
交通・ITS・モビリティ [2024年]
[12月]
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保険会社のデータが示すロボタクシー「ウェイモ」の高い安全性 2024.12.22 08:00 Forbes JAPAN
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Waymo(ウェイモ、アルファベット傘下の自動運転企業)は、SwissRe(スイス・リー、スイスの再保険会社)が実施した新たな安全性調査の結果を発表した。SwissReは、ウェイモの自動運転車が累計2500万マイル(約4000万キロメートル)を自動運転する過程で起きたすべての路上事故を精査し、ウェイモに法的責任が生じ得る事故を抽出したうえで、類似条件下の一般的な人間ドライバーの場合と請求率を比較した。なお、ウェイモは2024年に400万回の乗車実績を記録している。
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ウェイモの車両は平均的な人間ドライバーと比較して物損事故の請求発生率が88%、人身事故の請求発生率が92%も低かった。さらに、先進的な安全機能を備えた最新型車両を運転する人間ドライバーとの比較でも、物損請求で86%減、人身請求で90%減という優れた結果を示した。
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競合するCruise(クルーズ、GMの自動運転車)も同様の分析を行い、Uberなどの配車サービスドライバーよりは好成績を挙げたと主張したが、ウェイモほどの成果ではなかった。クルーズは深刻な安全上のインシデントを受け、カリフォルニア州の規制当局(DMV)から許可を取り消されてロボタクシー事業を中断した。
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関連:日本にも上陸「ロボタクシー」日米中の"覇権争い" 競争激化で戦略を見直す大手も出てきた 2024/12/23 7:30 東京経済OKLINE
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アルファベット傘下のWaymoが日本交通と組んで2025年にロボタクシーの実証実験を始めるなど、日本でロボタクシーが走る日も遠くない。
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移動革命の切り札「MaaS」、なぜ日本で全然広がらない? 「認知度18%」が突きつける辛らつ現実とは タクヤ・ナガタ(ライター) 2024.12.13 Merkmal
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MaaSは、こうした異なる移動手段をひとつのプラットフォームで統合し、検索から予約、決済までをひとつのアプリで完結させる。
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2022年の調査ではその認知度は18.3%にとどまり、内容理解は5.9%に過ぎない。
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MaaSは現在、地域ごとに独自のシステムが存在し、全国で共通の「これさえあればどこでも移動できる」というサービスはまだない。例えば、LINEは日本全国で普及しており、ほぼ全ての人と連絡が取れるが、MaaSにはそのようなキラーアプリは登場していない。Suicaは全国規模で公共交通を接続しているが、MaaSは多くの要素を含み、実現にはかなりの時間と労力がかかるだろう。
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日本におけるMaaS普及には、地域間のサービス連携や技術革新だけでなく、広範な認知拡大が鍵を握る。
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MaaSは一言で説明するのが難しく、まだ決定的なプラットフォームが確立されていないため、少し分かりにくいかもしれない。この点がMaaSの認知を妨げている大きな要因だろう。
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MaaSが普及すると、誰でも簡単に移動できるようになる。移動そのものだけでなく、移動の前後に関わる活動もシームレスに結びつけるためには、さまざまなプラットフォームをつなぐための継続的な努力が必要だ。
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JR東日本、Suicaをデジタルプラットフォームとするため今後10年間でのSuicaの機能グレードアップを発表 2024/12/12 06:30 CreatorZine
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2026年秋ごろにはモバイルSuicaアプリによるコード決済機能などの新しい決済体験、2028年度にはユーザーに応じた割引やクーポンなどの便利な移動体験の提供を進めるとともに、今後10年以内にはチケットやSFなどのバリューをセンターサーバーで管理するシームレスで便利なサービスの提供を目指す。
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地域における移動手段の確保④ ―地域団体がライドシェアに取り組む際のポイント(前編)― 共済総研レポート №196(2024.12) (一社)共済総合研究所
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地域団体がライドシェアの運行主体となる場合のポイントの「前編」として、事前に検討・準備するべき事項を整理するとともに、地域団体が運送サービスを安定的に提供していくうえでの運営体制・方法において、筆者が最重要ポイントと考える「ドライバーと使用車両の確保」について整理した。
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[10月]
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<地域の足としての自動運転バス>運営を阻む3つのハードル、”背伸び”でなく現実解を 2024年11月25日 Wedge ONLINE
