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解説・報告・提言・メディア [~2023]

​【2023年】
  • 孤独は「1日15本の喫煙」に相当する健康への脅威 2023.11.23 15:30 Forbes JAPAN
    • 孤独のもたらす健康上の脅威はどれほど大きいのだろうか? それはかなり悪い、と米国公衆衛生局長官で医学博士、公衆衛生学修士のビベック・マーシーは言う。マーシーが今年5月に公開した「Our Epidemic of Loneliness and Isolation」(私たちの孤独と孤立の蔓延)と題したレポートによれば、孤独の健康への悪影響は、1日15本の喫煙にも相当するという。

    • 15本分のタバコと同等というたとえは、慢性的な孤独の体験が、さまざまな慢性疾患を引き起こすリスクを高めるという観察結果から生まれた。たとえば、社会的つながりが乏しいあるいは不十分な状態は、心臓病のリスクを29%、脳卒中のリスクを32%増加させ、不安、うつ病、認知症、呼吸器系疾患、ウイルス感染のリスクも高めるという研究結果が、同レポートには引用されている。

    • このような調査結果は「心身相関」の重要性を改めて強調するものだ。精神的および感情的な健康は、肉体的健康に極めて複雑な形で影響を与える可能性があるのだ。

    • 2003年から2020年の間に、友達と対面で過ごした時間は、月間平均30時間から10時間へと20時間も減った。そしてなんと、この減少は15~24歳の年齢層で特に顕著であり、これは未来にとって決して良い兆候ではない。

 

  • ポストコロナの令和時代に求められる「つながり・支え合い」のあり方を提言 ――2023年版厚生労働白書 ビジネス・レーバー・トレンド2023年10月(毎月25日更新) 独法 労働政策研究・研修機構
    • 家族や地域社会の支え合い機能は弱体化

    • 交流や助け合いの意識の変化で「孤独・孤立」が深刻化

    • 支え合いや社会貢献したいという意識は高い

    • 福祉はこれまで地域の相互扶助や家族で支えられてきた

      • しかし、個人や世帯が抱えるリスクが多様化し、経済面のみならず、孤独や孤立など心理的な問題や住居確保など、従来の制度の狭間に落ち込んだ新たな課題が表面化していると分析。家族や地域、企業のつながりの機能が弱まり、人々の交流に対する意識も変化しているとし、さらに、新型コロナウイルス感染拡大の影響も、人間関係を希薄にし、問題を深めたとの見方を示した。

    • 分野横断的な対応を求められる課題を一つひとつ紹介

      • [ひきこもり] 早期に相談しやすい体制を整え、多様な支援の選択肢を

      • [ヤングケアラー] アウトリーチにより早期発見し支援ニーズを把握する

      • [ひとり親家庭] 母子家庭と父子家庭で状況も課題も異なる

      • [様々な困難を抱える女性]  暴力が最多も社会情勢により課題は複雑化

      • [セルフ・ネグレクト]  今後の増加が懸念され、予防的支援も重要

    • 制度からではなく必要性から課題に対応する

      • 属性を問わず、能動型の支援を

      • 住まいを確保し、居場所をつくる

        • 白書は、住宅の提供のみではなく、その後の生活支援も含め、地域とつながる居住環境や見守り、相談支援ができるような環境整備が必要だとし、自治体や不動産会社と連携しながら居住支援を行う取り組み事例をコラムのなかで紹介している。

        • また、地域住民同士がつながりを実感するには、世代や属性を超えて、課題を抱える人もそうでない人も、気軽に集まり通えるような「居場所」づくりが大切になるとし、専門家と地域住民が一緒に地域の困りごとに対応している事例や、空き家を活用して多世代交流の場づくりを行う企業の事例などを紹介した。

