FellowLink 倶楽部 2014年5月1日 #10
おはようございます。芝原靖典です。
若葉の緑が映え、時折、夏日の光も目にまぶしい季節になりました。
FellowLink倶楽部 #10 [毎月1日発行] をお届けします。
ご笑覧頂ければ幸甚に存じます。
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◆◇◆ FellowLink 倶楽部 2014年5月1日 #10 ◆◇◆
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INDEX------------------------------
1.コラム:日本社会の劣化の諸相とクラウド集合知のパワー
2.お知らせ・案内・専門家活動紹介
3.Blog:書評「統計学が最強の学問である」
4.役立つサイトの紹介
5.関連News & Topics
6.つぶやき(編集後記に代えて)
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【1.コラム:日本社会の劣化の諸相とクラウド集合知のパワー】
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最近、日本社会のあらゆる場面でいろんな劣化が露わになっています。
食材偽装問題は商品管理力の劣化であり、それは繰り返されています。佐村河内
氏ゴーストラーター問題や小保方氏STAP細胞問題で見られたメディアの質
問力の劣化は記者会見の映像を見ただけで分かります。コピペとパワーポイン
トの隆盛で文章力の低下も進んでいます。
プロ野球の統一球の規定違反問題にみられる受発注者相互の当事者意識の
劣化もあります。昨年、あれだけ騒ぎになっていたのに、統一球の出荷検査、受
け入れ検査(検収)がなされていないことに唖然とします。
福島第一原発事故で原子力関係専門家の説得力(社会的存在感)の劣化も露
わになりました。冷蔵・冷凍品の宅配便の温度管理問題という配送管理品質の
劣化もありました。製造業の生産力の低下・劣化は既に久しく、一部においては
中国や台湾のメーカーの方が進んでいます。
▼製造業競争力ランキングで中国1位・米国2位、日本は5位
◇http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPKBN0DB09020140425
南極海で実施している調査捕鯨について日豪が争った国際裁判で日本は負け
ました。「調査捕鯨」という建前論が国際的には通用しないという論理構成の劣
化も見られます。
▼なぜ日本は「クジラ裁判」に完敗したのか ノスタルジー食文化を脱する『鯨食
2.0』の必要性
◇http://diamond.jp/articles/-/51220
日本が構造的に劣化している感がします。これは何故でしょうか。
いろいろ考えられますが、最大の要因は、経営層と現場とのギャップにあるので
はないでしょうか。言い換えれば、経営力の劣化です。組織が安定化し大きくな
るにつれ、組織あるいは経営層を守る体制が強化され、経営層が直接、現場と
コミュニケーションする機会は減ります。「経営」ではなく、「管理」に重点が置か
れます。管理主導になると、リスク(=チャンス)テイクを避け、組織全体がゆで
がえる状態になります。真のリスク感覚、現場感覚を有した経営層でないと、イノ
ベーション時代の舵取りは難しくなっています。
現場の方も、経済ショックが起きるたびにリストラ等もあり、経験知の承継も途
切れ途切れになっています。知あるいは知を体現する技術者・専門家に対する
リスクペクトがありません。結果して、技術者等を通じて海外に技術が流出して
います。
こうして、経営と現場実態のギャップ、すなわち構造的劣化が拡大しています。
一方で、STAP論文疑惑で明らかになったように、クラウド知のパワーの存在が
顕在化してきています。
かっては、一部の組織しかアクセスできなかったいろんなオリジナル情報がネッ
ト上に公開(プレスリリース、DB等のWEB公開等)され、誰もが直接、オリジナル
情報に触れる時代になっています。発信も、かっては組織を背景にした者にしか
できませんでしたが、いまや誰もが簡単にネット上に発信できます。
すなわち、ネットを介して、膨大なデータ・情報、知の共有が進み、組織も専門家
個人も積極的にネット上で活動しています。騒動の渦中にあるSTAP細胞論文に
ついてみても、当該機関よりも、ネット上の論議の方が先行しています。
▼検証サイトが暴いたSTAP論文の「疑惑」 論文検証、特権的ではなくなった
◇http://www.itmedia.co.jp/news/articles/1404/15/news039.html
▼STAP細胞”事件”を巡るネット集合知のパワー
◇http://www.kddi-ri.jp/blog/srf/2014/03/17/stap/
▼クラウド査読により透明になるアカデミア
◇http://www.huffingtonpost.jp/daiki-horikawa/stap_b_5068121.html
クラウド上での個人知の活用・活動はオープンソリューションとも言えるものであ
り、組織にみられる構造的劣化をブレイクスルーし、イノベーションを励起するも
のであり、昨今の動きはそうした時代を象徴しているのかもしれません。
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【2.お知らせ・案内・専門家活動紹介】
