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影響分析・提言等 [2020年6月~10月末]
 
  • 企業の新型コロナウイルスへの対応と2009年新型インフルエンザパンデミックへの対応との比較 指田朝久 東京海上日動リスクコンサルティング株式会社 地域安全学会梗概集 No.47, 2020. 10
    • 日本の COVID-19 第一波の総括
      • ①多くの企業で 2009 年の新型インフルエンザ対策マニュアルの想定を超えた状況となっており,その場で対応を考える危機管理となった.
        ②日本では東アジア諸国と同様に何等かの理由で諸外国や欧米と比較して感染者,死者の実数が少なく,企業の国内の操業に与えるインパクトは大きくなかった.
        ③経済的な打撃は世界中の都市封鎖や日本国内の自粛要請によるものが圧倒的に大きかった.
        ④BCP ではサプライチェーンの停止による影響が一部で発生したが,需要も減少したため結果的になんとか乗り切れた.自社で感染者が続出して操業が止まった企業はほぼ皆無である.従って現時点では各社の BCM をはじめとする対策は真に検証されてはいない.
    • COVID-19 で企業が直面していること
      • ①感染症対策,②BCP,③需要蒸発:危機管理,④風評災害人権対策等.これらの4つについて区別して議論と対策を行うことが必要である.なお,リスク対策.com の2020 年 5 月の調査では,感染症想定 BCP 策定済み 9%,クロストレーニング実施済み 4%,スプリットチーム実施済み36%,感染症想定 BCP 訓練実施済み 3%と低かった.
    • 今後直面すること
      • 経済活動と感染予防との両立が難しい.国の財政余力が限られる中,強力な自粛要請と協力金をセットで考える対応は取りにくい.一方季節性インフルエンザの年間死者数は1万人が許容されている.COVID-19はどこまで許容するかの国民的議論が必要である.インフルエンザと異なりCOVID-19が恐怖感を与えているのはワクチンと有効な特効薬が無いことおよび医療崩壊の可能性によると考えられる.COVID-19と共存する社会を考えるうえでワクチンの企業の中の接種の優先順位の検討も課題である.感染リスクの高い職場で社会のために働くエッセンシャルワーカーの役割を改めて認識することが求められている.
 
  • 感染症に強い国づくりに向けた感染症研究プラットフォームの構築に関する提言/CRDS-FY2020-RR-05 2020年10月 科学技術振興機構 研究開発戦略センター
    • ポストコロナを見据えた我が国の感染症対策に資する科学技術戦略として、以下の5 項目を重点的に進めるべき項目とした。
      • 項目1 病原体に対する幅広い基礎研究とそこから得られる知識の統合
      • 項目2 ヒトを対象とした宿主 病原体研究推進のための研究基盤の構築
      • 項目3 加速的な診断・治療・予防法開発と実用化を可能とする多分野融合・産学連携研究構造の整備
      • 項目4 自然・人文・社会科学の統合知による感染症対策関連研究基盤の構築
      • 項目5 保健 医療体制・感染症検査体制の強化に資する研究領域の活性化
    • ライフサイエンス・臨床医学の観点から長期的視野に立ち、今後も起こり得る感染症危機において我が国での健康被害を最小限に抑えるためには、感染症研究基盤を盤石にすることが重要であると考えた。そこで、特にこれらの重点項目を牽引するための以下の3つの提言に至った。
      • 提案1:宿主-病原体双方からの感染症研究の推進
      • 提案2:微生物ゲノム情報データプラットフォームの構築・共有体制の整備
      • 提案3:感染症対策に資する人文・社会科学と自然科学研究の協働の推進
 
  • 目指すべきポストコロナ社会への提言 ─自律分散・協調による「レジリエントで持続可能な社会」の実現に向けて 2020.10.19 株式会社三菱総合研究所
    • レジリエントで持続可能な社会の実現に向けて
       第一の柱:自律分散協調社会を実現する
       第二の柱:新しい社会課題解決を付加価値創出につなげる
       第三の柱:国際ルール形成と重層的協調を主導する
    • ポストコロナのより良い未来
      • 日本がコロナを含む多くの試練を乗り越え、明るい未来を切り開くためには、みえてきた潮流の変化をチャンスととらえ、官民が積極的に行動を起こすことが大切だ。「自律分散」と「協調」の二つの軸により、積年の社会課題の解決を図る。その挑戦の過程で、デジタル技術を積極的に活用しつつ、イノベーティブな新しい社会モデルの創造を目指すことが、持続的な経済成長と豊かさ向上の原動力となる。
 