        • 地域や自宅にいながら、交流しつながりを持てる「デジタル活用のメリット」についても強調。

    • 人々の意欲や能力を発揮しながら「つながり・支え合う」

      • 白書は、行政の支援を土台に、地元住民や地元行政が地域を支え(縦糸)、様々な法人やボランティア団体などによる地域づくりの取り組み(横糸)が協働することで、地域のつながりを再構築し、住民の暮らしをより一層豊かにすることができると指摘。こうした横糸の取り組み例として、労働者協同組合、NPO法人やボランティア団体、企業など、社会福祉法人、医療機関――をあげながら、多様な主体の特性や得意分野を活かした取り組みは、福祉領域のみならず、地方創生、まちづくり、地域自治、教育など、より多くの分野に広がり、新たな「つながり・支え合い」を創出することができ、より豊かな地域共生社会が実現できる、と強調した。

 
  • 孤独死は現役世代で4割 友だちいない中高年と仲間に埋没する20代 2023.6.7 日経ビジネス
    • ​​数年前から、“ぼっち”という言葉は「孤独」をやゆする否定的な意味合いで使われてきた。“ぼっち”でお弁当を食べるのが恥ずかしくてトイレに持ち込む若者や、文化祭などのイベントで“ぼっち”と思われたくなくてトイレにこもる学生は少なくない。いつの時代も若いときは友達づくりに悩むものだが、今の若者の悩みは昭和おじさん・おばさんの想像をはるかに超えている。「ぼっちは恥ずかしいこと」と考える傾向が強く、孤独との距離感が接近しているのだ。
    • かれこれ10年以上前に、若者たちの間に“仲間至上主義”なるものがまん延し、なんとも言えない不気味さを感じたけど、仲間とぼっちは紙一重。1対1だった友達との関係が「仲間」に置き換わり、常に他人の目にさらされことが、若者の生きづらさにつながっているのではないだろうか。

【2022年】
  • わが国における社会的孤立の状況 早稲田大学文学学術院教授 石田光規 季刊 個人金融 2022 冬 一般社団法人ゆうちょ財団
    • 孤立・孤独は日本社会で個人化が進展してきた 1990 年代後半から 2000 年代にかけて問題視されるようになった。

    • 個人化が進むことで、私たちは「ひとり」になる自由を手に入れた。その一方、つながりを欲する人は、「ひとり」を回避する責任を負わされるようになった。

    • しかし、誰もが十全にその条件を満たせるわけではない。ゆえに、日本社会には孤立の不安がまん延し、つながりの格差が拡がった。

    • 人との接触を「不要不急」の範疇に入れたコロナ禍は、「接触の選別」を押し進め、孤立の不安とつながりの格差をさらに拡大していった。

    • このような状況のなか、「選別」を促進する合理性の論理とは一線を画する居場所が求められている。

    • 今後の課題は、個々人の自発性に配慮しつつ、誰もが肩書きや役割、目的とかかわ

    • りなくふらっと立ち寄れる場所をどのように確保するかになろう。このような場は営利を目的にすると難しい。というのも、営利目的の場は、要不要や役に立つ・立たないといった軸でのふるい分けが生じやすいからだ。

    • 居場所の確保、あるいは、孤立や孤独は、問題が顕在化する前のグレーゾーンの人を対象とすることが多い。それゆえ、顕在化した問題季刊 個人金融 2022 冬 8

    • の対処に長けた行政の支援にはなじみにくいのだ。したがって、行政、営利以外の第三の機関にその役割を委ねることになる。

    •  いくつかの NPO は、すでに居場所づくりの試みを始めている。しかしながら、スタッフと資金というふたつの不足に頭を悩ませている組織は多い。こういった団体を社会で支える体制を構築してゆくことが、「ひとり」の生活が標準となった日本社会の今後の課題である

 

 