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一つ目は「コスト」だ。そもそも、公共交通の性質として、運賃収入で採算をとることは、ほぼ不可能である。そのため技術が確立されても、導入・運営コストが高ければ普及の妨げになる。
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『交通』分野だけで収支を考えるのではなく、移動の『目的』となっている買い物や観光など、別の領域から資金を集められる仕組みをつくれなければ維持していくことは難しい
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二つ目は人材である。人事異動がつきものの自治体職員が、こうした複雑な仕組みや制度を理解し、資金調達をしながら将来の大きな画を描くことは容易ではない。
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自治体職員以外の人材育成の重要性も指摘し、「地域交通の課題は路線バスをどうするかという問題に留まらなくなっている。交通をまちづくりの一環と捉え、自治体をフォローできるような新たな人材が必要な段階になっている
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三つ目かつ最も高いハードルは「社会受容性」である。「安全」を最優先にするのは日本の良さであるが、事故に対する受容性の低さは、新しい技術を導入する上では障壁となる。
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「どれだけ技術が進歩しても、自動運転の事故を〝ゼロ〟にすることは難しい。どこまで社会がリスクを受け入れてくれるかが、社会実装の進捗を大きく左右する」
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現状のデマンド交通は距離に限らず利用料金が一律かつ低額の設定になっている場合も多く、利用者側に寄り添いすぎたビジネスモデルになってしまっている。一足飛びにライドシェアを検討したとしても、タクシーと同等レベルの料金設定となっているため、公共バスに慣れている住民の利用ハードルは高くなるだろう。担い手にも利用者にもメリットがある形で導入するには、ライドシェアでの乗り合いを促進するなど、制度を組合わせて利用を増やしていく努力が欠かせない」
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業界の常識を変えたアプリ GO 「タクシー王」の祖父に託された精神 2024.11.25 14:15 Forbes JAPAN
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タクシーが劇的な進化を遂げている。タクシーアプリ「GO」の登場により、スマートフォン一つで簡単に呼べ、支払いも瞬時にできるようになった。
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その「GO」の仕掛け人が、業界で売り上げNO.1のタクシー会社「日本交通」(東京都千代田区)の3代目社長だった川鍋一朗氏(現・取締役)だ。業界最年少の34歳で家業を継ぎ、経営難だった日本交通を立て直した。
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日本交通系のアプリ「JapanTaxi」とDeNAの「MOV」が事業統合し、タクシー配車アプリ「GO」が誕生したのです。
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今、全国のタクシー事業者が乗務員の高齢化に悩むが、日本交通は2012年から計1400人の新卒採用を実現し、ITを使いこなす世代を多く抱えている。そして、「GO」アプリに加え、「GO Reserve」という新たな雇用形態を始めた。アプリからの注文だけを受ける専用車両で、「GO Crew」というパートタイム従業員が好きな時間で働く。ITを活用し、ドライバー不足を解消して、多様な労働力を確保する狙いだ。
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これからの地域公共交通の在り方⑧ ~整備された制度や施策を正しく活用してサステナブルな地域交通の実現へ~ 2024年11月12日 ㈱日本総合研究所
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国交省の担当課に聞くと、「地域のまちづくりと一体となって地域交通を計画する、といった考えで地域公共交通計画が策定されている自治体が少ない。」
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地域公共交通計画の策定を進める自治体:1,119件(2024年8月時点)
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立地適正化計画を策定している自治体:503件(2023年6月時点)
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まちを存続させるために、既存の技術で実施可能かつ脱炭素に繋がりながらも低コストな移動手段の整備を選択した計画が実装に繋がる。
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自治体にはそもそも交通に関する計画を練り上げていく過去の経験やノウハウの蓄積がない。
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国土交通省もこの問題には着目しており、「モビリティ人材育成事業」という補助金事業が用意されている。これは、交通に関する知見、データ活用のノウハウ、多様な関係者とのコーディネートを推進するスキルを活用しながら、地域の交通が目指すべき姿の実現に向けて主体的かつ継続的に取り組む人材を育成する事業であり、まさしく前述の問題に対応するものだ。そして、「主体的かつ継続的に取り組む人材」とある人材は、地域のまちづくりを担う自治体に内製化することが望まれている。
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モビリティサービスよりも、地域のまちをどうしていくのか、その目指すまちの姿を地域関係者と真摯に向き合って合意形成を進めていけるのか、そのまちの設計に必要となるモビリティサービスが何なのか、そのモビリティサービスをどのように効率的・効果的に運用するのか、といったプロセスを正しく踏むことこそが、サステナブルな地域交通の実現に繋がると確信している。