  • 第3回 新型コロナウイルスによる生活と意識の変化に関する調査(コミュニケーション編) ~“新しい生活様式”が生んだ、新しいコミュニケーションの問題 ~ 2020 年 10 月 16 日 株式会社 第一生命経済研究所
    • 感染拡大防止のための“新しい生活様式”実践度の推移
    • 「外出時のマスク着用」「外出後の手洗い・消毒」は、緊急事態宣言の解除直後より微減するも、今も9割近くが実践。会話時に人との距離(ソーシャル・ディスタンス)をとる人は、宣言発令直前より増加。
    • “新しい生活様式”での対面コミュニケーションの問題点
    • マスクをしている自分の声が伝わりにくい・相手の声が聞こえにくいと感じる人は7割。会話の相手との距離や透明な仕切りがあるために会話しにくいと感じる人も過半数。
    • “新しい生活様式”での対面コミュニケーションへの対応
    • マスクをして話す時に、表情や発音に気を配る人が4割を超える一方で、無意識に声が大きくなる人は過半数。
    • オンラインでのコミュニケーションの状況
    • 自分や相手が「顔の映像を出さずに話すこと」があるという人は約4割。
    • オンラインでのコミュニケーションの問題点
    • 「話すタイミングが難しい」「相手の反応がわかりにくい」と感じる人は約半数。特に、相手の顔が見えない場合は、4人に3人がそう感じている。
    • オンラインでのコミュニケーションへの対応
    • 相手の話に対して「あいづち」「うなずき・ジェスチャー」で積極的に反応を示すことがある人は約4割。
    • 対面に比べたオンラインでのコミュニケーションのしやすさ
    • 「対面よりオンラインのほうがコミュニケーションしやすい」と感じる人は 27%。特に、オンラインでのコミュニケーション頻度の高い人がそう感じている。
 
  • ポストコロナ社会に向けたデジタル化の課題  フューチャー株式会社 取締役山岡 浩巳 2020年10⽉2⽇ 財務総合政策研究所 講演会資料
  • 講演録
    • ポストコロナ社会においてデジタル化を進める上では、デジタル技術で何を実現したいのかという目的を明確に定める必要がある。支払手段のデジタル化・キャッシュレス化が多様な形で急速に進み、中銀デジタル通貨の動きも加速するなど、通貨間競争は激化している。
    • この中で日本がマクロ政策の自律性を確保していくには、円そのものの信認の維持が重要となる。そのためには、財政健全化の不断の取組みや金融システムの安定が引き続き求められる。
    • デジタル化により、企業活動や行政の規制・監督のあり方も大きく変わる。また、社会がどこまでデータの共有を認めるべきかを正面から問う必要が出てくる。
    • デジタル化が世界的に進む中で、日本は「自由で民主的な社会を前提とするデータの活用」という考え方を積極的に世界に向けて訴え、デジタル技術も活用しながら新たな価値の実現に取り組む姿勢をアピールしていくことが求められる。
    • デジタル化を日本の発展につなげるために
       デジタル化で実現する目的の明確化、「オープン」、「アジャイル」
       ・ 「支出先にありき」、「過去の無謬性への拘り」は失敗の元
       ・ クラウド等を活用し、オーバーキャパシティやLock-inを避ける
       実務・制度なども含めたエコシステムの構築
       ・ デジタル化とは「紙をデジタルに置き換える」だけではない
       ・ マニュアル作業の合理化・効率化が重要(「両面対応」は大変なコスト)
       安定的なマクロ政策運営
       ・ 「デジタル通貨」などの取り組みも、円への信認が前提
       ・ 成長を導くのはデジタル化への支出そのものではなく、デジタル化による生産性・収益性・効率性の 向上(含む第一次産業、医療、移動、教育)
       世界の議論をリードする情報発信
       ・ データの活用と、個人の尊厳・プライバシーなどの近代的価値の両立
       ・ SDGs、ESG、多様性などの価値の実現にデジタル技術を活かす
 
  • 中国モデルは限界露呈、ポストコロナは「コンパクト民主主義」を目指せ DAIMOND online 8/11(火) 6:01配信
    • 「コロナ後の社会」には、グローバリゼーションを超えた「スーバー・グローバリゼーション」が出現するだろう。グローバリゼーションとは、移動・輸送手段や通信技術の発達によって、ヒト、モノ、カネが国家や地域などの境界を越えて大規模に移動することによる、地球規模での社会、経済の変化である。この文脈では、国家を超えて活動する多国籍企業体や国際機関、欧州連合(EU)のような超国家共同体など巨大組織が勢力を拡大してきた。
    • それに対して「スーバー・グローバリゼーション」は、ITのさらなる進化により、移動すら必要ない。在宅でパソコンやスマートフォンを操作するだけで、世界中のモノを購入でき、ビジネスが行われ、行政サービスも受けられる。のみならず、政治的な国際交渉までが行われる。個人が国家・企業へのハッキング、サイバー攻撃が可能という世界だ。個人が国家や巨大組織を凌駕することもある、従来の常識を超えた世界の出現である。
    • 全国一律の新型コロナ対策を実施しようとする中央集権体制よりも、地方自治体や、中小規模国家・地域の「コンパクト・デモクラシー」が台頭している。「コンパクト・デモクラシー」は、政治・行政と市民の間の距離が近く、民主主義が機能しやすいのが特徴だ。議員との直接対話や陳情・請願、情報開示請求、市民参加、住民投票など、さまざまな民主的手法を市民が駆使。それによって、政治・行政による人権侵害を防ぐチェック機能を確立することができると考える。
    • スーバー・グローバリゼーションでは、世界の地域と地域が、国家という枠を超えて直接結び付く(第229回)。そして、個人の活動が劇的に広がる。若者がSNSを通じて世界中から資金調達して起業する。表現活動を行い世界的スターになる。在宅のまま世界中の大学の授業が受けられ、権威ある学術誌の枠を超えて、ネット上で最先端の研究が日々アップデートされることも珍しくなくなるだろう。
    • このような時代に、従来の国家という枠組みはもはやセーフティーネットとならない。個人の権利を民主主義的に最大限に尊重しながら、テクノロジーを駆使して現場の状況を的確に把握して、スピード対応でリスクを封じ込め、必要な措置を柔軟かつ機動的に行う必要がある。「コンパクト・デモクラシー」こそ、ポストコロナ時代の適切な社会モデルであると考える。
 