  • WHITE PAPER 個・孤の時代の高齢期 誰もがおひとりさまになる社会 2022/10/27 ㈱日本総合研究所
    • 1.これからの高齢期は、一人で生きて死ぬことを想定するべき
       高齢期から死後にかけて助けてくれる人がいないリスクが高い人を「おひとりさま」と定義。おひとりさまは婚姻状態や経済状態に関わらず、困った時に頼る人がいないというリスクを抱えている人を指している。高齢になって亡くなるまで、誰かが必ず支援してくれる保証がある人の方が珍しいかもしれない。
    • 2.おひとりさまの課題はすでに顕在化しつつある
      現状では、成年後見制度や日常生活自立支援事業、自治体や社会福祉協議会が行う死後事務などの独自サービス、身元保証事業者のサービスなど、いくつかのソリューションはあるが、対象者や扱う領域に限界があり、誰でも利用できる状態ではない。
    • 3.高齢期に行うべきことの負担を軽減した上で明確化し、可視化する仕組みが必要  
      ①行うべきことの負担の軽減は、手続きの簡素化と明確化、選択の難度の低下、見通しを立て準備ができる仕組みによって達成できる。
      ②本人以外の誰が行うかを明確にすることは、①を行った上で、分担や分担プロセスを決める、適切な報酬や負担の仕方を決めることによって達成できる。
      ③第三者の介在による実行の担保は、①や②をクリアして準備をした場合、それを可視化し、準備のあることを第三者が知る仕組みによって達成できる。
 
  • コロナ禍でどんな人が孤独・孤立を感じているのか~「第8回 新型コロナによる暮らしの変化に関する調査」より 2022年05月31日 ニッセイ基礎研究所​​
    • 本稿では、ニッセイ基礎研究所の最新のコロナ調査結果を用いて、どんな人が孤独・孤立を感じているのかを詳しく分析した。その結果、コロナ禍の行動変化の影響では、対面コミュニケーションや移動時間、運動時間、仕事時間、睡眠時間が減った人などが、孤独・孤立を感じている割合が大きかった。

    • また、非対面コミュニケーションやSNS、自宅での飲酒量が増えた人も、孤独・孤立を感じている割合が大きかった。

    • 暮らしや社会の変化に対しては、人間関係不安、健康不安、経済不安を抱えている人が、孤独や孤立も感じている割合が大きかった。

    • そのうち人間関係については、単なる希薄化ということだけではなく、自粛生活の延長上に生じる他人に対する監視や非寛容、偏見・中傷といった、眼に見えないネガティブな風潮への不安が、関係していることが分かった。こういった風潮に対する漠然とした緊張感や圧迫感、委縮が、孤独・孤立感につながっているのではないだろうか。

    • 関連:コロナ禍における人間関係の疎遠化と孤立・孤独 「第7回 新型コロナによる暮らしの変化に関する調査」より 2022年03月09日ニッセイ基礎研究所
      • ニッセイ基礎研究所が昨年12月に実施したインターネット調査によると、コロナ後に、対面コミュニケーションが減った人は約4割、1人で過ごす時間が増えた人は約3割だった。

      • また、コミュニケーションの減少により、孤独や孤立を不安に感じている人は4人に1人の割合に上った。年代別でみると、20歳代では不安を感じている人が最多の約3割に上った。

      • また、孤独や孤立に不安を感じている人は、うつ病や認知機能低下に対しても、不安を抱えている傾向が非常に強いことが分かった。

  • 「孤独・孤立」の実態調査から見えるもの 『週刊東洋経済』 2022年5月21日号(発行:東洋経済新報社)「経済を見る眼」に掲載 みずほリサーチテクノロジーズ
    • 今年4月に内閣官房孤独・孤立対策担当室が、全国の2万人を対象にした「孤独・孤立」の実態調査の結果を発表した。

    • 調査結果を見ると、「どの程度、孤独であると感じることがあるか」という問いに対して、「しばしばある・つねにある」と回答した人(以下、孤独群)が4.5%に上る。属性を見ると、未婚者や離別者、一人暮らし、失業者、派遣社員、低所得者などで孤独群の比率が高い。これらは従来の調査でも指摘されてきた点であるが、以下の3点は注目すべきであろう。

    • 第1に、孤独感を持つ人に、現在の孤独に至る前に経験した出来事を尋ねると、①一人暮らし、②家族との死別、③心身の重大なトラブル、④転校・転職・離職・退職、⑤人間関係による重大なトラブル、などが挙げられている。