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関連:地域のくらしを創る サステイナブルな交通の実現に向けて -アフターコロナ時代へと向かう「地域交通3.0」- 2021年11月2日(火) 国土交通省
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モビリティの変容を加速させたパリ 2024 萩原隆子 交通経済研究所主任研究員 (交通新聞 2024年10月29日付)に執筆したものを転載) (一社)交通経済研究所
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今夏パリでは、2024 年パリオリンピック・パラリンピック競技大会(以下、パリ 2024)が開催され、多くの観戦者・観光客をスムーズに輸送するためのモビリティ計画が作成された。
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先月は、「道路利用抑制を目的とした公共交通機関の拡充と費用負担」を取り上げた。今月は「公共交通機関の混雑緩和のための施策」として、情報提供の強化、自転車交通の整備・拡充を中心とした公共交通機関での移動抑制策の推進について紹介する。
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公共交通機関からの行動変容策として特に自転車での移動を推進するために、自転車利用の体制強化のための施策が講じられた。専用レーンの延伸だけでなく、走行する自転車そのものの増備も行った。住民および国内外からの観戦者・観光客も利用できるシェアサイクル(ヴェリブ)を、2024 年 7 月までに 3000台追加した。
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多くの観戦者・観光客をスムーズに輸送するためのモビリティ計画は、同時に「モビリティの脱炭素化」を後押しした。地下鉄の延伸、アプリの導入、自転車専用レーン等ハード面での整備が、情報提供による交通機関選択行動の変化(自転車移動の推進)といったソフト面での変容をけん引した。
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パリ 2024 のモビリティ計画は、大会の誘致・開催によって新たに構築されたものではなく、2020 年以降パリが掲げた新たな都市計画のビジョンである「15 分都市構想」-徒歩または自電車を用いて 15 分以内で通勤・通学や買い物等が可能な都市を目指す-の実現を促すべく策定されたのである。モビリティ政策はこのように一貫性を持って取り組むことが重要であり、その積み重ねによって矛盾のないモビリティシステムを築き上げることができる。
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「MaaS」に見る地方創生~「十勝バス」の取組から考える人口減・高齢化時代のまちづくり~ 2024年10月29日 ニッセイ基礎研究所
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野村社長はコロナ禍真っ最中の2020年、「大空ミクロ戦略」と銘打って、まず住民が集まる拠点として、路線バスの停留所近くに焼き肉屋をオープンした。住民同士の交流を促そうと、店内の一角で地元野菜を販売したり、荷物の預かりサービスや宅配事業も実施したりした。そのほか、団地にスーパーがなかったので、バスに生鮮食品などを積んで販売する「マルシェバス」を開催したり、高齢者向けに、自宅付近まで送迎するオンデマンドタクシーを導入したりした。次第に人の移動が増えて、2年目には、市内の幹線道路と団地を結ぶ路線バスを増設。3年目には、物販やカフェ機能を持たせた新しい拠点をオープンし、路線バスやオンデマンドバスの待合所としても活用している。
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また、トラックのドライバー不足から物流が停滞する「2024年問題」への対応を先取りする形で、路線バス車両の後部座席を貨物用に改装し、人とモノの両方を運ぶ貨客混載も進めている。さらに現在は、地元の不動産会社などと連携し、廃校となった小学校跡地で、商業施設や宅地を整備する再開発を進めている。
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モビリティ分野では近年、デジタル技術を活用して、交通と異分野のサービスを連携させるMaaS(=Mobility as a Service、マース)が流行しているが、大空ミクロ戦略では、交通サービスの他、生活サービスを中心に提供していることから、十勝バス野村社長はこの取組を「生活MaaS」と称している。
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これからの観光振興における二次交通の役割と整備... 2024-10-23 KPMG
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魅力的な観光コンテンツが開発されても、そこに行く交通手段がないことにより、観光客が訪問できないという機会損失を招いている実態があります。また、地方創生や地方の経済活性化のためには、1つの観光コンテンツに観光客を呼び込むだけでなく、地域に点在する観光資源を周遊させるための交通インフラの整備が重要だとも指摘されています。新幹線や主路線の駅からの交通手段がない観光客を呼び込むために、期待されるのが、MaaSをはじめとした二次交通です。
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モビリティと一体となった「地域観光」を整備することが、我が国の観光業の根幹の課題だと考えています。
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MaaSというと、DX等を活用したイノベーティブなものだと考えられがちですが、そうではないんですよね。「自転車」でもれっきとしたMaaSであり、この地域にはそれが最適でした。自分たちの地域に最適なMaaSは何か、これには多くの解があるように思います。
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イタリアやオーストリア等は、魅力的な体験プログラムを開発し、そこに移動手段としてのMaaSが巧みに付随していて、観光コンテンツ造りが非常に上手い。日本が学ぶべきことは多いと思います。