  • コロナ危機後の多国籍企業とコンパクト都市:グローバル価値連鎖の本社機能 瀬藤澄彦(帝京大学 元教授)2020.08.10 世界経済評論IMPACT
    • ポール・クルーグマンによれば21世紀のグローバリゼーションの最大の特徴は,多国籍企業の業務活動がその最適配置を求めてグローバルに分散していることである。その分散のパターンは米国型,欧州型,日本型と大きく分類されると同時に業種別にも戦略的にも区別されてきた。
    • あらゆる業種のすべての商品はグローバルな価値連鎖の最適な分散のなかで企画,調達,組立て生産,流通販売を行ってきた。
    • このような分散するグローバルな経営戦略を統合総括する世界本社が世界中に拡がるネットワークの頂点に立って制御,統率を行っている。世界の有力都市の序列はこのような巨大な多国籍企業の統括本部の立地があるかどうかによって決定される。今このネットワークに亀裂が入りつつある。
    • EU委員会の発表するデジタル都市世界ランキングでは第58位(2019年)の日本にとっては待ったなしである。デジタル田園都市構想,都市情報プラットフォーム,デジタル・トラスフォーメーション(DX),デジタル技術による医療技術を介した高齢化対策,などを一刻も早く推進すべき時である。
    • コロナ危機によって都市圏は知的職業従事者の集結していく空間にますます高度化していく。これはまたリチャード・フロリダが創造都市はコロナ後に復活してくると予言してことにも符合する。コンパクト・シティの空洞化は起こらないが,中間階層以下のひとびとの移動が予想される。
  • 今後想定される感染状況と対策について 新型コロナウイルス感染症対策分科会提言 令和2年8月7日
    • 会経済と感染対策の両立のための目標と基本戦略:政府への提案
      • 目標 :医療・公衆衛生・経済が両立しうる範囲で、
        • ①十分に制御可能なレベルに感染を抑制し、死亡者・重症者数を最少化。
        • ②迅速に対応し、感染レベルをなるべく早期に減少へと転じさせる。
      • 基本戦略:1.個人・事業者:ともに協力し、感染拡大しにくい社会を作る。
        • 2.社会:集団感染の早期封じ込め
        • 3.医療:重症化予防と重症者に対する適切な医療の提供
  • ICT利活用 今こそ備える ~第2波/第3波および将来の感染症に向けての方策とICTの活用 (株)情報通信総合研究所 前・顧問 平田 正之 2020年7月30日掲載 InfoComニューズレター
    • 当面の課題への方策と情報通信の役割についてのみ述べます。
    • (1) 医療・診療体制の強靭化→ICT利活用による統制強化
        ①治療・隔離対策――重症、中等症、軽症・無症状の分離(神奈川モデルの例)
        ②検査体制――感染者の早期発見、健保組合の施策充実等
    • (2) 国のガバナンス整備→ICTを使った情報発信と十分な周知・アクセス
        ①統合機能の確立、政府と知事の権限と役割の明確化
        ②国民生活の維持と経済回復の両立――多方面の専門家集団の結集
        ③長期に渉る対策の持続性維持――赤字国債返済、財政再建の道筋
    •  (3) マイナンバーカードの普及とデジタル化促進→これこそ本命の施策
        ①電子申請、手続迅速化、署名・印鑑慣行の変革
        ②PC/スマホとの連携とシステム化――省庁や自治体ごとのシステム不統一の解消
        ③システム統合と自治・分権の利害調整――毎度繰り返す論議に終止符
    • (4) 恒久的行動変容の追求→ICTによって日常行動や働き方、文化を変革
        ①テレワーク、オンライン授業、TV会合など働き方や社会慣行を改革
        ②遠隔診断・医療、電子申請・手続・決済の導入
        ③対面、書面、押印などの文化を変革――トラストサービスの早期導入・普及
    • (5) 人材育成→医療とICT・AI人材の裾野を拡大
        ①感染症の常態化――人材育成に至急着手、医学系・看護系の新増設
        ②公衆衛生にICT・AIを活用――データ収集・分析・シミュレーションに基づく政策判断
 