    • これらの出来事は、おおむねつながりの希薄化を伴っており、孤立があって孤独感が強まるという経路がうかがえる。

    • 第2に、年齢階層別に孤独群の比率を見ると、20代・30代で8%弱と高いのに対して、70代では1.8%と最も低い。

    • しかし、孤独感が低くても、高齢期の孤立自体は大きな問題だ。筆者が関与した調査でも、会話頻度が低い人や頼れる人がいない人の比率は、高齢者ほど高い。身寄りのない高齢者に「頼れる人」がいなければ、いざというときにSOSを出すことが難しい。社会全体で対応することが求められる。

    • 第3に、孤独群の54%が「5年以上、孤独感が継続」と回答している点だ。抱える課題の解決は容易でないことが推察される。孤独群に相談援助を行う支援団体は、課題解決というよりも、つながり続けること自体を目的にした支援が重要になるだろう。

  • エビデンスに基づく孤独・孤立政策に向けて -「孤独・孤立の実態把握に関する全国調査」結果より― 2022年5月2日 ㈱日本総合研究所
    • ​これまで孤独・孤立に関する実態把握は断片的なものしかなかったが、2021 年 12 月に初めての実態調査が行われ、その結果が 4 月に公表された。結果をみると、「常に・しばしば」孤独を感じている人の割合は全体の 4.5%であり、先行して孤独対策に取り組んでいる英国に比べると低い。英国とは対照的に、女性よりも男性の方が孤独を感じている。ただし、未婚者や独居者の回答比率が低いため、実際よりも孤独・孤立を抱える人の割合が低く算出されている可能性がある。

    • 孤独の測定には、本人に「孤独であると感じる」かどうかを判断させる「直接尺度」と、孤独を示唆する複数の状況調査から評価する「間接尺度」がある。実態調査の結果、両尺度による測定結果には相違があることが明らかになった。一つの尺度のみを用いて判断すると孤独である人を見落とすリスクが高いため、直接尺度と間接尺度を併用することが望ましい。

    • エビデンスに基づいた効果的な孤独・孤立対策を行っていくにあたり、以下の取り組みが求められる。

    •  第1に、同じ標本を対象とした追跡調査を実施すべきである。継続的な調査によってライフイベントと孤独・孤立の関係を把握できれば、有効な対策を打つことができる。

    •  第2に、孤独・孤立対策のための実態調査だけでなく、教育・保健・介護などの分野の既存調査にも孤独・孤立に関する項目を盛り込むことを検討すべきである。

    •  第3に、孤独・孤立データを広く利活用するために、オープンデータとして提供すべきである。同時に、自治体や支援団体が保有するデータについても提供を呼びかけていく必要があるだろう。

    •  第4に、実態調査を踏まえ、どの水準以上の孤独・孤立について解消を目指すのかのボーダーラインの設定が必要である。孤立については確立された尺度がないため、測定手法を開発する段階から始める必要がある。これらを孤独・孤立対策のKPIとし、モニタリングしていくべきである。

 

  • SNS上での交友関係が豊かでも、現実世界でそうとは限らない:中高年者へのインターネット調査 令和4年(2022年)4月27日 地方独立行政法人 東京都健康長寿医療センター研究所
    • ​性別と年齢に回答のある 40 歳以上で、FB アカウントを持つ 2,320 件を解析しました(男性 68.8%;平均年齢 67.6 歳)。

    • 「FB 上での友達」の平均は 96.3人で、そのうち、「実際に親密な付き合いをしている人」は 8.4人、「困った時に助けてくれそうな人」は 3.5人でした。相関を調べてみると、FB 友達数が多いほど、その中で親密な付き合いをしている人の数も多い傾向がありました。しかし面白いことに、困った時にあなたを助けてくれそうな人についてみてみると、FB 友達数 500人までは友達数と困った時にあなたを助けてくれそうな人の数には相関がありますが、501人以上になると困った時にあなたを助けてくれそうな人の数は上がり止まっていました。

    • 本研究は、SNS 上の友達が多くても、困った時に助けてくれるような実際に機能する相手は一部に限られてしまうということを示唆しています。

    • SNS はつながりをつくるための強力なツールです。しかし、現実のつながりを補完する、あるいは既にある実際のつながりを強化する働きはあれど、現実のつながりを完全に代替できるものではないようです。オンラインでのつながりの良い面も悪い面も、そして限界もあるということを覚えておいた方が良いといえます。