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観光客の目線に立って、どう周遊するか、1日をどのように楽しく過ごすか、を考えれば、しなければならないこと、連携先、官の役割が見えてくるはずです。これが「実務的な連携」なのだと思います。
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自動運転車を用いたモビリティサービスについての考察 ~境町、岐阜市、浜松市の3事例に着目して~ 国土交通政策研究所紀要第83号 公開日:2024年10月21日
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共通点に関する考察
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大手通信企業の子会社等、新たなステークホルダーの出現。
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ドライバー不足や地域の足の確保といった明確な社会課題の存在。
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自動運転移動サービスの社会実装の動向 2024年10月1日 リスクマネジメント最前線 東京海上ディーアール(株)
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2024 年 6 月、日本政府は自動運転移動サービスの社会実装の早期実現を図ること等を目的に、「自動運転レベル4等先進モビリティサービス研究開発・社会実装プロジェクト(RoAD to the L4)」 等の国家プロジェクトで得た知見に基づく各種検討を行い、「自動運転移動サービス社会実装・事業化の手引き」を取りまとめた。また、同月、国土交通省では 「自動運転車の安全確保に関するガイドライン」 を取りまとめた。
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本稿では、日本における自動運転移動サービスの社会実装の動向と企業等に求められる対応について概説する。
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地域における移動手段の確保③ ―わが国のライドシェアと過疎・農村地域での活用― 共済総研レポート №195(2024.10) 一般社団法人 JA共済総合研究所
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わが国で実施・検討されているライドシェアの趣旨・概要
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主なライドシェアの規制面を中心とした制度比較
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過疎・農村地域におけるライドシェアの活用
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ライドシェアの運行主体として想定される「地域団体」の例
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過疎・農村地域を抱える地方部において、高齢者等の交通弱者の移動手段として、地域団体が運行主体となることができるライドシェアは、非営利の「自家用有償旅客運送(主に交通空白地有償運送)」と「許可・登録を要しない運送」である。
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市町村が将来にわたってコミュニティバスなどの公共サービスを提供し続けることは難しくなる可能性があり、「地域団体が運行主体となるライドシェア」への地域住民および市町村からの期待は、今後さらに高まると考える。
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[9月]
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ライドシェア前夜におけるオンデマンド交通の潜在需要推計 2024年9⽉30⽇ 野村総合研究所
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第1章 2024年4⽉に解禁された⽇本版ライドシェアの運⾏状況、課題、今後の⽅針について振り返る。
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第2章 地域公共交通が抱える問題と⾃動運転技術の動向を整理している。
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第3章 オンデマンド交通への潜在需要とタクシー供給を踏まえたオンデマンド交通”偏差値”を全国で試算した。
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都道府県単位では、⾸都圏や近畿圏でも偏差値に乖離があり、個別地域の実情を細かく⾒ていく必要がある。
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公共交通が⽐較的充実している各都市圏の中⼼都市よりも、周辺都市や町村部のほうが偏差値が低い傾向にある。
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「地域の⾜の確保」という観点では、現⾏の⽇本版ライドシェアは必ずしもマッチしていないと考えられる。
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第4章 「地域の⾜の確保」の観点から、マイカー社会に即したライドシェアサービスのあり⽅を提⾔する。
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移動⼿段の確保に対する家計や⾏政の負担に限りがある中、「共助」の仕組みを拡⼤していくことが必要である。
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過疎地域では収⼊の観点で⼀般ドライバーを集めづらいため、⾃治体による⼀般ドライバーへの補助の仕組みが必要である。