  • 感染が再拡大、ウィズコロナ下での防疫施策のあり方 - SEIR モデルを用いた感染シミュレーションと経済影響 - 株式会社三菱総合研究所 2020年7月30日
    • 新型コロナウイルス 感染症に対する今後の防疫施策のあり方を検討するための一助として、想定される複数の防疫施策シ ナリオについて、今後の感染状況と経済活動への影響を統合的に検証しました。
    • 結論として、ウィズコロナ下では、防疫施策の強化と緩和を交互に繰り返し、感染者数を一定以下に抑 えることが重要です。医療への負荷、経済への負荷をともに小さくする観点からは、防疫施策の厳格度 を柔軟に調整することで、ピークの感染者数を可能な限り小さく抑えることが必要となります。
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  • 西浦教授が語る「新型コロナ」に強い街づくり 「移動の制御」を正面から議論すべきときだ 野村 明弘 : 東洋経済 解説部コラムニスト  2020/07/16 5:25 東洋経済ONLINE
    • 短中期的に新型コロナの流行を制御し乗り越える努力を続けると同時に、長期的な視野で感染症に強い社会のあり方についても議論を始める必要がある――。そう提言するのが、厚生労働省クラスター班のメンバーである北海道大学大学院の西浦博教授だ。新型コロナは、疫学者にとってもノーマークだった面があると西浦氏は自身を省み、社会のあり方を見直す必要性を強調している。
    • 大地震が起きてから防波堤を作るなど、街づくりを見直す動きが起きているが、それは自然なことだ。加えて次の未知のウイルスも踏まえて、社会や街のあり方を見直す必要があると思う。そのためにも今回起きたことや、その背景やメカニズムを知ることが大切だ。
    • 1つは、都市に集住して、満員電車など人の接触が過剰な人口集中型社会。もう1つは、意外とノーマークだった「移動」だ。低料金で日帰り海外出張が可能になるほど、人々は簡単に国境をまたいで移動している。今回の新型コロナに限らず、最近のジカ熱やエボラ出血熱でもこの2つが触媒となり感染症は国際的に急速に広がった。人口密度や移動率の低い社会を作るため、街づくりや産業のあり方を考え直す必要があるだろう。
    • ドイツの街づくりは理想に近い。ベルリン、ミュンヘン、シュトゥットガルトなどの街が結節状(結ばれてフシとなること)に分散し、個々の街は第1~3次産業までほかの街に依存せず、ほぼ自前でもやりくりできる。ビジネスを含めて人の移動を最小にできる。これは感染症の波及効果が小さくなることを意味する。
      現在の交通ネットワークを捨ててしまうのではなく、感染リスクを高めない形で分業的な生産体制や物流を維持・拡大する代替策を考えていく必要がある。
    • 移動の制御についても、感染症リスクを踏まえたうえでの社会の仕組みとして必要だと認識されれば、移動の自由を唱える人たちとの間で最適解を見いだしていくことはできると思う。
  • ポストコロナの世界と日本 ─レジリエントで持続可能な社会に向けて 三菱総合研究所 2020.7.14
    • コロナ禍での経験は、これまでの世界の大きな潮流を変化させた。その変化には、①既に表れていた潮流の加速、②新たな潮流の出現、③価値の再認識、の3通りがある。これらの視点から、ポストコロナの社会を方向づける3つの潮流を抽出した。
    • ポストコロナで目指すべきは、「レジリエントで持続可能な社会」の実現と考える。このレジリエントで持続可能な社会とは、感染症等のショックに対しても柔軟に耐える社会であるとともに、地球環境を維持しつつ、経済の豊かさ、そして個人のウェルビーイング(身体的・精神的・社会的に良好な状態)を持続的に両立できる社会である。
    • この社会を実現するための方向性として、(1)レジリエンスを高めるために「自律分散」的なシステム構築を目指すこと、(2)政府、企業、市民が持続可能性を重視し「協調」的な動きを行うこと、の2つの軸を据えた。
    • 国際、産業・企業、社会・個人の3分野において、「自律分散」と「協調」の2つの軸で向かうべき方向性を整理すると、国際分野では、①ルールに基づく国際秩序の再構築、②重層的な国際協調が、産業・企業分野では、③デジタルとリアルの融合による新たな付加価値の創出、④マルチステークホルダー経営が、社会・個人分野では、⑤自律分散による社会の強靭化、⑥利他的視点に立った協調、が鍵となる。
 
  • 神対応〟をみせた台湾のコロナ対策、日本が学ぶべきことは?  『なぜ台湾は新型コロナウイルスを防げたのか』野嶋剛氏に聞く 友森敏雄 (「WEDGE Infinity」編集長・月刊「Wedge」副編集長)2020年7月9日
    • 具体的に台湾の対策を見ていくと、まずポイントとなるのが「水際対策」だ。12月31日の午前3時に「原因不明の肺炎治療状況に関する武漢市衛生健康委員会の緊急通知」という文書がネットに上がったことをキャッチし、即日、武漢からの入国者を全員検査する措置をとった。
    • 「日本は中国の情報をWHO経由で得ていたとみられます。日本がコロナ問題で全体に対応が遅れ気味になったのは、流行初期の1月の段階で、WHOの情報を鵜呑みにしたことが原因の一つだと考えられます。中国は、事態の展開がどうなるかわからなかった1月下旬まではウイルスの深刻さを抑えて伝える情報を中心に対外発信をしていましたが、コロナ対策の態勢が整った2月以降は比較的現実に近い形に変えました。残念ながら、そこでWHOも世界もミスリードされてしまいましたが、台湾はそうはならなかった。
    • 2月にダイヤモンドプリンセス号から乗客が降ろされたとき、日本では公共交通機関で帰宅するという措置がとられた。「台湾では、帰国する飛行機のなかでトイレにも行ってはならない。そのためにオムツを用意するという措置までとりました。台湾は感染したかどうかグレーの人も含めて、徹底して隔離しました。
    • マスクの必要性は、SARSのときに在庫が枯渇した経験が生きていると思います。製造機械を政府が買い上げ、業者に作ってもらい、完成したマスクも政府が買い上げて、住民に配る、それぞれのフローのなかで、担当する意思決定者(閣僚)が迅速に対応しました。
    • 台湾で目立つのは、リーダーの意思決定と、コミュニケーション能力だ。日本の場合、閣僚は議員が務めることが多いが、台湾の場合、専門家がそのポストに就くことも珍しくない。情報発信についても、日本のように専門家が行うのではなく、専門家の意見をもとに政治家が行うことが徹底されている。「コロナ禍に限らず、台湾は厳しい国際環境のなかに置かれています。だからこそ、重要なポストにはプロをつけるという緊張感があります。
    • SARSによって、公衆衛生に対する価値観の転換が図られたのだと思います。米国のCDC(疾病対策センター)を参考に、組織整備が行われ、緊急対応を行う中央病情指揮センターも作られました。感染症対策は、国内だけに止まらない仕事で、語学力、情報分析力など医療と違う領域をカバーできる人材が必要で、台湾ではSARS以降、公衆衛生方面の人材を育てていたことが功を奏しました。
 