  • 社会的孤立の実態とその問題点についての考察『個人金融』2022年冬号(2022年2月発行) みずほリサーチ&テクノロジーズ
    • 本稿では、みずほリサーチ&テクノロジーズ(2021)『社会的孤立の実態・要因等に関する調査分析等研究事業報告書』(厚生労働省令和2年度社会福祉推進事業)を活用して、社会的孤立の実態とその問題点を実証的に考察した。

    • まず、社会的孤立の実態をみると、主な特徴として、60歳以上の未婚者や離別者で、社会的孤立に陥る人の比率が高いことがあげられる。また、高齢期と現役期の単身男性や、ひとり親世帯で社会的孤立に陥る人の比率が高い。

    • 次に、社会的孤立の問題点として、孤立者は非孤立者に比べて、経済的困窮に陥る人の比率が高いことや、生きる意欲や自己肯定感が低いこと、さらに健康状態がよくない人の比率が高いことがあげられる。

    • 社会的孤立への対応として、新たな相談支援の在り方として、支援者が孤立者とつながり続けることを目的とする「伴走型支援」の有用性などが指摘されている。今後、新たな支え合いに向けた取り組みの強化が求められる。

 

  • 東京で多い孤独死 ソーシャル・キャピタルが解決のカギ 吉田浩( 東北大学大学院 経済学研究科・災害科学国際研究所教授) 2022年1月28日 Wedge ONLINE
    • ソーシャル・キャピタルは、橋や道路のような実物的な資本<国際的には社会資本とは言わず「公共資本」(パブリック・キャピタル)と呼ばれる。>ではなく、地域の人々の間に培われている信頼、規範、協働(ネットワーク)のような目に見えない価値としての資本である。したがって、地域の生活を維持するための財やサービスを作り出す要素して、①就業者(労働力)、②物的な資本(生産設備や公共資本)の他に、今あげた③ソーシャル・キャピタルも、重要な役割を果たしているという考え方が成り立つ。

    • 「レガタム繁栄指数」は、世界各国の繁栄度(豊かさ)をさまざまな指標から算出して示している。この繁栄指標は、①市民を排除せずに社会の一員として取り込む「社会的包摂性(インクルーシブソサイアティ)」、②開かれた経済、③個人に力を与える環境を表す「エンパワードピープル」の3つの分野から構成され、それぞれの分野で、①は「社会的安全性」「個人の自由」「社会の統治」「ソーシャル・キャピタル」、②は「投資環境」「起業しやすさ」「市場へのアクセス」「経済的な質」、③は「住環境」「教育」「健康」「自然環境」と評価項目が提示されている。

    • ソーシャルキャピタルの構成要素

      • 個人(友人)や家族の信頼協力関係

      • 他の個人に対する信頼や援助

      • 市民社会・政治活動に対する参加

      • 個人を援助する社会的な助け

      • 社会組織(政府、司法、金融機関等)への信頼

    • このレガタム繁栄指標の2021年版では日本のランキングは167カ国中19位であった。

    • 滋賀大学・内閣府経済社会総合研究所 共同研究(2016)の「ソーシャル・キャピタルの豊かさを生かした地域活性化」によると、ソーシャル・キャピタルは、「人口増加率が高い地域ほど低く、人口減少率が高い地域ほど高い傾向」にあると指摘している。地方部には地域の持続可能性に影響を及ぼすソーシャル・キャピタルが相対的に多く存在していることが分かる。

    • ソーシャル・キャピタルを高めることは、高齢化や人口減少に直面する地方の持続可能性を高めるという量的な側面だけでなく、それを通じて地域全体の豊かさや満足度を高めるという質的な重要性を持っているといえる。

【2021年】
  • ちゃんとなんてしなくていい。「みんなの居場所」に流れる優しい時間、深まる人とのつながり 2021.12.07 日本財団ジャーナル
    • 新型コロナウイルスによる自粛生活や失職などの影響で、孤立・孤独問題が深刻化
      悩みが多様化する現代こそ、井戸端会議のようなぽろっと何でも話せる場所が必要
      ちゃんとなんてしなくいい。失敗しても笑って流せるような関係が人とのつながりを生む
       