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利⽤者の利便性を⾼めるためには、国が主導して、地域を横断した機能も備えたライドシェアサービスを設計する必要がある。
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マイカー社会の「まちづくり」に即したライドシェアサービスのあり⽅
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地⽅における公共交通の問題解決に向けた提⾔
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01 街の規模や特性に合わせ、公共交通も多様化させる
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02 家計・⾏政の負担に限りがある中、共助モデルの拡⼤が重要
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03 ライドシェアは、域内のきめ細やかな移動で威⼒を発揮
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04 官⺠連携で、地⽅の運転⼿もやる気をだせる仕組みづくり
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05 協調領域を⾒極めて全国⺠がすぐ使える易しいサービス開発
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スマートシティが解決しようとしている交通・モビリティ分野の課題と対策について 2024/9/30 東京海上ディーアール(株)
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人々の移動を支える新たなモビリティサービス
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人々の移動においては、過疎やドライバー不足による公共交通機関の維持困難や、観光地での交通事情改善といった課題があります。これらを解決するためのサービスとして、オンデマンド交通やパーソナル・シェアリングモビリティサービスといった新たなモビリティサービスの活用が進められています。また、既存・新規のあらゆるモビリティサービスをつなげ、人々に最適な移動を提供するサービスとして、MaaSアプリの活用も進められています。
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物流を支える新たなモビリティサービス
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物流においては、「効率化」と「高度化」が求められています。
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ドライバーの増加に頼らずに輸送量を拡大する効率的な物流が求められています。
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このような状況に対し、自動配送ロボットやドローンを活用した無人物流サービスの開発などが進められています。
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より快適な移動を実現するデータ解析や情報配信
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より快適な移動を実現するためには、市街地の混雑状況や駐車場の空き状況などを把握することが重要です。特に車椅子やグリーンスローモビリティを利用する人々にとって、混雑状況の情報は特に重要です。また、災害などの有事の際には、被災地へのスムーズな救助活動、物資輸送を実現するためにも、周辺道路の通行可否や混雑状況をリアルタイムで把握する必要があります。このような情報ニーズを満たすために、ビッグデータ解析やIoTといったテクノロジーを活用した情報発信サービスがあります。
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どうする!?ライドシェア① 失われた移動の自由 2024.09.20 SOMPOインスティテュート・プラス
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タクシードライバーの減少に加え、鉄道・バスといった地域公共交通ネットワークの縮小や、インバウンドに伴う移動需要の増加等によって、「移動の足」不足(需要に供給が応えられていない状況)が顕著になっている。
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直面している課題は、大きく3つの類型に分けられる。
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地方部:人口減少・少子高齢化によって公共交通利用者が減少し、バス・鉄道といった公共交通事業者の業績が悪化、サービスの縮小・撤退が広がった結果、地域公共交通ネットワークが縮小している。
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観光地:観光需要は特定の地域に集中することや、季節・曜日・時間による波動が大きいことが特徴である。こうした需要の動きに対し、バス・鉄道による移動手段の供給は、増便対応など限られており(しかもバスはドライバー不足や交通渋滞で限界がある)、タクシードライバーの減少による影響が大きくなっている。観光地における移動の不自由は、来訪者に対する魅力の低下・観光客の減少といった、ビジネス面での影響のみならず、一部の地域では、地域住民の日常生活にも支障が出ているという報道もある。
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都市部:週末の夜や悪天候、イベント開催等といった、限られた時間帯において急増する移動需要に対応できない「時間帯の交通空白」が課題となっている(≪図表7≫参照)。一般的に、事業者(供給者)は事業資産を効率的に活用するため、需要のピークを下回る水準でしか供給量を設定しない。加えて、タクシードライバー減少による供給力の低下によって、ピーク時の需要量と供給量の乖離が拡大している。
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どうする!?ライドシェア② 「日本版ライドシェア」とは 2024.09.20 SOMPOインスティテュート・プラス