  • コロナ禍の東京・New York比較と医療イノベーション 2020.07.09 キャノングローバル戦略研究所
    • わが国では、医療機関の混乱を防ぐ目的で保健所がPCR検査を意図的に抑制したことで、市中感染の進行を把握できずに一般の医療機関でクラスターが発生、国民の診療自粛、COVID感染患者を受け入れていない医療機関でも一般医療の縮小、収益悪化という事態に陥った。東京都はNew York市に比べてCOVID19感染患者が35分の1、病床数が3倍であるにもかかわらず実質的に医療崩壊したのである。
    • 多くの先進諸国では医療技術の進歩と共にIntegrated Healthcare Network(略称IHN)と呼ばれる仕組みが医療制度の中核を担うようになっている。New York市には、6つのIHNがある。そのうちNYC Health+Hospitalsは公立病院を核にしたIHNであり、残りの5つは民間非営利病院を核にしたIHNである。
      • IHNは、セーフティネットの責務を果たすために、平時は病床に余裕を持たせる運営をしてきた。
        第1波の際の学習効果もあり、6つの各IHNが設置しているコロナ専門病院を強化し、第1波の時にセントラルパークなどに増設した臨時病床を活用すれば、危機をコントロールできる可能性がある。
        • コロナ専門病院とは、中等症以上のCOVID19感染者を受け入れることに特化した病院のことである。その役割は、患者を特定施設に集約することでCOVID19によって一般医療の機能が浸食されることを軽減することにある。
    • 現在は新規感染者数や重症者数のレベルに応じて都内医療機関に個々に協力依頼をして必要病床を確保する方針のようである。これは、4月初旬にCOVID19感染が疑われる発熱患者が救急車でたらい回しに会った時と変わらない仕組みで第2波に臨むことを意味する。秋に予想されている第2波が第1波の数倍のCOVID19感染者になった場合、現状のままで東京都の医療体制が持ちこたえられるとは思われない。
      • 東京都と比べて感染者が35倍、病床数が3分の1のNew York市の医療提供体制は、核となっている6つのIHNが倒産すことなく、コロナ禍前の状態に戻りつつある。第2波、第3波とCOVID19との闘いが長期戦になればなるほどIHNの意思決定メカニズムがその力を発揮するはずである。
    • 日本以外の先進諸国の多くでは、デジタルヘルスのインフラが既に完成しており、主たる医療機関のWEBサイトにはDigital Health、eHospital、Virtual Careの説明が掲載されている。これにAIによるCOVID19感染者の重症化予測、ロボットによるPCR検査などが加わり、医療提供体制の構造変化が本格的に始まったのである。
    • 安倍政権は、「未来投資戦略2017」でPersonal Health Record(国民一人ひとりが自分の電子診療録を管理し医療チーム内で活用できる仕組み)を2020年までに本格稼働させると公約した。しかし、2020年時点でPHRの欠片すら見えない。
      • その根本的原因は、Integrated Healthcare Networkを全国に配置することができていないことにある。医療情報を基盤とする医療イノベーションを社会実装するためには、国民から信頼されるプラットフォーム事業体の存在が不可欠である。国民が自分の医療情報を納得して預けるのは主治医が勤務する医療機関に限られる。その医療機関がプラットフォーム事業体となるには大規模で非営利が条件となる。非営利でなければ開業医など他の医療機関が患者情報共有に参加しないからである。そして、デジタルヘルスなどイノベーションの経済的メリットの大半を最初に享受するのは保険者である。したがって、医療情報プラットフォーム構築の投資コストを原則保険者が負担する仕組みが必須となる。
      • このロジックを反映させた改革を実行しない限り、わが国の医療制度はますます他国の後塵を拝することになる。
 
  • 2020年4月に急増した休業者のその後 ~ 労働力調査2020年5月分の結果から ~ 総務省統計局統計調査部国勢統計課労働力人口統計室長  中村  英昭 令和2年(2020年)7月8日
    • 2020年4月、新型コロナウイルス感染症緊急事態宣言が発出される中で休業者が急増し、その数は597万人(1年前に比べて420万人の増加)と過去最多を記録しました。緊急事態宣言が全面解除となった直後の5月分の労働力調査(調査期間は5月25日~31日の1週間)の結果をみると、休業者数は423万人(1年前に比べ274万人の増加)と引き続き高い水準となっています。
    • 労働力調査は、毎月約4万世帯、約10万人を対象に調査を行っていますが、そのうちの約半数は4月と5月に連続して調査対象となっています。このうち、4月に休業者であった方が5月にどのような就業状態に移行したか。これによると、2020年4月に休業者であった方573万人のうち、引き続き休業者の方が283万人、従業者に移行した方が252万人、完全失業者に移行した方が10万人、非労働力人口に移行した方が28万人となっています。
    • 割合でみると、
       ・引き続き休業者の方     49.4%
       ・従業者に移行した方     44.0%
       ・完全失業者に移行した方    1.7%
       ・非労働力人口に移行した方   4.9%
 