  • 総論 フレイルの全体像を学ぶ 6.社会的フレイル: 概念とアプローチ 公開月:2021年9月 東京都立大学健康福祉学部 准教授 藺牟田洋美 (公財)長寿科学振興財団
    • ​フレイルとは、高齢期において生理的予備能が低下することでストレスに対する脆弱性が亢進して不健康を引き起こしやすい状態と定義される1)。フレイルは身体的な問題のみならず、認知機能障害やうつなどの精神・心理的問題、独居や経済的困窮などの社会的問題を含む概念とされる。

    • 孤食、社会的孤立、閉じこもりが社会的フレイルの一つの現象である。

    • また、社会的に良好な状態にも言及しているWHOの健康の定義とも整合し、フレイルに社会的問題を含めたことは有意義とされる。高齢者において、社会的環境がその予後に大きな影響を及ぼしているにもかかわらず、社会的フレイルの定義に関するコンセンサスはまだない。

    • 週1回未満の外出しかしない閉じこもりの男性の7割は社会的孤立に該当し、閉じこもりの女性の4割が社会的孤立に該当した。また、非閉じこもりで社会的孤立でなかった人に比べて、閉じこもりに社会的孤立が重積した場合には、男女とも4年後の総死亡リスクが非常に高くなることが明らかとなっている。

 

 

​​​【2020年】
  • 骨太方針に盛り込まれた「社会的処方」の功罪を問う-薬の代わりに社会資源を紹介する手法の制度化を巡って 2020年11月30日 ニッセイ基礎研究所
    • ​社会的処方とは、例えば、仕事のストレスや孤独感で不眠を訴えている人に対し、睡眠薬を処方しても対症療法に過ぎず、不眠を解決しようとすると、ストレスを生み出している原因を考える必要がある。そこで、社会的処方の考え方に立つと、患者の趣味に近いサークルなどを紹介することで、ストレスを解消する方策が考えられる。
    • ただ、医師がコミュニティのサークルなどを知っているとは限らないため、「リンクワーカー(Link worker)」という非医療職の市民が間に立ち、患者と社会資源を繋げている。

    • 社会的処方の場合、医療の観点から社会資源に視野を広げようとしているのに対し、ソーシャルワークは数多くのサービスや社会資源の一部として医療を捉えている点で、発想は逆である。この結果、社会的処方には「医療化」の危険性が付きまとう。医療化とは医療社会学の概念であり、ここでは一般的な意味として「医学で解決しなくても済む健康上の課題について、医療や医学が必要以上に介入すること」と整理する。

    • 社会的処方について、今年7月の骨太方針(経済財政運営と改革の基本方針)でモデル事業の実施方針が唐突に盛り込まれたのを受け、社会保障審議会(厚生労働相の諮問機関)では介護報酬への反映も視野に入れた議論が展開されている。
      しかし、筆者自身としては、(1)英国と医療制度が大きく違う、(2)ソーシャルワークの違いが不鮮明――という2つの点で、診療報酬への反映など本格的な制度化には慎重な姿勢が求められると考えている。

 
  • 世界初「孤独担当大臣」置いた英国 孤立を社会問題と見る国の取り組み 2020.01.08 朝日新聞GLOVE+
    • オーストラリア発祥とされる「男たちの小屋(男たちの小屋)」は、英国でも13年ごろから急速に広がった。全英メンズ・シェッド協会によると、現在500以上あり、利用者は1万2000人超。背景には、英国民の「孤独」への危機感がある。

    • 18年1月、メイ英首相(当時)は「孤独は現代の公衆衛生上、最も大きな課題の一つ」として、世界初の「孤独担当大臣」を任命した。

    • 「対孤独戦略」と銘打った18年10月発表の報告書で、英政府は「孤独」について次のような定義を採用している。

    • 「人付き合いがない、または足りないという、主観的で好ましくない感情」「社会的関係の質や量について、現状と願望が一致しない時に感じる」

    • 英政府は、23年までに全国の健康医療システムに「社会的処方」を適用する方針を決めた。総合医療医が医療ではなく「社会的処方」が必要だと判断すれば、「リンクワーカー」に連絡。リンクワーカーが孤独な人のニーズに合った地域活動への参加を手配したり、ケアを受けたりできるよう調整したりする。