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▼当協会の「大学等研究成果活用推進プラットフォーム」(代表責任者:佐竹弘
理事、元産学連携学会長)において、共同研究希望テーマを更新しています。
調査できる大学数は90校となっています。産学連携のシーズ探し等にご活用く
ださい。詳細は下記にアクセスしてご確認ください。
◇http://www9.ocn.ne.jp/~sangaku/main.index.htm
▼今月の専門家紹介は、「清水 満氏(専門分野:ペット専門住宅)」です。
ペット専門建築士[清水 満(しみず みつる)]
わが国の15歳未満の子供の数は年々減少し、2013年8月1日時点で1,643万6千
人。一方、ペットとして飼われている犬猫の数は、ペットフード協会が発表した「
平成24年度全国犬猫飼育実態調査」によると、2,061万5千頭。
今やペットの数が子供を大きく上回っているのが日本の現状なのです。現在の
ペット業界のキーワードは「長寿命化」と「家族化」です。
ペットフードの高品質化や医療技術の進歩によって、ペットの平均寿命が延び
たことで、ペットの健康志向も高まり、ペット保健の加入者も増えています。さら
に、訪問介護やディケア、ショートスティなど人間と同じようなペット介護ビジネス
も発生しています。
そんなペットを家族の一員として考える飼主が多くなり、ペットと暮らす住宅のニ
ーズも高まっています。
私がペット専門の建築士になろうと思ったきっかけは、飼っていた子猫の治療に
通っていた動物病院の先生に次のように言われたことです。「獣医は飼主に病
気やケガについてアドバイスはできても、ケガの予防やストレス防止のための住
環境について詳しくアドバイスはできません」。
私は一級建築士で住環境の専門家です。先生のこの言葉がきっかけで、犬や
猫と暮らす住宅とはどのようにしたらいいのだろうかと興味を持ち、ペット専門の
建築士人生が始まりました。
ペット業界とはほとんど繋がりの無かった私ですが、ペット業界のめぼしい人に
直接メールや電話を掛け、ペット業界の現状などのお話を聞かせていただき勉
強させて頂きました。
私がペット専門の建築士を始める前から、建材メーカーはペット対応の製品を
作っていましたし、ペット対応の住宅はありましたが、ほとんどがペットの問題に
対して物理的、対処的な事で対応していました。
例えば、犬は家の中で滑るフローリングのために足腰を痛める事故が多いので
、床に滑らない塗装を施したり、滑らない材質の床に貼り替えます。猫はクロス
貼りの壁を爪磨ぎでぼろぼろにしてしまうので、腰壁に固い板を貼ったり、表面
を強化したクロスを貼るなどです。
床を滑らなくするのは良い事ですが、その前に、飼い犬は遺伝的病気で股関節
が悪くなっているかもしれません。その場合は、改装前に獣医さんに相談する事
が先決です。
猫の爪磨ぎをする場所をなくせば家は傷つかずきれいなままですが、猫の爪磨
ぎには、テリトリーの主張やストレスの発散の意味もあるので、猫の溜まったス
トレスはどこで発散すればいいのでしょう。
私は犬や猫の生態学や行動学を勉強し、それをふまえた上で、ペットと暮らす
住宅を設計しています。家族の中で一番弱い存在(ペット)のためにプランや設
備、素材を考えて住宅を設計すると言う事は、結局は老人や子供などすべての
人間に優しい住宅になるのではないでしょうか。
最後に、どんなにペットの事を考えて住宅を造ったとしても、家族それぞれがペ
ットに対する対応を誤ってしまうと、最高の設備も最高の内装も無駄になってし
まいます。ペットにとって一番大事な住環境は家族なのですから。
参考:清水満氏(わんにゃん健康住宅研究所 所長)が連載しているウェブマガ
ジン「ペットライブス」猫の一休建築士 http://petlives.jp
★上記の専門家活動紹介に関する感想、意見はFacebookのFellowLink公式ペ
ージに投稿をお願いします。
◇https://www.facebook.com/fellowlink.office
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【3.Blog:書評「統計学が最強の学問である」】
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話題になっている統計学の本「統計学が最強の学問である」を遅ればせながら
読みました。統計(学)の専門的な本ではなく、統計の効能書きといった趣の本
であり、統計(学)の世界に触れたり、思い起こすには良いかしれません。
詳細は下記ブログサイト[仕組みの群像]の最新記事をご笑覧ください。
▼仕組みの群像:書評「統計学が最強の学問である」
◇http://www.tc-platform.com/blog/
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【4.役立つサイトの紹介】
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今号の紹介サイトは次のサイトです。
▼CiNii(国立情報学研究所 論文情報ナビゲータ[サイニィ])
◇http://ci.nii.ac.jp/
CiNiiは、論文や図書・雑誌などの学術情報を検索できるデータベース・サービ
スで、専門分野を超えて当該テーマに関する学術的レベルや全体をレビューす