  • コロナが変えた日本人の「恋愛・結婚」観。相手に求める条件の変化が明確に 2020.07.05 Herverd Business Online
    • 恋活・婚活マッチングアプリ「Pairs」を運営する株式会社エウレカが、「新型コロナウイルスの恋愛・結婚の価値観への影響調査」を実施
    • 約2割がコロナウイルスの感染が拡大したこの2~3ヶ月で「恋愛観に変化があった」と解答した。具体的には”自分とは異なる考えや意見、行動をする人を(コロナ禍で特に)目にするようになり、同じ考え、感覚を持った人がいいなと思うようになった”など、従来から重要視されていた「価値観の一致」をさらに重視する人が増えている。 結婚についても、同様の回答が見られた。
    • 「新型コロナウイルス終息後の恋活・婚活方法の変化」について聞くと、20~39歳の結婚意向ありの人のうち24%が「変化がある」と回答している。これまでとは違い「不特定多数が集まる場所は控えたい」と考える人が少なくないようだ。
 
  • 提言 感染症の予防と制御を目指した常置組織の創設について 令和2年(2020年)7月3日 日本学術会議 第二部大規模感染症予防・制圧体制検討分科会
    • 2 現状と問題点
      • COVID-19 流行は、わが国が新しい感染症に対するレジリエンスが不十分であることを
        改めて認識させ、感染症対策とそれに付随する社会・経済的影響への対応など様々な問題点を浮かび上がらせた。特に対応が困難であった点は、無症状病原体保有者の把握とその対応、ウイルス検査と保健・医療の現状分析と必要な体制の整備、感染源・感染経路対策と、その結果生じたこれまでに経験のない社会・経済的影響への対策と人々の現在と将来の生活への不安・ストレスへの対応、人権問題としての誹謗中傷・差別、入国制限の判断、クルーズ船検疫などであった。
    • 4 提言
      • (1) 内閣府に常設の組織として感染症予防・制御委員会(仮称)を設置すべきである
      • (2) 都道府県に常設組織を設置すべきである
        • 感染症対策に関して都道府県知事に助言を与える専門家の常設組織を設置すべきである。この専門家委員会には、保健所長、感染症の様々な側面に関する学問分野の専門家、医師会・主要医療機関の代表などが入ることが望ましい。
      • (3) 体制の強化
        • 感染症研究の促進、人材の養成、流行時の緊急対策等の観点から、感染症対策に関わる機関の体制を強化し機能を高度化すべきである。特に、国が責任をもって感染症に関するデータセンターを設立し、国内全ての感染症および感染症対策に関する基礎的・疫学的・臨床的電子データを保存すべきである。また、このようなデータを必要とする幅広い研究者に提供し、オープンサイエンス1を促進する環境を整備すべきである。
 
  • 新型コロナ関連破たん、東京74件で最多 全国で305件 公開日付:2020.07.02 東京商工リサーチ
    • 7月2日17時現在、「新型コロナ」関連の経営破たん(負債1,000万円以上)は、全国で305件(倒産242件、弁護士一任・準備中63件)に達した。2月2件、3月22件から4月、5月は80件台に急増。6月はこれを上回る103件が発生、7月は2日までに11件発生した。
    • なお、集計対象外だが、負債1,000万円未満の小・零細企業・商店の倒産が7件判明している。水面下では、制度融資や支援策などを活用しないままに休業状態に陥ったケースも増加しており、これらの「休業企業」の動向にも注目が集まっている。
 
  • 新型コロナウイルス感染症に関する情報流通調査 2020年6月 総務省 総合通信基盤局 電気通信事業部 消費者行政第二課
    • 新型コロナウイルス感染症に関するデマ・フェイクニュースの実態把握を⾏い、今後の対策を⾏うに当たって参考となる情報を得るため、当該情報に関する国⺠の接触・受容・拡散状況や、当該情報流通に関する意識について調査を⾏った。
    • 新型コロナウイルス感染症に関する情報・ニュースを⾒聞きしたメディア・サービスは、「⺠間放送」(71.6%)、「Yahoo!ニュース」(62.6%)、「NHK」(50.5%)。
    • 信頼できる情報源やメディア・サービスは「NHK」(43.7%)、「政府」(40.1%)、「⺠間放送」(38.0%)。
    • 共有・拡散の⽅法については、「家族や友⼈、同僚などとの会話・電話・メール」(29.2%)、「家族や友⼈、同僚などとのメッセージアプリ(LINEなど)」(11.8%)が多く、「SNSへの投稿」や「SNSでの拡散」の割合は低かった(2.0%、2.6%)。
    • フェイクニュース・デマ)を⾒かけたことがあると答えた⼈は、サービス・メディア別にみると、「Twitter」(57.0%)、「ブログやまとめサイト」(36.5%)
 