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移動の自由が失われている現状に対し、政府は「自家用有償旅客運送制度」を拡大した「日本版ライドシェア」(正式名:自家用車活用事業)を2024年4月から始めた。ただ、「ライドシェア」と銘打っているものの、本来の「ライドシェア」とは性質が異なる。「日本版ライドシェア」の利用状況は、既存のタクシー利用と比べると僅少であり、供給不足に対する効果は今のところ限定的と言わざるを得ない。
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[8月]
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小山町 乗車システムを活用したデマンドバスによる地域生活圏のモビリティの充実|Digi田甲子園 実装部門(町・村)ベスト4 2023年8月18日 自治体DX白書
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関連:予約・乗車システムを活用したデマンドバスによる地域生活圏のモビリティの充実 静岡県小山町 デジ田メニューブック
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本取組は、システム開発、運行(運転)管理及びコールセンター事業者との相互連携を通じ、デマンドバス運用の仕組みを1から構築したものである。
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広く住民の生活圏をカバーするため、町内の学校やシニアクラブ等を通じ延べ400人以上の方からの意見を集約し、事業に反映させた。
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関連:【静岡県駿東郡小山町】ニーズに応じた柔軟なコミュニティバス。オンデマンド+定時定路線の組み合わせで、子どもから高齢者まで、誰でも自由に移動できるまちに。 MONET
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オンデマンドと定時定路線型の運行を組み合わせたことで、需要に応じたきめ細かい効率的な運行が可能になり、乗り換えによるストレスが無くなった。また、町民からの要望に応じた運行エリアの拡大(バス停の追加)に対してスムーズに対応できる体制が整った。
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利用者の出発地・目的地の傾向が出にくい日中はオンデマンドバス、利用者・目的地などが特定しやすい朝・夕方は定時定路線、とそれぞれの運行形態のメリットを生かした対応が可能となった。また、町内の鉄道・路線バス・高速バスなどの他の交通機関の拠点をオンデマンドバスのバス停とし、各交通機関の運行時間に沿った柔軟な交通網が確立された。
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[6月]
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移動格差(モビリティ・ギャップ)とは何か?社会学者がわかりやすく解説 2024年6月26日 KAYAKURA・伊藤将人 (地域研究者・地方移住研究者)
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移動格差(モビリティ・ギャップ)とは、「人々の移動機会をめぐる不平等が原因で生じてしまう様々な格差」を指す概念です。なお、この場の移動やモビリティとは、車や鉄道といった狭義のモビリティに留まらず、車、鉄道、運輸、移民、移住、観光、関係人口など、人やモノ、情報、資本などの移動全てを指します。
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社会学者の貞包英之氏は、移動が階層化されており、学歴や特別の資産、コネを持たない者は、地方を出づらい傾向が高まっていると指摘しています。さらに言い換えるならば、「移動できる者」と「移動できない者」の二極化が地方では進んでおり、移動の機会の減少はそれまでの人間関係を変え、ちがう自分になる可能性を奪っていると指摘しています。
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移動性(モビリティ)が社会の重要な基盤となっており、その重要性はある面では高まりつつある一方で、人々の移動性(モビリティ)が高まっているとは一概に言えないことがわかるのです。
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スイスの社会学者であり、モビリティ研究の第一人者であるヴィンセント・カウフマン氏は、個人や集団がモビリティの可能性の領域を手に入れ、それを基盤に個人的なプロジェクトを展開する方法、分かりやすく言えば人が移動する能力を「モティリティ(motility, 可動性)」と名付けました6。換言すれば、「移動資本(mobility capital)」とも呼べるかもしれません。
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カウフマンらによれば、モティリティを構成する要素には、身体的能力、経済的手段、定住生活や移動生活への願望、交通や通信の技術システムとそれへのアクセシビリティ、職業スキル、外国語能力、その他の習得したスキルなどがあります。
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移動格差は年収や家庭環境、居住地域などと強く関連しており、且つ格差は代を超えて親から子へ、そして次の世代へと再生産されていく可能性を孕いま重要性を増しているのが冒頭で説明した「移動を社会的なものとして考える」という視点です。この視点を体現した研究領域と概念として、社会学を中心に関心が集まる「モビリティ・ジャスティス(Mobility Justice)」があります。
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「移動の正義」や「移動の公正性」とも訳されるモビリティ・ジャスティスとそれをめぐる研究は、ある人々やコミュニティの移動と居住の自由が、他の人々のモビリティの低下や変位に依存しているという洞察を中心に展開されていますんでいるのです。
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