていると指摘。季節性インフルエンザと同様の対応が可能な疾患となるにはもうしばらく時間がかかると断じた。そして新型コロナという疾患の(時々の)特徴に合わせ、かつリスクに応じた対応策が重要とした。

    • 最近の国内統計では、新型コロナに感染しても若い人の重症化率や致死率は季節性インフルエンザと大きな差はない。一方高齢者、特に持病を抱える高齢者の致死率はオミクロン株流行期でも依然高い。若年者と高齢者との間で「コロナの怖さ」は決定的に異なり「世代間格差」が著しい。

  • 【詳しく】新型コロナ感染確認から3年 どうだった?どうなる? 2023年1月16日 19時50分 NHK 

    • 新型コロナウイルスは国内では3年前の2020年1月15日に初めて感染が確認されました。厚生労働省のまとめでは、これまでに感染した人は累積で3100万人に、亡くなった人は6万2000人にのぼっています。

    • 感染者数に占める亡くなった人の割合「致死率」は、この3年間で治療法の進歩やワクチン接種が進んだことなどによって、大幅に減少しています。

    • 感染拡大当初から対応を続けている病院では現在の第8波でもコロナ患者用の病床がほぼ埋まっていて、3年間、感染拡大の波が来るごとにひっ迫する状態が繰り返されています。

 

  • 新型コロナは2019年末から「隠れた流行」が始まっていた? 池田 信夫 2023.01.16 18:58 アゴラ

    • 東大医科学研究所の論文が話題を呼んでいる。この「ツインデミックスは起こっているか?」と題するプレプリントは、各国のインフルエンザと新型コロナの感染状況を比較し、COVID-19とインフルエンザは、同じ地域において同じ時期に同じ規模では流行していないと結論した。

    • 世界中でほぼ一致して、コロナの流行が始まった12週にゼロになっている。これが何を意味しているのか、この論文は書いていないが、コロナとインフルのウイルス干渉が起こったという仮説も成り立つ。

    • ウイルス干渉説が正しいとすれば、流行は次のような順序だった。
       2019年秋:武漢で大流行が起こる
       同12月:世界に新型コロナの隠れた流行が広がる
       2020年1月:ウイルス干渉でインフルが消える
       同2月:WHOがCOVID-19と命名
       同3月:ヨーロッパで大流行が始まる

    • これが3月末に日本にも入ってきたが、日本人は(それまでの軽いウイルスで集団免疫ができていたためか)死者はほとんどなく、インフルが減ったため、2020年は約3万人の過少死亡になった。

    • 最終的なボトムラインは、平均寿命である。第8波の死者の97%は60歳以上で、平均死亡年齢は83.1歳。日本人の平均寿命は、ほとんど縮まっていない。これはアメリカ人の平均寿命がコロナで2歳以上縮まったのとは、大きな違いである。

    • コロナの死者が増えた分、毎年1万人以上いたインフルの死者が減ったので、全体としての平均寿命はほとんど縮まっていない。死亡した高齢者のほとんどは天寿をまっとうしたのであり、新型コロナは100兆円以上も国家予算を注ぎ込むような感染症ではなかったのだ。

 
  • 新型コロナの死者数はなぜ急増しているのか…感染者の公表数は第7波ピーク超えていないのに 2023年1月13日 06時00分 東京新聞
    • 「元々の持病の状態が悪かった高齢者が、コロナ感染によるダメージで一押しされて亡くなっている」。新型コロナの重症・中等症患者らを受け入れる埼玉医科大総合医療センターの岡秀昭教授は、そう明かす。
    • 現在はオミクロン株の「BA.5」から、新たな派生株への置き換わりが進んでいるが、病原性に大きな変わりはないとみられている。「致死率から逆算すると、把握できていない感染者が相当いる。死者が7波のピークより多くなっていることを考えると、感染者は間違いなく7波を超えている」と岡教授。第7波の1日当たりの新規感染者数のピークは約26万人(厚生労働省集計)で、今はそれを上回る過去最大の感染規模になっていると推測する。
    • 政府は昨年9月下旬、感染者の「全数把握」を簡略化。若者など重症化リスクが低い人は医師らによる発生届の対象外となり、自治体の陽性者登録センターなどに自分で登録することになった。未把握の感染者の増加は、この変更による影響が大きいという。
    • 高齢の死者が多い背景には、高齢者施設でのクラスター(集団感染)が増えていることがある。厚労省によると、昨年12月25日までの1週間で954件発生し、第7波のピークの850件を上回った。今月9日までの週でも722件で、高いレベルのままとなっている。
    • 岡教授は「オミクロン株になって感染力が強まり、医療機関では全国的に院内クラスターが起きており、コロナ病床に限らず、受け入れ機能が低下している。今回の流行では、自宅や高齢者施設などで亡くなる高齢者が増えているとみられる」と話す。
    • 一方、東京都でも全国と同様に死者のほとんどを高齢者が占める。60代以上の割合は第7波(昨年7〜9月)では93.3%だったが、今年に入ってからは11日までの集計で97.0%となった。死者の高齢化の傾向がより強まっていることがうかがえる。
    • 松本教授は「ワクチンは重症化予防効果があり、まだ打っていない高齢者は積極的に接種を検討してほしい」と呼びかけている。
 
  • 1億人が感染する「西浦モデル」は正しかった? 池田 信夫 2023.01.11 14:49 アゴラ

    • 日本の超過死亡数は昨年、戦後初めて10万人を超えたと推定される。その原因は何だろうか。コロナが最大の死因であることは間違いないが、それで説明できるのは約4万人。残りの6万人以上はコロナ陰性で、循環器系疾患(特に心不全)や老衰(死因不明)など、コロナと直接関係のない病気が多い。