  • 米国をモデルにし、人やカネすべてが東京に向かう時代の終わり 「コロナ後の世界」特集(4)広井良典:京都大学こころの未来研究センター教授 2020.6.26 5:15 DAIMOND online
    • ある意味で日本社会全体が「3密(密閉、密集、密室)」だったともいえるのであり、このように考えると、今回のコロナ禍は、むしろこれまでの日本がいささかアブノーマルだった部分に“気づき”、それを(実は多くの人々が望んでいた)本来の人間的な働き方や生活に転換していく、良き意味での“外圧”ないし契機と、とらえられるのではないだろうか。
    • 京都大学に設置された日立製作所の研究開発グループ(日立京大ラボ)との共同研究で、日本社会の現在、そして未来にとって重要と思われる「人口」や「GDP」「高齢化」といった約150の社会的要因からなる因果連関モデルというものを作成し、AIを使って2050年に向けての2万通りの未来シミュレーションを行った。
    • その中で、2050年に向けた未来シナリオでは、主に東京一極集中に示されるような「都市集中型」か「地方分散型」かという分岐がもっとも本質的であり、しかも人口・地域の持続可能性や格差、健康、幸福といった観点からは、「地方分散型」のほうが望ましいという結果が出たのである。
    • 私は「都市集中から地方分散へ」という方向こそが、アフターコロナの日本社会を考えていく上でもっとも重要な軸になると考える。
    • ここで分散というのは、いわば、個人の生き方や人生のデザイン全体を含む、包括的な意味での「分散型」社会である。つまり、“密”から“散”、あるいは「集中から分散」という方向は、個人が従来よりも自由度の高い形で働き方や住まい方、生き方を設計していくことを可能にし、それは結果として経済や人口にとってもプラスに働き、社会の持続可能性を高めていくだろう。
    • 「コロナ後」の社会構想の中心にあるのは、こうした包括的な意味での「分散型社会」への移行なのである。
    • コロナ禍で多くの人が気づいたのは、人やカネの都市集中に象徴される効率性や便利さをひたすら追い求めてきた社会のもろさであり、その中で格差や貧困化が進んでいる深刻さだ。あらゆる面での「分散型社会」への移行ということを積極的に進めながら、格差・分断を増大させないような姿になるためのさまざまな政策を並行して進めていくことが基本テーマになる。
 
 
新型コロナウイルス感染症の影響下における 生活意識・行動の変化に関する調査  令和2年(2020年)6月21日  内閣府 政策統括官(経済社会システム担当)
  • (項目一覧) 1.生活意識の変化 3.将来の生活意識・行動の変化 2.生活行動の変化 4.時点比較/パネルデータ
 
  • 前例に縛られる日本,前例を突破する欧州 鶴岡秀志 (信州大学先鋭研究所特任 教授)2020.06.15 世界経済評論IMPACT
    • 前例に縛られて緊急の医薬品,医療機器承認ができない我国の状況には目を覆いたくなる。トヨタが人工呼吸器を急遽生産しようとして,結局断念したしたことを役所はどれほどの重みを持って理解しているのか(全く判っていないかもしれない)。また,欧米で日本製のPCR装置を始めとした最新鋭機器が使われていても国内で使えないというジョークのような本当の話。
    • 5月22日の深夜にフランス在住の友人から電話があり,「COVID-19対策で欧州R&Dテーマの緊急2次募集が開始された。欧州有力研究者でチームを組むので,日本で開発されているカーボンナノチューブ(CNT)センサーを使えないか」と要請された。欧州研究グループには,国内医療用器具としての申請承認は未実施であることも説明したが,欧州はチャレンジを優先するとのことで問題視しなかった。結果として,COVID-19対策R&Dへの応募書類では,準商業化技術として患者と医療関係者の生体バイタル信号モニタリングに採用されることになった。
    • 今回のCOVID-19災厄は,前例踏襲と既得権益の死守が社会的経済的障害であるだけでなく,多くの国民を危険にさらしてしまう害悪であることを白日のもとに晒した。
 