    • BBCラジオなどの調査では、16~24歳の若者がどの年代よりも頻繁に最も強く孤独を感じるという結果だった。20年度からは小中学校のカリキュラムに孤独の学習を組み入れることを決めた。

 
【2014年】
  • 社会的孤立の状況(OECD諸国の比較) 社会実情データ図録 2008年7月11日収録、最新更新2014年7月16日
    • ​出所である"Society at a Glance"という統計集は、OECD諸国の社会政策について「一般的な背景」「自立」「公正」「健康」「社会的結束」の5項目にグループ化した指標で明らかにしている。ここで取り上げたデータは、「社会的結束」(Social Cohesion)に属する指標である。

    • 日本の社会的孤立度の高さの理由については、2つの見方が成り立つ。ひとつは、伝統的な社会の絆が戦後の経済発展の中で失われてきたが新時代に順応したコミュニティが形成されていないためとする見方、もうひとつは、社交がなくとも生活に支障が生じない経済や社会が成立しているためとする見方である。

[2011年]
  • 書評:河合克義著『大都市のひとり暮らし高齢者と社会的孤立』 評者:とう しゅん(鹿児島国際大学大学院 福祉社会学研究科博士後期課程) 大原社会問題研究所雑誌 №634/2011.8
    • 「いつも一人で赤とんぼ」と書き込まれた短冊を残し,死後1ヵ月の遺体となって発見された90歳の女性,行旅死亡人という名の身元不明で亡くなった人々―昨年の初め放映されたNHKスペシャル「無縁社会」は,こうした引き取り手のないまま自治体によって火葬・埋葬される3万2千人の実相をクローズアップし,多くの人々に衝撃を与えた。

    • 河合克義『大都市のひとり暮らし高齢者と社会的孤立』は,社会的孤立という視点から大都市のひとり暮らし高齢者の実態解明を行った研究成果の集大成であり,上のような社会的現実と研究課題に挑戦した,まさにタイムリーな労作である。本書は,社会的孤立に関する初めての本格的な研究と言ってもよいものである。

    • ​目次

      • 序 章 ひとり暮らし高齢者の地域的偏在

      • 第1章 海外における高齢者の孤立問題研究

      • 第2章 日本における高齢者の孤立問題研究

      • 第3章 ひとり暮らし高齢者の社会的孤立問題の視点

      • 第4章 ひとり暮らし高齢者の生活の基本的特徴

      • 第5章 ひとり暮らし高齢者の親族・地域ネットワークと孤立問題

      • 第6章 港区ひとり暮らし高齢者の具体的生活

      • 第7章 鶴見区ひとり暮らし高齢者の具体的生活

      • 終 章 大都市のひとり暮らし高齢者と具体的生活

    • 氏は孤独と社会的孤立を厳密に区別するとともに,孤立状態を社会的孤立と定義する。タウンゼントが初めて孤独と社会的孤立を区別し,孤立研究を一歩進めたとすれば,著者はその議論をより一層発展させ,日本における高齢者の孤立研究に新しい頁を開いたと言えよう。

    • 著者は,「階層性」「家族と地域社会の脆弱性と孤立問題」「政策が作り出す孤立と餓死・孤独死」という3つの要素から,社会的孤立という視点を問題提起している。

      • 第1に,ひとり暮らし高齢者の孤立は,独立して他とは無関係に,また個人的な事情で発生するわけではなく,特定の生活状態から生み出されるものであると論じられていることである。

      • 第2に,親族ネットワークと地域ネットワークの状況から孤立状態を捉えようとされていることである。

      • 第3に,政策が孤立と餓死・孤独死を生み出したという視点から,生活保護制度を例とし,諸制度・政策の方向性やあり方について検討されている。

​【2010年】
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