    • これを説明するシンプルな仮説は、仁井田浩二氏のようにすべて直接・間接のコロナ死者だったと考えることである。昨年、コロナ以外に大きな感染症や災害は起こっていないので、この推論は論理的には成り立つ。図1のようにコロナ死者数(青い線)を3倍すると、超過死亡数(赤い棒グラフ)とほぼ同じで、時系列も一致している。

    • 問題なのは、コロナ死者の定義である。オミクロンではコロナ肺炎の死者はほとんどなく、大部分は死亡したときPCR陽性だった患者である。死んでも陰性だとコロナ死にカウントされないが、この区別には意味がない。PCR検査は廃止すべきだ。

    • オミクロンは弱毒化したので致死率は低いが、感染力が強いので死者が激増した。その大部分は、コロナ感染がきっかけになって基礎疾患で死亡した高齢者である。長期にわたる隔離や行動制限で「脆弱化」が進んだことも原因だろう。

    • したがって日本で必要なのは、入院で隔離してコロナ肺炎を防止する2類感染症のような対策ではなく、基礎疾患を悪化させない治療である。オミクロンの感染防止はほぼ不可能だが、重症化率は低いので問題ない。コロナ偏重の過剰医療をやめ、医療資源の配分を最適化すべきだ。

    • ワクチン接種には重症化防止効果があるが、感染防止効果はない。第3回接種のあと感染が激増したことから考えると、ワクチンが免疫を弱めて感染を拡大した疑いもある。60歳以下の健康な人がワクチンを打つのは、メリットよりリスクのほうが大きいだろう。

 

  • パンデミックの流れを変えた mRNAワクチンの登場 2023年の展開は? by Jessica Hamzelou2023.01.11 MIT Technology Review

    • メッセンジャーRNAワクチンは、新型コロナウイルスのパンデミックを乗り切る上で欠かせないものだった。しかしmRNAの可能性はそれだけではない。他の多くの感染症に対応するワクチンや、あらゆるインフルエンザから人体を守るワクチン、さらにはがんの治療に役立つワクチンも開発できる可能性がある。

    • mRNAワクチンは、個々の患者に合わせたオーダーメイドのがん治療にも使えるかもしれない。がん治療の場合、体内の腫瘍細胞を攻撃するように設計された特定の免疫反応を誘発する手法が考えられている。

    • 承認された2種類の新型コロナワクチンのうちの1つを開発したバイオテクノロジー企業であるモデルナは、RSV(RSウイルス)、HIV、ジカ熱、EBV(エプスタイン・バー・ウイルス)などをターゲットとするmRNAワクチンの開発を進めている。もう1つの新型コロナワクチンをファイザーと共同で開発したバイオンテック(BioNTech)は、結核、マラリア、HIV、帯状疱疹、インフルエンザのワクチン開発に向けて研究を進めている。両社ともに、がんの治療法開発にも取り組んでいる。そして、他の多くの企業や大学の研究室も、この動きに同調し始めた。

  • クチン効果と安全性 実社会では?検証に挑む 2023.01.11 サイカルjournal NHK
    • 国には接種のあとに起きたさまざまな症状や死亡した事例について報告する「副反応疑い報告制度」という仕組みがあります。国の専門機関や厚生労働省の専門家部会では、報告があったすべてのケース、1例1例について議論されますが、接種と死亡との間の因果関係については、ほとんどが「評価不能」とされています。
    • 副作用なのかどうか、それに、効果があるのかないのかを調べるには、「ワクチンを接種した人」と「接種していない人」を比べる必要があるのです。この課題をクリアしようと、動き出した研究者がいます。九州大学の福田治久准教授です。
      福田さんたちは、接種した人としていない人で、症状が出る頻度に違いがあるか比較して検証できるシステムを新たに作りました。
    • どんなシステムかというと、住民のワクチン接種の有無と、医療機関にかかったデータなどを元に比較できるようにします。
      具体的には・・・
      ▼住民基本台帳をもとに、ある自治体に住んでいる人の情報をデータベース化。
      そのデータに
      ▼「ワクチンを接種したか、していないか」分かるワクチンの接種台帳や
      ▼住民が医療機関にどのような病気でかかったか分かる健康保険などの診療報酬明細書=レセプトの情報、
      ▼新型コロナの感染歴が分かる「HER-SYS」の情報などをひも付けます。
    • そうすることで、たとえば「心筋炎」や「帯状ほう疹」といった症状が、ワクチンを接種した人ではどのくらい起きていて、接種していない人の間ではどのくらいの頻度なのか、比較することができます。
    • およそ2年かけて、取り組みに協力してくれる自治体の数は13に。人口にすると、およそ130万人に到達しました。4つの自治体からは「HER-SYS」などの情報の提供も受け、新型コロナワクチンの分析を行う体制も整えました。
    • 福田さんが始めたのと同様のシステムは、海外ではすでに実用化されています。
      • アメリカでは、CDC=疾病対策センターが「ワクチン安全性データリンク=VSD(Vaccine Safety Datalink)」というシステムを運用しています。
      • 同じようなシステムは、ヨーロッパ各国やアジアでも整備されていて、香港や台湾では1990年代から、マレーシアや韓国、タイ、中国では2000年代から稼働しているということです。
    • 日本で分析して分かったことは?
      • ▼従来型のウイルスに対応した新型コロナのmRNAワクチンは、オミクロン株の「BA.1」が多かった時期に、感染を防ぐ効果が56.5%。
      • 副反応は、新型コロナのmRNAワクチンを接種したあとに
        ▼心筋炎が出る確率と

        ▼帯状ほう疹が出る確率も高くなっていることが分かりました。

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