  • なぜ自衛隊員にコロナ感染者が発生しなかったのか? 統合幕僚長が語るその“勝因” 山崎幸二(第六代統合幕僚長) WEBVoice 2020年06月13日 公開
    • 今年1月31日~3月16日までのあいだ、中国・武漢からのチャーター機で帰国した邦人や横浜に入港したクルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス号」においては、感染対応のための災害派遣活動を行ないました。
    • 予備自衛官を含む延べ約4,900名の隊員をもって、医官等による回診や問診票の回収、クルーズ船内の消毒、陽性者の輸送支援などを実施しました。
    • 3月28日からは海外からの帰国者・入国者を対象とする水際対策強化のため、国内の主要な国際空港で検疫や輸送、宿泊施設における生活支援などを実施しています。
    • 4月3日以降は市中における感染拡大防止のため、PCR検査で陽性反応が出た患者の空輸や宿泊施設への輸送支援、同検査のための検体採取支援、さらには感染防護の教育支援などを実施しています。
    • 地方自治体の職員や医療関係者、宿泊施設、タクシーなどの民間事業者に対する感染防護の教育支援ニーズが高かったことです。教育支援では、実技も含め約1,470名の方に「ダイヤモンド・プリンセス号」における自衛隊の活動や防護基準、教訓を紹介しました(5月21日時点)。
    • 部隊は平素からNBC(放射能、生物、化学)防護の訓練をしていたため、その恐ろしさや感染防護における基礎動作の重要性を認識していました。自己完結型の組織である自衛隊には、ウイルスの感染防護に知見を有する衛生部隊がいます。彼らが現地において、一般の部隊に対して教育を行なったことで、感染防護に必要な知識を派遣前から普及しました。
    • 当初は「ダイヤモンド・プリンセス号」の船内で何が起きているのかわからず、活動の具体的要領は定まっていなかった。まさしく手探りの状態です。それでも部隊は日々の活動で得た教訓を、直ちに次の活動に活かしてくれた。とくに院内感染を防止するため、罹患した可能性のある患者の誘導要領や、感染のリスクに応じた個人防護具の選択及び感染症病床の確保は、対処訓練の成果を活用できた事例といえるでしょう。
    • 自衛隊は集団生活・集団行動を基本としているため、ひとりの隊員が一度感染症に罹患すると、隊内に一気に感染が広がる恐れがあります。他国軍の感染状況をみて、あらためてわれわれの職場は感染拡大のリスクが高いことを痛感しました。自衛隊では、先ほど述べた感染症対策や教育訓練要領の設定に加え、交代制勤務、テレワークを含む在宅勤務、不要不急の外出の自粛を実施してきました。
 
  • 若者を見ればわかる「アフターコロナに爆発する7つの新しい価値観」 自由な時代に「ライブ配信」好調の訳 PRESIDENT Online 吉田 将英 電通 コンセプター/電通若者研究部 研究員 2020/06/11 15:00
    • 若者たちをみていると、コロナ禍で急速に進んだように思われる「価値観の変化」が、すでに先取られていたことに気付きます。電通若者研究部では、その変化を以下の7つにまとめています。
    • 1.殿様化:
      • 自ら出向く「ご奉公型」ではなく、物事の方からやって来てくれる「殿様型」へ、多くの点でシフトしました。Z世代(1995年以降に生まれた若者)の1つのコンテンツの平均消費時間は8秒で、一度に平均5つのスクリーンを使用する。言い換えれば8秒で見切りをつけて次を探しに行く。まさに「多くの陳情を裁く殿様」のような状態です。
    • 2.時決ニーズ:
      • コロナ禍は多くの人に「時間の裁量」を与えました。自由ということは、社会規範により決められていた「一律の時間」で生きる度合いが減り、個々人が「それぞれの時間」を生きる度合いが増えたとも言えます。
    • 3.能動圧力:
      • 社会からすれば、何も能動的にやらないで家にいる自分は「いないのも一緒」なのではないか。そういった「能動的でないといけないと感じる圧」は強まったとも言えます。動画配信やツイートは、この心理の表れでしょう。
    • 4.Mind to Mind:
      • 若者の価値観はコロナの前から「同一性に基づく信用」にこだわるよりも、「多面性を前提とした信頼」へと、シフトしていました。Face to Faceでコミュニケーションをすることに本質はなく、大事なのはMind to Mindで向き合っているか。若者はもとより、他者を「フィジカルな同一性でしか信用しない」という価値観から移行していたわけです。
      • 見えない他の面について過度に詮索したり疑ったりすることはしない。このシフトは、感染拡大を避ける生活様式を検討する中で改めて浮き彫りになった手続きや業務の非効率性の課題も相まって、不可逆な変化として続くでしょう。
    • 5.アンダーコントロール感:
      • 人と人との間に時間や空間、物質を介在させることが、「物事をアンダーコントロールできている安心感」になっています。ともすると人間にとって最もコントロールできないのは「他の人間である」という感覚は、悲しいかな当たり前のものとして残るでしょう。
      • 一方、今回のリモートワークの会議で「スモーカーの上司がタバコを吸いながらうれしそうに参加していた」というように空間や物質を人と人の間に介在させることが、互いが生きやすくなる上で良い作用をもたらすこともあるわけです。
    • 6.オピニオンファースト:
      • 自己表現のパラダイムが自分の外側に存在する「客体を使ったアプローチ」から、自分自身の内側からの「主体的なアプローチ」に変わりつつあります。これらを踏まえると客体をビジュアルで表現する方法から、よりその人の意見や主義といった非物質的な「オピニオン」が重視されていくと見ています。
    • 7.不文律のリセット:
      • コロナ禍があらゆる人にとって未知の体験だったために、「前提をリセットしたピュアな疑問」を若者以外の世代も抱くこととなりました。これまで大勢の人が「なんとなくそういうものだから」という理由だけで行ってきたことが瓦解しつつあります。よく考えたら必然ではなかった行為は、「しなくてもいい行為」としてデリート対象になり、今後急速に支持されなくなっていくでしょう。
    • 以上7つの変化のすべてに共通するのは、「自分の生活の自由度を、自分で編集しているか」という問いが個々人に改めて強く提示されたということではないでしょうか。
    • コロナ禍ではこれまでのさまざまな常識が覆されました。その結果、若者たちは「社会が提示する価値観や常識だからといって間違いないとは限らない」ということを学習したと思います。
    • 若者とは社会で「最初に新しくなる人」とも言い換えることができ、われわれはそのような存在だと捉えています。7つの変化は若者のみならず、今後ますます社会全体に広がっていくでしょう。
 
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