るときに大いに役立ちます。因みに、「統計学」で検索すると、論文は14,583件、
大学図書館の本は4,464件がヒットします。
デザイン的にも公的機関らしくない極めてシンプルなTOP画面は秀逸です。
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【5.関連News & Topics】
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▼わが国介護ロボット産業の発展に向けた課題と展望 ~北欧にみるユーザー
・ドリブン・イノベーションの重要性~、日本政策投資銀行 産業調査部、2014年3
月24日
◇http://www.dbj.jp/pdf/investigate/mo_report/0000015497_file4.pdf
▼イノベーションによる新産業・新市場の創出 2014 ~再生と成長のための課
題と提言~、産業競争力懇談会(COCN)、2014年(平成26年)3月26日
◇http://www.cocn.jp/common/pdf/140326-2.pdf
▼3Dプリンターがものづくりの仕組みに変化をもたらす可能性 ~未来のもの
づくりの姿と日本の素形材産業~、Mizuho Industry Focus Vol.151 2014 No.7、
みずほ銀行産業調査部、平成 26年3月28日
◇http://www.mizuhobank.co.jp/corporate/bizinfo/industry/sangyou/pdf/mif
_151.pdf
▼「第3回全国イノベーション調査報告」[NISTEP REPORT No.156]の公表につ
いて、科学技術・学術政策研究所、2014年3月
◇http://www.nistep.go.jp/archives/15311
▼産学官連携データ集 2013~2014、科学技術振興機構 産学連携展開部、
平成26年3月
◇http://sangakukan.jp/top/databook_contents/2013/cover/2013-2014_
databook_ALL.pdf
▼科学技術・イノベーション動向報告 ~EU 編~ (2013 年度版)、独法 科学技
術振興機構 研究開発戦略センター、2014年3月
◇http://www.jst.go.jp/crds/pdf/2013/OR/CRDS-FY2013-OR-04.pdf
▼第17回世界CEO意識調査(2014年)日本分析版 Fit for the future メガトレ
ンドの中で日本企業の成長戦略を探る、PwC Japan、2014年4月
◇http://www.pwc.com/jp/ja/ceo-survey/assets/pdf/17th-global-ceo-surv
ey-jp-focus.pdf#page=18
▼産業競争力を再生するための日本のイノベーションシステムのあり方、経済
産業研究所、2014年4月11日
◇http://www.rieti.go.jp/jp/events/bbl/14041101.html
▼中途半端なグローバル教育に煽られて幼年期に英語を教えるよりも、しっか
りとした「日本語脳」を育てるべきだ、現代ビジネス、2014年04月12日
◇http://gendai.ismedia.jp/articles/-/38899
▼インパクトの高い論文数による日本の研究機関ランキングを発表、トムソンロ
イター、2014年4月15日(日本時間) 改訂版 2014年4月23日
◇http://ip-science.thomsonreuters.jp/press/release/2014/esi2014/
▼我が国の科学技術を支える女性研究者 -科学技術週間にちなんで-、総務省
、平成26年4月14日
◇http://www.stat.go.jp/data/kagaku/kekka/topics/topics80.htm
▼スマートフォン普及のインパクト ― スマートフォンが加速した日本電機メーカ
ーの事業構造改革 -、東レ経営研究所 産業経済調査部、2014年4月24日
◇http://www.tbr.co.jp/pdf/report/ind_g015.pdf
▼科学者は競争的すぎる環境に付いていけない、大隅典子の仙台通信、2014
年04月 26日
◇http://nosumi.exblog.jp/20620797/
▼動くイノベーションを捉える、THINK ACT 96、Roland Berger、2014.4 ◇http://www.rolandberger.co.jp/media/pdf/Roland_Berger_Shiten96_2014043
0.pdf
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【6.つぶやき(編集後記に代えて)】
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イノベーションが日本の持続的成長には不可欠といわれ、様々な政策・施策が
産学官で行われているが、官主導の予定調和的な政策・予算付けでイノベーシ
ョンが果たして起きるのだろうか。イノベーションがカオスの縁的な領域で起きる
し、それに公的機関・予算がマッチング支援していくという、イノベーション支援の
仕組みそのもののイノベーションを期待したいのだが・・・。
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